今を生きる底辺物書き あらゆるジャンルに手を出してます。
平凡な男の話をしよう。 人を語るのならその生を辿らなければいけない。 だから先ずは男の最古の記憶を語ることにしよう。 男の生き方を語る上で決して欠かせない一つの記憶だ。 舞い上がる炎の壁。 肌や喉を焼く熱波と息を詰まらせる煤まじりの黒煙。 全身を振るわせる程に響く爆撃の音とその合間に耳に届く熱風のごうごうという音。 人の叫び。人の燃える音。髪や身に着けた服が焼けるジリジリという音。 油の焦げる臭いと煙の臭いと髪が焼ける臭いと人の燃える臭い。 口の中に広がる血と煤の味。 一人で生きる力のない障害者や年寄りといった弱い者たちは、言うまでもなく。 生き延びる為に手を尽くさない者、生き延びる知恵のない者は、真っ先に逝き、全知全霊を尽くして尚、あっけなく消える数多の命の記憶。 それは、炎の記憶。 慣れ親しんだ街並みが人達が、炎の中に消えていく記憶だ。 いつまでも夢に浮かび、男の心を焦がし続ける朧で美しくも恐ろしい記憶。 それは後に横浜大空襲と呼ばれる今は教科書の中くらいでしか語られなくなった地獄の記憶だ。 当時、都市に住んでいた人間にとっては、ありふれた死の風景。 今はもう語る者も少なくなった情景。 その時代に幼年期を過ごした平凡な人間の始まりの光景だ。 だが、それは幼かった男にとっては、世界の終わりの光景だった。 不幸だったのは、苦しみや悲しみを理解できないほど男が幼すぎなかった事。 そして、母親の幼児教育がこの地獄を創り出したのが人間であると男に理解させた事だった。 教育ママなどという言葉は未だなかったが、男の母親は男が物心つく前から読み書きを教え、論理的な思考法を教え、道徳と倫理と科学的知識を男に与え続けた。 その結果、男の最初の記憶には明確な事態の理解が伴っていた。 それ故に、男の心の奥底にその光景は生涯残り続けることになる。 男が母に救われ命を繋ぎ、母が命を落としたこともその要因の一つだろう。 その事実が男にとって唯一の母の記憶になったからだ。 だが、母親が男に残したものは、男の身体とその光景だけではない。 人格を形創る大切な何かを。 心の底に広がる基盤となるものを。 精神の根源を男は母から受け継いだ。 人間の醜さが造りだした地獄の光景の中にあって尚、輝き続ける人としての気高さ。 誰もが逃げ惑い命を惜しむ事しかできぬ地獄の最中でも決して人であることを諦めず、我が子の為に尽くされる無償の想い。 それがあったからこそ、男の始まりの光景は恐ろしくも美しい情景となった。 多くの命が炎と瓦礫の中に消え、戦争は大日本帝国を滅ぼしその二月半の後に終わりを告げる。 そして、生き延びた男は合衆国軍の統治する日本で、田舎の祖父のもとで育てられる事になる。 父は大陸の戦場で消息不明、母方の親戚は満州で本土にいなかったからだ。 後に、南下してきたソ連──共産国家の皮をかぶった専制国家だった現在のロシア──によってシベリアへと連れ去られた彼らはそこで命を落としたという。 “ 自らを虫と変わらぬ存在といって恥じない弱肉強食という名の理屈 ”を信奉する人間達の犠牲となった多くの名もなき人々との一人として極寒の地に消えたのだ。 " その理屈の信奉者達が産み出し続ける様々な悲劇 "が身近にあることを、誰もが実感していた時代の出来事だ。 それは'戦後という時代'の始まり。 自由や平等を知らない子供に神の正義と共にそれを教えにきたのだと嘯く蛮人達による統治の幕開けだった。 古い知恵は、排他的な米国文化のもとに劣った思想であるとレッテルが貼られ。 '快楽主義に基づく合理主義'が、" 欲望に溺れることを戒める価値観 "を否定し、日本という国が誕生する。 冷戦時代、西側の'浮沈空母'として大陸に牙を突きつける役割を与えられた日本は、趣と相手を変えて現在でもその役を演じ続けている。 戦後という時代。 それは、米軍による実効的被統治から、実質上の被統治を経て、現代の陰からの被統治へ、と移るまでの時代だ。 歴史として語られることのない多くの弱き人々の怨嗟や怒り。 下卑た欲望や暴力に従う瓦礫の中の秩序。 今までの価値観に殉じて死んでいく頑なな人々の嘆き。 それらすべてを飲み込み過ぎて行く激動の時代だ。 統治者が変わるとき、古い体制の崩壊は多くの悲劇を巻き起こす。 '幕末'という時代がそうであった以上に'戦後'という時代も、勝者による殺戮や略奪、強姦や虐待といった多くの死と不幸を生み出したが、進駐軍統治の下にその多くは語られることさえなかった。 祖父が男を捜させなければ、男もまた'戦後'に人知れず消えていった多くの孤児達の様に悲惨な末路を迎えていた事だろう。 