異世界転生を果たしたタクト王子。しかしそこは、美と醜の価値観が完全に反転した狂気の王国「ブサイク国」だった。
左右非対称の顔は「宇宙のゆらぎ」、焦点の合わない目は「時間を見通す慧眼」、口元の曖昧さは「存在と無の体現」――。
口達者なホラ吹きライアー公爵は、王子の身体的コンプレックスや持病の数々を「至高の美」として大げさに讃え上げる。
「それ全部、日本じゃコンプレックスって言うんだわ」
冷めたツッコミを入れつつも、事態を適当にいなす王子。
だが、言葉で世界を支配しようとする公爵の言説に対し、王子と王妃が取った思いがけない「ずらし」の戦略とは――?
これは、ただの美醜逆転コメディではない。
意味がいかに作られ、いかに壊されるかを描いた、笑いと脱構築の皮肉な寓話である。