エディタとAIと「創作の形」の模索

ずいぶん前(軽く三年ほどまえ)にScrivnerはいいぞというお話をしました。
では今はどうなんだい? というお話をします。

結論を言いますと、「アンブロークン・ラインズ」の執筆開始時点でScrivnerの出番は皆無になってしまいました。
今は何使ってるのかというと「Obsidian(オブシディアン)」というノートソフトと言う奴です。
どういうソフトなのか、どういう風に使うのかはネットに腐るほど転がってるのでここではスルーします。
大体のことはこの記事を読めばわかります。
リンク先:なぜObsidianが2025年になって注目されているのか
https://gihyo.jp/article/2025/05/obsidian-05

とりあえず、今(善くも悪くも)大流行りの生成AIと相性が良い奴なんだ、とだけ覚えてもらえればOKです。

そしてAIについてですが、Claudeを使っています。

ひとまずきっかけからつらつらと。

《きっかけ》
人間ならば誰もが思うことでしょう。
「楽をしたい」と。
それが生成AI運用に踏み切った第一のきっかけでした。
この時、2025年の3月頃。
当時の深月の知識レベルはと言うと殆ど知らない(正確にはAI技術は追っていたが生成AIはノータッチ。Siriみたいな産業廃棄物みたいな奴だと見ていました。割と過小評価です)レベルです。
プロンプトエンジニアリングとか知りません。何にも知りません。

そんな深月は、Twit――Xに同梱されているGrokに一つのプロンプトを打ちました。

《AI運用のあじまり》

「タオパンクものの話を書きたいと思っているが、どの様な話を書こうか考えがまとまらない。
イメージとしては『九日(ナインソール)』を考えている(現状、タオパンクものはこれしかないので)
設定の一つとしてタオから派生した科学技術を研究・戦闘に応用する技道士というものがある
思考に際して他に必要な設定があるなら教えて欲しい」

これが、「アンブロークン・ラインズ」の始まりになりました。
で、初めて創作で生成AIを使った感想ですが……「これはすごい」というものでした。
そりゃあ、アイディアの元がわんさか出てくるわけですからね。凄いですよ。
そのアイディアの元を使うかどうか抜きにしても(後妙な嫌悪感も)、本格運用を決断するのに十分すぎたほどでした。(そして制限に何度もぶち当たって頭にきた深月は課金した)

主に設定構築のためのブレインストーミングとして使っていました。
これは現時点でも変わりません。

そして程なくしないうちにChatGPTは凄いんだという話を聞いて触ってみたらこれまた凄く、即刻Grokから移住しました。
さてここからが本題です。

《移転》
ChatGPTを使い出してから数ヶ月後、上京して一週間も経たないうちに長期の出張に駆り出された深月はある悩みを抱えていました。

去年の11月頃にMacBook Air(M3)を購入し、これで出張先かつ長期のものでも執筆ができる! と息巻いてScrivnerで執筆しようとした矢先、同期がうまくいかないという事例が多発しましていました。
諸々詳細は省きますが、このScrivnerはWin版とMac版とでは相性がよろしくなかったのです。

なんでMacBookなんか買ったんだって? 
仕事ならともかく、私用で重いだけの文鎮なんか死んでもごめんだからです。
HDDでRAM8GBのノートとかもう拷問器具ですよ。
まぁ高校時代からMacが好きだったということもあるんですけども。

そして何よりScrivnerでAIと一緒に使えないと言うのもまた悩みどころ。

とにかく、どうにかしたいと言う一念でChatGPTを通して考えることにしました(当時の深月はWeb検索かける頭が付いてなかった)。
そこで出てきたのがObsidianでした。

そして、仕事での運用と、「アンブロークン・ラインズ」の執筆による試運用を通して本格運用に踏み切ったわけです。

《で、今はどんな感じで使ってるのよ?》

じゃあ、今はどうかというとですね、こうなります。

執筆プラットフォーム:Obsidian
メインAI:Claude
埋め込みモデル:text-embedding-3-large(OpenAI製)

