◯テーマ
人の命を天秤にかけた時、双方がどんな命であろうと、決してその天秤が傾くことはない。
◯世界設定
ディストピアと化した世界。安全地区以外の土地は血生臭く、人口爆発に伴い増加した組織的犯罪によって銃声が鳴り止むことはない。
そんな中、それでも人を救い続ける衛生兵の、裏の話。
◯登場人物/キャラクター設定
・リク
二十六歳。
帝国直属の衛生兵団に所属していた元伝説の衛生兵。しかし、帝国が崩壊したことにより、兵団を抜けて、愛する妻と共に安全地区でカフェを営んでいる。
・メイ
二十一歳。
リクの妻であり、舌ピアスと耳ピアスがあることからカフェを営んでいても、若干近寄りがたい雰囲気を漂わせているが、根は優しい。
・エイル
三十四歳。
反乱軍の兵士であり、当時衛生兵だったリクに敵国でありながら命を救われた過去を持つ。現在は、安全地区の治安維持団体で働いている。
◯ストーリー
・カフェを営んで平穏な日々を過ごしていたリクに、一通の手紙が届く。治安維持団体から送られたそれは、危険地区で重篤状態にある兵士長を救って来て欲しいとのこと。
・メイの説得を振り切り、エイルの忠告を無視して危険地区へ向かったリクは、そこですでに死亡して数週間経つ兵士長の姿を発見する。
・そこで、兵士長の重篤という情報は、治安維持団体に潜んだ集団犯罪組織のスパイによって作られたでっち上げだったと知る。
・いくつもの命を救ったはずの伝説の衛生兵は、集団犯罪組織に囲まれ、最後に愛する妻を想い、亡くなった。