• ラブコメ
  • 異世界ファンタジー

自主企画「私の作品を書き直してみませんか」

書き直したものはここの近況ノートに書いてください。
目的としては勉強用です。
全く別の小説になってしまっても問題ないです。


変更:書き直した小説は自分のアカウントで発表して、コンテストに参加
   してください。ご迷惑だと思いますが、お願いします。

12件のコメント

  • 書き直すのの目的は何ですか。
    勉強用とか弱点補強とか同じお話の別のふいんきのとかみたいとかですか。
    そういう感じの指示が欲しいです
  • はじめまして。
    瀬夏ジュンと申します。

    1日目だけ、書き直させていただきました。
    ラノベっぽいフレッシュな魅力は激減してしまいましたが、ご参考までと思い。



    1日目 同棲生活?のはじまり

     目が覚めた。
     なにかがヘンだ。
     時計を見る。6時。
     いつもより1時間早いのだ。
     いまいましいアラーム音は、まだまだ到着しない。

    「やな予感……」

     二度寝はしないことにして、ベッドから降りる。
     ゆっくり深呼吸をする。
     歩きながら、両うで、背すじ、腰回りを伸ばす。
     ドアノブに手をかける。
     7時に起きなかったこと以外は、いつもと同じ。
     同じだったのだけれど。
     ドアの向こうには、ありえない非日常があった。

     エプロン姿の何者かがキッチンにいた。
     長い長い2〜3秒の間、動けなかった。
     動けない間に、気がついた。若い女だ。
     
    「誰だ、おまえ。警察に通報するよ」

     おれは低い声で威嚇した。

    「えっ? 聞いてないの? こまるわ〜」

     女が半笑いで答えた。おれの声が震えていたからだろうか。

     あ、そういえば。
     出張でハワイに行くとか、お袋がいってたな。
     3日間おれはマンションの隣の住人に世話をしてもらうとか、なんとか。

    「えーと、お隣のかた?」

    「うん。橘真美《たちばなまみ》っていいます。1週間よろしくね」

     笑みで頬を盛り上げる女は、相当に若い。高校生くらいに見える。

    「おれは小浮気隆司《こぶきたかし》です。よ、よろしく」

     って、え? なに? 1週間?

    「名前は知ってるよ、タカシくん……」

     女の口角が妖しくつり上がった。

    「あのね、今日の朝食には、どっかに針が入っているの。がんばって探してね!」

     はあ? まったく笑えないジョーク。ムカついた。

    「あんた、冗談のセンスないね」

    「ちゃんといったからね。ケガしても知らないよ」

     ここでやっと、事態は深刻かもしれないことに、おれは気づいた。
     この女は、世話をしてくれる親切な人ではない。
     身を守るという手間を増やす人物だ。
     

     

     テーブルで朝食を待つあいだ、ありえないほどに憂鬱だった。

    「できたよー、タカシ。針も入れたし、完璧」

    「そんなのさえ入ってなければ、ありがとうなんだけどね」

     おれの顔は、内面を忠実に反映していただろう。

    「あっははははは!!」

     本気で笑っているようだ。

    「はっははははは!!!」

     涙までにじませていやがる。
     怖い。こういうのが狂人だ。
     どうやら逃げる必要がある。

    「あ-、時間ない、遅刻する。もう行くから、カギ閉めといてください、よろしく」

    「あははははは!! まさか真に受けちゃうなんて-っはははは!!」

     恥ずかしさと安堵感が混じった、不思議な幸福感で、いつもより早く食べ終えた。ちょっとした謝罪の気持ちもあり、一杯おかわりもした。おいしかった。

     玄関から出るときに、うしろで声がした。

    「いってらっしゃい」

     ぼくは、こたえた。

    「いってきます」




     北川高校への道を歩きながら、おれは考えた。
     学校から帰ったら、あの女は夕食の支度をしているんだろうか。それとも、これからずっとコンビニ飯です、ということになるだろうか。それでも、掃除とか洗濯とかはするだろうか。おれのパンツとか、洗濯機に入れて、乾かして、たたむだろうか。
     恋が芽生えるだろうか。
     ははは、まあ、なさそうな気がする。
     そんなことを考えていると、下駄箱の前だった。人の気配がなかった。教室まで誰とも会わなかった。
     ひとりさびしいのは、友達がいないからいつものことだ。だが今日は、物理的に一人だった。
     七時三十分だったから。

    「やっぱり早かったか」

     ぼやいていると、足音が聞こえた。こちらへ近づいてくる。
     教室の戸が開いた。かわいらしい音で。
     ひとりの女の子。桜田里佳《さくらだりか》。
     風貌を一言で表すのは難しい。例えるなら「ハナイカリ」。花だ。
     それは今の季節、夏に美しい。
     
     彼女はおれの目の前まで歩いてきた。
     無言で立ちつくす。

    「ど、どうしたの?」

     リカは、いきなりほほ笑む。

    「えっとね。なんでもない」

    「え……、う、うん」

     それから、いつも通りの日常が始まった。授業中に先生方の話を聞き、ノートをとり、あくびをし、誰とも会話のないまま昼の給食を食べ、たまにリカの顔を盗み見て……。
     いつもと違うことが再び起きたのは、放課後だった。

    「あのさ……」

     リカがまた目の前に来て、おれにいった。

    「帰る前に、ちょっといい?」
     
     告白だろうか。
     いや、いきなりそれはないな。まずは、何か訊きたいことがあるとかなんとか。

    「コウワキくんに、訊きたいことがあるんだ」

     ほら、やっぱり。

    「あのね、タチバナと同棲してるって、ホント?」

     はあ?
     おれは誰とも同棲なんてしちゃいない。
     橘?

     あ。

     なんで知ってんの。
     いやいや、同棲じゃないぜ!

    「タチバナが学校で言い回ってる。学校中で広まってる」




    「おれと同棲するなんて学校中にふれまわったって、おまえ、いったいどういうつもりだよ!」

     家に帰ると、タチバナは小学4年生の女の子とじゃれ合っていた。

    「お兄ちゃん、声が大きい。うるさい。うざい。ね〜、お姉ちゃん?」

     妹は、すっかり手なずけられていた。
     
    「お姉ちゃんといっしょに、晩ご飯作ったの。おいしいよ。ね〜お姉ちゃん?」

     奇妙な1週間が確実に始まったことを、おれは思い知った。



  • はじめまして。とりあえず冒頭だけ。
    全部はhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054885927064で。

     なにやらいつもと違う気配に目が覚めた。俗にいう、『違和感』というやつだ。
     うるさい親の目がない昨日の夜は、ついついスマホのゲームで徹夜をしてしまった。
     枕元の目覚まし時計をちらりと眺める。6時。僕の家はわりあい学校に近いので、7時に起きれば十分に支度はできる。
     二度寝すっか……と寝ぼけた頭を枕に沈めると、『違和感』のやつの鼻歌が聞こえてきた。

