茄子のパスタを食べていてふと気づいてしまったことを書きます。
これまで私、野菜を切る包丁は鋭利であればあるほど、美味しくなると思っていたんですよ。刺身と同じ理屈で。簡単に言えば、鋭利な刃物なら断面の損傷を最小限に抑え込めるから、細胞から漏れ出る酵素なんかを最小化できるとか、舌触りを滑らかにできるって話です。
実際、これはあながち間違ってはなくて、葱類なんかは(仮に生で食べるとしても)刃物は鋭利であればあるほど良いと思います。人参や大根を煮込む際に、煮崩れを防ぐ目的であっても、やはり鋭利な刃物の方が良いですね。千切りキャベツとか作る場合も、圧倒的に鋭利な方がいい。ピーマンや青唐辛子、芋類なんかも同様。ごぼうを切れ味の悪い包丁で切るなど論外です。
ところがです。
茄子のパスタで「あれ?」っと思ったことがありまして。それが「断面が綺麗なものより、多少断面が荒れていたものの方が美味しいのでは?」ということ。似たような事例としては、たとえば白菜やレタスなんかも、包丁でカットしたものより手でちぎったものの方が美味しいのではと思うことがあります。あくまで、思い返してみればというレベルですが。
どっちでもいいって野菜もありますよ。煮込みに使うトマトとか。サラダにするなら鋭利な方がいいでしょうけど、ダイスカットで火を通すなら、結局同じ。極端な話、手で握りつぶして使った方が、適度なばらつきが出て美味しいことさえあります。あとはブロッコリーだのカリフラワーといった、枝の根元をカットするくらいでしか使わないもの。空心菜とかほうれん草とか韮なんかでも、包丁の切れ味が味を左右することはほとんどない気がします。(ニラ玉とか、包丁使わず手でちぎっても作れますし・・・あ、水餃子に入れる韮については、水分を出さずに細かく刻むことがポイントになるので、鋭利な方がいいのか・・・)
まあ、ざっと思い浮かべたところではありますが、やっぱり圧倒的多数の野菜については、鋭利な包丁使った方が良いって結論にはなりますね。見栄えを気にしなければならない場合は特に。ただ、ごく一部の野菜に関しては、鋭利な包丁で切ると味気なく感じられることがあるんじゃないかと。おそらくですが、断面が適度に荒れることで、舌に触れる面積が増えるとか、そういうことだと思われます。
もっとも、茄子であっても麻婆茄子のように大きさを揃えて火の通りを均一化する必要がある場合は、よく切れる包丁でカットした方が良いはずです。断面の変色を防ぐという目的からも、表面積は小さい方がいいはずですし、火を入れる直前によく切れる包丁で手早くカットしてやるという考え方には一理あるんですね。そういう意味では、よく切れる包丁を使うことが間違っているわけではありません。ごく例外的なケースではありますが、パスタソースを吸い込ませるような場合に限ってのみ、茄子の断面を綺麗にしすぎることは、却って味の染み込み方や感じ方を悪くしてしまう印象を持ちました。
以前にご紹介したことのあるこの動画、手でちぎっているのはそういうことだったんだなと。(私は大きさを揃えるために、常に包丁使ってました。とほほ)
https://www.youtube.com/watch?v=VLIRiz37d0M
以上、素材と調理法がある一定の条件を満たした場合にのみ、よく切れすぎる包丁は野菜のカットに不向きとなりうるのではないかというお話でした。常識を疑うのは大事です。