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  • エッセイ・ノンフィクション

京都弾丸旅行その1(夜行バス予約編)

 2023年8月16日(水)、思い立ったが吉日、日帰りで京都に行ってきた。
正確には、15日(火)の夜行バスで京都に行き、当日の夜行バスで千葉に帰ってきたのだ。これは日帰りというのだろうか。

 営業の外回りで疲れ切った時、電車移動中の吊革広告に踊らされて、「そうだ、京都に行こう」と現実逃避的に京都行きを決めたわけではない。確かに月から金曜までフルタイムで働き、特に最近の酷暑の中、弱冷房車と言えど涼しい電車の中に入ってひと段落ついている時、京都旅行の広告が燦然と輝いて見えるのは事実だ。旅行といえば「京都」とすぐに頭に浮かぶほど、私(28歳実家住みインフラ系営業マン・文学部)にとっては特別な地である。そこは身体的にも精神的にもオアシスであるのだ。
 
 周りの同僚がお盆休暇を次々と取得して、オフィスががらんとしていく中、私は心ここにあらずで、ぼんやりと吹けば飛ぶようなネット記事を見ていた。強制的に、頭を空っぽにしてくれる場所に行きたい。そう思いながら無意識に、どこぞの誰と知らない京都への旅行ブログを見ていると、京都の下鴨神社にて8月16日(水)まで古本市を開催しているという。
 
 昼食を食べ終え、頬杖をつきながらスマホをちょいちょいしていた私は、少しだけ目を見開いた。ああ、あれか。森見登美彦の。四畳半の。
 この時点で既に8月15日(火)である。気づいたら私は、ちょうどその頃、近畿地方に急接近していた台風の進路情報と、夜行バスの予約サイトをスマホで行ったり来たりしていた。まじか、台風きているのに夜行バス予約パンパンじゃん。世の中には物好きがいるもんだ、だけどこっちだって負けてられんのよ。
 今まで、心の中の奥の奥に停滞していた「京都に何としても行かねばならない」というどうしようもない熱帯低気圧は、それこそ台風に急遽変化し、スマホを操らせていたのだった。
 
 夜行バス比較サイトの情報を駆使して、なんとか当日出発の予約を取ることができた。なんだかんだ種々多様なサイトを見まくっていたら、2時間くらいかかってしまった。よし、これでもう私は京都に行くしかない。京都に行ける。思い立ったら、私はすぐにでもオアシスに行けるのだ。そう思うと、なんだか嬉しくなった。

 そもそもなんで私がオアシスを求めるに至ったのか。詳細は後述することとするが、なんか、色々と精算したくなったという一心である。オアシスでシャワーをキメて、仕切り直したかったのである。古本市はあくまでトリガーであり、常に私は京都すなわち区切りを欲していたのであった。

 以下、今後本ノートにて書いていく目次である。(あくまで予定)
・夜行バスで移動 編
・早朝のファミリーマート京都駅八条口店 編
・ゴールドジム京都今出川 編
・初めての電動レンタサイクル 編
・下鴨神社 汗だく古本市 編
・大丸京都 デパ地下決戦 編
・真夏の夜の京都① ホテルへの誘惑 編
・真夏の夜の京都② バス待ち 編
・バイバイ京都

 たった一日、正確には朝6時から22時50分だが、あの夏の日、私以上に京都をむしゃぶりつくそうと駆けずり回った人間はいないだろう。振り返れば、いや、区切りをつけたのだから、あまり振り返りたくない。

 乞うご期待。(写真は行きの夜行バスで寄った海老名SA 筆者の疲れが見て取れる)

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