二年前もやったので。半分くらいはすでにツイッターでつぶやいた内容です。
さて前作のモチーフは「吾輩は猫である」でしたが、今回は「あらしのよるに」をモチーフに食べちゃったifというコンセプトで書かせていただきました。「好きな人を実際に食べちゃった」というアイデア自体は冨樫義博先生のレベルEにもありましたし、モチーフというほどではないかもしれませんけども。
そのほか、今回は叙述トリックみたいなのは避けようというのと、前作が読み返すと句読点が多すぎて読みにくかったなという反省、および最近、草森ゆき先生の文体フォロワーめいているので、逆に句読点を減らしつつ読みやすいように書いてみようというのもテーマでした。
……ただ文体については、逆に文字がぎっちぎちになってしまって読みにくいですね? まあね!創作エケチェンだからね!(開き直り奴)
キャプションの「オチはありません」は「叙述トリックみたいのはないよ」というのと、「ラストが投げっぱなしジャーマンになってる」というのとを完成のテンションで書いちゃったやつでした。さすがにわかりにくかったですね、ちょっと直しまし。
内容についても少し。
冒頭にポエムも入れて悲恋ものであることは暗示したうえで始め、キャラクターの外見もテンプレかつ説明的すぎる言い回しにはなってしまったけど描写して、とそれなりに反省点を生かしたつもり。
あとあれですね、書いている最中はあまり意識してませんでしたが、前回お猫様への偏愛を詰め込んだように、今回もまあまあヘキが詰め込まれてますね。
・陰キャにも優しい朗らか運動部君
・そんな朗らか運動部君への独占欲が暴走して監禁(通り越して溶かしちゃってますが)しちゃう奴
・ディスコミュニケーションからの悲劇(読む分には解決するパターンのが好きですが、今回はコンセプトが先だったので)
あたり。
黒の従者こと「私」の造形は、
・みんな大好き異修羅(珪素先生)から、某ミミックちゃん
・大長編傑作SFの天冥の標(小川一水先生)から、集合群体的生命体さん
の複合イメージです(どっちもネタバレになるのでキャラ名は伏せました)
そして相変わらずキャラの名前を決められない病については前向きに活用することにして、「私」が誰にともなく懺悔しつつも「あの人の名前だけは私のもの」的に故意に失伝させた扱いにしました。
いただいた感想でもラストの解釈についてはバッドエンド派とハッピーエンド派がいましたが、「すれ違ったままになっちゃった」のを重くみるならバッドエンド、「どうせ人と人外は分かり合えないんだから一緒になれただけマシ」ととるならハッピーエンドってあたりで、どっちが正解ってこともないように思います。
二話目の「補遺」は書いている途中で思いついたんですが、自分でもわりと気に入ってて、複数の方に褒めていただいて嬉しい限り。分体または触手たちの声に反応しないのは、同化吸収拡大しすぎて自我が薄れてしまったのか、自分の黒歴史ポエムが創世記扱いされて恥ずかしくて聞こえないふりをしているのかは永遠の謎です。
世界を飲み込みつくしたあとはどうするんでしょうね。特に決めてないので「オチはない」なんですけども。
たぶん今後も、ツイッターに流れてきた企画をつかまえて年に一本くらいは短編書くんじゃないかなと思っているので、気が向いたら読んでくださいな。
ではまた。ノシノシ