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本を読んだ話 小林朋道先生『ヒトはなぜ拍手をするのか:動物行動学から見た人間』

 今回は久々に、読んだ本を紹介(*'ω'*)♪
 少し前に読んだ本なので、忘れている・間違っている部分もあるかもしれません。気になる方は是非お手に取ってみてくださいね。

 ご紹介するのは、小林朋道先生の『ヒトはなぜ拍手をするのか:動物行動学から見た人間』です。
 まず小林先生は小説家の先生ではなく、動物行動学の先生です。
 そして『ヒトはなぜ拍手をするのか:動物行動学から見た人間』には、私たち人間の行動について、当たり前すぎて考えたことのなかった「なぜ?」が沢山、動物行動学の視点から書かれています。

 今回はその中でも、ヒトは「なぜ映画やテレビの物語を見たがるのか?」というお話を紹介しようと思います。
 これは映像に限らず、小説にも通じる「なぜ?」でした。


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「なぜ映画やテレビの物語を見たがるのか?」

 その理由はまず、そもそもヒトが、物語がフィクションであることを理解できるから。
 確かに、パニック映画なんかの物語がフィクションであることが理解できなければ、私たちにとってはゾンビも地球滅亡も全て真実になってしまいます。

 そして、物語の『危険』を観察することによって、情報収集をするため。
 これは、悪いニュースを見る、大雨の時に川を見に行く、といった行動の理由にもなっているのかと思いますが、ネガティブな情報に注目しなければ、重大な危険に気付けずに死んでしまいます。それに、事前に情報を集めておけば、いざというとき、迅速に、適切な行動を取れますよね。

 あとは、感情移入をするため。
 感情移入というのは、人の心を読むための方法の一つなのだそうです。
 確かによく考えてみれば、私たちが誰かと関わるときには大抵、相手の気持ちを想像します。
 そうしなければ、みんながそれぞれ好き勝手に動いてしまって、助け合って危険を避けたり、大きな仕事をしたりすることができなくなってしまいますよね。
 ヒトには、心を読み取りたい、というニーズがあるのだそうです。
 心を読み取りたい、と思う遺伝子を持つヒトが、仲間と上手く関わることによって生き残ることが多かったのでしょう。(もちろん例外もあると思いますが。)
 そんな「心を読み取りたい」というニーズを満たしてくれるのが、物語なのだそうです。

 そして最後に、遊び、スリルを味わうため。
 ヒトにとって、遊びでギリギリのことを経験するというのは、能力の伸長に繋がることなのだそうです。
 確かに私たちは大人・子供に関わらず、頭や体を使って遊んでいると、頭の回転が良くなったり、体力が付いたりしますね。
 ヒトは物語を通して、ギリギリの状態を経験したいのでしょう。


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 いかがでしたでしょうか。

 これは動物行動学という一つの視点からの考察であり、またこの本は科学的に証明された論文ではありませんので、ヒトがなぜ物語を見るのかという疑問の答えを断定するものではありません。それでも、面白いなあと思って頂けたら嬉しいです。

 この本には他にも、「なぜ友好的な気持ちを示すとき拍手をするのか?」、「なぜ女性は“内股”、男性は“外股”なのか?」、「葛藤状態のとき、頭を掻くのはなぜか?」、「並んで歩くカップルは、なぜ女性が左側になることが多いのか?」、「デート中でも、男がきれいな女性を見てしまうのはなぜか?」、「スポーツの有名人に“品格”を求めるのはなぜか?」など、沢山の「考えたこともなかった……」謎が考察されています。
(注記しておきますが、この本の内容はあくまで生物としてのヒトの行動についての考察であって、男女差別や、男だから・女だからこうあるべきだという主張を目的とするものではありません。物語についての話のように、男女を比較しない内容も多くあります。また、小林先生は例外や、一般的な事象からのズレなどを認めておられます。)

 生物の授業が苦手だった人や小説を書かない人にも、とても読みやすく面白い本となっています。
 読み終えれば、自分や他人の行動や気持ちについての見方が変わっていること間違いなし! ……と断言したいくらいに面白かったです。

 そしてここでは紹介できませんでしたが、「美」とは何か? という内容が、非常に興味深かったです。これは、クリエイターさんや小説を書く皆さんにとって、非常に面白い考察なのではと思いました!

 ここまで長文で紹介しましたが、本の魅力を伝えるには、やはり実際に手に取って読んでいただくのが一番です。
 本文を読んで、この本の基本的な考え方となっている動物行動学とは何か? ということから知っていただくと、ここで紹介した「なぜ?」についてもより深く理解できるかと思います。


 ではまた、面白い本を見付けたら紹介させてくださいね('ω')ノ

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