山間の女子修道院。自給のために修道蜂蜜（monastic honey）と蜜蝋製品（ロウソク/軟膏）を作っている。 養蜂担当のシスター・セラ（誓願済）と、見習いのノア（未誓願）は、…

路地裏の古書修復工房。修復士の綾（34）と助手の果歩（26）――血の繋がらない“擬似姉妹”は、上書き写本（パリンプセスト）の修復に向き合う。 膠のぬめり、和紙の繊維、湿り、圧、光…

帝都の外れ、霧と水路に抱かれた「花影町」。 旧華族の娘・珠乃は、ある夜、水辺で記憶を失った少女・柚羽を拾う。 彼女は“この世ならざる花嫁”――生と死、現と幻のあわいに咲く魂だ…

梅雨明け前の朝、静けさを鎧に生きてきた淺黄は、東向きの縁側で湯をわかす。そこへ、三度の喪を越え資格だらけの陽気な幼馴染・柘榴が「静かなのは飽きた」と荷物ごと転がり込む。娘・真珠の…