    「はあ!?」
     僕はベッドから跳ね起きる。
     さっきも言ったが――言ってないか? 昨日から両親ともハワイの旅行に出かけている。一人息子をマンションに放置かよとも思ったが、商店街の福引で当たったのは二人分のチケットだけだし、新婚旅行のやり直しとか母の方がはしゃいでいたので「僕もつれてけ」とも言いにくかった。自分で言うのもなんだがいい息子だな、僕って。
     とりあえずお土産にマカダミアナッツチョコを買ってくるからね、って今どきどこでも買えるわ。もっとマシなもの選んでくれ。お願いします。
     そういうわけで、現在この家には僕しかいないはずなのだ。

     ――泥棒? 朝っぱらから? キッチンで食べ物あさってんのか大胆だなこの野郎。
     武器になりそうなもの、を探すけれども自分の部屋でそんなものが都合よくあるわけじゃなし……と100円均一で買ったダンベルが目についた。
     何を思って買ったのかすっかり忘れてしまったが、たぶんマッチョになりたかったんだろう。そんな時期が男なら一度はあるものさ。ふっ(哀愁)。
     仕方ない、とりあえずはこれで――こんど金属バットでも買っておこう。いやこんなこと何度もあってたまるか。
     僕はキッチンにそろそろと近づく。

    「誰だ!」
    「あ、隆司《たかし》くん。おはよう」
    「あ、おはよう」
     と反射的に挨拶してしまい、泥棒? の方を見る。
     歳は僕と同じくらいの、女の子だ。制服姿にエプロン。どこかで見た顔のような気がするんだけど、思い出せない。
    「……誰?」
    「もう、隣の住人の顔も覚えてないの? いくら現代は人づきあいが希薄だって言ってもさ、同じマンションでしょ。少しは世間の付き合いってものもしなくちゃだめだよ、小浮気隆司《こぶきたかし》くん。あたしは橘真美《たちばなまみ》。右隣の部屋よ。隆司くんのご両親から食事とか掃除の面倒見てやってくれって頼まれたの。せっかく来てあげてるんじゃない、感謝しなさいよ」
     そういって真美は預かったという家の鍵を見せた。タンスにしまってある合鍵だった。そういえば、そんな話もしたような気がする。
    「朝から筋トレっていうのもいいけど、学校遅れるよ?」
     ようやく自分が1kgのダンベルを持ってたのを思い出した。あわてて隠そうとして手が滑って。
     右足の小指の上に落っことした。
    「痛《いって》えーーーー!!!」
  •  おはようございます&はじめまして、秋田川緑です。
     勉強になりそうだったので、試しにやらせていただきました。
     と言っても『1日目』の午前中までですが。

    ――――――――――

     ……朝、信じられないことが2つばかりあったので、報告しておく。

     一つは、僕が目覚まし時計にセットした時間より1時間早く起きた事。
     これは正確には朝の6時なのだけれど、おかしいことだ。
     僕は寝起きが悪く、普段ならば絶対にありえない。
     だが、こんなことは些細なことでしかなかった。

     事実、問題だったのは2つ目の方で、6時に起きたのも、きっとこの2つ目の『信じられないこと』を察知した本能が、僕の体を起こしたに違いない。

     普段とは違う朝が来ているぞ、警戒せよ、と。

     ……簡潔に説明しよう。

     6時に起きた僕が居間のドアを開けると、キッチンに見知らぬ女がいた。
     僕の家、朝の6時のキッチンに、知らない女がいたのだ。

    「だ、誰だお前は!」

     すぐさま僕は握りこぶしを作り、ファイティングポーズを取った。
     こいつが泥棒ならば、戦わなければならない。
     あんまり運動は得意じゃないし、喧嘩なんかしたことも無いけれど、僕は家を守らなければならないのだ。
     威圧感なんか全然なかったと思うけれど、それでも負けるわけにはいかない。

     だから、そんな僕がこんなにも強気なのは、相手が女だからと言うわけではないので、あしからず。

    「は、反抗させてもらうぞ! 拳で! も、もしくは警察を、呼ぶからな! とりあえずは名前を名乗れ!」

     女が動いた。
     振り向くと、声を投げかけて来る。

    「……聞いてないの?」
    「な、何が?」
    「本当に聞いてないの? 小浮気隆司くん?」

     人の名前を容易く呼んでくれるじゃないか。
     振り向いた顔が美人だったのでびっくりしたが、やはり気を許すわけにはいかない。
     何故、僕の名前を知っているんだ、この女は。

    「答えろ! なんで俺の家にいるんだ! こんな時間に……!」
    「私、あなたのお父さんとお母さんに、頼まれたんだけど」
    「なんだと? ……あ、そうだった。思い出した」

     完全なる僕の失敗だ。
     僕の両親は揃ってハワイに出張に行ってしまったので、その間、家のことを誰かに頼んだと聞いていたのを忘れていたのだ。

    「……近所に住んでる、橘さん?」
    「そう。橘真美です。よろしく」

     橘真美と名乗ったその女は、にっこりと笑うと、手を出した。

    「握手握手」
    「えっ、あ、はい」

     手は、柔らかい。
     それだけで僕の無礼な勘違いは水に流したと言わんばかりの笑みでぶんぶんと握った手を振ると、橘真美はこう言った。

    「朝ごはん、もうすぐ出来るよ。今、最後の仕上げしてるところだから」

     ……もう一度言うが、朝の6時である。
     朝の6時に僕が起きたのは異端中の異端であり、この時間に起きてきた僕に合わせて作られた朝ごはんは違和感しかない。

    「……それは、食べても、ダイジョブなんでしょうか」
    「何が?」
    「いや、その、怪しいと言うかなんと言うか」
    「……?」

     これ以上、無礼を働くつもりはない。
     頼まれたとは言え、どうして朝の6時に家にいるのかとか、そう言う事も問い詰めるべきなのかもしれないけれど、それでも頼まれて家に来て朝食の支度までしているのに、ファイティングポーズで『警察に通報するぞ』なんて言ってしまったのだ。

     僕は素直に席に着く。

    「はい、どうぞ」

     運ばれてきたのは、見事な料理の数々だった。
     ぷるんとした目玉焼きに、ボイルしたウインナー。
     お味噌汁に、簡単な野菜の炒め物まである。
     炒め物の上には串に刺さったアスパラベーコン。
     ごはんも炊き立ての様で、湯気の熱さが肌で感じられる。

    「へ、へぇ、やりますね」

     僕は素直に褒められない。
     豪華で、文句ない朝食のメニューだが、やはり、おかしい。
     今、朝の6時だぞ?
     いったい、何時に家に来て、支度を始めたんだ?

