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無念也。不覚を取りました。(重い話ではないです。たぶん)

こんばんは? おはようございます? はい、岩井でございます。
現在執筆中の『いもうと、キミにきめたっ!』をご高覧いただいている皆様方に、悲報といいますか、お詫び申し上げます。

今作は、エンタメ性の発展、ストーリー転換、登場人物数の肥大化などの事情により、一度【更新停止】処置をとらせていただく運びとなりました。

これは、最初に書いたもの(第28話まで)、及び二代目(第24話まで)の両方に適用される決定事項です。

PV、♥、★をくださった皆様、誠に申し訳ございません。
これはひとえに、この岩井の実力不足によるものです。

代わりに、といっては何ですが、同じく『ラブコメ』枠にて、次作を書き出すことのできる体制を構築中です。大変厚かましい物言いになりますが、もし万が一、「えー? あの話途中で終わるのってどうなの? 最後まで読ませろ!」という方、いらっしゃいましたら、またご高覧いただけると幸いです。

ご意見・ご批評・ご質問などございましたら、どうぞご遠慮なくこの近況ノートや作品のレビューなどに書き込んでいただけると幸いです。

では、ひとまずはこのあたりで<(_ _)>

5件のコメント

  •  こんばんは。
     ご依頼の、『絶対妹防衛戦線』第一章の感想です。
     あまり改行や空行を入れすぎてもと思ったのですが、黒すぎることは否定できないので、読みにくかったらWordに貼り付けたり編集したり、工夫してください。

     一読した印象は(言葉を選ばずに言えば)「ぼんやりして退屈」でしたが、読み直していく中で、それは矛盾点や不明点が多いからで、そこを整えればスッキリするんじゃないかと思いました。スッキリさせただけでは平坦で退屈な印象は残りそうですが、本作自体が退屈というより、先行作品にいくらでも似たようなものがありそうというのが大きい気がします。初っ端から独自色を出して差別化を図るのを選択肢に入れてもいいかもしれませんが、僕の個人的な感覚では、題材的には何番煎じでも需要がありそうなので、序盤で冒険をする必要はないと思います。序盤はまだ助走というか、主人公やその生活が変化しそうな予感があれば充分でしょう。読者も分かってくれるはずです。また、矛盾点や不明点をスッキリさせる中でキャラが立てば、台詞や行動も変わるはずなので、とりあえず、そうした修正の中で軽妙なユーモアを追加投入できれば、ラブコメの序章としては成立するかな、と。

