上野シュウイチは異世界に転移した。
転移したけど彼はスキルを持っていなかった。
上野シュウイチはゲームもしなければラノベにも興味が無い。異世界の知識を彼は何も持っていなかった。
そんな彼をパーティーに誘った人達がいた。
男3人と女1人で編成された【太陽の煌き】というパーティーだった。
上野シュウイチはそのパーティーに入り、魔物の囮役になった。
彼の取り分はごく僅かだった。
他のパーティーメンバーは宿屋に泊まるけど、彼だけは野宿した。
他のパーティーメンバーは美味しいご飯を食べるけど、彼だけはパサパサのパンを食べた。
他のパーティーメンバーはちゃんとした防具を着ているけど、彼だけはずっと初心者冒険者の格好だった。
それでも上野シュウイチは【太陽の煌き】から抜けることは出来なかった。彼はこの世界で生きる術を知らなかった。それに彼はスキルを持っていなかった。
スキルを持たない上野シュウイチには、全ての魔法やスキルが効かなかった。
その強さを彼は気づいていない。
自分のことをスキルを持たない最弱だと思っている。
ある日、【太陽の煌き】は上野シュウイチを見捨てた。
見捨てられた上野シュウイチは幼女と出会うことになる。幼女は1人でこの世界を生きていた。
幼女の名前は本城寺真美。
彼女もまた転移者だった。
上野シュウイチは日本にいた頃に幼い妹を殺されていた。彼は妹を守れなかった。
だから幼女を守りたい、と強く思った。
幼女の姿をしている本城寺真美は、実はスキルで幼女に見せているだけで18歳だった。
彼女は日本にいた頃に父親からのDVを受けていた。優しい兄は家から出て行き、母は死んだ。彼女は誰からも守られずに生きていた。
大切な人を守れなかった青年と、大切な人から守ってもらえなかった少女(見た目は5歳、中身は18歳)の出会いは、2人を成長させていく。
そして彼のことをバカにしていた【太陽の煌き】のパーティーメンバーを見返して、上野シュウイチは最強になっていく。
上野シュウイチは本城寺真美が18歳だと知らない。幼女だと思っている。
そして18歳姿の本城寺真美(幼女とは別人だと思っている)と彼は出会って恋をする。