つらつらと。

来年には漸く20代半ば、という処まで来ました。死ぬか生きるか、悩みながらずるずると来てしまい、意地汚く何か残せないものかと思いついた先が石碑です。
元来、恐竜から始まり戦史、直近では世界大戦に関する本を読み漁っておりましたが、父の旅行癖が旧軍遺構好きへと走らせた後、拗らせて紀元節の記念碑、慰霊碑顕彰碑忠魂碑個人墓...と行き着いてしまいました。
学歴と自分の能力を考えてそれまでの分野では足跡、先行研究や郷土史家が数多居り、私には全く太刀打ち出来ません。然し、石碑、という分野に於いては私が驚くほど保存活動や所在地の調査、現状の調査、建立経緯が疎かになっているものが多々ありました。更に厄介な事に、個人墓を含めこれらの碑は必ずしも公共用地に建立されておらず、各所の自治体や研究機関の判断や調査もかなり曖昧となっております。加えて終戦からはや80年近く、各碑は痛み、区画整理で撤去・移動や無縁仏として処理されております。邪な考えを大いに含みますが、草叢に覆われ苔生す忠魂碑の姿と場所を探すことで戦没者の慰霊の一助になればと少しずつ所在地の確認と撮影を行って参りました。

忠魂碑を探すのに最も手軽な資料は何か、と申しますとGoogle Maps及び有志のGoogle My Mapsです。検索すると簡単に出て来ますが、残念ながら網羅はされておらず位置のズレや裏取りがかなり甘い場所があり参考程度にしかなりません。
書籍では2000年前後に活発となった慰霊顕彰活動の波で刊行されたと思われる、国立歴史民族博物館編集の 近現代の戦争に関する記念碑「非文献資料の基礎的研究」 という書籍がります。内容は各地の市区町村自治体及び地域史研究家の情報を基に、全国の石碑を掲載しているが情報が古く更に所在地が曖昧、地名が市町村が合併で現代と異なる、石碑の名前自体が間違っている、と助けにはなるが重要文献としては用いることが出来ず他の文献と照らし合わせ使うことになります。また、平成の大合併前後に刊行された市町村史・別冊に石造物の収録がある。こちらは遺族会や軍人会、私有地に配慮し所在地が曖昧となっている書籍が多いが確証は高く、限られた予算人員期間の中で丁寧な作業で刊行されております。
上記にも漏れる石碑に関しては、やはり郷土史家に頼ることになり、2000年前後ではまだ郷土研究会が多く存在し、会誌の一部は都道府県市町村図書館に収蔵されております。その中には、戦争に関する証言や旧軍の遺構記録と共に忠魂碑や慰霊碑の掲載されています。然しほぼ全ての研究会が解散しており、当の郷土史家も高齢のためお亡くなりになっていることが多く、残念でなりません。
自治体への問い合わせは担当部署が自治体毎に全く異なるという問題を孕んでおります。ある自治体では保健福祉の援護課が、別の自治体では保健衛生部が、他には教育委員会、援護課と多岐に渡ります。日常から歴史へと変わった事を示すように、担当部署が変わった自治体が多数有り問い合わせには難儀します。問題は担当部署の変更、及び引き継ぎに際し、全てではありませんが過去市町村史で収録された内容を把握できておりません。遺族に配慮し、公表することが出来ないという自治体もありました。尚、どの市町村に於いても珍妙な質問に対し親身に応対して頂き、様々な形で情報開示を行って頂けました。大変に助かりました、深く御礼申し上げます。
最後に使う物は足であります。現地に訪問し、非礼を詫びながら石碑の撮影をさせて頂いております。無論全て事前調査通りにあるはずも無く、逆に未調査の、通りがけにたまたま見つける石碑も1つや2つではありません。地元の方にもお声がけをさせて頂き、石碑に辿り着くこともありました。地元住民の方々、誠にありがとうございます。

各種SNSでは今の半端な調査程度でこのようなことを発信することは出来ず、ここにてほそぼそと書き連ねました。願わくば、県内全ての碑を参拝、撮影し私家本として納本、頒布していきたいと半ば夢物語ですが考えております。遅々として作業は進んでおりませんが、自分の体や予定と折り合いをつけつつ、せめてもの爪痕を残したいと思う次第です。

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