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『ざま俺』後書き的なもの

拙作「『ざまぁ』される俺たちにも救済を!」が、6/10に完結いたしました。
読んでいただいた読者の皆様には、本当にありがとうございます。

前回の近況でも書かせていただいた通り、途中で執筆が途絶えてしまった期間があり、本当に申し訳ございませんでした。

自分の備忘録も兼ねて、後書き的なものを残しておこうと思います。

ネタバレは極力しないつもりですが、後書きという性質上どうしても展開に触れますので、ブラウザバックは自己責任でお願いできたら幸いです。



















<執筆の経緯>
私の場合、別作品の「アンロッカーズ」がいわゆる処女作となります。
それ以前に小説を書いたことは毛ほどもなく、「ざま俺」は2作目です。

「アンロッカーズ」は、作者としてはめちゃくちゃ面白いと思っているのですが、自己評価に反しスコアは伸びず、初めて立てたプロットは壮大すぎて終わりの気配がなく――といった状態で、執筆のモチベーションが下がっていました。

「アンロッカーズ」の第5章が自分でも想像以上にうまく書けたこともあり、やや燃え尽きていたという状態でもありました。

「アンロッカーズ」は異世界転生物ですが、構造的にはアンチテンプレです。

当時は『ざまぁ物』が非常に流行っていたこともあり、気分転換的に「自分が『ざまぁ』を書くなら」と脳内シミュレーションした結果、「様々な異世界を訪れて『ざまぁ』自体を阻止する」という設定、そしてエピローグの光景が思い浮かんだのでした。

また「アンロッカーズ」の方が終われる気配がない中、「一作品を完結させた経験がない」「自分は他にどんなジャンルが書けるのかわからない」といったことも気になっていました。

「ざま俺」については、

・おそらく単行本1冊程度の文字数で終われそう
・各ケースを「冒険者」「悪役令嬢」「クラス転生」「ラブコメ」とすることで、自分の幅を広げられるのでは
・アイデアが旬のもので、やるなら早くやった方がいい

といったメリットも見えてきたので、「アンロッカーズ」を中断して執筆を踏み切ったのでした。

ですので、「ざま俺」は作者的には「習作」に近い位置づけでもあります。

……とはいえ、完結まで時間がかかり過ぎたことを猛省している次第です。



<ケース0について>
ユーゴが死んで、世界の構造を明かされる部分ですね。
導入です。

この時点でメタメタな話になるので、嫌いな人は離れるだろうなと思いつつ、そこは割り切っています。

冒頭のインパクトを出したくて、第1話でいきなりユーゴには死んでしまってもらいましたが、「え……死んだの?」的な反応もいただいており、序盤の掴みというのは本当に難しいなと思います。


<ケース1について>
執筆当時のことをあんまり覚えていない…苦笑
結構すんなり書けたような記憶があります。

今見ても簡潔にまとまりつつ面白いなーという感覚があり、本作品の中ではいちばんうまく書けたエピソードです。

コメディ的なやり取りを書くのが割と初めてで、これでいいのかと思いつつ自分では楽しく書けました。


<ケース2について>
執筆前のプロット作成時に苦労した記憶が。

ざま俺のプロット立ての際には、「ユーゴ達が訪れない場合の展開」をまず用意して、そこからユーゴ達がどう干渉するか、という形で検討していきました。

悪役令嬢物は「ゲーム世界に転生」がポピュラーなため、

「ゲームのストーリー」→「ゲーム世界に転生者が現れた場合のストーリー」→「更にそこにユーゴ達が介入した場合のストーリー」

という三重構造に大混乱。

あとは、ミヒャエル君。
プロット作成時はただのモブ設定だったのですが、書いていくうちに彼が存在感を示しだして、いつの間にか主要キャラになっていました。


<ケース3について>
クラス転生。
影野の能力を強くし過ぎた……と幾度も後悔しましたね。
何でもあり過ぎて展開のしようがなくなりそうで大変でした。

『最強もの』を書ける人はすごいなーと思います。

クラス転生では登場人物が増え、場面が複数あって、一人称で描き切るのが困難になりそうでした。
とは言え〈side ○○〉的ないわゆる「一人称多視点」は、なるべくなら使いたくない。

結果としての解決策が『分身』の能力でした。


結末についても悩みました。
当初プロットでは「ユーゴの能力で転生自体をなかったことにする」という結末でしたが、執筆が進むにつれ、「本当にそれでいいのか?」と、作者自身疑問が生じ。

「キャラ達の成長はなかったことにせず、いつか自力で帰る」の方がいいよなあ、と思いつつ、「でも関係ない生徒からしてみたら絶対にさっさと帰りたいよね」という思いもあり。

最終的に、結末を明示するのは避けることにしたのでした。


キャラと言えば、執筆しながら格が上がっていったのが森君ですね。
当初はただのオタク系キャラでしたが、気づけば本エピソードの裏主人公となりました。


<ケース4>
幼馴染ざまぁ。

ここで視点がユーゴから切り替わり、混乱させてしまったかもしれません。

と言うのも、ラブコメって恋愛ですから、男女の二人きりの世界なんですよ。
「ざま俺」で言えば調と美音ですね。

ですが一人称作品ですから、主人公の見聞きしたことしか描けないわけで。

ユーゴが調と美音のいちゃつきを四六時中監視している……って、嫌じゃないですか。

そんな理由で、ケース4は視点変更に踏み切り、一人称多視点を導入したのでした。



ケース4にはいちばん苦労しました。

やってみて、「自分にはラブコメは書けないな」という認識をしました。
おそらく、相当気が向かない限りは、今後ラブコメは書かない気がします。
(読むのは好きなので、再チャレンジするかもしれません)


まず、今まで書いたことがない要素に筆がなかなか進まず……。

一方で、クラシック音楽ものもいつかやってみたくて、音楽要素も絡めたのですが、そっちはすらすら書ける。幾らでも書けちゃう(笑)。

結果、音楽描写にやたら文字数を使ってしまい、何ともアンバランスな構成に。


途中で、「『ざま俺』に惹かれてここまで読んでくれた読者は、音楽要素は求めてないだろう」という判断をし、さらに「カットなしバージョンの方は「スピンオフ」として別作品に託す」と決め、音楽描写の大幅カットに踏み切ったのでした。


もう一点、プロットにも失敗がありました。

途中、柚希が調=メロだと確信する場面。

当初は、
「携帯の履歴から改めて自分に送られた曲を聴くと、ファンナイの新曲に酷似していることに気づく」→「調を問い詰め、調が白状する」
というプロットでした。

しかし、「送った曲をリライトして公開すると決めた時点で、普通削除するでしょ」「問い詰められても、その場面では普通教えないでしょ」とセルフ突っ込みが入り、打開策をなかなか見つけられず。

結果として「柚希が調の後をつけて偶然知る」という形に落ち着きましたが、この案を思い付くまで数週間かかり、執筆が止まってしまったのでした。



後書き的なものは以上になります。

スピンオフとしてケース4リライト作品は、『有名音楽クリエイターは美少女ヴァイオリニストと恋をする』というタイトルで公開中です。
柚希のキャラクターが大幅に変わり、作品に深みが出たなあと思います。
展開や文章は結構同じですし、音楽描写も多いので興味がない方には退屈かもしれません。
『ざま俺』を最後までご覧いただいたからこそ味わえるものもあると思いますので、よろしければぜひ。




次は「アンロッカーズ」を再開せねば…!!

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