柿尊慈

実家に帰っても、甥の面倒を見せられ、挙句結婚への圧力がついてくる。帰省のつもりだったが、私は甥が懐いている、近所に住む男性の家で過ごすことにしたのだった。

ハチミツ好きの新美露葉は、いつものように公園のベンチで昼食を摂っていたが、疲れからかポタリと地面にハチミツを垂らしてしまう。新美よりも先に「もったいない」と嘆いたのは、突然現れた…

100回目の自殺未遂をする男。 100人目の友人を探す女。 100人目の告白をする女。 この世界はいつも同じ。誰もが同じ100回目を迎える。 「だけど君だけは、いつも違う話を書い…

海に向かって石を投げたら、人魚にドロップキックされた。 豆井と名乗るその人魚は、どこかの島から流れてくるボトルメールを受け取って生活しているらしい。 しかし私が投げた石のせいでボ…

クラニカはサーミー王国の王女さま。ある日、クラニカは悪の国の魔王を倒す旅に出ることに……。 ……という、野林緑里様のネタ帳から勝手にお借りしています。 ちゃんとしたファンタジー…

朝起きて、彼女の寝顔が目の前にある時に、愛おしさからキスをしたくなるものの、その前に歯を磨いた方がいいのかもしれないと毎回毎回悩んでいる。 （以前「小説家になろう」様で書いてい…

今月に入って、なんと5回目の結婚式である。 飽きてしまった俺は、会場の端でドリンクをつくっている男の子のところに居座った。 話しているうちに、何故か俺はその男の子のことが気になっ…

新幹線で隣に座った女性が、缶ビールを開けた途端に涙を流し始めた。 心配から声をかけた俺は、その美女とお近づきになったのだが……。 （以前「小説家になろう」様で書いていたものを加…

年下の彼の家に遊びにいくとき使っていた電車には、別れてから乗らなくなっていた。 その代わり、就職活動だなんだのために、やたらと東京に向かう電車を利用するようになったのである。 …

浮気相手を抱こうとした瞬間「ゴムがない」といわれ、急いで服を着てコンビニへ買いにいったものの、戻ってきたら「彼が来るから」といわれ、避妊具だけ奪われ追い出された。 俺の買ったゴム…

コンビニの新商品を買うと「高くない？　もったいない！」と抜かしやがる男ばかり引いてしまい、つい先ほども、コンビニの店内で男と別れてきた。 新商品は、コンビニ近くの公園のベンチに座…

気候変動ががんばりすぎたために、「地球温暖化！」なんて叫ばれていたのがおかしくなってしまうほど、日本の気温はかなり下がり、7月なのに、ここ数日の最高気温は10℃に達するか達さない…

私の、眠れない夜の日課は、かつて交際していた男たちを頭の中に召還して、眠れるまで会話に付き合ってもらうことだ。 （以前「小説家になろう」様で書いていたものを加筆修正したものです）

3列に並んでお待ちくださいという駅のホームの表示を見て、「実際に3列で並べるのなんて私たちだけだね」と3人で笑っていた記憶はどこへ行ったのだろう。 私を除いたふたりが恋人としてく…

ひとりぼうっと雨の中、傘を差して歩いていると、地面にビニール傘が落ちていた。 俺はその近くにしゃがみこんで、まるで子猫に話しかけるように、「そうか、お前もひとりなんだな……」なん…

交番の前に落ちていたエロ本に、腕を組んでそれを見下ろしている男性が「時代はデジタルだな」と呟くものだから、「いや、どういうことだよ」とついこぼしてしまった。 そこから、僕の健全な…

夜中に豆腐を買いにスーパーへ出かけようとした俺は、深夜の公園で鬼の姉弟を見つけた。 姉らしい女の鬼は美人だが、マシンガンのようなものをぶっ放している。 弟らしい男の鬼は美青年だが…

泉の底から、頭に斧の刺さったおっさんが出てきた。 頭に刺さった斧は伝説の斧だそうで、どうやら世界を救う勇者にしか抜けないらしい。 そしてなんと、僕はうっかりその伝説の斧を引き抜い…