     矛盾点や不明点の話をする前に、本作第一章の構造について、確認というか、僕の印象を語らせていただきます。専門的な用語や理論を知らないので冗長になりますが、悪しからず。
     最近の純文学はそうでもないですが、基本的にエンタメ小説は何かのテーマがあるものだと思います。本作の場合、冒頭でどうやら主人公が妹の春香(あるいは親を含めた家族・家庭)を「失って」いる状態にある、つまり、主人公が精神的な「喪失」・「欠損」を乗り越えられていないことが示されます。僕としては、これが作品全体のテーマになってくると期待しています。何かを失って停滞している人が、何かを得ることで再起する、成長を遂げる、前に進むというのは、いわば物語の王道であり、これ自体は順当です。冒頭でこの方向性が示されている点はとても良いと思います。
     ただ、物語の変化や落差という点で考えると、この喪失状態はより悲惨な方が分かりやすくはあります。その点、この主人公はちょっと微妙です。あまり引き合いに出されたくないかもしれませんが、『いもうと、キミにきめたッ!』の場合、豪邸に住んで大学に在籍しながらも主人公が引きこもりになっていたので、喪失から再起しなければならない、本人も再起を必要としているということが分かりやすかったように思います。一方、本作『絶対妹防衛戦線』の場合、悪夢にうなされる主人公を起こして身の安全を保証してくれる弦さんと、悪夢という極めてプライベートな悩みを話せる親友の寛がいます。
    「例の事故以来、他人に対する興味などというものは霧散してしまった」
     という独白はありますが、家でも学校でも、主人公が孤独や劣等感に苦しんでいる様子はなく、精神的な「安全基地」がある状態です。ハリポタで言えば、1歳で両親を失って預けられた叔母の家でいじめられ、11歳まで孤独かつ惨めに過ごしたところで、突然、魔法学校に勧誘され、魔法学校で生活していく中で友達ができたり一緒にヤンチャしたりしますが、この落差によって喪失からの再起がドラマチックになっています。本作はそこが微妙なわけです。
     別に弦さんや寛を嫌なヤツにしろ、ルリアなんかじゃれ合うな、ということではなく、主人公が彼らと彼女に完全には心を開けていないとか、彼らとの生活の中に安らぎを感じられていないという要素がある方が、分かりやすい話にはなるかな、ということです。もちろん現実には、悲惨な出来事を経験した人間も元気に楽しく生きようとするものですし、人生は意外と騒がしいので、気丈に振舞っている内に実際に元気になっていくことの方が多いと思いますが、物語上の仕掛けとしては、ということです。逆に言うと、この点は修正してもしなくても、物語の大筋を変える必要は生じないと思います。
     ついでに言うと、落差の点から言えば、主人公の高校がエリート校なのはちょっと考え物ですが、
    「勉強以外にやることがなかった」
    「春香のことで頭が一杯になっていた時期もある。だが、だんだんそれが恐ろしくなってきて、気分転換の手段として受験勉強をこなしていた」
     と本人が言っていますから、まあ、いいでしょう。仮に、春香の件が中学校で広く知られていてそれが気まずかったという設定が可能なら、春香の件を知る人がいない学校に行きたくて、でも遠方の学校に行くために一人暮らしや寮生活をするのは(薬の都合や弦さんの教育方針的に)無理だったから、猛勉強して電車通学できるエリート校に進学した(そしたらなぜか寛も同じ学校に受かってた)みたいな話もアリかなと思います。あるいは、春香の件の前からこの学校を目指していて、そのことを知っている弦さんが主人公を励まし続けたとか。普通に考えるとどうしても、「春香の件があって勉強どころではなかった、となる方が自然では?」という考えが出てくるので、主人公をエリート校に向かわせる何か外的な要因があった方が、納得感は得やすい気がします。
     主人公が妹関連の「喪失」から再起できておらず、現在の人間関係に難を抱えていると仮定すると、摩耶と美耶という幼馴染が編入してきた場面は、主人公にも読者にも将来的な「再起」を予感させるシーンになると思いますが、現状そうなっていないのはちょっと惜しい気がします。再会場面にしても、そもそも月野摩耶・美耶という名前は昇降口に張り出されているのを寛が読み上げていそうですし、彼女たちが教室に入る前にも教諭が告げているので、主人公はそのときに「もしかして……」と考えるはずです。そう考えない辺り、主人公は彼女たちのことをあまり覚えてないように思えるんですよね。その程度の関係ということではないなら、ここは多少無理をしてでも、小出しにせずドラマチックにするべきだと思います。また、摩耶の服装が破天荒という描写があるので、主人公がまとっている心の壁みたいなものを軽はずみに破っていくような場面を入れて、それで主人公が思わず笑顔になる、あるいは反対に機嫌を損ねて八つ当たりしてしまう、みたいな展開が面白いというか、順当(つまりラノベファンが予想し期待するところ)なのではないかと。少なくとも、摩耶・美耶と再会したことで主人公の心情に何かの変化、あるいは変化の予感が起こるのは必須だと思います。そうでないと、物語が動いている、動いていくという感じを得にくいです。