力があったから炎の中、男が生き延びたわけでもない。 特別だったから瓦礫の中で絶望せずにすんだわけでもない。 己の危険も顧みず、子を守るために命を使い尽くした母のおかげで生き延びた。 持儚く消える命を愛しむ見知らぬ人のおかげで絶望せずにすんだ。 火事場泥棒に盗んだ煮干を貰った。 見知らぬ街娼に寝場所を貰った。 子と孫を亡くし家も失った知人の老婆と一つの握り飯を分かち合った。 どれ一つ欠けても男が生き延びる事はなかっただろう。 生き延びた孤児達の中で男が特別だったわけではない。 特別な幸運が男を援けたわけではない。 運命や神に縋ろうとしたものは死に逝く地獄だった。 幸運や特別な恩恵によって救われたのでも助けられたのでもなく、ただ己が人であることを忘れなかった平凡な人間に助けられた。 だから平凡なありふれた不幸の中で、男も敵国への憎悪を胸に収め、少年時代を祖父のもとで過ごす事になる。 祖父、籐兵衛はあと数年早く生まれていたなら'白虎隊'に入っていたという筋金入りの'薩長'嫌いで、それ以上の'バテレン嫌い'という時代錯誤の見本のような人物だった。 だが、籐兵衛も'慶応'生まれの元士族としては、ごく普通の人間だったのだろう。 彼にとって大日本帝国は'バテレンに魂を売った薩長のやつばら'で、進駐軍は'バテレンの畜生供'だった。 彼もまた武術の才を見込まれて九州の片田舎の豪族に養子に入らなければ、時代と共に討ち死にした侍の一人となったかもしれない人間だった。 この時代、九州という地には、古くからの武術が未だ細々とだが多く残っていた。 多くは'家伝'として伝えられ、籐兵衛もそういった'業'を伝えることで生き延びる事となったのだから、時代錯誤も当然であったのかもしれない。 そういった豪族達もGHQの農地の再分配により力を失っていく。 それは、日本という国を属国として造り変える政策の一つで、逆らった者は武力により制圧され、公には軍を襲撃した犯罪者として排除された。 籐兵衛が継いだ家は小作まかせの農家ではなかった為、困窮するほどの事はなかったが、男に何の取得もないと思われたなら、農民としてその村で一生を終えていたかもしれない。 しかし母に授かったもののおかげで、神童とまで呼ばれていた男は学問を許され、15の歳に祖父の死と同時に街へと出る事になる。 男にしてみれば他者より早くに勉強を始めただけで、自分に天から授かった才などないことは解っていたから、そのまま田舎で暮らす道もあった。 しかし、心の中の始まりの光景が男をその地に留まらせる事を良しとさせなかった。 家伝の武術を習い野山での狩りを習い蔵にあった書や叔父が趣味で集めた科学関連の学術書や語学書をあさり、多くを身につけた男はそれだけで満足することなかったのだ。 また、炎の中で消えていった多くの命や瓦礫の下敷きとなった母の最期の笑顔が、安穏な暮らしの中でも男の中に滾るように燻るように燃えつづける想いを消させはしなかった。 それは憎悪に似て憎しみでなく、憤怒に似て怒りではなく、慟哭に似て嘆きではなかった。 言葉にするならば、熱情だろう。 ただ、恋や理想や正義といったものを求める甘さを含んだ感情ではない。 男の始まりの光景が生む炎にも似た美しくも恐ろしい想いだ。 男は祖父の死後、伯父の伝手で整骨院を営む武術家の屋敷で弟子をしながら高校へと通うことになる。 しかし、その生活も長くは続かなかった。 翌年、武術家が急逝したのだ。 男は田舎で身につけた知識や体力を生かし、町工場や翻訳など幾つものバイトを掛け持ちして暮らす事になる。 祖父が男へと遺した金銭だけでは、高校の学費と卒業までの生活費はともかく、大学への進学費やその先の生活費は賄えなかったからだ。 後の世の学生達が見れば死語となった苦学生という言葉を思い浮かべたかもしれない生活だったが、'戦後'にあってはそのような学生は珍しいというほどのものでもない平凡な学生にすぎなかった。 何より男自身がその生活を苦とは思っていなかった。 男は母から未知を怖れずに楽しむ生き方を受け継ぎ、祖父からは自他を制するという武術の本質を学び、年老いた友からは自然を怖れぬ知恵を授かり、悪ガキから気楽に環境を見る術を会得していた。 男にとって仕事は新しい何かに触れる場所であり、嫌々ただ生活のために働くという事ではなかった。 復興の最中で人手を欲していた職人や技術者達もそういった男を受け入れ、男は多くの事を学んだ。 当時の職人たちは仕事の性質上、任侠と呼ばれる者との繋がりが多く、武術家もまたそんなヤクザの用心棒まがいをして暮らす者が多かった。 