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余談:「黒い海と金の冠 遙か北東の十字路を行く」

今更ですが。

以下、

『シリーズ 長い3世紀のルポルタージュ』
「黒い海と金の冠 遙か北東の十字路を行く」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885983517

に関する余談です。別所に書いたものをここにも転載します。


1

慕容語というか彼らの言葉を表すのにキリル文字がでてきますが、あれは日本語をロシア語の発音にそってキリル文字で表記しています。

ややこしい言い方ですが、ローマ字表記法をラテン文字ではなくキリル文字でしています。
東京→Tokyo→Токио
みたいな感じです。

もちろんキリル文字は3世紀当時にはまだ存在しません。小説中では雰囲気を表すために使わせていただきました。


2

本文中に出てくる歩揺冠(ほようかん)は中央アジアから日本まで出土しています。
シルクロード!
ロマンですよね。


3

本文中の
「匈奴かもしれないかもしれない一団が康国(サマルカンド)のさらに西、大秦帝国(ローマ)へ移動していった」
というのは、フン族(ローマ帝国末期、「神の鞭」アッティラなどで有名)は匈奴の子孫であるという説に基づきます。

この説は非常に古く現在ではかなり疑問視されていますが、真偽のほどはともかくロマンがあって好きなので小説に組み込みました。

4

本編で商胡、ソグド人である史栄の言う「薩保」は、彼らの言葉で「隊商の長」を指す言葉の音写だとされています。

後代、隋や唐の時代には祆教(けんきょう。ゾロアスター教)信徒を束ねる官職の官名にもなりました。

……ところで、本編のざっと250年後、北周の時代に宇文護という人物がいるのですが、この人の字が薩保なのは少し不思議な感じがします。

彼ら異民族の諱は対漢人用であり、字は同民族内での呼び名である、という説もあるようですが、それにしてもそのまますぎでは?と思ったり。


以上です。
今更に今更ですが、本編もあわせてお楽しみいただけたら幸いです。

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