アレについて(ごまを読んでから読むことをおすすめします












数週間前のことです。

私はシャワーを浴びながら、書きかけのホラー小説について考えていました。


昔私のお家にいたナニカ。それと、私がノックおばけと呼んでいたものについて書いていました。
隅に住んでいたナニカ。あれについては、母も気づいていたらしいとの証言を得ています。
本当にジワジワと侵食してくるような妙な圧のようなものがありました。
ノックおばけと呼んでいたものが初めて出たのは、たしか小学生の頃。二階で母がミシンを使って縫い物をしており、真下の勉強部屋にその音が響いていました。私は勉強部屋で塾の宿題か学校の宿題か…ともかく宿題をしていました。
その時、勉強部屋のドアがノックされて、私はドアを開けたのですが、誰もいません。
奥のキッチンなどがある部屋を覗いてみましたが誰もおらず、その部屋と勉強部屋の間の階段を上がってミシンのある部屋に行きました。
母と妹がいて、私は妹に抗議しました。
「そういうイタズラやめて」
ですが、妹はやっていないというのです。
母も妹は「ずっとここにいた」と。
おかしなこともあるもんだとその場は流してしまいましたが、よく考えると勉強部屋のすぐ横の階段はよく音が響いて、しかも急だったので、あそこまで素早く音をさせずに上り下りをするのは不可能なのです。

ノックおばけのはなしはこれで終わりではないのです。
その後私は何回か引っ越すのですが、その先にもノックおばけはやってきて、突然ノックしていきます。
時には目の前の壁、時にはドア、窓。
ある風のない夜、窓をノックされた私は心底震え上がって、母の寝室に逃げ込みました。
するとどうでしょう、今度は母の寝室のドアがノックされたのです。
「くるなくるなくるな」
私は心の中で唱えながら、母の横で朝を迎えました。私は高校生3年生でした。

と、思い出して気づきました。
部屋のドアがノックされるということは。
ノックおばけは、家の中にいる。

私はシャワーを浴びながら、心底ゾッとしてドアを確認しました。

うそかほんとか。

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