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2022.5.10

 シャーロックさん、「JM」へのコメントありがとうございます。
 多くのシャーロキアンはこう思っているでしょう。シャーロック・ホームズは実在の人物だった、と。19世紀のロンドンを舞台とする架空の物語がまるで歴史の一コマのように感じられるのは、作品の根底に人間社会の普遍に通ずるところがあるからだと思います。

"Fact is stranger than fiction."

 ホームズの物語にはまさに"fact"を語っているような迫真性があります。様々な作家が様々な切り口でホームズ物のパスティーシュに挑み、魅力的な作品を生み出しています。そうした作品を読むにつけ、原作の奥行きの深さを感じます。
 「僕のクレイジーDAYS」、楽しく読ませて頂いています。原作のワトスンとホームズの出会いを踏襲しつつ、現在にホームズを甦えらせる物語の滑り出しはシャーロキアンならではの演出ですね。テンポのよい展開はまるで映画を見ているようです。「殺し屋ホームズ」が21世紀の世界でどんな活躍をするのか、この先が楽しみです。
 私自身は、19世紀という時代に強く惹きつけられます。特に文学の世界で、異彩を放つ作品が多く出た時代ではないでしょうか。時代の雰囲気の中に、そうした土壌があったような気がします。19世紀のイギリスというと、21世紀を生きる我々にとっては、ファンタジーの世界です。しかし、そのファンタジーの世界にも現在に通ずる普遍性があるからこそ、古典は色褪せることなく我々の心を打つのだと思います。その意味において、「シャーロック・ホームズ」は間違いなく名作の一つに数えられる作品です。
 そして、ホームズの物語の中で忘れてはならないのが、ワトスン博士の存在です。「シャーロック・ホームズ」は単なる推理小説ではなく、ホームズとワトスンの友情の物語でもあるからです。謹厳実直で情に厚く、騎士道精神に溢れるこの人物には、主人公以上の魅力を感じます。
 魅力的な登場人物、友情、冒険、推理・・・。19世紀のロンドンを舞台に重層的に折り込まれる様々な要素が、作品世界に奥行きとリアリティを与える。その世界に入り込んで、新たな物語を紡ぎ出すのは心躍る体験でした。あなたのような読者を得られたことは作家冥利に尽きる幸せです。

2件のコメント

  • Hiroさん、こんにちは。シャーロックです。

    ごめんなさい!
    こんなに温かなメッセージを頂いていたのに、今まで全く気が付きませんでした!
    一ヶ月もお返事をせず申し訳ございません!!


    いつものことですが、Hiroさんの文章を見ていると、自分の語彙力のなさを身に染みて感じます。一体どうしたらHiroさんのように美しく言葉を繋げることが出来るのでしょう。
    私はそういった文章の大人の本が書きたくて(いや、書けるはずだと思って)活動を始めたのですが、未だにその領域に辿り着くことが出来ません。

    おかげで「僕のクレイジーDAYS」はかなりのドタバタ劇です(笑)
    でも、Hiroさんに褒めて頂けるということは、「それで良い」ということですよね。本当にありがとうございます! これからも頑張りたいと思います。




    話は変わりますが、「ホームズの物語にはまさに"fact"を語っているような迫真性があります」との一文には深く共感しました。

    私がこの物語に出会ったのは、確か6、7歳の頃です。
    母の実家の本棚にあったものを何気なく手に取ったのが始まりで、それまではホームズについて何も知りませんでした。
    「彼は世界一の名探偵である」と言われていることすら、知りませんでした。

    だから「最後の事件」で彼がライヘンバッハの滝から姿を消したと知った時は、酷く取り乱したものです。
    お笑いになるかも知れませんが、その頃の私はホームズが実在の人物だと思っていたんです。それだけでなく、「いつかお会いしたい」と願っていました。
    (物語が面白過ぎ、一冊一冊の後書きや解説を読む前に次の本に手を出していたので、フィクションであることに気がつかなかったんです。また子供の理解力では、本文からそれを鑑みることも出来ませんでした)

    「最後の事件」というタイトルからして嫌な予感はしていたのですが、「いやいや、ホームズなら最後の最後で挽回するはず」と思っていたので、「残念」とか「悲しい」とかそんな言葉では言い表せないほどの喪失感に襲われました。同時に、「ワトソンが可哀想」って、そっちの方にも泣けて来てしまいました。
    そう、本当に私は泣いていました。





    あ、ごめんなさい💦
    用事が出来てしまったので、続きはまた後で書きます。
    何やらごちゃごちゃとすみません……
  • シャーロックさん、こんばんは。いつもコメントをありがとうございます。
    私が文章が上手いなと思うのは、浅田次郎さんです。流れるような文体はとても読みやすく、それでいて風格を失うことがない。その浅田さんがどこかでこんなことを書いていました。小説を書く上で最も大切にしているのは、美しい文を書くことだ、と。その次がわかりやすい文を書くこと。そして、最後が内容の面白さ。
    私は全く逆の発想で書いていたので、これを読んだときには愕然としました。しかし、書き手の考え方や癖はそう簡単に改められるものではなく、結局は自分の道を追求してゆくしかないのかな、とも思います。
    浅田さんの作品の中に、文豪の作品を只管模写する文学青年の話が出てきます。おそらく筆者自身の姿に準えているのだと思いますが、私にはとても真似が出来ません。さらに、浅田さんが原稿を書くときは、ワープロやPCを使わず、手書きで原稿用紙に書き込むそうです。もしかすると、大作家への道はその辺りにあるのかも知れません。(最近、石原慎太郎の「天才」を読んで、夏目漱石の文に似ているなと思いました。勿論、私がそう感じたというだけですが・・・。)
    私自身は文は個性だと思っています。偉大な先達に学びつつ、自らの個性を磨いてゆくことで、少しずつ美しい文章が書けるようになるのではないでしょうか。
    ホームズのことについては、またいずれ・・・。
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