    「大丈夫? なんか、変な顔してるけど」
    「し、してない!」
    「してる」
    「してないです」
    「元々変な顔だったってこと?」

     なんてこと言うんだ。
     くそ! こうなれば、せっかくなのでいただくとしよう!
     お腹も空いているし、据え膳食わぬはなんとやらだ。

    「いただきます!」
    「あ、ちょっと待って」

     橘さんはにっこりと笑うと、言った。

    「この朝食の料理の中に、一本、針を混ぜておいたから探してみてね」
    「……なん、だと」

     冗談かと思った。
     だが、橘真理の目は笑ってない。
     まさか、そんなこと……

     僕は席を立つ。
     やはり、逃げなければ。
     逃げて、警察に……

     ……いや、ダメだった。

     立とうとしたが、ダメだったのだ。
     立ったと思ったのに、立ててない。
     まさか、腰が抜けているのか? この、僕ともあろうものが……!

    「何? だめだよー、逃げようとしたら」

     信じられない圧迫感だった。
     動けない僕の背後に回った橘真美は、その細い指で僕の顔に触れると、優しく言った。

    「ちゃんと食べないと。妹ちゃん、一緒に食べられたら良かったんだけどね」
    「なっ」

     その言い草、何だって言うんだ?
     妹が、ご飯を食べられない状態だとでも言うのか?

     ……くそ、なんて奴だ。
     この時間だし、妹はまだ部屋にいると思ってたけど、橘真理は妹に何かをしたに違いない。

     ようするに、妹が人質に取られている。
     恐らく、今、この朝食に立ち向かわなければ、妹は……

     くそ! やるしかないのか!

     僕は眼前に広がる朝食を見て、絶望した。
     全部旨そうで、どれも針が入っていそうだったのだ。

     ……だが、僕は諦めない。
     ちょっと変わっている妹だけれど、僕の妹なんだ。
     針くらい、探してやる。

     まず、僕は目玉焼きを疑った。
     焼く時に、混ぜた可能性がある。
     透明だったころの白身に浮かばせて火を通してしまえば、外見からは全く姿を消せてしまうのだから。

     みそ汁も怪しい。
     汁物だが、具は豆腐だ。
     椀を持って口に流し込んだ場合、気づかずに口に含んでしまう可能性は大いにある。

     だが、ウインナーの中はあからさまだろう。
     おそらく、これは無い。
     これはフライパンで焼いたのではなく、ボイルなのだ。
     ウインナーを針で刺した場合、穴が開いてしまう。
     そんな状態ではジューシーで旨味たっぷりな中身が溶け出てしまい、とてもボイル出来たものでは無いだろう。

     炒め物の野菜は、玉ねぎと菜っ葉の物のようだ。
     警戒するべきは玉ねぎだろうけれど、この葉っぱも油断できない。

     しかし……

    「あっははははははは!」

     橘真美が急に笑った。
     こいつ、狂っているのか?

     僕は恐怖した。
     こうなれば、妹なんて知るもんか。
     逃げるしかない!

    「あははははは! もうだめ、死んじゃう。あははははは!」

     橘真美は、呆気にとられている僕の目の前でアスパラベーコンを持ち上げると、串から外して言うのだ。

    「はい。これが針です。もう、こんなに簡単なのに。朝ごはん、ちゃんと食べなきゃだめだよ?」
    「あ、え? あ、はい」

     酷く、質の悪い冗談だと思う。
     人を弄びやがって、この女……!

     僕は自棄になって、朝食を次から次へと胃に送り込み、自室に帰ると学校の制服を着た。
     こんな女と一緒の家になんていられるか!
     僕は自分の学校にスタコラサッサさせてもらうぜ!

    ――――――――――

     家からはこっそり逃げ出すつもりだった。

     だが、実際には洗い物をしている橘真美に見つかり「行ってらっしゃい」と告げられて「行ってきます」と返すしかなかった。

     だけれど、見つかったのなら家にいた方がよかったのかもしれない。

     まだ7時前。
     犬の散歩をしているお姉さんだとかチラッと見たけど、それでも人々はまだ、家にいる。

     こんな時間では、学校に行っても誰もいないのではないか?
     そう思うとゾクゾクもした。
     校門も開いていないような気もしてゾッとしたのだけれど、それでも、誰もいない学校の教室で、一人でいるのも悪くはない。

     楽しいことが待っているわけでもないのだけれど、それでも、ちょっと試しにやって見たくもある。

     ……しかし、あの橘真美と言う女は、とんでもない女だ。
     顔は、まぁ、美人だ。
     キッチンでエプロンを付けてたけど、胸も大きかった。
     ついでに言うと、腰もきゅっとなってて……何と言うか、スタイル凄い良くて、今思い出してもドキドキする。

     あんな美人がしばらく家に来てくれるって言うのは、なにかしらラブでコメなこととか起きそう予感もして、ちょっとだけワクワクしかかったのだけれど、でも、あれはないな。

     だって、あの性格は、ちょっと。

     なんて、いろいろ考え事をしながら歩いていたら、学校に着いた。
     校門は開いていたし、教室まで何の問題もなく到着した。
     ただ、やはり誰もいなかった。

     僕は席に座る。
     普段は人がいっぱいいる教室で、一人の教室は、なんだか特別なものに感じた。
     だけれど、だから何だと言う気になった。

    「7時30分」

     僕は時計の針が示す時間を読み上げ、ホームルームの開始まで一時間もあると言う事に愕然とし、絶望した。
     僕は、なぜ、こんな時間に来てしまったのだろうか。

     橘だ。
     橘真理のせいで、僕は独りぼっちでこんなところにいるのだ。
     と言っても、友達が居ないので教室で独りなのはいつものことなのだが、今はそういう感覚的なことではなく、物理的に一人だった。
     
     なんでこんな悲しい思いをしなくてはならないのか。
     橘真理め! 絶対に許さん!
     今度会ったら、反抗させてもらうからな! 拳で!

     だが、そう思った直後、誰かの足音が聞こえた。
     誰もいない廊下で、その音は良く響いて、僕の耳にまで届いたのだ。

     僕は警戒する。
     まさか、あの女か?
     橘真理が、心の中で好き勝手に言っている僕に復讐するために、学校に来たのか?

     僕は急いで机の下に隠れた。
     ちくしょう、来るなら来い!
     僕は、絶対に負けないからな!

