【ネタばれ注意】
なにかと話題のブラック企業もの。
ツイッターで「いいよ」と薦めていた方がいたので、図書館サイトでタイトルを検索、借りてきて読んでみた。
感想を率直にいえば、
この作者さん、企業で社員として働いたことあるのかな……?
である。
人間ドラマの部分は良いのだ。
「謎の男ヤマモトの正体は?」のオチは、この手の話にはよくあるものだから、特に驚きも感慨もなく順当に終了。
けど、上司と対決して辞表を叩きつける肝心のクライマックスが……。
結論からいえば、
なんて迷惑な奴なんだー!?
これに尽きる。
こら?
引き継ぎはどうすんだ?
丸投げされたら後任はどうなるー!?
後任はキミの担当業務の負荷がかかるだけでも大変なんだぞ!?
ただでさえ過酷労働を強いられてるのに。
ここで、この主人公がすべきことは、ボクが集めたノウハウ集の配布じゃなくて、担当業務と取引先リスト諸々が書かれた業務引継書を作成の上、後任に申し送り「ご迷惑をおかけしますが、後はよろしくお願いします」だ。
そして、後任と同行し「これが後任の○○です。今後とも何とぞよろしく」と関係各所と取引先に挨拶に行く──そこまでやって退職準備おしまい。
いや、上司に食ってかかったって別にいいよ。罵ったって構わない。でも、
「辞めます有給とります明日からきません」
なんて社会人としては通らない。有給はあらいざらい取るべきだけども。
世の中には色んな会社があるんだろうが、さすがにコレがまかり通る所はないだろう。日雇いのバイトが辞めるわけじゃないんだから。
これではブラック企業うんぬん以前の問題だと思うが如何か。
作中出てくる同僚による陰謀事件も、会社に損害を与えて対外的な信用を損なってるんだから、もはや主人公だけの問題じゃなくて、出るとこ出れば犯罪になるでしょコレ。それを
一緒になって隠蔽してどうするー!
事もあろうに「がんばれよ」「ありがとうございます」なんて妙なやりとりが挟まるから、なんか、もやもや~としてカタルシスが得られない。
せっかく悪役つくって話もりあげてきたんだから、これ叩かなくちゃ収まらないでしょ。それ抜きで、どうやって主人公の成長を描くの?
内容がシリアスな人間ドラマだから、てっきり一般文芸と思いこんでいたのだが、よくよく見れば電撃大賞うんぬん……?
← 背表紙に図書館の分類シールが貼られてて分からなかった。
てことは、もしかして(あんまりよくない意味で)ファンタジーとして書いたの?
はたまた、子供向けだから適当でいいと思ったの?
けど、企業モノなら、勤め人が読むことを想定していたのでは?
なのに、肝心の企業の部分に嘘があったら一気に白ける。つまり話にリアリティーがない。
テーマはいいよ。
嫌なら逃げたって全然構わない。
むしろ、とっとと逃げるべし。会社なんて他に幾らでもあるんだから。
自分が楽に生きられる所が見つかるまで、いくらだって探せばいい。
但し、人として、やることはやってから (^0^;