……おかしい、ChatGPTがクビになってる。

まぁ実を言うと、ClaudeのMCPという機能(AI版のUSB-Cみたいなやつ)とobsidianの相性がすこぶる良かったんですねこれが(ChatGPTでも出来ないことはないけど、エディタが増える)。それ以外としては、プロジェクト機能に登録できるファイル数が圧倒的に多かったのもあります。
これの何がいいって、直接読ませることができるってことですね。自分で探して詠んでくれるので、逐一アップロードしなくても良いんですよ。いやぁ便利だ(なお、ハードルには目をつむるものとする。最近大分楽になったけど)。

埋め込みモデルはなに? って声も聞こえますが、とりあえず文書検索機能関連と思ってもらえれば。

とまぁ、こんな感じです。

《変わったのは?》
個人的に理想とするのはバイブコーディングもといバイブライティング……人が指示をして、AIが出力する、そしてそれを人間が手直しする……というものですが二重の意味でやるかは怪しいです。

ひとつは技術面。
本職のプログラマーじゃないんで、CUIでどうやればいいのかわからんのですよね。

もう一つは、AIが出してきた小説に対する潜在的な違和感と嫌悪感。
正直個人的にも言葉にするのは難しいやつですが、生成された設定とかはそのまま使われず、書き出しはまず使われないとでも言えば通じるんでしょうか?
まぁこれはGrokからありましたね。

最初は異常な迎合性(おだてやすい)事に由来するのかと思っていましたが、それと同時に何か違うよなとかそうじゃないんだとかそういう奴です。

ひとまず今は一種の思考加速装置(スワロウテイルシリーズのほう)で使ってます。
ここからどうしていくかはまだまだ模索の段階です。

ただまぁ、やることは変わりません。
まず自分が動かないことには始まりません。

必死に考えて、加速して、連鎖させて、書き上げる。

将来はどうかはわかりませんが、AIが人間の言葉が通じるようになってもやることは変わらないってことです。

というわけで、おしまい。

2件のコメント

  • どうも、コメント失礼します。

    自分は未だ生成AIを利用せずポチポチ手で書いていますが、コメントさせてください。

    >将来はどうかはわかりませんが、AIが人間の言葉が通じるようになってもやることは変わらないってことです。

    これ本当に同感です。
    読み手としてはいいかもしれないけど書き手としてはAIに任せきりになるのはあり得ないですね。
    読者に読んでもらうためだけに書いてるだけではないので。
    そう考えるとちょっと武道に似てるんでしょうか。

    あと、恥ずかしながらObsidianを使ったことなく。

    現状、VS codeでプラグインを導入し、マークダウンファイルで設定構築してます。
    本分は縦書き過激派なのでTATEditorを外部連携させて使い分けています。
    このあたりを補完しつつ生成AIによるサポートが得られるなら使ってみたいなぁと思います。
    とはいえ自分独りで悶々と考えるのが好きなので誤字脱字のチェックくらいでしょうが……
    Claude Sonet4.5とかめちゃくちゃ頭いいですし。

    長文になりましたが生成AI利用した小説執筆があんましイメージ湧かなかったのでコメントしちゃいました。
    お目汚し失礼。
  • どうも。コメントありがとうございます。

    AIに任せきりはどうかと言う話ではありますが、バイブライティングを行うにあたって、ポン出しですませるのか、根気強く付き合って修正を重ねて行くのとでは天と地ほどの差があるのでそこら辺も変わって行くのだろうなとは思っています。


    VSCodeでMD形式で設定構築をしているなら、そのままObsidianに移行できると思います(ObsidianはMD形式での記述が前提なので)。

    ただ、元々が個人の思考を整理することを主目的としたローカル特化のエディタなので、AIとって思うならプラグインの使用は前提で、同時にAPIキーの確保は必須になると思われます(Googleは無料でAPIキーを確保できますが・・・)

    僕はObsidianとClaude desktopをMCPで繋げて使用してそれがメインになっていますが、基本的にCopilot(マイクロソフトの方ではない)やSmart ComposerみたいなAPIを介したAIプラグインで事足りるんじゃないかなとは思ったり思わなかったり・・・(どっちも設定は面倒ではあります)

    具体的な運用は別の近況ノートで書こうと思ってます
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