     さて、矛盾点や不明点のお話。

     まず季節が、夏なのか秋なのかはっきりしないと思います。第1話で弦さんが「明日は高校の夏期講習」、寛が「もうすっかり夏だな」と言っていること、第3話の地の文に「俺たちだってまだ入学して三、四ヶ月しか経っていない」とあることなどからは、夏休みの序盤(7月末?)くらいだと思われます。第2話で主人公が地の文で、
    「一年生の間にも、入学時の生徒数は一五〇人だったが、編入生の特別枠でやって来た生徒は十人はいる」
     と言っているのは、主人公がすでに高校で一年生を経験し終わった(2年生以上になっている)ことを示唆しているように読めますが、「一年生の間にも」が誤植で正しくは「一学期の間にも」だと解釈して、問題にしないことにします。問題なのは、(夏休み中のはずなのに)編入生が来ること、初登場時の摩耶がブレザーを羽織っていること、第3話の地の文に「今日の授業は専ら今後の授業の進め方に関するコメントがあるだけだ」とあること、第5話でルリアがジーンズ(デニム地のおそらく長ズボン)を履いていることなどで、これらの記述からは、春あるいは秋の涼しい季節が想定されます。
     春ではクラスの出来上がっている人間関係の中に摩耶・美耶が異邦人として放り込まれる展開に重みが出にくいので、2学期に入ってからが自然な気はします。ですが、夏休み中もナシではありません。ひと夏の出来事みたいなのは学園ものの定番と言えばそうです。設定としては、
    “夏休み中ではあるが、エリート校の夏期講習は普通の授業と同じように行われるから、編入が決まった生徒がいち早く馴染めるように2学期を待たずに紹介された”
     といったところでしょうか。出席日数の扱いが気になりますが(出席にカウントしないが自由意志で夏期講習に出るのか、他校の授業では授業時間が足りないから夏期講習で在校生に追いつくという扱いにするのか……。考え始めると、精神的に参っていて自殺未遂まで犯す主人公が、律儀に夏期講習に行って真面目に授業を受けるのか、授業についていけてるのか、といった疑問点も出てきます)、学校自体が変則的なようですし、学園ラブコメに多少の無理は付き物でしょう。

     それから、人物関係です。不明点が多いです。
     本作には昔馴染みが多く出てきますが、誰がどういう立場でどのくらい主人公に近しく、どのくらい春香の件を知っているのかが、本文を読んでいてずっと気になりました。
     弦さんは「俺の両親が別れる前から、ずっと風見家に仕えてくれていた執事」とのことで、主人公を守ると言ってくれていますが、どうして春香のことは守ってくれなかったのでしょうか、守れない事情があったのでしょうか(ついでに言うと、高齢だそうですが、「銀行強盗を素手で返り討ちにした」のは風見家の執事としてでしょうか、それ以前でしょうか)。
     寛は「偶然にも俺と同じ、小学校、中学校、高校と進んできた腐れ縁」、「俺の妹、風見春香の一件を知っている」、「春香はこいつに懐いていた」とありますが、それなのに主人公の幼馴染である摩耶・美耶と面識がないのはどういうわけでしょうか。主人公は朝に寛と悪夢の話を(もしかすると自殺未遂の話も)するほど親しいようですが、昼休み、寛と一緒に昼食を取りながら摩耶・美耶との関係を聞かれたり教えたりしないのでしょうか。
     摩耶・美耶が主人公と友達だったのはいつでしょうか。仮に小中高とは関係ないところ(学校以外)で出会ったとしたら、どんな関係でしょうか。姉妹は主人公に対して腫物を触るような態度は見せていませんが、春香の件を知っているのでしょうか、そもそも春香とは面識があったのでしょうか。春香と面識がない程度の関係だとしたら、他人への興味を失っているはずの主人公がどうして、この姉妹がクラスに馴染めるか気に掛けているのでしょうか。そして、主人公はどうして、読者が知らないところで、姉妹を家に連れ込むことを決めて、弦さんにまで話を通しているのでしょうか。
     小説ですから、最初からすべてを明かせとは言いませんが、ごく簡単なものでいいので、ノータッチではなく何らかの説明が欲しいです。欲しいときに欲しい情報がないまま話が進んでしまうと、人物の心情や関係性に関わる出来事があっても、そのインパクトが伝わらなくなります。
     弦さんが主人公を守ると約束する場面にしても、その後を見ると、自殺を試みた若者を部屋に一人で寝かせたり、翌朝学校に行かせたりしているので、どこまで本気で、どんな覚悟があって言ったのか分かりません。寛にしても、「いいやつ」だと主人公は言いますが、元が無神経だから軽薄に振る舞っているのか、本人なりの気遣いであえて明るく振る舞っているのか分かりません。摩耶・美耶に至っては、分かっているのは主人公だけで、読者にはちんぷんかんぷんです。たとえば主人公が美耶を気遣う場面ですが、友情が昔のまま変わっていないというシーンなのか、昔は人見知りで自分から姉妹に話しかけなかった主人公が積極的に美耶を気遣うという年月の流れを感じさせるシーンなのか、その辺りもよく分かりません。
     それから、人間関係だけでなく性格の話にもなりますが、主人公は本当に春香のことを忘れられずにいるのでしょうか。春香を守れなかった弦さんが何の根拠もなく主人公を守ると宣言すること、春香が慕っていた寛が女癖の悪い高校生になっていること、年下の幼馴染という、(昔の)春香とダブりそうな立ち位置の美耶と思いがけず再会したこと、摩耶が妹の美耶をあまり気に掛けず自分だけ先にクラスに馴染んでいることなどについて、何か思うことはないでしょうか。僕の見落としでなければ、そもそも春香の件から何年経っているのか明かされていないように思いますが(最初は作品冒頭を念頭に主人公が小学生、春香が4歳のときに「例の事故」で春香が亡くなったのかとも思いましたが、春香が誕生日を祝われることに小学生の主人公が嫉妬していたという話と、離婚のとき「両親のどちらも親権を主張せず、捨て子同然の扱いをされていた俺と妹」という記述を見ると、春香に何かあったのは冒頭のシーンのずっと後でしょうから、正確な時期は明かされていないと解釈しました)、何年経っているにしても、ふとしたきっかけの度にチクリとするものじゃないでしょうか。何かを思っていることは確かだが地の文には出さない、という表現もあるでしょうが、本文を読んだ印象では、言語化するのが難しいほど複雑な心情を抱えているわけではなさそう、というのが正直なところです。仮にそうなら、会話の中で言い淀んだり、慎重に言葉を選んだりするはずですから。

