(※詳細は、近況ノートの前の記事をご覧ください)
プロローグは変更なしです。
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真夜は部屋でニュースを見ており、次のような内容が読み上げられている。
『昨日、✕✕県立博物館で開催中のメソアメリカ文明展で、展示品が一点盗まれる事件が発生していたことが捜査関係者への取材でわかりました。
警察による捜索が行われていますが、館長の――氏は独自のルートで展示品回収のために動いているとのことです』
そんな真夜の元に、見知らぬ同年代の男性が訪ねてくる。彼は相良と名乗った。
どこかで聞いた名前のような……? とぼんやりしていると、相良に七海の不在を確認される。
不在だと伝えると、ドアからは見えない位置に隠れていた人物が顔を出す。それは昔から知っているトレジャーハンターのロバートだった。洋平を訪ねてきたらしい。
久しぶりに会ったロバートと挨拶を交わしつつ、二人をリビングに通す真夜。
ふと「ロバートはいつもお母さんがいないときに来るな。偶然かな?」と思う。
真夜は自室にいる洋平を呼ぶ。洋平はロバートたちとの約束をすっかり忘れていたらしい。
相変わらず研究のこと以外は抜けているなぁと思う真夜。リビングでテーブルを囲み、四人で話す。
ロバートと最後に会ったのは真夜が高校生のときだったので、ロバートに「進学先は民俗学部か?」と聞かれる。
真夜は戸惑いつつも「普通科の大学へ通ってます」と答えた。理由を聞かれてはぐらかす真夜を、洋平は複雑な気持ちで見ている。
真夜は、学べば学ぶほど父の偉大さがわかり、父のような研究者にはなれないと感じ、研究者への道は諦めているのだった。
久しぶりに会った洋平とロバートは、自分たちの出会いについて懐かしがって話している。
洋平は以前、マヤ文明の研究のために訪れたメキシコでロバートと出会っていた。ロバートがマヤ文明のレリーフを見つけて提供したことがきっかけで知り合ったのだ。
それ以来、洋平とロバートは友人として付き合っており、数年に一度ふらっと洋平の元を訪ねてきたりする。
真夜もロバートとは小さい頃から何度も会っており、真夜が小さい頃「ロバートとけっこんする」と言っていたエピソードを洋平にバラされる。
「子供のときの話をいつまでも出してこないでよ!」と恥ずかしがる真夜。ロバートは「今でも大歓迎」と冗談を言う。
洋平は相良の父と知り合いで、相良にも何度か会ったことがあるらしい。
真夜とは初対面の相良が自己紹介する。
相良は、✕✕県立博物館館長の息子だった。
マスクの発見者である洋平に相良の父が謝罪した際、洋平と親しいロバートを紹介されたらしい。
盗まれた品物は裏ルートで取引されるので、公的な機関よりもそういうルートにも精通しているトレジャーハンターのような人間のほうが頼りになるそう。
盗難の対応に追われて&通常業務で忙しい父の代わりに、相良は盗まれたマスクを取り戻すため、ロバートを雇っているらしい。
真夜は、相良がどこかで聞いた名前なのはニュースで聞いたからだと思い、ニュースで言っていた『独自のルート』がロバートであると理解する。
盗まれたヒスイのマスクの情報を集めるためロバートは、数年前に知り合ってから御用達の便利屋兼情報屋であるバルデスにコンタクトを取った。
そしてマスクがある場所の情報を手に入れた。
それと同時に、マヤ文明の秘宝に関する情報を手に入れたらしい。それは以下の2つ。
①秘宝が眠る《かの地》へたどり着くための情報が隠された暗号
②《かの地》へのパスポートであるアイテム
アイテムが何なのか気になった真夜がロバートに尋ねると、それこそが博物館から盗まれたヒスイのマスクだった。
真夜は混乱。洋平は驚いて固まっている。
ロバートによると、ヒスイのマスクを盗んだ泥棒のアジトの場所をバルデスに突き止めさせ、侵入&取り戻したらしい。
秘宝の情報を手に入れたのも、忍び込んだアジトで……ということらしい。
本来であればここで相良の役目は終わりなのだが、盗まれたヒスイのマスクを取り返しただけでは『当然』のことであり、博物館のマイナス評価は変わらない。
だが、そのマスクによって秘宝を手に入れたとなれば大きな話題になり、博物館に多くの人が足を運んでくれるのではと考え、秘宝探しにシフトしたらしい。
相良は館長の息子ではあるがすべての文明に詳しいわけではないし、まだまだ勉強不足でもある。
そしてロバートは、知識が必要な難しいところは専門家に任せ、遺跡探検や発掘のワクワク感などトレジャーハントの楽しいところだけを楽しみたいタイプなので、ほぼ知識がなかった。
そういうわけで相良とロバートは暗号が解けず、洋平を頼って来たらしい。
何かを考えるそぶりをした洋平は「すごく興味をそそられるんだけど、ぼくは自分の研究で手いっぱいでね……ぼくに負けない知識を持っている真夜に頼むのはどうかな」と提案。
驚く真夜に、洋平は「これはきっと、真夜のためにもなるよ」と言い残し、部屋に戻ってしまう。
真夜は、『真夜のためになる』と言う洋平の言葉の意味を理解できない。