籐兵衛はそんな者達にも一目置かれた活きた武術家であったので、男もその縁で多くの武術家と知己を得て、そこでもまた多くの事を学んだ。 今でいうなら男はオタクと呼ばれる人種だったのだろう。 好きなものにはとことんのめり込み、好奇心が強く研究熱心。 当時の言葉でいうのなら、数寄者やマニアだ。 好奇心の趣くままに多くを学び、近隣の大学や公立の図書館まで足を運んで、多くの本を読んだ。 機械工場や製鉄所や修理工場や鍜治場で働き、様々な人と触れ合った。 皆、貧しく悲しみや苦しみが多い人生を送ってはいたが、それが全ての人間が等しく抱いたものであることを実感として知っていた。 死すら遠くなった今の時代とは違い、老いた者は畳の上で死に、命の実感を子供達が持っていた。 決して美しいばかりではなく、安穏とは遠く、辛く悲惨なことも多いかわりに、喜びもまた深い時代だった。 多くの者が自分達を統治する外国への憎しみや憤りを胸に沈め、大切な者を失った悲しみを消化しようとする傍らで、テレビ放送や広告や小説などによる子供達への西欧的価値観の刷り込みが行われ始めたのも、この頃だった。 そんな時代に飲み込まれまいと抗う者や時代に流されながら自らの欲望を満たそうとする者。 多くの意志が交錯しながら時が流れていった。 そんな男の生活に変化が訪れたのは、高校生活も半ばを過ぎた頃、仕事の関係で、横浜へと足を伸ばした時のことだった。 男は一人の学生運動家と出会うことになる。 平成の世に生まれた者から見ればあり得ない話だろうが、当時は、まだ学生達が天下国家を論じ、社会をより良く変えていく事が人の義務であり権利であると信じ、そのための運動をする事も少なくはなかった。 だから、それは特別な出会いというわけではない。 至極、ありふれた人と人の出会いにすぎない。 レールは敷かれた物ではなくこれから敷く物であり、目標の見えた人生にただ不安を持つ子供ではなく、行く末の見えない|人生《みらい》に対し希望を糧に挑む若人達が、懸命に生きる時代だったからだ。 学生運動家といえば、ヘルメットと火炎瓶で機動隊と向き合う陳腐な映像を思い浮かべる者が多いかもしれない。 だが、それはもう少し先の時代のそれも一部の正義という言葉に酔って正しさを見失った者達の話だ。 もし、男が炎の中でただ一人であったなら男もそうなったかもしれない。 あるいは、その言葉。 幕末に伝わった'正義'という異国の思想が、決して'義'、つまり'人として守るべき正しい道義'の中の'唯一の正解'というものなどではなく、他者を排し貶め蔑むことで仲間意識を人々に植え付ける'カルト思想'にすぎないという師の言葉がなければ。 男が出会ったのは、理想を信じ、戦争の悲劇を嘆き、欲望の醜さを嫌う、一人の少女だった。 幼くはあれど戦争の恐怖と悲惨さと哀しみを知り、人の儚さと強靭さを知るものどうしだった。 だが、決して二人は似たものどうしではなく、生まれも育ちも性格も正反対に近かった。 炎の中で見た美しい想いを、心の中で燃え続けるあの日の炎で灼き尽くさないように、激情を好奇心に代えることで湧き上がる熱情に浮かされるように生き急ぐ男と。 今はもう何処にもない街を想い続けながら異国で育った憧憬を焼き尽くされて生まれた信念を胸に抱きながら、静かに信じた理想へと歩み続ける少女。 土豪に養子に入った下級武士と、南方系の海の一族の古い豪農と山の民の血を引く生粋の日本人である男。 地球を一周したとまでいわれるほど混血の続いた家系に生まれたお嬢様。 この混沌とした時代でなければ、決して結ばれる事のなかっただろう男と彼女が、その後の人生を共に歩むことを決めたのは、国鉄の汽車の中で二人が初めて出会ってから数日後のことだった。 特別な事件が二人を結びつけたわけではない。 ただの恋だったし、ありふれた心の交流の末に芽生えた愛だった。 それを育てるに足るだけのものを二人が持っていたというだけの話だ。 自由恋愛など許されないという時代は既に去っていたが、それでも身分違いの恋という言葉は今よりも遥かに深刻さを持っていた。 けれど、男は炎の地獄を生き延びることから始まっていた。 けれど、彼女は信念のために生きるような女性だった。 自らの欲望と意志を混同して、ただ与えられた安穏や与えられなかった幸せを、望むだけの生き方をよしとしない者達だった。 心のままに生きるという、我儘に生きる事とはある意味正反対の生き方。 それが自由だと知り、そのリスクもその残酷さもそしてその大切さも知って尚、そう生きようとする者達を止めるにはその生を止めるしかない。 だから、男と彼女が、共に歩むことを決めたのは、至極あたりまえの事だった。 