     人物ごとの性格についても、矛盾点や不明点というか、そうはならんだろということが多くて、(言葉を選ばずに言えば)パッとしません。岩井さんの作るキャラクターがステレオタイプ通りではなく“分かりにくい”のは良い点だと思いますし、そこは変えてほしくないですが、本作で言えば、初登場シーンやその台詞に、人物像を反映したものが何か欲しいです。極論、奇抜な女子を登場させるなら、
    「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい」
     くらいのことは言わせてほしい。岩井さんの『ガールズカルテット!+俺』の朔実先輩は、作品冒頭から主人公の胸ぐらをつかんで部室に連れていっていましたが、ああいうインパクトが欲しいです。
     本作の場合、摩耶の服装が奇抜という話ですが、寛がどうやら金髪だったりグラサンをかけていたりするようですし、(後から出てくる設定とはいえ)そもそも服装が自由の学校なので、そこだけ奇抜にしてもインパクトに欠けます。登場の仕方だけで比較するなら、主人公の本命にはなりそうにないルリアの方が、人柄が出ていて面白いほどです。第一章を読んだ限り、摩耶の印象は昼休みが終わらない内に「意外とまとも」に上書きされてしまうので、その点から言っても、変なのは服装だけという印象がぬぐえません。仮に、「オタクに優しいギャル」みたいなことならそれでいいかもしれませんが、(学校という場で)自分で選んで人と違う格好をしている人間は、それなりの価値観で生きているものでしょうから、そこを反映した人物描写がないと、とってつけただけの設定という印象になると思います。

