どうも、れがと申します。
前回は、外惑星圏全体について紹介しました。
資源を採る。
船を造る。
物を運ぶ。
そして、遠く離れた場所を物流でつなぎ続けることで、一つの巨大な社会を作っている。
という話です。
ただ、「外惑星圏」という言葉もかなり大雑把です。
小惑星帯と木星では全然違いますし、木星と土星でも違います。
さらに天王星や海王星まで行けば、同じ「外惑星」という言葉でまとめていいのか怪しくなってきます。
というわけで今回は、太陽から遠ざかる方向へ順番に見てみましょう。
■ 小惑星帯――内と外の間にある場所
まずは小惑星帯です。
人類の大規模な小惑星帯開発はかなり早い時期から始まっています。
主な仕事はもちろん採掘ですが、それだけではありません。
採掘拠点。
軽工業、重工業。
船団補給港。
推進剤補給。
小天体の軌道管理。
傭船や独立船団。
そして、それらを支える自治居住地。
人口も、時代によって変動しますが数十億人規模に達します。
そして何より重要なのが、その位置です。
小惑星帯は内惑星と外惑星の間にあります。
なので、
「内惑星の領土はここまで、ここから先は外惑星」
と綺麗に線を引ける場所ではありません。
内惑星側と関係の深い居住地もある。
外惑星側と関係の深い居住地もある。
どちらにも属さない自治体や船団もある。
資源船も補給船も軍艦も通る。
だから政治的な対立が起きると、真っ先に面倒なことになる地域でもあります。
平時には両者をつなぐ場所。
対立すれば境界地帯。
小惑星帯は、そんな場所です。
■ 木星圏――外惑星側の「首都圏」
その先が木星圏です。
ここまで来ると、もはや辺境という言葉はほとんど似合いません。
時代によって人口は変わりますが、数十億人規模の巨大社会です。
木星そのものに住むわけではなく、衛星都市、軌道都市、資源基地、工業施設などが木星圏全体へ分散しています。
そして木星圏には、
資源と燃料。
大規模工業。
造船と修理。
船団司令。
軍事拠点。
物流。
金融や保険。
といった機能が集まっています。
外惑星連合にとっては、かなり「首都圏」に近い場所です。
ただ、地球のように一つの巨大惑星表面へ都市が集中しているわけではありません。
巨大な木星を中心に、衛星や軌道上へ都市と工場と港が散らばっている。
その間を大量の船が行き来しています。
そこで暮らす人にとって、船の出入り、資源価格、保険料、通航順位といった話はかなり身近です。
外惑星の政治問題も、ここへ集まってきます。
だから後の時代には、人類最大級の造船・補給・軍事結節にもなります。
軍事基地だから巨大都市になったというより、
もともと巨大な社会と工業があったから、軍事的にも重要になった
という順番です。
■ 土星圏――外惑星社会の「奥行き」
さらに遠くへ行くと土星圏です。
木星圏が政治・工業・軍事の中核なら、土星圏は少し役割が違います。
こちらで重要になるのは、
氷。
揮発性物質。
分散型工業。
長期備蓄。
疎開拠点。
予備の生産・補給能力。
です。
人口も数十億人規模に達する時代があります。
つまり土星圏も、数個の採掘基地しかないような場所ではありません。
氷資源基地がある。
分散した居住環がある。
外縁船団の基地がある。
備蓄都市がある。
長期間閉鎖環境で暮らす都市もある。
そして木星よりさらに遠い。
そのため、土星圏の生活では「届かない」「遅れる」という問題が木星以上に身近になります。
部品船が遅れる。
補給が予定通り来ない。
だから備蓄する。
自分たちで直せるものは直す。
家庭単位でも非常用品を持っておく。
子供の頃から閉鎖環境での事故対応を学ぶ。
そういう生活文化が育っています。
『金星は二度燃えた』にも「土星氷資源船団」や「土星圏食糧補助環」といったものが出てきます。
遠くても、人類社会の物流から切り離されているわけではありません。
むしろ、
何かあったときにも外惑星社会全体が一度に倒れないための奥行き
を作っている地域です。
■ 天王星・海王星方面――人口が減っても、人類社会は終わらない
さらに遠くへ行くと、天王星・海王星方面です。
ここまで来ると人口密度はかなり下がります。
設定上も、両方面を合わせて数億から十数億人程度。
木星圏や土星圏と比べれば明確に小さい社会です。
主になるのは、
遠隔資源基地。
観測拠点。
外縁方面の予備施設。
長期疎開先。
など。
政治の形も少し変わってきます。
『金星は二度燃えた』では、天王星方面の資源拠点や、海王星方面の観測・採掘共同体が登場します。
彼らは必ずしも、
「外惑星全体の政治について積極的に口を出したい」
わけではありません。
一方で、
航路。
救難。
船舶識別。
補給。
といった実務上の共同制度には参加する。
遠く離れた小規模社会だからこそ、
「政治的には自分たちで決めたい。でも、救難や航路管理まで全部一人でやるのは無理」
という現実があります。
この辺りまで来ると、「国家」よりも資源拠点、観測共同体、船団といった単位の方が、日常では身近な場合もあります。
■ さらに外側――人が住む場所から、見張る場所へ
そして海王星よりさらに外。
カイパーベルト方面まで行くと、性格がまた変わります。
もちろん資源利用や小規模な拠点はありますが、人類圏の主要人口集積地ではありません。
むしろ後の時代には、太陽系外縁を監視する場所として重要になります。
実際、3475年に頭足人が太陽系へ大規模侵攻した際には、外側から天王星・土星方面を突破し、木星、さらに内惑星へ向かってきます。
その後、人類はカイパーベルト方面の監視をさらに強化していきます。
つまり太陽から遠ざかっていくと、
巨大都市。
資源都市。
分散した居住拠点。
遠隔資源・観測共同体。
そして監視・観測の最前線。
という具合に、人類社会の密度と役割が少しずつ変わっていきます。
■ 外惑星圏は「点」ではなく「網」
こうして並べてみると、「外惑星圏」という言葉の中身が少し見えてきます。
小惑星帯は、内と外の境界。
木星圏は、中核。
土星圏は、奥行き。
天王星・海王星方面は、分散した外縁社会。
さらにその先には、観測と監視の領域がある。
そして、それらを船がつないでいます。
外惑星社会の強さは、どこか一つに全部が集まっていることではありません。
むしろ逆です。
遠く離れた資源基地、都市、工廠、港、備蓄拠点、船団をつないで、一つの社会として動かせる。
だから一か所が止まっても、別の場所が残る。
その代わり、船が止まれば全部が困る。
前回、
「遠い場所同士をつなぎ続けることで大国になった地域」
と書きました。
外惑星圏というのは、本当にそういう場所です。
今回はこの辺で。