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「竜と魔法使いと名探偵」二話の書き直しと今後について

 「竜と魔法使いと名探偵」活動報告

 作者です。 

 いつも「竜と魔法使いと名探偵」をご覧いただき、ありがとうございます。皆様のPVがどれほど執筆活動の力になっているか分かりません。
 
 また、拙作を読んでくださったことがないにも関わらず、何かの縁でこの謎の文章を読んでくださっている方だいましたら、その方にも感謝を。また縁があった時には、私の文章を読んでいただければ幸いです。「竜と魔法使いと名探偵」はファンタジー世界を舞台にしたアクション&ミステリなライトノベルのつもりですので、もし気が向いたら読んでいただければと思います。

ーー本題ですーー

 今回、第二話「魔弾の射手」を全面的に加筆修正いたしました。別な短編を書くうちに文章表現がレベルアップしたり、推理に反論が思いついたりしたためです。

 第二話のテーマは、ストーリー的には”それぞれの戦い”、ミステリ的には”密室”でした。ストーリー的には、良い感じに青春できてたら嬉しいです。あと、アクションシーンめちゃくちゃ難しいですね。ミステリ的は、かなりガッツリした内容になりました。というのは、今回が名探偵の初登場であり、ある意味ミステリとしてのチュートリアルのつもりで書いたからです。
 
 そもそも名探偵とは、本質的に俺TUEEEでなければならないと思います。複雑な状況を整理し、完全な論理でもって犯人を打ち負かす、その爽快感が私は大好きですし、それを届けることを目標に書いています。

 ただし俺TUEEEと決定的に違うのは、打ち負かす相手が読者自身でもあること。論理で読者の推理の上を行き、読者を完敗させてこそ名探偵だと思います。そして、ミステリの読者は、完敗したくて、圧倒されたくてミステリを読み始めるのだと思います。私がそうですから。

 私が名探偵をそういう風に定義している以上、本作の名探偵アンナ・ハルトマンにはそこを目指してもらいますし、その推理には穴があってはいけません。少なくとも、作者安藤の限界まで妥協しない事に決めています。

 そのため、二話のうち解決編はかなりの加筆修正をしました。かなり詳細に書いています。そのせいで解決編(後)は8000字くらいになってしまいまして、それはそれで反省しています。
 
 解決編以外の部分は、事前に決めていた設定に沿って加筆修正したのみで、トリック上で矛盾が出るから変更した箇所は一切ありません。ストーリー展開も設定も変化なしです。それでも一度読んでくださった方も、解決編だけはもう一度読んでほしいと思います。

 最後に、物語全体のミステリとしての目標と今後について記しておきたいと思います。

 と言いつつ、唐突にミステリ論を語り始めます。
 
 ミステリは3パターンあると思っています。1つ目は知識のゲームです。読者と名探偵が知っている可能性のある知識が重要な鍵を握るタイプです。暗号の解読法や、薬品や道具の使い方などが例に挙げられます。2つ目は発想のゲーム、叙述トリックや新しい解釈が必要なゲームです。そして3つ目はパズルのゲームです。与えられた情報から、論理パズル的に証言の嘘やアリバイの穴を見抜くようなタイプです。もちろん複数タイプが混ざりあっているような事件が多いとは思います。(個人の意見です。)

 なんでこんな話をしたのかと言えば、上の分類において、「竜と魔法使いと名探偵」は1のゲームをしない、という目標を立てています、という事をお知らせするためです。そのために主人公の一人ローラン・ヒルベルトに半端な知識チートを与えています。

 ローランは、かのシャーロック・ホームズにとっての相棒、ワトソン役に相当します。決して馬鹿ではありませんし膨大な知識を持っていますが、名探偵ではありません。そのため名推理はできません。膨大な知識で名探偵アンナの補佐をし、読者に魔術を説明する役割を担っています。ですから、読者の皆様にとって、推理のために十分なピースはすべて彼が与えてくれるはずです。彼自身が気付いていない事かも知れませんが。

 読者がフェアな条件で推理に参加できる、という意味で、なるべくフェアなミステリを作っていこうと思っています。

 その条件の中で、第二話はかなりの部分がハウダニット (How done it) になるような謎に挑戦しました。

 ハウダニットとは、「どうやったのか」がメインテーマになるようなミステリです。他にワイダニット (Why done it) 、「なぜやったのか」というタイプもあります。ファンタジー世界はハウダニットと物凄く相性が悪いと思います。魔法が使えさえすれば、一件どんな犯罪も可能なように見えます。しかし、ファンタジー世界にはファンタジー世界のハウダニットがあるはずで、ローラン君の知識チートはそれを明確にしてくれます。

 一方で、第一話は完全にワイダニットでした。第一話と第二話でもって、この物語で出てくる基本的な出題パターンを例示したつもりです。ここまでの物語はいわばチュートリアル、と書きましたが、言い換えればこれからが読者の皆様と名探偵アンナの勝負ということになります。

 最後に予告を。三話は山荘の殺人事件の予定です。内容的には次回3話と4話で第一部終了になり、その後は第二部に突入します。第一部は過去編という扱いです。二部はアンナメインで、成長したローランと共に事件を解決していく展開を予定していますので、それまで何卒宜しくお願いいたします。

ーーおわりにーー

 ここまで、私には高すぎる目標をつらつらと書いてきましたが、拙作のルールが伝われば幸いです。そして今後とも、拙作をよろしくお願いいたします。
 
 論理の矛盾があれば教えてください。ローランが説明し、アンナが論破します。......こんな挑戦的な事を書いてしまって、安藤はしばらくビクビクしっぱなしだと思います。お手柔らかに!

2020/09/27 安藤啓太

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