     人物についてさらに言うと、個人的には寛の描き方が物足りないんですよね。主人公が普通なのに対し、友人が女好きというのはギャルゲーによくある設定らしく、『てさぐれ!部活もの』(全3期、2013~2015年放送)というアニメにも“あるある”として出てきます。ラノベだと『涼宮ハルヒ』の谷口がこのポジションで、主人公キョンにハルヒのことを色々教えてくれます。本作の寛も、そのままだと「よくいるキャラ」の域を出ません。しかし、主人公が寛を(一応は)親友として信頼しているとか、春香が寛を慕っていたとか、女子にモテるといった話があるのですから、寛の人柄については、せめてもう少し踏み込んだ解説が欲しいです。「高校生男子は女子に飢えているものだよね」という単純な話なら、春香を含めて女子にはモテないでしょうし、仮にモテるにしても、性格によほど問題があるのでもない限り、一度誰かと付き合えば数ヶ月は続くでしょう。その上で失恋を何度か経験すれば、多少は恋愛に慎重になってくるはずです。ですから、寛には何か彼固有の事情や考えがあるはずなのです(現状の設定を見る限りでは)。
     女癖の悪い男性が出てくる物語と言えば、古典の『源氏物語』、村上春樹『ノルウェイの森』、伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』、ラノベだと『生徒会の一存』、マンガだと『彼女もカノジョ』などなどがありますが、内実は十人十色です。過去の「喪失」を埋める代替手段として女性を求める人物もいれば、外見に恵まれただけのごくごく軽いノリの人物もいます。その時々の恋愛に一途(なつもり)なのに長続きしないタイプもいれば、遊びだと割り切って何の責任も取らないタイプ、無感情なまま何人もの女性と寝るタイプもいます。
     本作『絶対妹防衛戦線』の寛のような男子には重い過去があるはずだ、とは言いませんが、寛が自分の女癖の悪さについて、誇りに思っているのか悪癖だと自覚しているのか、恋愛が長続きしないとしたらそれをどう思っているのか、主人公の性格と春香の件を知りながら女子の話をするとき、寛は何を考えているのか、そういったことについて、何かを感じさせる言葉選び、仕草、表情の描写、あるいは読者がそれらを想像する余地が欲しいです。
     ちなみに、摩耶・美耶が編入してくるまで、そしてそれ以降もしばらくは主人公の生活が「喪失」に支配されていたということなら、寛は主人公にとって無神経な嫌な奴ということにしてしまっても良いと思います。
    「周りを見ろ、可愛い女子がこんなにいるんだぜ! 青春を謳歌するのが妹さんの願いでもあるだろ。いつまでもシスコンこじらせてないで、お前も誰かにアタックしろよ」
     みたいなことを言って主人公を不快にさせるキャラなら、それはそれでアリだと思います。

     美耶についてはまだ謎が多いということでいいと思いますが、先ほども述べた通り、主人公といつどこで知り合ったのか、そのときのことを主人公がどう記憶しているのかといった情報は、あった方が良いと思います。また、主人公と美耶の会話や、主人公から美耶への気遣いが少々不自然だったり、どうして編入初日に学校にエアガンを持ってきているのか疑問だったりはします。ただ、会話に関しては、上に述べてきた矛盾点や不明点を整理してスッキリさせる中で、2人がどんな距離感でどんなことを話すべきか明らかになってくるでしょうから、ある程度はそれで改善されると思います。そう言えば、さらっと出てきたせいで流されそうになるのですが、主人公が姉妹を家に招く経緯がよく分かりません。彼女たちが家なき子で、主人公が再会早々そういう事情を聞き出したなら、そこは早い段階で明記してほしいです。
     ルリアにしても、登場前は敵のような扱いで、主人公が美耶に「戦えるのか? そのエアガンで?」と口にしていますが、登場後のルリアを見るに、エアガンを向けなくとも見せるだけで、充分脅しになる相手のような気がします。追い払うと言っていた割に、主人公も弦さんの車に乗せることを渋りませんし、最初の緊張感は何だったのでしょう。どうやら存在自体がギャグ寄りの人のようなので、関係性をあれこれ婉曲的に描写するより、初登場時に「……が好きな人間で、……な生徒の間では……と言われていて、よく俺に……をしてくる」などと端的に説明してしまえば、それで良いと思います。

     その他、所々の言葉選びや文章の順番、細かい情報の過不足に関しては色々ありますが、それはリクエストがあればということで。
     とりあえず以上です。
     くり返しになりますが、矛盾点や不明点を整理してスッキリさせる必要があるだけで、大筋は変えなくてもいいくらいには、基本設定も構成もちゃんとしている作品だと思います。「このシーンは丸ごと切った方が良い」、「この学校の設定自体、変えた方が良い」みたいなことは感じません。痒いところに手が届かないだけで、人物設定やその行動原理が根本的におかしいという印象も受けません。そこは『いもうと、キミにきめたッ!』よりも良いスタートを切れていると思います。
  •  すみません、確認不足で書き忘れたことがいくつかあったので、それらについてはまた改めてコメントを送らせていただきます。
  • >あじさい様