友人の実家でもある近所の神社にひとりで年越し初詣をしていた蓮本連太郎（はすもと　れんたろう）は帰り道、身長2メートルのウサギが泣いているのに気づく。 「僕をおいて、仲間が月に帰っ…

新年の朝を迎えるべく潮幸四郎（うしお　こうしろう）が目を覚ますと、そこは見知らぬ土地だった。 目の前にいたのは、ミノタウロス。牛頭人身の化け物……かと思いきや、どうやら話が通じる…

友人である沢辺さんの知り合いから、宝探しサークルの活動に誘われた。 山の中で宝探しを進めるも、泉に浮かんでいる参加者の死体が発見される。 その泉は、宝があるとは示されていなかった…

小学校から退勤しようと歩いていると、自転車に乗った女子高生と衝突した。

彼女はよくモテるので、当然のように僕も彼女にいくらか惹かれているのだが……。 それを知ってか知らずか、彼女は毎週土曜の夜、僕の家でお酒を飲んでは眠りにつく。

数少ない友人に誘われて、同じ大学の学生の演劇を観に来た。 「昔、ニセモノのナイフが本物とすり替えられて、自殺する演技をした役者が 舞台上で本当に自分を刺してしまった事件があってね…

ある晩僕の目の前で、同い年くらいの男性の乗っていた自転車が爆発した。 バスだってガス爆発しない世の中で、いったい何があったのだろうか。 奇妙なことに、負傷した男性は、自転車が爆発…

重い鉄製の道具に慣れ親しんだ田舎町に、軽い物質の農具をもたらした富豪。 近頃富豪の周囲では、彼に対する脅迫の手紙と、不審な人物が目撃されていた。 富豪は気分転換も兼ねて、あえて少…

親友の冬子が、告白の呼び出しを受けたもののすっぽかされたらしい。 隣の席の千賀くんが言うには、そういういたずらが流行っているとのことだった。 そして告白の呼び出しはなんと、付箋に…

僕は長らく、とある神様の元で働いています。 最近、ご主人様の役職が変わったので、僕に押しつけられるお仕事も変わりました。 ご主人様よりもさらに高位の神様。 その方への献上物である…

私は何度も、彼に愛の告白をしている。 そして何度もフラれている。 30歳になっても、彼に告白をしている。

親戚の姉ちゃんが離婚した。俗にいう、ウイルス離婚だ。 我慢して我慢して――自分だけが我慢してるようで、ついに耐え切れなくなったらしい。 そんなこと言ったら。 俺だって相当、我慢し…

女子大生のリエは、ある日親戚の子どもを幼稚園まで迎えに行き、そこで働く男性教諭に一目惚れする。 しかしアプローチできないまま連休に突入し、リエは会えない苦しみを味わうことになる。…

家から出ないでも仕事ができる。 買い出しをしてくれる後輩もいる。 だめなのは、わかってるんだ。 このままじゃ、ガラスの靴を履いたって、舞踏会に行けやしない。

お金を使いたいけど使いたくない。 毎日こつこつ、スマホアプリで少女漫画を読み漁るＯＬ。 30歳を前にして、少女漫画なんて読んでるなんてバレたら――。 「あ、それ読んでるんですね」…

自転車がパンクした。 通りすがりの男の人が直してくれた。 久しぶりの、一目惚れでした。

ウイルスが落ち着いてきたので、久しぶりに歳上の彼女に会うことにした。 こんな状況だから、いつものようにくっついて歩くこともできない。 なんて思ってたけど、そうでもなかった。

大学、辞めるかも。 男は隣人の女から相談される。 仕方ないかと、男は思う。 止める義理はない。止めたい理由はあっても、そんな関係じゃない。 ふたりはいつものように、ベランダで言葉…

アラサー公務員・秋沢。 淡々と業務をこなすだけの彼女の楽しみは、退勤後に買うスクラッチ。 一攫千金の夢。叶いそうで叶わない距離感が、彼女を安心させていた。 しかしある日、彼女は宝…

別れた友人が、元カレとの思い出の指輪を私にくれた。 男避けになるからと言われたけど、私は結婚したいのよ。 っていうか、それでも話しかけてくる人いるじゃんか！ なんなんだよ、この指…