東屋猫人(元:附木)

平均身長六十センチ、寿命は五十年。自然の中で生きるその存在を、コット（小人）といった。 コットたちはキワン（木の皮）を加工し、キミン（木の実）を食べて暮らしている。 そんな穏や…

坂の上に歪な家が建っていた。 僕らはそれを、九龍城と名付けたのだった。

営業マンとして働いていた霧島哲也は、突如として心の病に陥った。身体がだるく上手く動かせないようになり、傷病休暇に入ってもう二カ月がたつ。 哲也は、それ以前からある問題に悩まされて…

歴史探索サークル、「気を確かに」。メンバーは部長の恩田、播本、ちづき、観月の四人だ。 そのサークル名には理由がある。それというのも、どこかへ行くと誰かしら要SANチェックな事態に…

とある神社を舞台に巻き起こる騒動。いつまでたってもマイペースな三人組に仏頂面な名物宮司。さて今度の騒動はいったい何なんだ！？

相田光也と菱崎康介。同じクラスにいるものの、タイプは正反対でほとんどと言って良いほど交流はなかった。 しかしある日突然、康介から「勉強を教えてくれ」とせがまれて——。

とある女子高生、涼子の部屋には男の子がいる。やせぎすの身体、魚を思わせる目、黒目勝ちの目。「彼」はクローゼットの中で身を潜め、夜十一時になると現れる。 涼子と「彼」の行く末は——…

時は室町。時代の傾きかけた時世に、ちょうはかごに捕らわれておりました。 ちょうがいるその城の姫君はそのちょうを友人としておしゃべり相手にしています。 さて。今日はどんなお話をちょ…

「君」はとある小説家兼ウェブライターの家を訪れる。彼はそうそう誰とも顔を合わせず、その素顔を知るものは少ない。 一方で彼の書いた文章は「何だか頭に残る」「不思議とよく思い出す」と…

眠ることは死ぬことだ。そう独白する男の話。

卒論提出を目前にしつつも泣き言を言う飯島勇也。彼には手厳しく、いつもクールな瑠璃という彼女がいた。 交際はもう六年目になる。社会人になって数年したらプロポーズを……そう勇也は考え…

「四年に一度、家の者が狂う」そう言い伝えられてきたアオギリの大木が、うちにはある。 しかし今までそんな人はいなかったし、自分自身もなったことがない。子どもの頃こそ怖かったが、今で…

事故にあい異世界に吹っ飛ばされたたくあんを愛する社畜、篠崎優紀。目が覚めたら美しい浜辺に寝っ転がっていた—— そこで出会うは人生に疲れた人々。 無事優紀は元の世界に帰ることができ…

人間関係が不器用であることで思い悩む藤木万桜。今日とて重い足取りで向かう——そう、行きつけの「金雀枝珈琲店」へ。いつものようにカプチーノを注文し、端の席に座り、物思いにふける。 …

これは彼女の置いていった夢であり希望であり、また絶望である。