    おはようございます(^^)/

    と、呑気にご挨拶している場合ではなくてですね(汗)、今回もまた、大変丁寧かつ緻密なご批評を下さり、最早感謝の言葉もございません。

    これほど綿密にご指摘を賜ることができたこと、誠に勝手ながら、自分の置かれた環境であったり、他のユーザー様(今回はあじさいさん)のご厚意に甘えさせていただけたこと、心より御礼申し上げます。

    これより解析作業に入りますね(^ω^)
  • ※先ほど送ったコメントは誤字や不備が多かったので、送り直させていただきます。すみません。

     学校については、高校ではなく大学の学級(クラス)を考えると分かる気もするのですが、パッと読んだとき矛盾点や不明点だと感じる部分もあります。

     まずは編入のシステム。
    「他の進学校に在学中であっても、ここに来ることはできる。/好成績を修めたり、運動神経がずば抜けてよかったりすると、この学校から勧誘の手紙やメールが届くらしいのだ。(略)……高校のそのような性格上、本校に在学する生徒たちにとって、途中から編入生として新しい生徒がやって来るのは特別珍しいことではない」(第2話)
     とありますが、端的に言うと、これでは学校側が入学者の選定に失敗していることになると思います。優秀な学生は合格させる、そうでない学生は落とす、それが入学試験の目的のはずです。「本校を受験しなかった人、本校が落とした人の中にも優秀な学生がいたので、引き抜いてきますね」では、入学試験が意味を成していません。
     それに、学生が元の学校で築いてきた人間関係や生活リズムを考えると、優秀だからと引き抜いたところで、新しい学校でも同じように優秀さを発揮してくれるとは限りません。たとえば、公立の弱小野球部に優秀なピッチャーがいるからと引き抜いたところで、チームやそのレベル、指導者などが変われば当然、弱小チームにいた頃と同じように伸び伸びとはプレイできないでしょう。自信を無くしたり頑張りすぎたりして調子を崩すかもしれません。というか、他校の学生を引き抜いてくるくらいなら、教師や指導者を引っ張ってくるとか、指導方法について研究するとかした方が合理的だと思います。
     第一章を読んだ限り、エリート校だから編入生などめったにいないという話にしても何の問題もなさそうですし、それで摩耶・美耶という幼馴染が来て主人公がびっくり、という流れで充分成立すると思います。今後の展開のために、編入生が珍しくないという設定が必要なら、編入生の多くは2年生以上ということにした上で、
    「この学校はエリート養成を目指して実験的に作られた新設校だが、優秀な学生ほど伝統校に行ってしまう。だから、学校の経営陣は他校から優秀な学生を引き抜いてくることに余念がない」
     とかでしょうか。それでも引き抜けるのは伝統校に不満がある人、進学希望の学生なら授業が早すぎたり教師のサポートが足りなかったりして授業についていけない人、運動部なら二軍や三軍でくすぶっているような人のはずです。そういう学生たちが主人公の学校に編入してからメキメキと力を付け、今年の夏ついに野球部が甲子園に行った、だから学校にネームバリューがついて編入生が増えている、という感じなら、分からなくはないですかね。

     続いて、クラスの扱い。
    「入学、編入学した際のクラス分けは、三年間ずっと同じになる。クラス替えというものがないのだ。/コミュニケーション能力がどーたらこーたらで、一時的に別なクラスの生徒とシャッフルして授業を受ける日もある。が、基本的にはこの面子で授業を受ける」(第2話)
    「この学校では、クラスという、いわば生徒の括りのようなものの存在がほとんど認知(→意識)されていない。(略)授業そのものについて考えてみると、特に男女の隔たりはないし、授業によっては先輩・後輩の区別も無くなる。/最初は移動やグループメンバーの切り替わりに戸惑うかもしれないが、しばらくは新入生・編入生に頑張って追いついてもらうしかない」(第4話)
     第2話ではクラスが基本的に固定なのでクラスメイトと仲良くすることが重要というニュアンスですが、第4話ではクラス分けは重要ではなく垣根もないのでクラスメイトだからと特別に気を遣う必要はないというニュアンスです。学校の仕組みが場面ごとに変わっているというほどではありませんが、情報の重点が変わっているので、修正を検討していただければと思います。