だから、その歩みは死が二人を別つまで続くことになる。 その道のりは決して平坦なものではなかった。 手始めに男がしなければならなかったのは、彼女の周りを蠢く有象無象の邪な企みや彼女を崇拝盲信する輩から彼女を護ることだった。 学生運動が属国化政策に対して過激になっていく中、過激派はもとよりその容姿や能力から一人のカリスマとして彼女を祭り上げようとする者からもだ。 当時の運動家達には、共産主義者以外に旧帝国の残滓を追う者や米国統治からの中立的独立を望む者もいた。 玉石混交、呉越同舟、紆余曲折、波乱万丈。 その嵐のような日々を、男は彼女と共に走りぬけた。 とはいえ、二人がしたのは、流されず諦めず屈さず威圧せず、理想と俗悪の狭間の現実を見据え、理想に酔わず俗悪に浸らず、激情に流されず、冷酷に徹せず、ただ平凡に己の意志を示し続ける事だけだった。 当時の学生運動家の多くは帝国を支えた旧財閥や旧華族に地方財閥と豪族などの富裕層や中産階級に生まれたもので、人口のほとんどを占めた貧困層や農民達は、今を生きるのに精一杯で運動を他人事としてしか見ていなかった。 また、実家の権益や目新しいイデオロギーに追従するだけの者達も多くいた。 だが、それでも既得権益の消失によって生じたなかで利権を求めるのでなく、日本をよりよいものへと変えようとする者達も確かにいたのだ。 堕落、日和見、ノンポリ、反動主義、夢想家。 安保改定反対闘争と呼ばれる運動の中で他者に様々なレッテルを張り他者を排斥してカルト化していく運動と一線を隔した政治運動が、特高警察の名残を色濃く残す公安警察と対立していた事を知る者は少ない。 それは米国の指導する方法論で、初めて政府が行った大規模な世論操作の裏で、その誘導の為に秘密裏に行われた。 盗聴などの非合法な諜報活動や情報操作を使った過激派のカルト化と先鋭化の促進。 一般警察やスパイを利用しての有形無形の圧力。 今ならばとてもできないような犯罪行為まで行い、かつて全体主義による統制を敷くために使われた人脈を、米国統治に従い思考誘導と資本主義による文化侵略のために使って、大戦を引き起こす前と変わらぬ過ちを繰り返し続けた。 大日本帝国から日本国へと名を変えたからといって、その国に住む人々が、いきなり変わるわけではない。 けれど、行動するための方法が変わらないのでは、米国も帝国も同じではないかと憤る彼女に、男は何も言う事ができなかった。 帝国に従った人々も兵士達も、そして今、不法な手段で属米体制を創るために動く人々も、ただ弱かっただけだ。 意志無き体制が弱い者を虐げ、弱いから仕方がないと嘆き、強い者に従い生きるのが賢い行いで、自らの意志を持とうとするのは愚かな悪あがきだと他人を嘲ることで自分を慰め、奴隷のように奴隷の幸せを求める。 そういった'奴隷根性を振りまく者達'が統治する意志無き者の国。 それが米国の統治者層だった白人優越主義者が日本に望んだ姿だった。 そして、それが米国の統治者層が他の人種を服従させるために国内でも使用している手段でもあった。 では米国も意志無き体制が弱い者を統治する国なのだろうか? その問いが二人を米国へと向かわせる事になる。 そうして米国に渡った男と彼女が見たのは、主張の衝突だった。 大戦が終わって尚、新たな戦争に意欲を燃やす'傷つくことのなかった巨大資本' と戦争に飽いた'傷ついた市民'との。 あるいは、'現状に満足しない権力'と'現状の利権に固執する権力'との。 民主主義という芳名の裏で、ありとあらゆる手段をもって行われる欲求のぶつかり合い。 まさしく、それは戦いというものを根源に置いた国家の有様であり、すべてが、混沌の中で行われていた。 俗悪と理想、差別と平等、利権と主義、合理と感情論、全てを巻き込んだ混沌だ。 多民族による合併国家であり多宗教の競合国家。 少数民族の被侵略国家であり少数民族の被差別国家。 大資本による商業国家であり大資本を守る法治国家。 争いあい妥協しあうことを前提とした討論国家であり、争いに服従した暴力国家。 様々な人間と様々な勢力が未だ一つに収まらず、ただ排他的な武力のもとに集合した若い国。 第二次大戦は民主主義を標榜しながらローマ帝国と大差のない統治方法を使って民衆を操ろうとする主流派の台頭をもたらしていたが、それを良しとしない者も多い時代。 '戦後'のアメリカとはそういう場所だった。 朝鮮戦争という冷戦の始まりを経て、ベトナム戦争という殺戮の泥沼に踏み込みながら、物質文明の頂点にあった国だった。 二人は、混沌の最中で自分達の意志を試されながら暮らすことになる。 