     ……だが、教室に入って来たのは橘真理ではなかった。

    「こ、小浮気君? 何やってるの?」

     もちろん、彼女が言う小浮気君とは、机の下に隠れている小浮気君で、ようするに僕のことである。

    「ん、んんんん、おほん! ちょっと小銭を、落として……」

     苦しい。

    「大丈夫? 一緒に探そうか?」
    「いや、良い。大丈夫。その、全部1円玉で、総額は大したこと無いですし」
    「で、でも、お金って大事だよ?」
    「うん。実はその、もう、見つけて全部拾い終わったところなので、本当に大丈夫です」

     かなり苦しい。
     だが、このやり取りだけでも、こんな言い訳も素直に信じてくれる、良い子だと言うのが感じられた。

     同じクラスの女子……名前はなんだったかな。
     むしろ、こんな奴、クラスにいたっけ?
     なんだか『ハナイカリ』みたいな雰囲気の、目立たない感じがする女子だ。

     ハナイカリって言うのは多年草の植物で、花は緑がかった黄色。
     花の形が船のイカリに似てるから付けられた名前で……ってそういううんちくはどうでも良いか。
     とにかく、なんだか、人がいない教室での中でさえ存在感が薄く、他の人がいたら絶対に埋もれてしまうだろうな、なんて思ってしまうような控えめな雰囲気を、彼女から感じたのだ。

     とにかくハナイカリ、花の色が葉っぱとかの色と同系色かつ薄くて、全然目立たないんだよなぁ。

     なんて、どうやらハナイカリについて考え込み過ぎていたらしい。
     気がつくと、彼女がジッと僕の顔を見つめていた。

    「ど、どうしたの? 俺の顔になんかついてる?」
    「……う、ううん、何でもない」

     彼女はそう言うと、僕から目をそらし、自分の席へと向かった。
     だが、やはり記憶にない。
     あんな席に、あんな女子、いたのだろうか。

     いや、そもそも学校をずる休みばかりしてる僕なので、記憶なんて不確かな物なのだけれど。

     ふと、彼女が振り返った。

    「小浮気君、学校、楽しくない?」
    「え?」
    「いつも一人でいるし。よく、休んでるから」
    「……まぁ、楽しくは無いよ」
    「そっか、そうだよね。でも」

     話はそれで終わりだった。
     二人でその後、固まって、それから彼女が視線を外して、それから何か言いたそうにした後、結局黙る。

     でも、なんなんだ?
     きになるじゃないか、ハナイカリ。

     ……ち、ちくしょう。なんだ、この気まずさは。
     時計はまだ7時35分。
     地獄は始まったばかりか。

    「ああー、早起きしすぎたから、眠いなぁ。俺は寝るぞー」

     僕はわざとらしくそう言うと、机に突っ伏して、腕で頭を抱え込んだ。

     クスクスと言う、彼女の笑い声が聞こえた気がしたが、多分、気のせいだろう。
     僕の他愛のない言葉や仕草で笑う他人なんて、この世にいるはずがない。

     ――――――――――

     中途半端ですが、長くなりましたので以上になります。(妹も書いてみたかった感はありますが……)

     どうも、ありがとうございました。
  •  陶器同士を重ね合せるような音が聞こえた。

     朝の目覚め。

     僕は枕に顔を埋めたまま、そばに置いた目覚まし時計を手さぐりで取る。
     寝ぼけ眼で確認した表示は朝の六時。
     珍しくセットした目覚ましのベルが鳴るのは七時だ。
     起きるにはまだ早い、もう少し寝ていよう。

     寝ぼけ頭でそう考え目を閉じて眠りにつこうとし、再び聞こえてきたカチャカチャ……という物音。

    「……あれ、なんだろう?」

     両親は現在旅行に行っているので不在。

     家に子供二人残して旅行とはいい加減な両親だと思うが、僕の今の身の上では文句を言うことは許されず『留守中は家のことは頼んだよ』と言われれば頷くしかない。

     となると残るのは小学校四年生の妹、たぶん音はキッチンからのものだと思うけど、ひょっとしたら彼女が料理をしているのだろうか?
     無視するか迷い目をつぶっていたが、結局起きることにした。
     妹はあまり料理が得意ではない、少し早い目覚めだが兄として朝飯くらいは作ってやるべきだろう。

     パジャマのままで部屋から廊下に出て、お腹を掻きながら欠伸交じりに入ったキッチンには誰かがいた。

     少女だった。
     後姿、長い黒髪と制服の短いスカートからでた細い足。

     見慣れたキッチンに入り込んだ見慣れぬもの。
     認識が追いつかず思考が一瞬止まる。
     少女が振り向く、エプロンを着け、その下の制服はよく見知った高校の物。
     朝によく似合う凛とした顔立ち、彼女は僕を一瞥すると微笑み挨拶をした。

    「やあ、おはよう隆司君、酷い寝癖だな?」
    「え、あの……君、誰?」

     彼女は少し驚いた顔、それから逆に僕に問い掛ける。

    「うん? 聞いてないのか?」
    「え、ああ、ごめん何を?」
    「ふむ、君のご両親は随分といい加減……いや、おおらかなんだな」
    「は、はあ……?」

     確かにそれは実の息子である僕も同意だけど、それを見も知らぬ少女に指摘されるのは、いかほどのものなのだろうか。

    「まあ、いい、私は親同士の伝手で、ご両親が留守中は君と妹さんの面倒を見るように言付かっている、一週間ほどになるがよろしく頼む」
    「え、ええ? そ、そうなの!?」
    「うむ、都合のいいことに、
     このマンションの上の階の者だからな遠慮はいらんぞ隆司君?」
    「あ、ありがとう……そ、それで、君の名前は?」

     父さん達の知り合い……上の階にこんな子がいたのか、しかも僕が通っていた同じ学校の子とは。
     学年別に違う制服のリボンタイの色から、少女は僕と同じ年齢だと分かる。

    「ああ、これは失礼した私の名前は橘真美だ」
    「えっと僕の名前は、知っているみたいだね?」
    「うん、小浮気さん家の隆司君……だろう?」

     橘真美……橘さんか。

     しかし何だろうこの娘、仕草といい大昔の書生のような喋り方といい、古風で……その、少しばかり変わり者なんだろうか?

    「で、どうする? 朝飯は食べるのかい?」
    「あ、うん、頂こうかな」

     見るとキッチンテーブルには、数種類の料理がラップをかけて並べられている。
     朝はどちらかというと小食の僕でも、食欲が刺激される美味しそうな料理だった。

    「ああ、そういえば、今日の朝食には
     針を一つばかり仕込んでみたから探してくれたまえ」

     キッチンテーブルにつこうとしていた僕の足が止まった。
     しばし停止する。
     傍にいた橘さんの顔をまじまじと見た。
     
     彼女は僕に対して、にやっと微笑む。
     やたら男前の笑い方だが、やたらと彼女には似合っていた。

    「あ、はははっ……橘さん、朝から冗談がきついよ?」
    「うん? 冗談ではないぞ?」
    「………………………………」

     橘さんは微笑んでいたが真顔だった。

     つまりどういうことだろうか?
     僕は橘さんに殺意を抱かれ、殺傷されるような行いを知らず知らずのうちにしてしまったのだろうか?
     そんなバカな!? 引きこもり高校にも碌に行ってない僕に彼女との接点はなく、今日が初めての出会いの筈だ!?
     はっ、まさか引きこもる僕に業を煮やした両親からの刺客なのだろうか!?

