前置き
感想欄を見て悠と由季の入れ替わり話が書きたくなったので突発的に書きました。
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由季と一夜を共にして寝落ちした翌日、この日はいつもと同じ様な充実した目覚めはやってこなかった。
「ど、どうなってるんだ?」
自身の口からは何度も聞いたことがある鈴が鳴るような可愛らしい声が発せられる。
視界の隅ではさらりとした長い黒髪が頬を擽り、それでいてずっしりと重たいモノが上半身に負担を掛けている。その姿は正しく俺の愛おしい妻である由季の身体そのものだった。
「俺、由季になってるのか⁉︎」
相も変わらず、綺麗な美声が発せられる。
「って、俺がこうなってるってことは!」
すぐ隣に視線を向ければ全裸の俺の姿……もとい、由季が気持ちよさそうに寝ていた。
「えへへ……ゆう……だいすき……」
うわぁ……止めてくれ……。その姿でその声で俺のことを大好きとか言うの凄いナルシストに聞こえるんだよ……。
一気に俺の精神ライフは削られた。
「由季、起きてくれ」
俺の体を揺すれば、ぷるぷると由季の体の爆弾も揺れる。凄く触ってみたい欲望に駆られるが、今は由季を起こすことが先決だ。
「ん〜」
寝惚けて飛んできた俺の手が、由季の爆弾をむぎゅっと掴んだ。
「ひゃぁ……」
感じたことのない感覚に思わず声を漏らす。その可愛らしい由季の声に俺は瞬時に反応してしまう。だが、その興奮が連動するぞうさんは今の俺にはない。
その代わりとばかりに下腹部がキュウキュウと切なさを訴え始めた。
「ちょっ、これ……」
俺の頭というか、由季の身体に染み付いている思考が浮かび上がってくる。無意識に俺のぞうさんへと視線が誘導される。
だが、頭を左右に振り、その考えを弾き飛ばす。
「仕方ない。これが効果的だろ」
俺は由季に今からする行動をされて起きなかったことはない。だから、俺の身体になっている由季なら起きるはずだ。
「……起きて……ちゅっ……」
自分自身にキスをするという何とも言えないむず痒さを覚えていれば、ゆっくりと目が開いていく。
「あれ、私……?」
「由季、聞いてくれ。よく分からないが、俺と由季の身体が入れ替わってるみたいなんだ」
「そう、なんだ……」
「あぁ、そうだ」
「変な夢……」
「へ?」
突如、嫌な予感がして離れようとするが、ガシッと腕の中に拘束されてしまった。逃げようとするも、ピクリとも動かない。由季の身体には馬鹿力がある筈だが、その力を引き出せる気がしなかった。
だが、それだけではなく、腕の中に拘束された瞬間、凄く安心してしまったのだ。それが原因なのかは定かではないが。
「前々から気になってたの。ちゃんと柔らかくて気持ち良いのか。自分自身で触っても変に力入っちゃうからダメなんだよね」
「ぁ……んんっ……」
由季は自身の身体を確かめるように爆弾を揉み解す。流石は元の身体の持ち主というだけのことはあって、触り方が上手で悔しいけど気持ち良い……。
「良い声出してるんだね。がっついて来るのも少しだけ分かったかも?」
「ん……ぁあ」
「なんかその声聞いてると変な気分……って、私はゆうになってるの……?」
「そうだよ……原因は分からないけど入れ替わって……ひゃん……」
由季に先端に実っているさくらんぼを捻られると、ぞくっとした快感が体中を駆け回る。
「それなら、ゆうがあんなに気持ち良さそうに腰振ってる時の快感が私にも……」
「ま、待って、由季。それは……」
「凄い。ゆうの身体、私の身体見て固くなってる。いっつも、感じてくれてたんだね。それに自分の身体なのに興奮してきた」
俺は自身の巨象を目に映すと、それから目が離せなくなる。何度も体を重ねているから由季の身体が覚えているのだ。あれを受け入れればとっても気持ち良くなれるのだと。
「って、違っ!」
あんなモノを受け入れてしまったら俺は……。
「由季……今から入れるよ?」
「俺の真似しなくて良いから! って、由季……入って、んぁぁ!」
その日、俺は由季として俺の姿となった由季と一つになった。
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「ん〜……」
由季は外から聞こえてくる小鳥の囀りで目を覚ました。隣にはぐったりとした愛しの夫が眠っている。
「なんか変な夢見ちゃった……。私がゆうになって私とえっちして……」
そこで由季は気付いた。自身の股からどろりとしたものがこぼれ落ちてくるのを。それも結構新しい。
その光景を見て由季は冷や汗が止まらなかった。何せ、あの夢の中の私が入れ替わってるとか何とか言っているのを思い出したから。
「ど、どうしよう……。確かに気持ち良かったけど、ゆうに抱かれた方が何倍も……」
そこでまたもや気付いた。あの快感を体験してしまった悠に悪影響が出るのではないかと。悠に抱かれている瞬間は天にも上る気持ちになるのだ。夢の中で一回だけとはいえ男としての快感を体験したから分かる。
「ゆう! 起きて!」
「んんっ……由季、もっと突いて……」
その寝言で確信してしまった。女の快感を理解してしまった悠に由季は……。
「あ、あ、にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
現実逃避した。
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「「はっ!」」
「ゆ、ゆう!」
「由季!」
「「何かあった⁉︎」」
同時に目を覚ました俺と由季はそんなことを言い合う。そこで俺と由季は同じ質問をしているということは同じような夢を見ていたと結論付けた。
「由季、俺は夢の中で由季になってた……」
「私も夢の中でゆうになってた……」
「「……上書き」」
そうして俺と由季は夢の中での出来事を上書きする様にお互いを求め合った。