他者の意志を試しあい、自分の意志とぶつけあうことでしか正解や正義を導きだせない未熟で熱狂的で凶暴な文化の中で。 狂ったような軍拡と共に人類を滅ぼしつくしてあまりある核兵器と、流れ込む移民やプロパガンダに騙されて幻影の危機に脅えた市民を消費し続ける軍事利権のための戦争は、二人に大日本帝国の軍部と変わらない'戦争の犬'の姿を見せつけた。 やがて '軍とそれに関る産業の利権しか考えない者達'は、軍産複合体と呼ばれ、反戦主義者達の敵として掲げられることになる。 それは、'安保闘争'など児戯に等しい闘争の場であり陰謀の場だった。 まだ日本人を憎む者も人種差別も色濃く残る60年代の米国で男は平凡に学び働き戦った。 戦いの悲惨さを嘆き戦いに飽いていた日本とは違い、戦う事が生きる事だという'獣の論理'が根本に存在する国だったからだ。 原住民を駆逐して土地を奪ったという過去の悪行を正当化するための風潮だった。 それでも男は護るため以外の戦いをすることなく、平和運動に身を投じる彼女と銃が日常で炸裂する国で平凡に暮らしていった。 男が憎しみをカケラも持っていなかったわけではない。 あの爆撃の指揮を執っていた軍人に日本が勲章を与えたと聞いたときには、首相の佐藤や小泉、椎名の両大臣に憤慨し、ルメイの言を聞いたときは殺意さえ覚えた。 しかし、憎しみに溺れるほど男の生き様は軽いものではなかったし、怒りの矛先を間違うほど愚かでもなかった。 だから、武術の腕を差別主義者のギャングとの実戦で磨き、銃の撃ち方や特性と対処法を学びながらも、殺し方ではなく護り方を極める道を選んだ。 米国に住む人々を一まとめに憎むのではなく、そこに巣食う'獣の論理'が間違っていると主張し続ける彼女の運動を護り続けた。 男は平凡にただ自分であり続けたのだ。 趣味が増えたのと荒事に巻き込まれる事が増えたのを除けば、日本と大差ない生活だったといえるだろう。 とある人物のコネで市民権を取得しないかという話もあったが、男は断った。 この国に巣食う“ 力こそ正義だなどと言って恥じない権力者 ”に媚びへつらう誓いを嘘でも口にできなかったのだ。 あの炎の記憶がそれを許さなかった。 憎しみではなく憤怒でもなく、けれど全てを灼き尽くす炎熱に似た想いが。 男の米国での生活は十一年余り続き、十二年目を迎えずに、彼女との別れによって終わる。 コネも仕事もあったが、彼女のいない外国にいる理由はなかった。 単身、日本に帰った男を待っていたのは、高度経済成長という名の米国化をする日本だった。 日本を離れていたからこそ実感を伴って理解できることだった。 大量消費を推し進める国と財閥企業達が巻き起こす環境破壊は公害と呼ばれる社会問題を引き起こし、無計画な自動車の普及は交通戦争と呼ばれるまでの被害を巻き起こし始めていた。 盛んだった学生運動も立ち消え寸前になり、戦後が終わり、冷戦が終わり、昭和が終わり、孫が成人となり男は老人となっていた。 そして老人となった男はある日の昼下がり孫よりも年下の学生達が奇妙な光の渦に飲み込まれそうになっているのを助けようとして、共にその渦に飲み込まれることとなる。 男は知る由もないが、それこそが異世界召喚。 時間と空間を捻じ曲げるという科学を知るものからみれば途方もない御伽噺。 世界の理である法を、ありうべからざる魔へと変える技術──魔法によって引き起こされた人為的災害であった。 男の名は、|森郷双継郎《もりさと そうじろう》。 そう、それが男……いや、私の名前である。 以上、プロフィール代わりの没小説の一部でした。
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謎生物系物書き(°ω°) 現代ファンタジーをメインに、いろんなジャンルを想像して書く事がある模様。 時々絵も嗜むので是非見て貰いたい感じです。(まだまだ修行中) SF・ロボなども大好き。 洋画なども好み、影響をもろに受けている所為かリアル調表現が多い(と思っている) 戦闘シーンも濃厚なのが良きですね(๑•̀ㅂ•́)و✧ あとカタルシス大好き派です。 どん底まで下げてから上げるのが好みドストレートです。 代表作であるフララジカもその傾向がもろに出ていると言えるでしょう。 同じ様な傾向がお好きな方は是非覗いてみてくださいヾ(=゚ω゚=)ノシ
コメントくれた方の作品は基本読みに行きます。 代表作は「ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!!」 変わった名前ですが、お暇であればどうぞお立ち寄り下さい。 ヒーロー、アクション、サスペンス、青春群像劇な作品です!