     混乱する僕に、橘さんが椅子を引き手招きをする。
     僕は誘われるように椅子に腰を下した。
     
    「では隆司君。どうぞ召し上がれ?」

     朝の光の中、両手を軽く広げ慈母のような優しい微笑みを見せる橘さん。
     僕にはそれが死刑執行の合図に思えた。

    「い、いただきます」


     ――――――


     御飯は本当に美味しいものだった。
     途中で起きてきた妹も食卓に着き三人で朝の食事をした。
     意外なことに妹は橘さんのことを知っていて付き合いもあったそうだ。

     知らぬは引き込もり、部屋に閉じこもったきりの僕だけというわけだ……。

     変わり者で、たちの悪い冗談も言うけど、こんな可愛くて料理の上手い子が近くにいるなら、久しぶりに高校に行くのも悪くはないと思えた。

     ただ一つだけ不可解なことは、料理を食べている最中にガリッという鉄じみた細い針金のようなものを噛んだ感触があったことだ。
     僕をそれをさり気無くフローリングの床に吐き出し確認はしなかった。

     食卓に目を戻すと橘さん家の真美と目が合い、彼女はニヤリと微笑んだ。

     やはり僕はもう少し引きこもっていようと思う。




    (強引に落ちをつけました)

  • 「ヴヴヴ」

    手元から伝わる振動に僕は目覚めた。

    昨日はカクヨムで面白い作品を見つけたので、それにハマってしまい夜通し見ていたのだがどうやらそのまま寝てしまったようだ。
    その携帯にメールが来て、それで目覚めたようだ。
    指を滑らせ画面を開く。

    昨日は1作品の最新話が公開されました。
    マイページで見る
    最新 フォローしている作品の最 新話が公開されました
    神隠しからの成長記
    トラバーユ
    連載中113話 ・ 5月16日 23:54更新

    「ふぁ〜あ。おっ!久し振りに更新来たな、コイツ最近は更新頻度が落ちてんだよなぁ〜。そろそろエタりそうだしフォロー外すかな」

    欠伸を嚙み殺しながら携帯の時計を確認する、数字が示していたのは六時だった。
    いつもは七時にアラームをセットしていたので、一時間早く起きた事になる。

    「たまには早く起きるか」

    二度寝しても良かったが、まぁたまには早起きも良いだろう。
    そう思いながらベッドから足を下ろし、立ち上がる。

    部屋を出てキッチンに向かう、もう一度、大きな欠伸をしながらキッチンに続く扉を開ける。
    そして目に入って来たのはエプロン姿の女子高生らしき人だった、一旦扉を閉める。

    「ふぅ」

    軽く息を吐き、再び扉を開く。

    やはり女子高生はそこにいて、僕に笑顔を向けていた。

    あぁ、夢か。
    そうだな、僕が一時間も早く起きる訳ないしな。

    そう自分を納得させながらキッチンに入る、どうせ夢なら裸エプロンで持て成してくれても良いのにな、そんな馬鹿な事を考えながら食卓に座る。

    そんな僕に女の子はずっと笑顔を向けている。

    「え〜っと、どうしてここに?」

    これは本当に夢か?そう思いながら、ニコニコと笑顔を向けている女の子に尋ねる。

    「えっ? 聞いてないの?」

    女の子は僕の質問に、キョトンとした顔で頭を傾ける、そして思い出す。
    昨日の夜に親が一週間出張でハワイに滞在すると言ってたのを。
    その一週間の間、隣のマンションで一人暮らしをいている人に俺の世話を頼んだと言っていたのを。

    という事はこれは夢ではないという事か、そう思いながら不思議そうな顔をした女の子に返事を返す。

    「隣のマンションの人、だよね?」

    「そうそう、名前は橘真美《たちばなまみ》。一週間よろしくね」

    「僕は小浮気隆司《こぶきたかし》。こちらこそよろしく」

    「あっ!そういえば、今日の朝食のメニューの一つに針が入っているから探してみてね」
     
    「は?」

    衝撃の一言だった、いきなり何を言っているのだろうか。
    冗談だと信じたい限りだが…冗談だよな?正直言って…笑えない。

    当たりが入ってるから上手く探してみてね!とでも言うように笑う橘、俺は恐る恐る聞いてみる。

    「それって、冗談…だよね?」

    「冗談なわけないじゃない」
     
    目の前の女の子は笑顔で、当然のように言い放つ、その瞬間、戦慄が走る。
    その笑顔からは冗談を言っているようには感じない、僕を殺そうとしているのだろうか?

    女の子と会話をしながら朝食が出来るのを待つという、普通ならば心待ちにするはずの時間がありえないほどに憂鬱な時間に変わってしまった。

    「出来たよ。ええと……小浮気。針も入れたし、完璧だよ」

    「針さえ入ってなければありがとう」

    「あっははははは!!」
     
    怖い!怖過ぎる!タガが外れたように笑う様はまるで狂人のようだ。

    取り敢えずここから逃げようと思う、鉈を持って追いかけて来たりはしないよな?

    「橘!僕は逃げるから鍵は閉めといてね」

    「あははははは!!もうだめ、死んじゃう。ホントにもうだめ。さっきのは可愛い嘘なのに、まさか本当に信じるとは思わなかったよ。あははははは!!」

    「えっ?あっそうか、そうだよな、あはは……」

    ちっとも可愛くない嘘に、少しビクビクしながらも、その後は軽く談笑を交わして何事もなく朝食を食べ終わった。
    食卓にお萩が無くて良かった。

    朝食を食べた後は制服に着替えて川北高校へと向かう。
    靴を履いて玄関を出ようとしたときに不意に後ろから声を掛けられた。

    「いってらっしゃい」

    僕は振り返り、笑顔の女の子に答えた。

    「言ってきます」

    そして僕は扉を開けた。






    学校への道すがら、橘と過ごす一週間について考えていた。
    年頃の男女が一週間も同じ屋根の下で二人きり。
    家族には他に妹もいるが、妹は昨日から友達の家に泊まりに出ている。
    小学生の妹に一週間の外泊を許す親も親だが、妹の友達が良いと言うのならまぁ良いだろう、それは置いておく。
    それよりも、これからの一週間、家族でもない女の子とずっと二人きりという事を考える。
    一週間というのは意外に長い、その間ずっと二人きりでいると、親密な仲になる可能性もある、むしろ思春期真っ只中の僕達だとそれが自然な流れにも思える。
    でも何故か、橘にはそんな感情を抱かないような気がしていた。






