ルメリアという大きな大陸がある。この地は古より呪われた大陸であった。いつの世も戦渦に見舞われ、安息と平和からは程遠い大地であったのだ。
ルメリアが呪われた大陸として見舞われた原因は、五〇〇年前に遡る。
五〇〇年前にこの地で起きたミルファリア=メフィスト戦争に全てが起因しているのだ。
ミルファリア=メフィスト戦争について、大陸の創世記には、下記のように記されている。
『世界は、光の神ミルファリアと闇の神メフィストの争いにより生じた。光と闇がぶつかり、大陸が形成され、生物が生まれたのである。人間、魔物、動物──全てが神々の影響を受け、それぞれが進化を遂げていった。
長い戦争のさ中、光の五大使徒という、神にも匹敵する力を持つミルファリアに従う者達が現れた。彼らの協力を得た光の神は闇の神を圧倒し、遂にはミルファリア=メフィスト戦争が終結した。その際、闇の神が追い込まれ、最後まで抗った地が、このルメリア大陸である。』
ルメリアに平和が訪れない理由が、闇の神の影響が最も強い場所であるからと言われていた。
現在、ルメリアには七つの国──ハイランド王国、ローランド帝国、砂漠の王国ケシャーナ朝、風のカナーン王国、エトアニア帝国、ベルラーシ公国、バロア朝──が存在し、これらの国は互いの喉元に刃を押しつけ合うようにして、戦を繰り広げていた。
過去、小国大国と滅ぼし滅ぼされを繰り返してきたが、それは何百年と変わらなかった。
それ故、この大陸は平和とは無縁である。一時の幸福も、すぐに壊されてしまい、いつ壊されても不幸を嘆くのは弱者だけであった。そして、弱者はそれに抗う術を持たなかった。ある時は魔物に、ある時は戦火に、ある時は賊に、人々は様々な形で幸福を失った。
ただ、今までは各国同士が互いに紛争を繰り広げているだけだったルメリアに、変化が訪れ始める。光と闇の構図が再び形成されつつあったのだ。そして、人知れぬ間に闇の神の復活に、動き出す者達がいた。
これは、そんな動乱の始まりを描いた一部である。
歴史が動いたのは、ルメリア大陸の最北西端の国家、ハイランド王国とローランド帝国からとされていた──。