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「【死神】になったから、この世界を終わらせようと思う」完結と解説について

5月19日の23時に最終話まで投稿されます。以下は本作を全て読み終えた前提で書きますので、まだ読んでない方は後で読むようお願い致します。


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最後まで読んでくださり、そして活動報告を見て下さりありがとうございます。また、読み終えてからこちらに来た方は、わざわざ覗いて頂けたということですので、この作品をちょっと気に入ってくれたということではないでしょうか。ありがとです。

さて、書くことはあるのですが、既に内容は決まってますので、以下「小説家になろう」の活動報告に記載されているのとほぼ同じ内容ですが目を通して頂けると幸いです(冒頭と重複する箇所があるかもしれませんが、その点はスルーでお願い致します)。


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※重大なネタバレ含みます!本編未読の方は御遠慮を!

まず初めに、本作「【死神】になったから、この世界を終わらせようと思う」を最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

前作は一応キリの良いところまでは書いたつもりですが、改稿が済んでなかったり、気分が乗らなかったり(オイ)、ともあれ、ちゃんとした一作書き上げるというのは初めてなんです。二十万字越え。文庫で言えば分厚い二冊でしょうか。それだけのものを読んでもらえただけ感無量です。

本当にありがとうございます。

さて、折角こちらのほうを覗いて頂けたということなので、少しだけ本作の解説をさせてもらえたら。

皆さんは、この作品のテーマは見えましたでしょうか? 

人を殺しては駄目。殺人は罪。罪の重さ。その重さからくる陰鬱。どれも間違いではありません。そこは読んだ方の“印象に残った部分“ですので、十人十色、自分の感性を大事にして頂けましたら。

その上で語るのも妙ですが、僕が書いたこの作品のテーマは『生と死による苦悩』そして『繋がり』です。特に、その心の内を書きたかった――というのが本音です。

 その葛藤と苦悩は様々だったと思います。正しい殺人とはなんだ。友人を殺めなければ不幸にならなかった未来。自分が生きたいがために殺めるということ······などなど。説明は下手ですが、書きたかったのはそのようなものです(伝わってると嬉しい)。

また最後の場面ですが、誰でも殺せるチートな能力を持ち、人間らしい苦悩を抱く主人公が、全ての元凶である“神“を殺す部分。彼はその与えられた能力を使わず言葉を放ちます。あれは、人間が抱くものである人間の心の部分を殺すという意味でした。しかし、ただの復讐ならばそのまま鎌で殺せばいいものの、そうしてしまったことで彼は自分に「最低」だと言ったのです。心の苦痛をよく理解してきた人間であるがために。実際、あの“神“は絶望と無気力の底へ堕ちたことでしょう。

ですが「最低」と言った言葉の裏には、彼を『人』と認めていた部分もあります。それこそ『最初の【聖女】の蘇生』――“神“が世界を続けていた理由ですね。きっと、誰もが願うであろうことを“神“はしようとしていたから。イルフェースはそこに人らしさを見てしまったから、最後の最後で彼を人と扱い、自分を「最低」だと言ったわけです。だから彼は、岬で孤独のままで彷徨っていました。ただしかし、そんな彼を導いたのはまたしても······というわけです。

その箇所の描写はスピード感維持のため少なく、やや読み取りにくいですが「なるほど」と思ってもらえたら幸いです。



さて、少し暗い話題になってしまいました。
ということで話を変えましょう。

そこで少しこれに触れさせてもらいます。

「【聖女】マリアンヌ」

と、それに入る前に“贈り物“というのが最後だけ“ロザリオ“に変わっていたのはお気付きでしょうか?勘の言い方はこの時点で、いやそれよりも前に気付いてるのかもしれませんが、それに関するものと言えばあれですね。

······はい、そうです。“聖母マリア“ですね。

僕は聖母マリアがどんな人物として扱われているかはよく分かりませんが、誰もに愛される存在なのではと思ってます。実際『聖母』には人徳を極めた女性に送る敬称でもあるそうで(Wikiより)。

ともあれ、そんな本作には世界が変わってからの描写は一切書かれていません。しかし、最後の話だけ“贈り物“がロザリオとなったことから、そこに少しだけ妄想を膨らませていただけましたら幸いです。

······軽く補足しますと、実は、ロザリオというのは聖母に祈るために使われる道具だそうで、つまり、最後になってそれが変わったということで彼女がどういう存在になったかは想像できるのではないでしょうか? また、協会に聖女=教会に聖女と無理矢理繋げた部分もありますので、その辺りも「はぁはぁ、なるほど」と思っていただけましたら幸いです。

さて、再び少しだけ暗い話題に戻りますが······。

実は本作の中で、一番哀しい人間というのはマリアンヌです。なんせ、皆を救ってきた存在である彼女が『誰からも救われない運命』を歩んでいたわけですから。皮肉としか言えません。そしてここで疑問になるのが、何故イルフェースはこの“本物の神“が作った世界は壊さなかったのか。

理由は様々です。

リリィが居るから。友人が居るから。そもそも必要がないから······などなど。しかし、一番の理由は彼が彼女を愛していたからでしょう。

この世界は、自分を救った彼女の愛した世界でもあった。

そうでなければ今頃、人間から成り上がった“神“ではなく、作中にもある“万物を創造した神“の作品をも、彼は壊したことでしょう。

ともあれそうして彼は、自分の命を費やす“モノ“を見つけ奔走。これだけは、是が非でもやらなければならない使命だというように。後は、本編に書いてある通りです。彼は、人間の私利私欲、間違いは絶えないものだと痛感しながらも、人の犠牲が人であるこの世界だけはいけないと、自分も含め、それら諸悪の根元を終わらせようと思ったのです。

それが正しかったのか本当の所は······誰にも分かりません。

そんな彼等のせめてもの救いと言えば、繋ぎ直された『絆』と『花』でしょうか。絆は勿論イルフェース側、花は主にマリアンヌのほうへと思って頂けたら。彼岸花そのものの花言葉は「悲しき思い出」「再会」。赤い彼岸花は「情熱」と「独立」。白い彼岸花は「また会える日を楽しみに」そして「想うはあなた一人」です。リリィの件から、彼女も好意を実は抱いていたのではないと言える描写です。彼女の願いは“子供の未来が明るい方へいくこと“ですから。

······詳しい想像は御自由にお任せします。

さて、長々と記してしまいましたが最後にもう一度だけ。

「生と死」というテーマ。そこに生まれる葛藤。その一部をこの作品を通して見ていただけたのではないでしょうか。もし、届いていたならば本望です。

改めて本作「【死神】になったから、この世界を終わらせようと思う」を読んで頂き、本当にありがとうございました。

そして、この小説を読んだあなたの前述以外の何かでも心に残ったのならば、やはり、この上ない本望でございます。素人ながら作家冥利に尽きるというものです。また、これは私事ですが、冒頭に述べました通り『初めてちゃんと終わらせられた作品』ですので、それが誰かの琴線に触れるというのはやはり光栄です。

しばらく、このような作品を書く予定はございませんが、今後も執筆はひっそりと続けるつもりですので、どうかこれからも『浅山いちる』の作品を御贔屓にして頂けたら嬉しい限りです。こんな拙い後書きにまで目を通して下さり、本当にありがとうございました。

ではまた、次に会える日まで。

令和2年 5月7日 浅山いちる

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