     そして、担任の位置付け。
    「ホームルームでは、中年で背の高い、そこそこイケメンの教諭が、ルーティンとしての時間割の説明をしていた。ということは、この男性教師が僕らの担任なのだろう。/学年ごとのクラスメイトの変更はないが、担任教諭は目まぐるしく変わる」
     とありますが、普通、担任が変わるのは年度ごとのはずですし、一定期間以上そのクラスを担当しないなら、担任を設定すること自体に意味がなくなります。学生としても学校としても、学生が学校生活の悩みを相談する相手は決まっていた方がやりやすいはずです。青春の悩み事はスクールカウンセラーに任せるにしても、ホームルームを監督する教師は決まっていた方が、学生も安心でしょう。文化祭や修学旅行などの催しのことを考えても、いじめ対策を考えても、担任を細かく変えていくことは百害あって一利なしだと思います。なお、モンスターペアレンツ対策や仕事や重責を分担することも考えてみましたが、立場的に生徒のことを把握していることが期待される教師はいた方が良いです。負担が重いなら副担任を2、3人付けてサポートする手もあります。この学校に特殊な事情や考えがあるなら、本文のどこかにその説明を入れていただきたいと思います。

     罰則についても、一応申し上げておきますか。
     主人公たちが罰則を受ける経緯がよく分からなくて、時間になったから教師が来て、その瞬間に座っていない生徒たちに特別講義という罰を与えたという話に見えますが、理不尽でしょう。普通、昼休みが終わる前に予鈴が鳴り、5分後くらいに本当に終了するチャイムが鳴って、
    「さあ、授業を始めるぞ。そこ、静かにしろぉ」
    「起立、気を付け――」
     みたいな流れだと思います。そうでないと学生も教師も、いちいち時計を気にしないといけなくて不便です。こういう場合、教師が授業開始を宣言しているのに主人公たちが静かにならなくて怒られるとか、授業中なのに寛が美耶にちょっかいを出し、そこに主人公や摩耶が参戦したところを教師に咎められるとかが順当なところだと思います。どっちにしても不可抗力ではなく生徒の誰かが悪役になる必要がありますが、原文でも寛はデリカシーがない悪役ですから、修正するときも寛が全面的に悪い(と主人公は思っている)という方向性でいいんじゃないでしょうか。
     で、罰として特別講義を90分、主人公はもう90分で180分だ、という話になります。授業が「教師が生徒に知識を授ける一方的なもの」なのに対し講義は「講師が学生に考え方のヒントを出し、学生が考えを深めるという双方向的なもの」みたいな話はこの際置いておきますが、どちらにしてもこの状況で負担が増えているのは生徒ではなくむしろ教師の方という気がしてなりません。聞いた話ですが、学校の先生って、それぞれの授業で教科書のどこまで進めるとか、生徒たちに質問されてもいいように予備知識を調べておくとか、準備や計画を色々やった上で授業や講義に臨んでいるようです。生徒の授業態度が悪いくらいでいちいち90分規模の授業をやっていたら、教師の方が先に過労で倒れると思います。
     この罰則自体、物語上あまり重要な要素ではなさそうですが、それだけに矛盾点が多いのは感心しませんね。
     美耶にエアガンを突き付けられた状況で主人公が「他の生徒が誰もいなくなってから、俺はゆっくりと会話を試みた」と言っているので、それまでは他の生徒もいたことになります。つまり、特別講義が180分なのは主人公だけのはずなのに、なぜか皆で居残っているわけです。この場面、美耶は他の生徒の目もあるのにエアガンを取り出すし、他の生徒たち(というか摩耶と寛)はそれが目に入るはずなのに主人公たちに声も掛けずに教室を去っていくし、教師は180分も講義をしておきながら後片付けも施錠もせずにいなくなっているという具合で、謎が多いです。
     適当に変えていいなら、主人公たちは授業を妨害した罰として課題プリントを解くよう命じられたが、教師は「終わったら職員室まで持ってこい。質問もそのとき受け付けるぞ」と言い残して去り、他の生徒は先に課題を終わらせて教室を出てしまって、教室に残っていたのは主人公だけ、やっと課題を終わらせたと思ったら、背後から殺気が……。といった感じでしょうか。
     どちらにしても、主人公が罰則を終えるのを待ってから(教室の前ではなく廊下で)いたずらを仕掛けるルリアが、不自然というか、健気すぎてちょっと可哀想になってきますが。

