「仮想泥棒ゲーム」では、実在の建物がよく出てきます。博物館や美術館、レストラン、ホテルが多いです。このうち、博物館や美術館は平面図を調べます。英語だとフロアプランと言いますが、美術館では来館者のために、ウェブサイトにフロアプランを置いてくれている場合が多いですね。それを見れば、どこにどんな美術品が置いてあるかがわかります。オックスフォードのアッシュモレアン博物館、マドリッドのソフィア王妃芸術センターなんかはフロアプランがあってとても助かりました。ストーリー中にかなり詳細に描き込んでいます。
もちろん、フロアプランが公開されていない場合もあります。あるステージではカジノについて書きたかったのですが、フロアプランが入手できませんでした。そのカジノのウェブサイトに行くと、いくつか写真があるのみ。そもそもカジノって、中での写真撮影が禁止されているんですね。理由は推して知るべしなのですが、そのせいで内部の描写がとても書きにくい! そうすると、いくつかの映画を見て中を想像するしかなくなります。参考にしたものの一つに「オーシャンズ11」があります。あれはカジノ泥棒の話なので、参考にしやすい(笑)。でも参考にしたのはカジノ部分だけです。金庫室? あんな非現実な金庫室があるわけないです(笑)。そもそも金庫室の見取り図なんて、どうやったって入手できるわけないですよ。ご都合主義ですよね。
さてそのステージに登場させようとしたカジノは、二つの建物に分かれていて、それぞれ大まかな外観と、何階建てかわかっているのみ。あとは数枚の写真から内部を想像するしかありませんでした。ですので、実際のものとおそらく違うことが書いてあります。もしそのカジノに行った人が読んだら「嘘を書いている」と思うことでしょう。旅行して取材に行けたら正しいことが書けるんですけどねえ。でも写真は撮れないんですよね(笑)。いっそのこと、架空の建物を建ててしまえば、嘘を書いてないことになるんですけど。