皆様初めまして、萬宮と申します。
この度は拙作「鐘が鳴るまでは、どうか」をお読みいただき誠にありがとうございました。
そして同時に本ノートまで足を運んでいただけるほどに貴方に何かを残せたこと、大変喜ばしく思います。
さて、以降は先述させていただきました拙作「鐘が鳴るまでは、どうか」について、備忘録感覚で好き勝手にお話しさせていただきます。
本作を読了してくださっている方が読んでいることを前提に綴っているので、ネタバレを多分に含みます。
初投稿の作品で個人的にかなり思い入れのある作品なので、本作を読了し切っていない方はぜひ一読いただけますと大変嬉しいです。
少し改行を挟むので、お手数ですがスクロールの方をお願いいたします。
ここまで来れば大丈夫ですかね……?スクロールお疲れ様でした、ありがとうございます。
それでは少しばかりお話をさせていただきます。
読み返したら思ったより長かったので絵どうか疲れない程度にお付き合いいただけますと幸いです。
まず本作が生まれるまでの過程について、本作はふわっとしたコンセプトと結末を決めてから筆を取りました。
私の将来の夢(創作系)を知っている先生からカクヨム甲子園のことを教えていただき「萬宮」と名乗ってカクヨムに生まれたはいいものの、何を書こうか。
そう考え悩んでいた時に思いついて、衝動で書いたものでした。例年にしては暑い今年の7月のことでした。何季節外れのネタ絞り出してんねん、と自身にツッコミを入れたかったものです。思いついたものは仕方がないし、私自身このような終わり方をする物語が大好きなのでまあいいかな、という所存です。
まあ主人公自分で死んじゃうし応募するには不適切な終わり方だろうなと思ったので……せめてカクヨムに慣れる練習程度に執筆・投稿してみようか、と思った次第でございます。書き終わったあとだからこそですが、文字数もオーバーしてしまいましたが。
無事に書き終わった現在としては、楽しかったのでよかったかなぁ、と思っております。それと翠ちゃん、翔くん、翠ちゃん一家の皆様に関しては本当にごめんね……すみません……
余談ですが、カクヨム甲子園に関しましては幸いなことに執筆中に思いついた別作品で投稿させていただきます。掛け持ちの鬼で良かったと思った瞬間でした。
次に、ストーリーについて。
シナリオライターとして働いている主人公、翠は、某年(本作の一年前)10月31日にとある事件に巻き込まれて家族と最愛の恋人、翔を失いました。
ちょうど、翠の家族に婚約の挨拶をして、食事を準備している最中のことでした。幸いにも翠は用があって少し席を外していました(クライアントからの急な電話に対応するため、翔の車の後部座席にいた。翔の車の後部座席は基本的に翠しか座ることがないため、翔によって翠がパソコンなどが置けるようにカスタムされている)。
帰ってきた翠の目に映ったのは、赤に染まったリビングと家族や翔の死体。幸か不幸か犯人はもう家を出ていて、翠が狙われることはありませんでした。
翠の通報により付近をパトロールしていた警察が捜索。幸いなことに犯人はすぐに逮捕されました。通り魔のような、衝動による犯罪でした。
ですがそれから翠は大切な人を一度に失ったショックで精神を病んでしまいました。会社から強制されてなんとか精神科に通い続け、今は正常に(とはいえ鬱の一歩手前ではありますが)暮らすことができるようになってきたのが、本編より一ヶ月前の9月でした。
精神が回復していくのと引き換えに、少しずつ、翠自身も気が付かないほど緩やかに翔のことを思い出せなくなりました。彼女の生きる意味で、支えであったはずの翔を思い出せなくなり、翠は本来の明るささえも失ってしまいました。ただ起きて、仕事に行って、帰って、寝る。それだけの繰り返しでした。