幼い頃から洋平に仕込まれていたとはいえ、マヤ文明についてちゃんと研究しているわけではない真夜は、自分には無理だと言う。
だが、ロバートは「それは真夜の主観だろ?」と言って、《かの地》へ行くための暗号を差し出し、やや強引に解いてみるように言う。
相良からも促された真夜は、渋々挑戦することに。
アジトで盗み聞きした情報からこれが座標であることがわかっているロバートは、数字の羅列になるはずだと言う。
真夜は、暦の暗号を解き、《かの地》の座標を突き止める。
(※暦のエピソードがここに移動しています)
真夜は、マヤ文明に触れていると心がわくわくしている自分を自覚するが、洋平であればもっと早く解けたのでは……という考えが頭をよぎる。
相良とロバートは真夜の腕を見込み、秘宝を探す旅についてきてほしいと頼む。
「いやいやいや……これはまぐれで」と再度断る真夜だが、引き受けてくれるまで帰らない、と二人に言われてしまう。
相良は説得のため、勝手に雇用条件を話し出した。
アルバイト代は、移動時間込みで5日拘束の予定で5万円。つまり1日1万円であり、交通費や宿泊費などはすべて相良持ちなので、バイトをしていない真夜にとってはありがたすぎるほどの条件。
決して治安がいい国ではないが、ホンジュラスへは何度か父について行ったことがあるため、気をつけてさえいれば大丈夫だと言うことも真夜はわかっている。
旅の経験が豊富なロバートも一緒なので大丈夫そうでもある。
「両親の許可が出れば……」と真夜が答えた瞬間、洋平が荷造りをしてくれていたようで荷物を渡される。
驚く暇もなく、真夜はそのまま相良とロバートに車に乗せられてしまう。
洋平は呑気に「七海にはうまく言っておくねー」と見送った。
そのまま空港に連行され、あれよあれよという間に飛行機に乗り、旅立ったのだった。
機内で、真夜はアルバイトの契約書にサインさせられる。
不憫そうな顔をしたロバートに「契約書はちゃんと読まないとダメだぞ」と言われ、不安になる真夜。
そこで相良から説明がある。
契約書には『秘宝が見つかるまでは返さない。長引いてしまった際にかかる費用は報酬から引いていく(求められた能力が発揮できていないため)。
場合によってはマイナスになる(真夜から相良に払う)こともありえる』という内容が書かれているらしい。
慌てて契約書をよーく見ると、点線(項目を区切るライン)かと思っていたものが、とても小さい文字で書かれた、いま説明された注意事項であることが判明した。
詐欺では!?!? と思う真夜。ロバートも同じ手でやられたようだが、口止めされていたらしい。
相良は、「騙すような真似をして申し訳ありません」と、ちっとも申し訳なく思ってなさそうな顔で言う。
だが博物館も経営が危うく、あまり費用がかけられないと言われてしまっては、お人好しの真夜は「わかりました……」としか言えなかった。
報酬は5日分なので、8日以内に見つければマイナスにはならないと教えてくれる(経費タダ&報酬が出る5日-経費がかかる3日=ギリギリプラス)。
帰りの交通費はどのみち出すものなので、秘宝探しに時間がかかっても出してくれるようでほっとするが、なんとしても8日以内に秘宝を見つけなければ……! と思う真夜。
翌日の夕方、ホンジュラスに到着。
ホテルで食事をする三人。ホンジュラスという国について話をしたり、ホンジュラス料理を味わう。
翌日の朝食後。旅の間の携行食糧の購入のため出かける三人。
エレベーターの中で、この後の予定を話している。
携行食糧の確保後、ヒスイのマスクの情報集めにも協力してくれた便利屋兼情報屋のバルデスに車を出してもらい、さっそく出発することになっている(バルデスは道にも詳しい)。
《かの地》へは直線距離で200キロ程度。
よっぽどのトラブルがなければ日が暮れる前に着ける距離だが、その日は《かの地》へは向かわずに近くの集落に泊まって休む予定だった。
エレベーターを降りたところで財布をすられてしまったロバートは、スリを追ってホテルを出て行った。
その間に、ある男が真夜と相良に接触してくる。
相良は、彼がそれなりに有名なトレジャーハンターであるアンティオコ・ジョルダーノであることに気づく。
アンティオコは相良に対し、ロバートではなく自分を雇うように言う。
相良は、ロバートと契約していることを話して断るが、アンティオコは『ロバートは“昔から”秘宝が一番大事な男であり、仲間と秘宝を天秤にかければ秘宝を選ぶタイプ。業界でも評判が悪い男なので、君たちも裏切られるかもしれないから、信用してはいけない』と言う。
ロバートが信用ならない人間である証拠としてアンティオコが言うには、『ロバートは、アンティオコと組むことを約束していたが裏切り、自分がいない隙を狙い、部下が守るアジトに侵入。隠していた《かの地》へ行くための暗号とヒスイのマスクを盗んだ上、暗号のコピーやデータなどもすべて消去していった』らしい。
昔からロバートを知っている真夜は、ムチャクチャなところがあるものの彼のことを基本的に信用しているので、「裏切ったという部分は嘘だ」と言う。