     学校の話題はこれくらいにして、ルリアについて前回書き忘れたことを。
     主人公が美耶に彼女のことを「古い知り合い」だと言っているのは何なんでしょう? 主人公が月野姉妹と出会うより前から、ルリアと付き合いがあったという話になりそうですが、ここまで来ると、時系列と人間関係をどこかで整理してほしくなります。
     最先端技術を駆使したであろう光学迷彩を使いながら、声を変える方法がヘリウムガスでもボイスチェンジャーでもなく謎技術のスプレーというギャップもそうですが、手間暇かけてそうな(お金もかかってそうな)割に何がしたかったのかよく分からず不可解です。何がどうなれば、どういう落としどころで決着すれば、ルリア的に成功だったのでしょうか。これが小学生なら、とりあえず新しいおもちゃでちょっかいを出しただけ、という話も分かりますが、お互い高校生で、主人公の認識ではそこまで仲良くもなさそうなのですから、もう少しはっきりした計画や思惑が欲しいです。たとえば、光学迷彩で驚かせてびっくり顔をカメラで撮影するとか、声を変えて神様や悪魔を騙り、主人公がすっかり信じて願い事を口にした頃に種明かししてバカにするとか、そのくらいでいいので。

     さて、これは個別のシーンに対するツッコミになりますが、家に帰ってルリアとじゃれ合う主人公の台詞、
    「いや、だってさ、好きでもない相手に無理やり距離詰められても対応に困るだろ」
     それを聞いて「女性陣、沈黙」という話。
     主人公を困らせてばかりいそうなルリアがこの言葉にショックを受けるのは自業自得という感じがしますが、そこを除くとひどい台詞です。僕が友人だと思っていた相手にこれを言われたら立ち直れないです。ただ、主人公が摩耶と美耶にも謝っている意図がよく分からなくて考えたのですが、言葉選びを変えて、「好きでもない相手」ではなく「好きでもない女子」、「無理やり距離詰められても」ではなく「ベタベタされても」辺りにするのが妥当だと思います。
    「いや、だってさ、好きでもない女子にベタベタされても対応に困るだろ」
     こうすれば、告白されてもいないのにルリアを振ったようになりますし、軽はずみに摩耶・美耶との間にまで壁を作って気まずくなる展開にも納得しやすいかもしれません。女子の部分を「家族でもない女子」にすると主人公が妹のことを引きずっているのが際立って良いかもしれませんが、原文のままだと誰も家族の話なんかしていませんから、やや唐突な印象というか、ルリアに地雷を踏まれたのではなく主人公が自分で勝手に爆発したような印象になりますね。もし採用するなら、そこの調整は必要です。
     それから、小さいことですが、主人公たちは車の座席を濡らすくらい雨に打たれた状況なので、弦さんが車を車庫に入れている間、家主である主人公が玄関先で待たされているのはちょっと変な気がしました。久々に再会した幼馴染がいることですし、いち早く屋内に入れて、とりあえずタオルでも渡すのがおもてなしではないでしょうか。
     幼馴染と言えば、摩耶・美耶と再会したことを喜んでいると地の文で明かしていた割には、積もる話があるとかではないんですよね。家に招く話をしたときや、特別講義の後に美耶と歩くシーンで、そういう話をしてもいいんじゃないかと思いました。とはいえ、もしかするとそのために家に招いたのかもしれませんから、この辺りの話は第二章以降の様子を見てからとさせていただきます。

     たぶんこれで、第一章について言いたいことは言い終わったと思います。
     前回も書いた通り、主人公と美耶の会話が不自然なのは引っかかっていますが、修正するならその中で変わることですし、細かい話にもなってくるので、別の機会まで我慢しておきます。
  • >あじさい様

    おおっ! 再びの分かりやすいご指摘の数々、ありがとうございます!
    ああ、分かりやすいというよりは「ただ書いてしまうよりも深い」と申し上げるべきでしょうか。
    現在解析中……。うまくいけば明後日~明々後日までの間に推敲完了予定です(もう一回見てくれ! というわけではありませんが)。

    お世話になります!(^^)!
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