そして迎えた本編第一話の当日、10月31日。平日だったため、この日も翠は仕事をしていました。お墓参りにも行きたかったと思っていましたが、今週末に行こうと断念してしまいました。大切だったはずの家族のお墓参りですら躊躇ってしまうほどにギリギリの状態で生きていた翠の元に現れたのは、翔でした。しかし先述した通り翠は翔のことを忘れてしまっていて、他人のような対応をしてしまいます。それを見た翔は途中で「防衛本能が働いて翠が自分を忘れている」ということに気がついてしまいます。まあ、それでも翔の気持ちは変わることはありませんが……ともあれ、翔が翠に会いに行けるのは、ハロウィンの一日だけでした。(死者の日、厳密には11月2日に帰ってくるなんて記述されている場合もありましたがそこはファンタジー要素ということにして見逃していただけますと幸いです)しかし二人が出会ったのは作中に表記している通り23時57分。残されたのはたったの3分のみでした。翔は翠に対し翠を現世に置いていって辛い思いをさせてしまった謝罪と愛の言葉だけ告げて消えてしまいます。
二話、翌朝になって、幸か不幸か翠は全てを思い出します。思い出してしまいます。翔のことも、何もかも鮮明に。最愛の人や事件のことを、忘れてはいけないはずの自分が忘れてしまっていたという自責、もう少し早く思い出せていればという後悔、翔を思い出すことと伴って呼び起こされた思い出や記憶に対しての寂しさなど全てに駆られ、皮肉にもちょうど一年前の自分と同じ心境に陥ってしまいます。違いと言えば、すでに翔を思い出していることと、もうその精神状態に耐えられるほど心の余裕がなかったということ。そうして翠は命を断つという判断に至ってしまい、物語は幕を閉じました。
『0時の鐘で途切れた魔法の続きは、私が愛していた魔法(御伽話)の続きは、どうやらもう二度と訪れないらしい。』という描写に関しては、来年も会いに来ようと思っていたはずの翔ともう二度と会えなくなってしまったことを暗喩……したかったですね……
大筋としてはこんな感じになります。本当はサラッと流すつもりだったのですが思った何倍も長くなってしまいました、お許しください。
あとは本編で記載できなかった設定というか、一つのエピソードを記載させていただきますね。
二人が付き合って初めての記念日、翔から翠にプレゼントとして水晶のネックレスを渡していました。
このネックレスには、翔から翠に渡す際二つの想いが込められていました。
一つ目はシンプルに言葉遊びです。こちらに関しては気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
翔が翠にプレゼントする際照れ隠しができるように、「二人の名前を繋げたら「すいしょう」になるね」なんて言い訳を用意していました。
二つ目は石言葉です。どちらかといえばこちらの方が本命だったりします。
水晶の石言葉として主に「純粋」「無垢」「完全」というものが挙げられています。完全はともかく、翠は本来どこまでも純粋で、それこそ「0時の鐘が鳴ってしまえば魔法は解ける、なんて、ありふれた童話」が大好きな女の子でした。翔は翠のそんなところも可愛らしいと感じていたので、きっとこの石を選んだのでしょう。
もちろん花言葉や石言葉、プレゼントを渡す意味なんかも好きな子だったので、きっと石言葉も理解していると思いますが。
これで現状お話しさせていただきたいこととしては全てとなります。こんなに話してしまって今更ではありますが、読み手の皆様が感じた解釈が正解だと思っております。私が未熟なゆえこのお話には、二人の生きたこの世界にはたくさんの穴があると思います。私の先ほどまでの話はあくまで一つの解釈ということにして、物語の穴のひとつひとつは皆様の想像で都合良さげに埋めていただければと思います。皆様の、あなた自身の解釈を大切にしていただければ嬉しいです、なんて。未熟者がなんか言ってら、なんて感じで聞き流してください。
以上で本作の解説並びに本ノートは終了となります。ここまで読んでくださって本当に本当にありがとうございました!
未熟者ですがこれからものんびり筆を取って好きに書いていこうと思いますので、またどこかで出会えたらその際はどうかよろしくお願い致します。
改めてこの度は拙作「鐘が鳴るまでは、どうか」をお読みいただき誠にありがとうございました。
どうかこの作品があなたに何かを残せていたら幸いです。
それでは、暑くなってまいりましたのでどうか体調にお気をつけてお過ごしください。