カクヨムで唯一掲載している「青春ノスタルジック」が500pvを達成しました。
カクヨムの仕組みがイマイチ分かっていないので500pvという数字がすごいのかちっぽけなのか分からないのですが、とても区切りが良いのでこうして近況ノートをしたためています。
★や❤で拙作を応援してくださった方、拙作と読者さんをつないでくださった自主企画者様方、そして執筆・学業・お仕事などの忙しい時間を割いて途方もなく長いこの連載に目を通してくださっている読者様へ心より感謝申し上げます。
この作品は現在連載中ですが、原稿は二年前に完成しています。その際にあとがきとして書き残しておりました散文を、500pv記念としてこちらへ残しておこうと思います。
少し長いですが、お時間ありましたらお付き合いいただけると嬉しいです。
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わたしは普段、自分とだいたい同じ年くらいの男女を主役にした大人向けの小説を書いています。震災をテーマにしたり、同性愛をテーマにしたり、その全部に共通する「孤独感」を掘り下げてみたり、扱う題材は様々ですが、比較的現実に根ざした人間関係の話を書いているんじゃないかなと自認しています。
かっこいい武器が出てきたり可愛い女の子が出てきたりする小説は、高校生くらいまでよく書いていたのですが、大学で小説の勉強が本格化してゆくにつれ、完全なフィクションより、ほんのスパイス程度に実体験をくわえたノンフィクション風フィクションへ転化してゆくようになりました(周りの友達がみんな大人っぽくて自分の失恋体験とか小説にしてたので感化されちゃった部分もあるかもしれません)。
そんな調子でずっと剣も魔法もない小説を書いていたのですが、二年ほど前にふと「現実的な話はしばらくお休みしたいな」と思いました。一顰一笑の人間関係をたくさん書いて、大人のドロドロした関係に食傷してしまったのです。
「次は中学生か高校生くらいの子がたくさん出てくる小説がいいな。中高生が出てくるなら、ここは一つ中高生に向けた、かわいくて、かっこよくて、謎めいていて、ドキドキするようなSFが書きたい」とぼんやり考えていたとき、誰かがぱっと頭の中に飛び込んできました。
その子は青い髪の毛と緑色の瞳を持つ女の子でした。小さくてとても可愛い女の子(最初はアリスという名前だったその子)はふんぞり返るような生意気な態度で「ちょっとボクの話を聞いてくれないか」と言いました。
「ボクは今、とても辛い思いをしているんだ」と。
おお、さっそく物語が始まるぞと思いました。今までにも、突然頭の中にやってきて、自分語り始める人が何人かいました。その人達の話を聞いて、話してくれなかったことはこちらで慮りながら脚色していくと、50%くらいの確率で400ページほどの物語ができます(中には話すだけ話して去ってゆく人もいます。残念なことに)。
今回もそのパターンで物語の使い魔的な人がやってきてくれたんだと思いました。
彼女の話は長く、時系列もバラバラで、鮮烈に見えてくるシーンもあれば、霧に包まれたように何も見えない場所もありました。
それでもせっかく今までと作風の違った話を書けるチャンスだったので、聞き逃すことのないように、いつどのタイミングで彼女が語りかけてきても良いように、一ヶ月くらいメモ帳を手放さずにじっとしていましたら、だいたいの話の筋がつかめました。
それから半年ほど聞き知ったことを突き詰めて突き詰めて、ようやく書き終えることができたのは二年前です。
けれども、もしかしたら、わたしの力不足のためにうまく説明できていない部分もあるかもしれません。スペックの低いスピーカーから発するノイズのように読みづらい文章のままで、投稿してしまったかも。
それでもわたしは、この時期にこの作品を最後まで書き通すことができたことを大変嬉しく思っています。
クライマックスへ向かうに連れて、うまく物語を結べない矛盾に苦しんだこともありましたが、この小説を書いている間、気の置けない友達一緒に遊んでいるような気持ちで常にわたしは幸せでした。
偉大なるロックバンドNirvanaの「Lithium」ではないけれど、小説を書いていて楽しいのは頭の中に友達がたくさんできることですね。書き終わるとどこかへ行ってしまいますが、素晴らしい人類の文化だと思います。
この小説を書いているときの楽しさが少しでも作品に反映されていて、それがあなたを少しでも楽しくさせられたなら、これほど嬉しいことはありません。