そしてロバートは確かにアンティオコから盗んだかもしれないが、アンティオコだって博物館から盗んでいるので同罪だと言う。
相良は、真夜ほどロバートのことを信用しているわけではないと言いつつも、洋平から紹介された人物であり、真夜がここまで言うのであれば、ロバートを雇い続けることにすると答え、断る。
そして相良は「悪人らしく、盗まれたなら盗み返しては?」と言う。
アンティオコはそんな二人を面白がり、「どちらが先に宝を見つけるか勝負しよう」と言う。
そして思い出したように「ロバートに、ピスポケットに大事なものを入れる癖は直したほうがいいと伝えておいてくれ」と言って去る。
ロバートの財布がすられたのは、アンティオコがロバート抜きで二人と話したかったために仕組んだことと判明。
アンティオコのオーラのようなものに気圧されていた二人は、緊張が解けた様子。
戻って来たロバートに、アンティオコから接触されたと話す相良。
アンティオコがロバートのことをよく知っているようだったと話すと、ロバートは「俺は有名人なんだから当たり前だろ!」と得意げに言う。
だが真夜は、有名人だからと言って、癖までよく知っているものなのだろうか? と疑問に思う。
「んなことより大事なことがあるだろ。どうして俺たちの居場所がわかったのか、だ」と言ったロバートがマスクを調べ、GPSが仕掛けられていたことに気づく。
GPSを取り除いたものの不安が残る真夜だが、わからないことを考えても無駄だとロバートに言われてしまう。
ロバートは、現状なんの手がかりもないアンティオコが秘宝を追うとしたら、自分たちを尾行するか、自分たちからヒスイのマスクと知識を持つ真夜を奪うことだと言う。
情報屋であるバルデスに警戒させ、自分たちも身辺に気をつけよう、と言って話をまとめる。
相良が「バルデスという人物は、そんなに信用できるんですか?」と尋ねると、ロバートは「条件付きだけどな。ま、会えばわかる」と言った。
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最後までお読みくださりありがとうございます;;;
いろいろ変更しまくって申し訳ないですが、今のところこれがベストだと思っています。
まだ小説として書いてない部分もあらすじで公開してしまいましたが、ここまで載せた方がキリがいいかなぁと思いまして……笑
変更前の大きな目的だったお父さんが誘拐されてないっていうのは、自分でも「さすがに変えすぎだろ……」とは思いますので、申し訳ないです。
でも「私が一番書きたいものってなんだろう?」と考えたとき、「お父さんを助けに行く娘の話」ではなくて「楽しくてちょっと危険なトレジャーハンターの話」だと気づいたんですよね。
そもそもなんでお父さん助けに行くことになったんだっけ? と必死に記憶をたどったら、プロットの書き方本で「主人公が旅に出る強い理由を持たせる」と書いてあったからなんですよね。
それなら別に他の理由でもよさそうだなと思いまして……
それにトレジャーハントものって、作品によりますが「どうして旅に出るか? そこにお宝があるからさ!」くらいのテンションのものも多いので、別にいいじゃん! となりました。
もうひとつ大きな変更点で言うと、相良が通訳でなくなったことでしょうか……
元々は、「アメリコがわからない日本語で、真夜と相良がピンチを切り抜けるために相談する」というシーンがやりたいところから始めた気がするのですが、そのシーンもなくしましたので……
実は彼の過去を絡ませてたので、そのまま通訳でもいいかと思ったのですが、通訳でいさせるメリットより、みんなの言葉が通じるメリットのほうが多いなと思いまして……
相良がいないところでも、いろんな国のキャラで会話させられますし。
(※言葉の壁がない世界になりました)
アッ……そうそう、アメリコが言っていた、コロンブスとヴェスプッチのことは一旦忘れてください;
サブネタとしては出しますが、本筋からは外しました。
というのも、これが修正前の話のメインとなる部分だったのですが、冷静に考えるとこれが入ることで真夜がナレーターみたいに(空気みたいに)なりそうかもと思ったのと、かなり話がややこしくなって手に負えなくなる感じがしたんですよね……
ただ、なくすには惜しいネタだと個人的には思ってるので、あっさりした内容に変更して、最後のほうにちょろっと出せたらいいなと思っています。
ただ、修正後のアンティオコからミステリアスな感じが消えちゃった気もするので、小物っぽくならないように気をつけようと思います……笑
あとあと、お母さんとロバートのくだりは長くなるのでカットしました。「はよ冒険に行け!!」と自分でもツッコみたくなったので……笑
最後にちょろっと出せたらいいな、とは思っています。
いろいろ変更して申し訳ないのですが、今後も真夜たちのお宝探しの旅にお付き合いいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします!