知ってた。

真綿にくるむように、きみを愛す。それが如何に難しいかをきみは知らない。きみは気づく、ほんのささやかな誤解も孕ませない。それは与えられる者にとっては柔らかでぬくぬくとした気持ちのいい陽だまりにもなるけれど、それと同時に同じそれがきみにとっては消耗であり疲弊であり、柔らかなその産毛をこそぎ落とされるような、ちょっとした事件にもなる。わたしは深刻にそれを思う。美しいきみとそれに似合うきれいな心、たくさんの人々に相応に愛されているきみにわたしは何を渡せるだろう。渡しても許されるのかもわたしは知らない。無垢という言葉があるけれどそれはあまり良いことばじゃない。なんていうのかなそれがわたし。

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