近況ノートを利用して、ラノベハンターの裏話と言うか、補足を書いていこうと思います。まずはラノベハンターを書くキッカケです。
ラノベハンターの構想が浮かんだのは、山本弘さんの『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』を読んだあとです。この小説はSF好きの主人公の少女が、高校でビブリオバトルを知り、本の面白さを他人に伝える魅力にハマっていく物語。
その冒頭、主人公の少女はもうひとりの主人公である少年と出会い、彼の家の書庫部屋に連れて行ってもらう。そこには少年の亡き祖父が収集した、SF小説やSF雑誌がたくさん並んでいるのです。
そこで交わされる会話。若干15歳ながらSFオタクの少女の知識の披露が面白くって。これは著者の山本弘さんの知識の深さなのですけど、SFとくに海外SFに全く興味のない私でも、その話を聞いているだけで、なんだかわかった気になるくらいの楽しさ。
これを読んだあと、私が大好きな、ちょっと古いライトノベル、懐ラノと呼んでいるものの魅力を伝えるのに、この方法を利用すれば良いのじゃないかと。
それはオタク知識の披露になるのかもしれないけど、オタクが自分の好きなものを熱く語っているのを聞くのは、きっと楽しいのじゃないかと。ただ、タイトルを挙げてその作品の感想を書くだけではつまらない。
『BIS』のように、棚から本を取ったり、本が並んでいる様子から魅力を伝えたい。そこで古書店に並ぶ本を題材にすることに。さいわい、私の趣味は古書店やブックオフを巡ることでした。魅力的な古書店を何軒か知っています。そこを訪れる形にして、お店についてや店に並ぶ本のうんちくを語れば良いと。
お店を訪れて感想・うんちくを語る、この形を考えたとき、すぐにドラマ「孤独のグルメ」が思い浮かびました。あれの本バージョンでいいじゃないかと。大きな物語やドラマチックな話ではなく、淡々と本の魅力やそれにまつわる経験談を語れば良いと。
その本のタイトルを知っている人には、そうそうとうなずいていただき、知らない人にはそんなのがあったのかと知ってもらえれば、うれしい。
そうして出来上がったのが、『ラノベハンター』です。タイトルは大好きな漫画、諸星大二郎『妖怪ハンター』から。この編集者が名付けた漫画、いわゆる水木しげるが描くような妖怪は登場しないのです。妖怪の登場しない妖怪ハンターとは。ラノベハンターと名付けたのですが、実は狭義のライトノベルがあまり登場しないかも、という予防線を張ったタイトルです。
今の時点では大阪の古書店だけですが、この後地元である奈良、旅先で訪れた古書店が登場する予定です。どこまで続くかわからないですが、楽しみにしていただけると幸いです。