おはようございます。藍川陸里です。
拙作『老の坂』を読んでいただき、誠にありがとうございます。世の中にはあとがきの方から読まれる方もいらっしゃると聞きますのですが、興を殺いでしまう可能性がありますので、ぜひ本編からお読みください。
私は小説には必ず自分の好きなものを詰め込むようにしています。今回詰め込んだものは卒業式、桜、少年、少女、首、手品、幽霊、叙述トリック等です。とにかく自分の趣味を入れていったらこんな短編に仕上がりました。ですので、もしも読者の皆さんが何かこの短編を読んで感じるものがあれば、それは私と趣味が合致している可能性があります。
なお、今回は舞台を京都と設定しております。京都には何度か訪れたことがあり、伏見稲荷をはじめとする雄大かつ繊細な観光名所の数々を堪能したことはございます。しかし、私は本編で登場する老ノ坂なる場所に入ったことがございません。もし京都在住の方で「老ノ坂はこんな場所ではないだろう」といったご不満等ございましたら、それは私の取材の怠慢ということでございますので、お詫び申し上げます。
スペースが余ったので、最後にちょっと小ネタを。
実は最初、佐藤が京都霊園の肝試しの途中で鼻歌を歌うシーンがありましたが、友人からの非常にありがたいご指摘により、泣く泣く削除することになったのです。ですが、このままお蔵入り、というのも少し勿体無いので、この「補遺の坂」にてその歌詞を公開したいと思います。
山道って何でできてる?
砂や石
そして夢
そんなものでできてるよ
お墓って何でできてる?
石と骨
そして記憶
そんなものでできてるよ
幽霊って何でできてる?
骨と空気
そして思い出
そんなものでできてるよ
私って何でできてる?
夢と記憶
そして思い出
そんなものでできてるよ
この歌を削除するようにと指摘していただいた私の友人に、全力で感謝いたします。
だいぶ夏めいてきた札幌某所の私の秘密基地にて
藍川陸里