基本的にコメディ要素が多い作品を書いてます (面白いとは言ってないです) 至らない点は多いですから指摘していただけると有難いです とりあえず感覚で気軽に見ていただけると嬉しいです
専業のライトノベル作家です。 シナリオなどのお仕事、常時募集しております。 よろしくお願いします。
19大学生→23大学院生→25就職
物書きの壱弐参(ひふみ)と申します。 「がけっぷち冒険者の魔王体験」全2巻が発売中!(MFブックス) 「転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)」1〜3巻が発売中!(アース・スターノベル) 「悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ」全14巻を発売中!(アース・スターノベル) 「悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ と、ポチの大冒険」1~4巻が発売中!(コミック アース・スター) 投稿始めました。
みなさまおはこんばんちわ!orはじめまして! 何事も挑戦がモットー。 いろんなジャンルの小説を書いていきますので 暖かい目で見ていただけますと幸いです!
作家として生き、作者として死ぬ。 ■R6.3/1 愛され作家新星賞選出 ■R6.8/21『トバリの三月』商業連載開始 ※過去に投稿された限定ノートは一定期間を過ぎると削除する場合があります。
成人済み社会人。私をフォローするくらいなら作品をフォローしてくれ……!! 勉強のために色々な作品を拝見させていただいています。いいなぁと感じたら積極的に反応を残させて頂きます。 星は積極的に押しますが、オススメコメントは気まぐれに、書いたり書かなかったりします。希望があれば何かでお伝え頂ければ幸いです。 作者フォローについては訳あって厳選させて頂いております。
現在進行形で遅めの厨二を刻んでいるタイプの少年心を忘れないおじさんです。 大体コメディしか書きません。というか書けません。シリアスにも挑戦しようとは思っていますので。お待ちいただきたいです...。 なかなかどうして上手くいかない日々から生まれた哀しき承認欲求モンスターですので、興味を持った方だけでも評価して下さると喜びます。 急に汗臭男とか言う変態丸出しのユーザーにフォローされたからってビビらないで下さい泣きます
初めましての方は初めまして! いつも拙作を読んでくださっている方はおはようございますっ! どうも、水瓶シロンでございます!! Web小説(主にカクヨム)と新人賞の両方を書いています! 皆様の応援のお陰で、ぼちぼちランキングにも名前を載せることが出来ております! 感謝感激雨あられです~! 気軽にコメントもくれると嬉しいですよっ! 基本全て返信しております! また、下記の三点をしていただけると、作者のモチベーションが指数関数的に急上昇しますので、是非よろしくお願いします!! ・作品のフォロー ・星評価 ・作者のフォロー Twitterでは作品について触れた投稿や、作者の何気ない呟きを行っているので、興味がありましたら是非そちらの方もフォローしてやってください。 ではっ! ( `・ω・´)ノ ヨロシクー
コメディが大好きです。 特にノリと勢いが強くてぶっ飛んでる系がツボ。 読者の皆様のおかげで、カクヨムコン9のエンタメ総合部門で最熱狂賞というおこぼれをいただく。
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またの名をIkuikuです。 雑食オタクの高校生。 まだ自分探しの途中なのかも。 感想とかレビューを頂けると喜びます。
札幌市在住の日ハムファンです。 スピッツファンでもあります。
どろにんぎょうとも名乗っています。 やっぱり押しが強いくせに押されるのが弱い後輩キャラが王道なんすよね。
こんにちは。緑里(みどり)ダイと申します! 明るく楽しい話を好み、私自身そういった部分を重要視して執筆しております。 みなさまに楽しんでいただける話をお届けできるよう頑張る所存です!
