ミナミがデートしたいというから、時間を見つけて街に出た。
でも街に出ると領民に囲まれた。
みんなと握手。
「領主様」「勇者様」「ミナミ様」という声。
結婚する前より人気になっているっぽい。
たぶんミナミの人気なんだろう。
楽しくデートしている暇がない。ミナミもイライラしはじめているのがわかった。
仕方がないので俺とミナミに認識阻害の魔法をかけた。これで俺達はお互いのことはわかるけど、領民達からは認識されにくい。されにくいだけで認識はされる。めちゃくちゃ影がうすい人みたいになっている。
群衆から俺達は抜け出した。
「魔法、ありがとう」
とミナミが言った。
「変装とかすれば良かったね」
と俺が言う。
「別にいい」
とミナミが言った。
「お兄ちゃんの顔を見ていたいもん」
俺達は歩いた。
「メイドさんに聞いたんだけど、美味しいパン屋があるんだって」
とミナミが言った。
彼女が俺の手を握ってきた。
認識阻害しているけど俺は人目が気になった。
「大丈夫よ。認識阻害しているんでしょ」
とミナミ。
「わかっている。わかっているけど、恥ずかしいんだ」と俺が言う。
彼女が手を離す。
そしてミナミの手が俺のお尻を触った。
「お嬢ちゃん、いいお尻してるね」
とミナミが言って、俺のお尻を触ってくる。
最近、夜の営みが多いせいで、ちょっとミナミが大胆になって来ていた。
「ちょっと、外で触ったらダメ」
まるで俺が女子みたいなことを言う。
「いいじゃない。いいじゃない。ちょっとぐらいい」
そう言ってミナミが俺のお尻をつねってきた。
「痛い」
と俺が叫ぶ。
彼女が嬉しそうに、俺のことを見ていた。
もしかしてこの子は俺が痛がっている姿が好きなのかな? どうしよう変態に育ってしまった。
「お兄ちゃんのお尻に顔をうずめて死にたい」
とミナミが言う。
やっぱり変態に育ってる。
誰のせいですか? もしかして俺のせいか?
俺こんな変態女に育ててねぇーよ。
「……変態」と俺が言う。
「バーカ」と彼女が言った。
さすがに恥ずかしかったのか、顔が赤い。
またミナミが俺のお尻をつねってくる。
「痛い」と俺が叫ぶ。
「お兄ちゃんって、痛いの好きだよね」
とミナミが言う。
「好きじゃねぇーよ」
と俺。
「でもされるがままじゃん」
次はお腹をつねられた。
「やめろ」と俺が叫ぶ。
「ほら、されるがままじゃん」
別に俺はMじゃない。
痛いといっても、チートの体なので、別に大したことがないのだ。
そんな会話をしながら、目的地のパン屋へ到着。それから俺達はパンをかって、街はずれの野原で食べた。
認識阻害しているし、人目もなかったのでミナミは俺にキスを求めた。
キスは外ではしないって約束だったけど、しなかったら殺すよ、と言われたので、やってしまった。