拙作「モコロー」の立ち絵です。
○びっくり杉
●概要
正式名称はスギヅモリ。
追憶の原生林全土に生息する植物の究極進化系の1つ。
他の生物を捕食し栄養源としているため、葉による光合成を必要としていない杉の木。
擬態して(もともと植物なのでこの表現は正しくない)近くを通る獲物を待ち伏せしている。獲物が来ると、巨大な舌を伸ばして舐め取るのだが、知能が高い動物からは避けられているため、餌にありつける日が少ない。
通常の杉の木と見分け方が現時点では見つかってないため、できる限り杉の木には近づかない方が良い。
普通、生態系での植物の立場は生産者であり、ピラミッドの下層に位置するものであるが、この土地の消費者たる動物と生産者たる植物の境界は実に曖昧である。
○喋るミミズ
●概要
正式名称はアゴナシヌマウナギ。
巨大な底無し沼である、ヘドロが池にのみ生息する、ごく珍しい種。
沼などのにごった止水域に好んで生息し、普段は泥の中に身を隠している。
眼のような6つの感覚器で、微かな水の動きや地面の振動を感知しては、勢いよく飛び出し獲物を大きく吸い込んで捕食する。
骨格はすべて軟骨で、アゴのない丸い口など原始的な生物の特徴を残す生物である。
だが、なんと群れで行動し、コミュニケーションを取る驚くべき生態を持っている。これは胸部にある鳴管という声を出す器官と舌が大きく発達しているためである。
この体の作りは鳥類に類似しているが、繋がりは不明。本当にウナギなのか疑う。
○スライム怪物
●概要
正式名称はオオアオミミリクガニ。
スライムのような体にカニのようなハサミと足がついた異形の怪物。
原始的な単細胞生物の一種で、ハサミや足などは硬化した細胞の一部である。しかし繁殖方法は有性生殖という、かなりハイブリットな生命体なのだ。これはあらゆる環境に対応しやすくなるために、様々な生態を常に持っているという説があるが実際は不明。
目が退化している代わりに、嗅覚と感覚、聴覚が発達している。
普段は地中に潜って眠っているが、特殊な植物が周囲の音を4回探知すると、それを知らせる花が特殊な音を出して、目を覚ます。
この時、音を出した生物の視界は闇に包まれ、自身の付近しか見えなくなってしまう。そしてその闇で戸惑っている獲物を捕食するのだ。
この闇については、網膜静脈閉塞症を引き起こす、動脈硬化などが原因とされていて、その原因の1つである喫煙と同じ効果の何かを発生させているからではないかと言われている。幸いこの効果はそこまで長く続くわけではないので、安心して良い。
時速70kmのスピードで走り、さらには胸から、老化し可燃エステル化した細胞の一部などの不要な物質を貯めておき、それらを皮膚組織の成分と科学反応を起こさせる事で、高熱を発射できるようだ。この熱は常温空気中で発火するリン化合物なども含まれているため、狙われた獲物は、状況がわからないまま燃え、力尽きてしまう。
原生林の生態系にて上位に君臨するのだが、紫外線に弱く、1日の大半は地下で過ごす。特にメスは、一生を土の中で過ごし、地表付近で産卵する。
繁殖期になると、特殊な音を出して、自身の位置や相手の位置を教え合っているようだ。この音は性別によって違う。
○謎の草
●概要
正式名称はアオヒカリツユクサ。
オオアオミミリクガニと共存している植物。オオアオミミリクガニが捕食した獲物の残りを栄養源としているが、光合成も可能。
付近の音に反応し、オオアオミミリクガニを起こす音を出す花が反応する微量な衝撃波を放つ事で、獲物の位置をオオアオミミリクガニに正確に伝える役目を担っている。
繁殖力が弱く、スカイブロック以外の地に降り立つ事が難しいため、かなり貴重な種である。
どうやら天ぷらにして食べるのがまだ良いらしいが、独特の苦味が不人気。絶滅せずに生き残れた理由は、この味だとされている。
○音の正体
●概要
正式名称はカナキリオトダシ。
アオヒカリツユクサの放つ衝撃波に反応し、威嚇のために金切り声をあげる花。
この音がオオアオミミリクガニが繁殖期に出す特殊な音とかなり似ているため、ほぼ強制的にオオアオミミリクガニを起こす事ができる。
繁殖力は高いものの、この花を主食とする動物は数多く存在しているため、別の地へ進出する事無く、スカイブロックに止まっている。
体内は音声器官にかなり似た構造となっているため、音を出す事が可能かと考えられている。この構造は自身を食べる動物に向けて、威嚇の要領で声を発するために進化したようだ。
基本的にどんな調理方法でも美味しくいただけるため、観光客からも人気である。
○アオマダラオオカビナメコ
●概要
自立歩行が可能な巨大なキノコ。この地域の生態系では生産者や消費者ではなく、分解者としての役割を果たしている。
主に生体に子を降りかけて寄生するが、死骸であっても、筋肉を菌糸で動かして生き返ったかのように操ることができる。
寄生する生物によって菌糸の張り方が異なり、栄養豊富な培地とするために餌を求めて徘徊させることもあれば、胞子をまき散らすために利用する場合もある。