2013年、初めて執筆した「正義は勝つ」のか? が、中林製本所主催〈本になるキャンペーン〉にて受賞。(同社より出版化される)。 その後も、アマゾンキンドル等で新作を発表し続けている。
黒おーじと申します! よろしくお願いします! 【書籍、コミカライズ作】 『育成スキルはもういらないと勇者パーティを解雇されたので、退職金がわりにもらった【領地】を強くしてみる』 『職業、商人』(※R18)
書いたり書かなかったり、読んだり読まなかったりを繰り返しています。小説の書き方勉強中です。 ふつつかものですが、よろしくお願いいたします。 ツイッター @awaki_toshiyori
[小説家になろう]だけではなく、こちらでも気になったもんでと小説を読み漁っていこうかなぁとか考えております暇人です( `・∀・´)ノ 小説?書きませんよ。絶望的なまでに文才が皆無なので(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
ラノベ作家でシナリオライター。漫画原作もしてます。エッチな作品が多めです。 関連書籍は20冊ほどで、累計部数は40万程度。
スターウォーズとスタートレックファンです ツイッター : @tomsamajor
ファンタジー系の小説を書いているものです。 小説はジャンル問わず好きですが、特に現代ドラマとファンタジーが好きです。 誰でもフォローを待っています
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なめろうを愛する会に所属。クッション等柔らかく適度な重量のあるものと地面の間に挟まって床でごろごろ転がるのが日課。kindleの容量の小ささにいつも頭を悩ませている。夜行性のため昼間に観察できることはまれだが、集めたい場合は鰻を焼いた匂いを発生させると活発になると言われている。 古来の日本ではかまいたちの4匹目として、主に前3匹の使用した機材を運搬回収するアシスタントディレクターの役割を果たしていたとされる。見ざる言わざる聞かざるのとなりにボンバザルとして鎮座していたという説もあるが、その説を唱えた人物は学会から追放をされている。 加水分解しやすいため取扱注意。塩素系漂白剤と混ぜて使用不可。 ここまでは適当に変える ----------------------- ここからは適度に変える 作品はできるだけ丁寧に読みやすくを心がけております。 今のところこの名義でカクヨム外で活動をする予定がありませんので、宣伝能力に乏しい。もしあなたの心に届く作品がありましたらサイト内外構わずどんどん流布していただければありがたく存じます。ご意見ご感想随時お待ちしております。 作品ガイド ■とりあえずさくっとなんか読みたい おすすめ:「読子さんは思わせぶりに小説指南してくれる」 ■文庫本一冊分くらいは読みたい&筆者の人の悪さを感じたい おすすめ:「少女やくわりタワー」 ■恋愛モノが読みたい おすすめ:「読子さんは思わせぶりに小説指南してくれる」「あらゆる記録に残らない透子さんが僕といた証明」
フリーライター兼店番。 ライター(ameba、個人、その他企業など)のお仕事をしつつ、ぼんやり店番などもしています。グノシー等で名前を見たことがある方もいらっしゃると思いますが本人です。自身の情報ブログも運営中。 お仕事ください、いっしょうけんめいがんばります。 なお更新情報等はTwitterでもアップしています。 @unotarou きてくれた、すべての人を、愛しています
評価のお返しはいりません。 お返し目的で評価をすることはありません。 気に入った作品にしか評価を入れていないので、 私から評価が入っても、どういう意図か悩まないで大丈夫です。 また、私の作品に評価を入れていただいても、 お返しすることはありませんので、 お返し目当てで私の作品を評価する行為はやめてください。
ゲームシナリオ、漫画原作等を細々と書いています。 ・芳文社まんがタイムきららキャラット 読み切り『わたしの頭をなでなでするな!』『妹は優等生をやめたい。』掲載、短期連載『エリクサーの楽しい作り方』掲載 ・集英社ジャンプSQ 『理想の夫はオークですか?』RISE新人漫画賞受賞 ・小学館サンデーS増刊 読み切り『HEROISM』掲載 ・カクヨムコン6ラブコメ部門特別賞受賞 ・富士見ファンタジア文庫『陽キャなカノジョの距離感がバグっている』1~2巻 ・カクヨムコン8プロ部門CW賞受賞 ・『大学で一番かわいい先輩を助けたら呑み友達になった話』書籍化&コミカライズ
