https://kakuyomu.jp/works/1177354054889825604/episodes/1177354054889894935リリスは、感じていた。
祐真の話を聞いた時から、もし彼と目の前の人が元々一つなのだとしたら。
それはいつか元に戻ってしまうのではないか。その時、エリヤは消滅してしまうのではないか。
まだ始まってもない、自分とエリヤの時間はその時を刻む事なく終わってしまうのではないか…
そしたら……また…独りになってしまう。
私を助けてくれた人、感謝すべき人は沢山いる。でも、私はいつもどこか孤独だった。
気丈に振る舞い、出来る自分、役に立つ自分を演じてきた…生きる為に。
あの時…エリヤに襲われて怖かった、壊されてしまうかもしれないと思った。だけど…それも良いかなと心の何処かで思ってしまっていた自分に気がついたんだ。疲れていた…生きる為他人に対して完璧でいる事に。
辛かった…誰にも弱さを見せず、本当の自分を知る人が一人としていない事が。
ただあの時、彼は目の前で崩れ…まるで小さな子供の様に、今壊そうとした私に寄りかかり泣いた。
その弱々しい身体を両手で抱いた時、何故だかどうしようもなく愛しく感じ、同時に私を知って欲しい、私の弱さも知って欲しい。この人となら、独りにならなくて済むと思った。
傷の舐め合いだと言う人がいる…
何が悪いの?本当に傷付き孤独を味わった者同士が寄りかかってお互いを慰め合う事の何がいけないの…本当の孤独を知らない人達に何がわかるの…
出会ってまだ数時間、だから何?
私にとっては今まで生きて来た年月よりも、かけがえの無い時間だった。
私の思い込みかもしれない、押し付けかもしれない。でもあの瞬間、彼の弱さに孤独に触れた瞬間、分け合えた気がした。私だけが理解してあげられる気がした、彼だけが理解してくれる気がした。二人だけの孤独を…
だから、どちらにせよ彼を失うぐらいなら、今この闇に飛び込む方が、私にとって救いかもしれない。
ありがとう、えりやくん。
キミをもっと知っちゃうと、私ワガママが止まらなくなりそうだから。
キミが…キミの一番幸せな場所に行ける事を祈ってるよ。