第三章では、セレナの領地“エヴァルシア”を発展させていく物語が中心となります。
エヴァルシアは王都から馬車で十日ほど離れた地にあり、かつてオークの集団によって壊滅した、セレナたちの故郷の村があった場所でもあります。領地の東と南はグラント山脈へと続く深い森に囲まれ、山脈から流れる雪解け水が澄んだ川となって大地を潤しています。しかし、その森には常に魔物が棲みついており、一定以上の戦闘力がなければ暮らしていくことさえ難しい厳しい環境です。
隣街ヴァルグラントはエヴァルシアから馬車で二日の距離に位置し、ゼフィランテス帝国との国境都市であると同時に、ノワゼリア侯爵領の領都でもあります。
アストラニア王国とゼフィランテス帝国は五十年前に休戦協定を結んだものの、帝国側はしばしば予告なく侵攻を試みるため、国境地帯はいまなお厳重な警戒下に置かれています。
こうした情勢の中、奴隷商人たちはどのように国境を越え、アストラニア王国へエルフを運び込んでいるのか――その謎も、第三章で明らかになっていきます。
