• 現代ファンタジー
  • ホラー

【新作投稿】「ヨケノウタ ~お兄ちゃんにまとわりつく悪い虫は私がぜんぶ始末してあげるね!~」


いつも読んでいただきありがとうございます。
☆、レビュー、応援コメント、たいへん励みになっております。

本日、短編「ヨケノウタ ~お兄ちゃんにまとわりつく悪い虫は私がぜんぶ始末してあげるね!~」を投稿、公開しました。


「ヨケノウタ ~お兄ちゃんにまとわりつく悪い虫は私がぜんぶ始末してあげるね!~」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893535048


ヤンデレの義妹に愛され過ぎて夜も眠れないどころではない兄の話です。
また妹ものかよ。
また妹ものです、はい。
前回の「暮樫或人の怪異非存在」の妹ヒロインが、やや不器用で感情表現に乏しいキャラだったということもあり、今回は多分に気持ちの振れ幅が大きく、感情豊かな妹に挑戦してみました。お楽しみいただければ幸いです。

(あと、もし誤字脱字等ありましたら、どんどんご指摘いただけると、たいへん助かります……)

今回は妹系ヤンデレ伝奇ホラーアクションという趣向のお話なのですが、物語を作るに当たり、いろいろと設定を用意したものの、結局あまり使わずじまいとなってしまいました。
以下は、今回作ったけど使わなかった設定の概略です。↓↓


※※「ヨケノウタ ~お兄ちゃんにまとわりつく悪い虫は私がぜんぶ始末してあげるね!~」で使わなかった設定※※

・主人公の名前は「花降葉標(はなおり はじめ)」。旧姓は別にあるが、もっぱら下の名前で呼ばれるために物語中ではほとんど出てこない(という設定だったが、書いているうちに下の名前ごと消滅)。

・「憑蟲」には、さまざまな種類があり、尾長《オナガ》型(ムカデのような外見の憑蟲。準上級。多脚で力が強く、俊敏)、平四郎《ヘイシロウ》型(カメムシのような外見の憑蟲。中級。悪臭を放つ)、善徳《ゼントク》型(カメムシのような外見の憑蟲。中級。全身が黒く暗夜に紛れて動く。悪臭を放つ)……などが存在する。

・学園には、空木雪華(うつぎせっか)、山吹ケリア(やまぶき けりあ)、藤ふたき(ふじ ふたき)などのクラスメイトがいる。

・なずなには「つつじ」という名の姉がいる。

・花降家に代々仕える「花衆」という人々がいる。

・憑蟲を統率する「斎藤」という謎の人物。

・斎藤と行動をともにする謎の触角少女。

・斎藤を追跡する流浪のイケメン僧侶。

・《天道花》が力を発動させる前の状態は「束草(あっか)」という。
・学園の理事長は憑蟲疫学を研究する狂科学者で、憑蟲化した人間の魂は技術的に取り戻すことが可能とする「ニライカナイ理論」の提唱者。人類救済の鍵となるとされる「死者の書」を探し求めている。

・憑蟲殲滅を目的に設立された政府組織「MAXA(マクサ)」とそのエージェントたちの暗躍。


…………等々、まあいろいろあったのですが、短編の中では使いませんでしたね。
今後、もし今回の物語を長編化するようなことがあれば、上記の設定も活用されることがあるかもしれません……が、まだまったくの未定です。


今回のお話のモチーフは民俗行事のひとつである「虫送り」です。本来は、稲につく害虫を追い払うために松明や藁人形を燃やして行列する行事を言いますが、「虫送り」ではしばしば、稲につく害虫はかつての合戦で討ち死にした武将の怨霊の姿だとされました。これに同じ初夏の民俗行事である、ウノハナやナズナの花を下げたり、まじないの札を家に貼ったりすることで虫除けにするという風習とを組み合わせ、今回のような設定を考えたわけです。

ですので、ストーリーテリング的に言うと、今回はキャラクターとよりも世界観やギミックの設定が先行したパターンになりますね。なずなのヤンデレキャラなども書きながら考えていった感じです。

みなさんは、どういう順序で物語を構築されているでしょうか……?


――――というわけで、今回は、そういう感じでひとつ!
それでは!








【今回の主要参考文献】
・保立道久「巨柱神話と天道花 日本中世の氏神祭と農事歴」(保立道久 著『物語の中世 神話・説話・民話の歴史学』東京大学出版会、83~105頁) 1998年

・豊島修「北嶺修験の蓮華会と験競べ 太鼓乗り行事を中心に」『大谷學報』第74巻第4号、大谷学会、19~36頁、1995年
・飯島吉晴「花祭りと春山入り」『古事 天理大学考古学・民俗学研究室紀要』第19冊、天理大学考古学研究室、57~64頁、2015年
・金谷匡人「『防長風土注進案』にみる稲作と農耕儀礼」『山口県文書館研究紀要』第42号、山口県文書館、1~44頁、2015年

・折口信夫「髯籠の話」『折口信夫全集 2』(中公文庫)中央公論社、1975年
・折口信夫「花の話」『折口信夫全集 2』(中公文庫)中央公論社、1975年
・折口信夫「偶人信仰の民俗化並びに伝説化せる道」『折口信夫全集 3』(中公文庫)中央公論社、1975年
・柳田国男「年中行事覚書」『柳田國男全集 16』(ちくま文庫)筑摩書房、1990年



【できれば参考にしたかったけど今回は間に合わなかった文献】
・中村康隆「彼岸会と花祭り」(五来重[ほか]編『講座日本の民俗宗教 2 仏教民俗学』弘文堂) 1980年
・伊藤唯真『仏教と民俗宗教 日本仏教民俗論』国書刊行会、1984年
・田中久夫「生産儀礼と仏教 稲虫送りと斎藤実盛」(宮家準 編 井上光貞,上山春平 監修 大系仏教と日本人 9 民俗と儀礼 村落共同体の生活と信仰 春秋社) 1986年
・伊藤清司『サネモリ起源考 日中比較民俗誌』青土社、2001年
・小西恒典「美濃の虫送り」(小西恒典森隆男 編『民俗儀礼の世界』清文堂出版) 2002年
・岩下均『虫曼荼羅 古典に見る日本人の心象』春風社、2004年

・田中宣一「灌仏会と卯月八日」『宗教工芸』第3巻第10号、1982年






コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する