あなたの声を初めて聴いたのは高校1年の夏休みでした。今から20年以上前。友人に勧められたカッコイイアニメ、それが『攻殻機動隊』でした。
攻殻機動隊の中で扱われるテーマや舞台背景は当時の自分には少し難しく、でもキャラクターが放つそのカッコイイ台詞に心を奪われ、少し「大人な」アニメを子供なりに楽しんでいました。
格好良い、それを体現してくれていたのが大塚明夫さんであり、山寺宏一さんであり、田中敦子さんでした。高校生で初めてアニメの女性キャラクターでカッコイイと思わせてくれたのが、草薙素子でした。いまだに自分の中でアニメの名言ベスト3に入るのが、素子が攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEXの第1話に出てくる台詞『世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら、耳と目を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ。』でした。
年を重ねるにつれて、攻殻機動隊の見え方が変わり、自分も大人になれている事に嬉しさを感じました。そんな中で昨年の舞台あいさつで田中さんが「忘れないでください」と涙ながらに語られていた事が、あの時既にお体に影響が出ていたのかなと邪推してしまいました。
田中さん、いえ、田中敦子様。草薙素子、ローズ隊長、他にも様々にあなたが命を吹き込んでくれた登場人物たち。忘れません。これからもそのお声で私達を支え続けてください。
本当にお疲れさまでした。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
一仙