    そんなことを考えていると、既に学校についていて、気づいたら学校の下駄箱で靴を履き替えるところだった。
    でも僕以外は誰も来てはいない様子だった。

    「ちょっと、早過ぎたかな」
     
    そんなことを思いつつも教室に入り一人寂しく席に着いた。
    いや、一人寂しいのは友達が居ないのでいつものことなのだが、今日はそういう感覚的なことではなく、物理的に一人だった。
    そして、ふと時計を確認すると七時三十分であった。

    「やっぱり早かったか」

    そんな小言をぼやいていると、廊下の方から足音が聞こえてきた。
    そして扉の前で足音は止まり、ゆっくりと扉が開く、その音は臆病なのを隠しているような、そんな弱々しい音だった。

    扉を開けた人物の風貌が露わになる、その風貌を一言で表すのは難しかった。

    例えるならば『ハナイカリ』のような人だった。
    僕はそう思った、いや、少し違う。
    今は真夏だ、つまりその花は今が美しいのである。
    ということは、端的に言えば、花のように可愛い、だ。

    そんなことを考えていると視線を感じたので、その方向を見る。
    その視線はさっき入ってきた女の子からの視線であった。

    どうやら僕が物思いに耽けっている間にその女の子は僕の目の前まで来ていたようだ。
    その女の子は何故か僕の目の前で茫然と立ち尽くしている様子だったので、その様子が気になって僕は声を掛けた。

    「どっ、どうしたの?」
     
    女の子は開けていた口を閉じる。
    そして表情を一変させ口角を上げて、軽く微笑んだ。

    「えっとね。なんでも、ないかな」

    「えっ……あっうん」

    それから、誰とも会話もないままに事は進み、帰りのホームルームも終わりに差し掛かったところだった。

    「あのさ、今日は一緒に帰ろ」

    そういってきたのは、ハナイカリの女の子だった。

    「え?あっうん」
     
    そうして二人で帰ることになったのだが、暫くはどちらとも口を開かず、沈黙の時間が流れる。
    僕は気まずい沈黙に耐え切れず、思い切って口を開いた。

    「あのさ、今日はなんで、僕と帰ろうと思ったの?」

    「ちょっと、話したいことがあったから……」

    キター!!僕は内心、告白されるシチュエーションだと思って気分が高揚してしまう。

    「えっ?あっ、そう…」

    どうしようどうしよう、何て返事をしようか。
    僕はこの女の子の事をよく知らない、なので、まずは友達からお願いしますでいいだろうか。
    そう考えていた僕の心の中に、一瞬、一人の女の子の顔が浮かぶ。

    「君って今、橘と同棲しているでしょ?」

    僕は驚愕した、その事は誰にも言ってないし、誰にも見られていないはずなのに、それをこの女の子が知っていたからだ。
    舞い上がっていた気持ちも、その後に一瞬だけ浮かんだ女の子の顔も忘れて慌てて問い掛ける。

    「そっ、そうだけど、なんで知っているの?」

    「橘が学校で言い回っていたから、学校中の人が多分知ってる」

    あ・の・野・郎〜!僕は心の中で悪態をつきながら、その内容を尋ねる。

    「ぐ、具体的にはなんて?」

    「えっと、それはね……」

    僕はそれを聞いて、殺意が湧いた。




    「学校中に『自宅警備員と一週間同棲するよ!』って言いまわっていたのは本当か!!」

    ハナイカリの女の子から聞いた時は殺意が湧いたが、それよりも自宅警備員=小浮気隆司になっていた事に目から汗が出そうになった。

    「って言うか俺が自宅警備員ならバイトをしてない生徒、皆がそうだろうが!」

    「あれあれ?よく学校をズル休みして、自宅警備をしているのは誰かなぁ?」

    そんな僕に、橘はバカにするような、煽るような口調で言ってきた。

    「ぐはっ!心に刺さるからやめろ!!」

    「毎日タダ働き、お疲れ様です!」

    「ぐふっ!!」

    橘と生活すると煽り耐性が付きそうだと思った。
    橘の的確な口撃に項垂れていると、玄関から音がした。

    「ガチャ」

    鍵を開け、誰かが入ってくる音がした。
    後ろを振り返ると小学四年生ぐらいの幼女が立っていた。
    そう、友達の家に泊まりに行っていたはずの僕の妹だ。
    一週間は泊まる予定のはずだがどうしたのだろうか?着替えでも取りにきたのかな?

    「小学生の彼女が居たんだね!」

    「違う!!」

    橘の馬鹿な発言を否定している間に妹が靴を脱ぎ、こちらに向かって歩いてくる、そして言い放つ。

    「なに言ってんだよお兄ちゃん!私たち付き合ってるでしょ!!」

    「恥ずかしがらなくていいんだよ~」

    「違うわ!!」
     
    お前らいつの間にそんな仲良くなったんだよ!
    それからは三人で他愛もない会話をしたりして何事もなく一日を終えた。





    え〜、少しコメディ風味にしてみようと思ったらこんな感じになりました。人の書いた話を元に考えるのは結構面白かったです。

    一話だけだし、深く考えずに書いたので参考にならないと思うけど、少しでも為になれば幸いです。


  • 初めまして、相生薫と申します。

    「書き直し」と言う事ですが、文脈に不明な点が多いので、その辺を明らかにして頂かないと、「書き直し」は難しいと思います。

    まず、主人公と橘愛美は第一話でお互いに自己紹介していることから初対面のように見受けられますが、その後、「ずっと恋していた」とありますが、これは主人公が彼女のことを忘れていたのでしょうか?

    ハナイカリの少女と橘について話している下りから見ると、同じ学校の同学年で顔見知りのように思えますが…。

    次に、主人公のませた妹が第二話から登場しますが、彼女が登場する意味が分かりません。家族構成を説明するためなら、第一話から登場すべきだと思うのですが、何か意味があるのでしょうか?

    また、女子高生と思われる橘が何故一人暮らしをしていて、両親が彼女と懇意にしているのかも分かりません。

    クラスメートの「ハナイカリの少女」の事を主人公がよく知らない理由も分かりません。

    後々、分かるのかな、と読み進めていると、「完結済み」となっているので、クエスチョンマークが連打しています。

    まだ続くような終わり方でしたが、続きはあって、前半部だけを書き直して欲しいのでしょうか?

    もし、これで「終わり」なのだとしたら、「何を伝えたい」のかがよく分かりません。

    私はあまり利口な方ではないので、何度も読みなおしたのですが、どうしても「何を伝えたい」のかが読み取れませんでした。申し訳ありません。


    「書き直し」は、「何を伝えたい」のかという点も改定しても良いものでしょうか?