だいたいファンタジーとか恋愛ものの小説を書いています。 作品を最後まで読んで、ほんのちょっぴりでも面白かったと思って頂けた上で、もしも面倒でなかったら、☆とか♡とか押していって頂けると嬉しいです。もれなく次回作の糧になります。あ、全然面白くなかったわ、って場合は、そっ閉じスルーでお願いします(笑) 小説家になろう でも活動しています。 http://mypage.syosetu.com/846674/
「幸村転生」が「第1回カクヨムWeb小説コンテスト」読者選考突破。 「生け贄ガチャを回すとき……」書き始めました。
ぶらりぶらりと読み巡ります。
2016年7月31日 カクヨム開設当初から、各々の作品の魅力を伝え、改善点を示すため、誠意をもってレビューに取り組んできましたが、運営より文言を削除するようメールが来ました。 こんな運営から公式に難癖をつけられるサイトに対して、作者の作品に対する魅力を高めようと真剣にレビューを考えるのはとてもバカバカしいので、私のレビューはすべて削除いたしました。 今後カクヨムでは一切レビューは致しません。 また、改善点を示すと運営から公式に難癖をつけられるようなサイトに自作品を置いても、向上が見込めないので、自分の作品についてはカクヨムで公開せず、他のサイトで活動いたします。 カクヨムで活動されている方に関しては引き続き読ませていただきます。 感想については、ツイッターや他サイトの方で積極的にさせていただきます。
ギャグやほのぼのなのに、不思議と心に刺さる物語が好きです。
こんにちは、木村城士(きむらじょうじ)と申します。 こちらでは主に読専で、通勤電車の中で皆様の小説を読ませていただいております。ですが、いつも読ませていただいてばかりでは申し訳ないと思うようになり、私自身も小説を投稿することにしました。乱文遅筆ですが、皆様に楽しんでいただければ幸いです。
小説家になろうにも投稿している、いわゆる『なろう作家』。 MFブックス様より、「八男って、それはないでしょう!」、「銭(インチキ)の力で、戦国の世を駆け抜ける。」、「砂漠だらけの世界で、おっさんが電子マネーで無双する」、「異世界帰りのパラディンは、最強の除霊師となる」が発売中です。 ライン文庫エッジ様より「出戻り勇者の気まぐれメニュー 」、電撃の新文芸様より、「野生のJK柏野由紀子は、異世界で酒場を開く」も発売中。 八男って、それはないでしょう!(アニメ放映中! コミカライズ、コミックウォーカーにて連載中!) 銭(インチキ)の力で、戦国の世を駆け抜ける。(コミカライズ、ピッコマ様にて先行連載中) 異世界帰りのパラディンは、最強の除霊師となる(FWコミックスオルタにて、連載開始予定!) 野生のJK柏野由紀子は、異世界で酒場を開く(「やわからスピリッツにて、2022年1月24日よりコミカライズ連載開始!) デビューしてから、小説の累計出版数が四十冊を突破! 著者累計部数は360万部を突破しました(2020年11月時点で)。 なんとなく新規登録してみました。 よろしくお願いします。
『吐き気を催す英雄の冒険譚』をメインに書いております。 星やフォローなどはあまり悩まずつけております。 自分にも他人にも甘くがモットーでして、コメントやレビューもそのような内容になるかと思います。 投稿サイト初心者の、私小説初心者です。 当然碌な技術もない浅学菲才の身ではありますが、皆様に楽しんでいただけますよう、精進して参る所存です。 どうか温かい目でお見守りください。 ついでに温かいお言葉も頂戴出来れば、幸いです。 では、末永いお付き合いが出来ることを祈って。
よーしおじさんSFとファンタジーでバンバンミリタリーしていっちゃうぞぉ 具体的には小林源文と佐藤大輔と平野耕太と松本零士と滝沢聖峰と大藪晴彦と村上龍とハインラインと海外SF/ファンタジー戦記を足して割らないところに森薫と北方謙三をお好みでふりかけたようなのを書きます。よろしくお願いします。
SFモノ好きです。色々と書いていきたいと思います。 昔のお仕事 某国産MMORPG ホラーイベント 大規模MMORPG 推理イベント 企画/シナリオなど
主に公募へ挑戦しながら書籍化目指して頑張ってますが、あと一歩が届かない……。 ・2022年 活動お休み ・2021年 第6回カクヨムweb小説コンテスト 中間選考通過 ・2020年 第27回電撃大賞 二次選考通過 第5回カクヨムweb小説コンテスト 中間選考通過 ・2019年 MAGNET MACROLINKにて公式連載(出版業務縮小につき辞退) ・2018年 電撃《新文芸》スタートアップコンテスト 中間選考通過 第15回MF文庫Jライトノベル新人賞 二次選考通過 ・2017年 第11回HJ文庫大賞 三次選考通過
2021年から創作を始めました。 どうぞよろしく!