山月記をモチーフとし、舞台を海に移しました。これがタイトルの由来です。岐路根と亀有くんはそれぞれ李徴、袁傪です。ストーリーの最初と最後はねじ式をリスペクトしたもの。文体は銀河鉄道の夜と涼宮ハルヒの憂鬱を混ぜたようなものにしてあります。
・裏設定
〈金平糖屋〉
救済者その2。(その1は岐路根に逃亡を許したカルト教団)
あの[蛾の鱗粉入り金平糖]は違法薬物です。痛み止めとしても使われる物で、もちろん依存性はありますが、金平糖屋さんは善意で提供しています。作品の資料集めとして、生物に詳しい何人かの知人に「鱗粉って食べれるんですか?」と聞いて回ったのですが、全員から「分からない。少なくとも自分は聞いた事がない」という返事が帰ってきました。
〈人食いワニ〉
岐路根のトラウマ源である母親のメタファーです。主人公をこの道に導いたトリガーであり、岐路根に力を与える源です。
〈ヤブ医者〉
救済者その3。治療を目的としていないので医者ではないかもしれませんが。
〈深海都市〉
あの都市にいる人は野生に帰った元人間です。言葉通り取って食われますが、善意と敵意がむき出しの優しい世界が広がっています。
〈その他〉
救済と狂気がテーマです。触手が耳からが出てきた時点で岐路根は瀕死状態で生と死の間にいました。ミミヒモ海月記は、どこまでも正気な岐路根が、自我を失う最後に救われた話となっています。岐路根の通った道中はどれも優しかったものの、亀有くんに対する未練は(人間として)死ぬ最後の瞬間まで消えませんでした。
参考資料「ウミガメは、猛毒のクラゲ・キロネックスを食べても大丈夫?」https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/kodomoq/wzn98zh2IJ.htmlより