    グダグダ面倒なことばかり申し上げましてすいません。
    私の愚問にいちいち答えている暇はないと申されるのであれば、これが完結で、恋愛物になっても、SFになってもホラーになっても構わないというのであれば、その辺だけ教えて下さい。

    全く違う小説になってしまうと思いますが、「書き直し」てみます
  • ゆきんこ さま
    ならびに
    書き直しアップされた皆さま


    瀬夏ジュンです。
    上の方で書き直し文章をアップさせていただきました。
    わたしは第1話だけ書かせていただきましたが、第2話以降を読んでおりませんでした。
    したがって、作品全体の整合性について考慮いたしませんでした。
    無責任ですみません。

    第1話だけ読んだわたしの印象としては、下記になります。
    ご参考までに。

    1時間早く起きてしまってイヤな予感がすることは、現実世界でよくあることです。いつもと違うせわしい足音とかで、体が反応してしまうのでしょう。
    ハナイカリさん(勝手に桜田リカにしてしまいましたが)とタチバナが友達でも、タカシとタチバナが顔見知りではないことは普通にあるので、わたしは疑問に思いませんでした。
    もしタチバナと知り合いだとすれば、幼少の時期に接点があったけれど、ずっと離れていた、ということでしょう。
    そして、母子家庭のタカシんちと、タチバナの家は、なんらかの特別な関係があるのでしょう。
    小学4年生の妹は、タカシよりも遅れて学校へ行き(きっとタチバナと一緒に家を出た)、タチバナは高校を早退きして妹を迎えに行き、早く家に帰ってきていたでしょう。

    以上、わたしは勝手に脳内補正をしていました。
    わたしのような読者は少数派かもしれません
    まして下読みさんなんて、アラを全てピックアップするかもしれません。
    書き上げてから少し時間をおいて読み直すときに、設定に破綻がないか客観的に見るのが重要なのでしょうね。
    そういう作業も、創作の楽しみの一部なのでしょうね。

    ただ、整合性は大切だけれど、突拍子もない設定をありふれた内容に変えてしまってはもったいないと思います。
    どちらかというと、整合性なんてなくてもいいくらいに思います。
    そのへんは難しいですよね。
    マンガのように、知らず知らずのうちに読者は納得させられているような、そんな書き方がラノベには求められているかもしれません。

    余計なことを上から目線ですみません。


    せなつ
  • PS:自宅警備員というのは意味不明だったので、わたしの中では切り捨ててしまいました。笑
    タカシが母子家庭というのもわたしの勝手な変更です。お母さんは子どもふたりを養うのに忙しいのです。海外まで行ったりする仕事なのです。
    タチバナ家とコウワキ家(コブキ家)には深い訳があるのです。
  • ゆきんこ様、初めまして。私は一瀬裕希と申します。
    自主企画の「私の作品を書き直してみませんか」に応募いたしました。

    私はなるべくゆきんこ様のテイストを尊重しつつ、自分なりに脚色を加えました。どうか対等な立場で批評してくださると幸いです。ちなみに、コメディは初参戦なので興味深いです。
  • はじめまして。六恩治小夜子と申します。1日目だけ書き直しをやってみました。かなりライトな感じにしています。



    僕たちの恋物語
    一日目 同棲生活は突然に



    朝、僕は自然と目が覚めた。時計を一瞥する。時計の針は六時を指していた。いつもは七時に目覚まし時計をセットしていたので、一時間早く起きた事になる。



    「なんか、嫌な予感がする……」



    なんとなく、そんな気がして、二度寝はやめることにした。
    そしてベッドから足を下ろし、立ち上がった。
    大きな深呼吸をして扉を開ける。
    キッチンの方へと目を向けると、エプロン姿の女の子が居た。



    「だ、誰だお前は。不法侵入で通報すんぞ」



    威圧感は全く感じられなかったと思うが、これで精一杯だ。
    元来、こういう事には慣れていない。
    今の台詞だってヤクザ映画の物真似に過ぎない。
    まあ、物真似にすらなっていないだろうけど。


    「えっ? まさか、聞いてないの?」



    「何を?」



    「君のお父さんとお母さんに頼まれたんだけど」



    「あー……」



    そういえば。
    昨日の夜、親が突然、三日ほどハワイに出張するとか電話で言ってたな。んで、その三日間の間、隣のマンションで一人暮らししている人に俺の世話を頼んどいたからね~と我が母は宣っていた。
    昨日、眠くて会話ほとんど覚えてないがそんな話をしていたはずだ。
    まったく、そんなの別にしなくていいのに。



    「えーと、隣のマンションの人っすよね?」



    「そうそう。橘真美って言います。一週間よろしくね。」



    「小浮気隆司ッス。よろしくです」



    ……1週間?



    「そういえば、今日の朝食のメニューの一つに針が入っているから探してみてね☆」



    ウインクを一つ零し、昔のアイドルよろしく。



    「……朝から笑えない冗談は勘弁して欲しいッス」



    「いやいや~冗談なわけないでしょが」



    「……は?」



    その瞬間、戦慄が走る。なんなのこの人。
    僕を殺したいの?どっかの星から送り込まれた殺し屋?
    そんな漫画な展開はないだろと思い、取り敢えずスルーして椅子に座り、朝食が出来るのを待っていた。多分、悪い冗談だろ。



    「ほいよっと、出来たよ。ええと……小浮気くん。針も入れたし、完璧だよ☆」



    「マジで針入ってたらアンタに食わすよ」



    「あっははははは!!」



    怖い。怖過ぎる。これを狂人というのだろうか。
    逃げ出す……いや、この家は僕ん家だから。
    追い出す方が正確だな。



    「橘さん、そろそろ帰ってもらっていいですかね?
    もう充分なんで。針取り除いときますんで」



    営業スマイルで言う僕に彼女は更に笑い声の音量を上げた。
    やべ、女の甲高い声って五月蝿くて耳に響く。
    思わず耳を塞ぐが、彼女は尚も笑い転げていた。
    箸が転んでもおかしい年頃とはよく言うが、笑いすぎじゃないだろうか。


    「あははははは!! ヤバイ、もうだめ、し、死んじゃう。ホントにもうだめ。さっきのは嘘だっつーの!まさか本当に信じるとは思わなかったよ。あははははは!!」



    「……あのなぁ」



    そして、軽く談笑を交わして、何事もなく朝食を食べ終わった。
    僕は歯を磨き、髪を整え、制服に着替え、準備を終える。
    朝の不安を鞄に押し込み、我が学び舎・川北高校へと向かう事に。
    靴を履いて扉を開けようとしたときに不意に後ろから声を掛けられた。



    「いってらっしゃい」

     

    「……行ってきます」 




    まだ不安は消えそうにない。






    僕は歩きながら、橘さんと過ごす一週間について考えていた。
    まあ、健康的な男女が一緒に生活するんなら遅かれ早かれ男女の関係に発展するだろうな。というか、むしろそれが自然な流れだ。
    いや、そもそも親と彼女は一体どういう関係なんだろうか。
    なんであの人を指名したのかが気になる。
    しかも、いきなり異性の面倒を1週間も見るとかハードルが高くないか?普通、そんな面倒事は断ると思うんだがな。
    でも、橘さんにはそんな感情を抱かないような気がしていた。
    なんとなく、だけど。




    そんなことを考えていると、学校の下駄箱で靴を履き替えていた。
    でも、僕以外は誰も来てはいないみたいだ。


    「ちょい早かったかな」



    そんなことを思いつつ、無人の教室に入り、一人寂しく席に着いた。
    いや、一人寂しいのは友達が居ないのでいつものことだ。だが、今日はそういう感覚的なことではなく、物理的に一人だった。
    そして、壁時計を見ると七時三十分だった。



    「やっぱり早かったか」


    そう思っていると、廊下の方から足音が聞こえてくる。それはこちらへと近づいてきた。そして扉の前で足音がなくなり、緩やかに開く。
    その扉を開けた音は、臆病なの性格なのだろう。そんな事が分かるぐらい、弱々しい音だった。そして扉を開けた人物の風貌が露わになる。
    その風貌を一言で表すのは難しかった。
    例えを使ってもいいならば『ハナイカリ』のような人だった。
    僕はそう考えた。いや、少し違う。なぜなら今は真夏だ。つまりその花は今が美しいのである。ということは、かわいいが適切か。ああ、ボキャ貧の自分が悲しくて悔しい。



    そんなことを考えていると僕に視線が来る。
    言うまでもなく、今入ってきた女子からの視線だ。
    その女の子はいつのまにか僕の目の前にいた。
    考え事をしていたせいで、気づかなかった。
    その女子は茫然と立ち尽くしている様子だ。
    面倒くさいが、僕は声を掛けることにした。



    「どうしたの?」



    その女の子口を閉じた。
    そして表情を一変させ、口角を上げて、軽く微笑んだ。
    その笑みを僕は知っているような気がした。



    「……えっとね。なんでもない」



    「そ、そう……」


    彼女はそう言って席へと戻っていく。やがてクラスメート達が徐々に入ってきた。男子達の会話は昨日の野球やサッカーがどうのこのう、AKV52とかアイドルがどうのこうの。女子はやれ3組の〇〇がカッコイイだの、杉田の数学が面倒くさいだの、ジョニーズがどうの、オシャレなカフェがどうのこうの。



    その中で僕に話しかけてくる好奇心旺盛な人物は誰もいない。
    だから、僕はさっきの女子の事を考えていた。
    でも、考えても答えはでないので黙々と予習をする。
    今日の数学は小テストもあるしちゃんとしとかないとな。





    そして、帰りのホームルームも終わり、微睡んだ空気が蔓延する放課後。茜色に染まる教室で件の彼女が僕にこう言った。



    「あのさ、一緒に帰らない?」



    「いいけど……」



    これは告白のシチュエーションかなぁ。
    伝説の桜の木ノ下に案内されるのかな。
    それとも一緒にゲーム作りを手伝ってとか言われるのかな。
    何人かの男子がヒューヒューと冷やかしてくるが無視して下駄箱に向かう。彼女も慌てて僕の後を追った。 




    茜色に染まる夕暮れ時。
    沈黙の時間が続いていた。
    正直、何を話せばいいのかわからない。
    そもそもこの女子の名前すら知らない。
    今時の女の子が何に興味があるかなんて知らない。
    一体何を話せば良いのだろうか。


    「あのさ、なんで僕と一緒に帰るの?女子は女子同士で帰ればいいんじゃないかな」



    「ちょっと、君に話したいことがあるから……」



    これはとうとう告白フラグだろうか。
    しかし、僕自身フラグを立てた覚えはない。
    じゃあ、一目惚れとか幼馴染だったとか?
    いや、自慢じゃないが一目惚するほど格好いい容姿ではない。
    幼馴染は全員同じ学校だし、そもそも異性だし、今は疎遠だ。
    とすると、何だろうか?



    「君って今、橘と同棲しているでしょ?」



    「……なんで知ってるの?」



    僕は驚愕した。
    誰にも言ってないし、誰にも見られていないはずだが。



    「橘が学校で言い回っていたから、学校中の人が多分知ってるっぽい」



    「なんて言いまわってたんだ?」



    「えっと、それはね……」



    僕はそれを聞いて殺意が湧いた。




    「学校中に、『自宅警備員と一週間同棲するよ!』って言いまわっていたのは本当か!!」


     
    家に帰るなり、僕は叫んだ。
    当の本人はのほほんと居間で「ちちんぶいぶい」見て笑ってるし。
    正直、殺意が湧いたが、自宅警備員というのは腑に落ちない。
    今すぐ胸ぐら掴んで引っ叩いてやりたいが、女の子なのでそれはやめておく。そのかわり、言葉を凶器に変えて激しく叱責してやる。


    「あれあれ~?毎日毎日ズル休みして、自宅警備しているのは誰かなぁ~?」


    ムカつくイントネーションで橘さんは茶化してきた。




    「るせー!心に刺さるからやめろ!!」



    「毎日タダ働き、お疲れ様です!」




    「黙ってろ!!その口、針で縫うぞ!」

     

    「お、今朝の針ネタがここで活かされてるね」



    そんな風にわーきゃー喚いているとドアノブが開く音が聞こえた。
    後ろを振り返ると小学校低学年ぐらいの幼女が立っていた。



    「小学生の彼女が居たんだね!」



    「違う!!」



    「じゃあ拉致監禁だ」



    「それも違う!!」



    「アイタツを終えたら、後ろのお友達と交代してね。財力に物言わせて席をどかないおじさんはダメだよ!」



    「もはや意味がわからん!そしておっさんという年でもない!つか、普通に考えろ。妹だ、妹!」



    「ああ、12人の妹の1人ね。あと11人はどこ?」



    「ギャルゲーじゃねえ!だから普通に妹だって言ってんだろ!」


    「なに言ってんだよお兄ちゃん!私たち付き合ってるでしょ!!」



    と、宣う妹様。
    おいおいおい、なんでそんなにノリがよくなってるんだよコイツは。
    関西にでも行ったのか、友達に関西出身の奴がいるのか?



    「やっぱりぃ~。んもう、恥ずかしがらなくていいのに~」



    「違うわ!!」



    こんな前途多難な日々が1週間も続くのか……。
    ああ、親がいた日が遠い過去みたいだ。
    願わくば元の日々に戻りたい……。
    そんな事を思いつつ、僕はため息をついた。



  • 勝手に企画参加させてもらって、一応一通り手を入れてみました。
    ゆきんこさんの物語の流れを出来るだけ汲んだつもりですが、汲みきれていなかったら申し訳ありません。
    また、脚色と書き直し部分が非常に多くなってしまい、申し訳なさしかありません・・・・・・
    執筆活動頑張ってください。応援しています。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する