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令和に着物を着る私

私は約四年前から着物を普段着に取り入れ始めました。
きっかけは旧Twitterで見掛けた とある方の『着物とスカートを合わせた和洋折衷コーデ』の投稿。

今まで私は着物といえば『お茶やお花の先生』や『旅館の中居さん』のようなピシッとしたイメージを持っていて
気軽な普段着に使うイメージがありませんでした。
ですがその人のコーデは着物とパーカーを合わせたり、ブラウスと合わせたり、スカートを袴のように合わせたりと
私の中にあった『着物とはこういうもの』というイメージを良い意味で覆されて、衝撃を受けました。

『洋服感覚で楽しむ着物』の魅力にすっかりハマった私は、昔から簪や和小物が大好きで
着物にも興味はありましたが、以前の私は

『着物着て行く所なんて無いし…』
『着付けって難しそう…』
『着物って苦しいよね…』

と思って、普段着にする気になれませんでしたが、和洋折衷コーデがあまりにも可愛くて
すぐに近所のリサイクルショップにある着物コーナーに足を運んで
サイズや着物に関する知識がゼロの状態で、ただ『自分の好み』の色や柄の着物を二枚購入して
見よう見まねで、和洋折衷コーデの投稿者さんがやっているYouTubeチャンネルを見ながら
手持ちのスカートや洋小物と買って来た着物を組み合わせて、自分なりの和洋折衷コーデをやってみると
これがピッタリハマって、普通の着物の着付けより簡単で、着物と洋服を合わせる事で
グッと普段着として着やすくなって、とてもワクワクしました。

数ヶ月間、和洋折衷コーデを楽しみながら近場へ出掛ける日々でしたが
ふと『普通の着方もしてみたいな』と思う様になって『正統派』とも言われる、
私がイメージしていた『中居さんっぽい着方』にも挑戦してみました。

正統派の着付けは和洋折衷コーデの時よりも工程が多く
おはしょりを作る所までで もう疲れている事も…

今、正統派コーデを始めた頃の画像を見ると 正直恥ずかしいです。
衣紋が詰まり過ぎ おはしょりはダブダブ 所々のシワの処理がし切れてないし 裾の丈合わせ失敗して短すぎたり 長すぎたり…
全然『綺麗』な着付けじゃない 初心者丸出しだったけど その当時はそれでも楽しくて満足してました。

帯も浴衣に合わせる半幅帯から始めて、いろんな結び方のアレンジを本や動画でたくさん見て勉強して
名古屋帯も挑戦して、何度も形や柄出しに失敗、苦戦しながら
やっと最近になって、何も見なくても名古屋帯でお太鼓結びが出来るまでになりました!

お太鼓結び、帯揚げ、帯締めも今ではササっと結ぶ事が出来ます!
初心者だった頃は『ちゃんと着付けられる気がしない…』と思っていましたが
着付け時間も速く短くなって、ピシッと正統派コーデも、カジュアルな和洋折衷コーデも
正統派の形のままブラウスや、裾の下からスカートを覗かせる和洋mixコーデも楽しめるようになりました!

今では『友達と会う時』や『イベントの日』に自分の好きなアニメや漫画の『推しキャラ』のイメージカラーや概念を着物コーデで表現したり
特定のキャラを意識した『推しコーデ』をしたり、着物でアフタヌーンティーや映画も普通に見に行くようになりました。

『着物着て行く所なんて無い』なんて言ってたのは 何だったのか…

真夏は浴衣を楽しんで、それ以外の季節は単衣(裏地が無い、一枚で仕立てられている着物)や
袷(裏地がある着物)をいろんなコーデで出掛けるのが楽しいです!
特別な用事が無くても、ちょっとコンビニに支払いに行くだけの日とか、ちょっと買い物に行くだけの日も
気分が合えば、着物で出掛けます。

真冬は羽織りや、ロングのニットカーディガンを羽織って、着物の中に裏起毛のタイツやタートルネックを
思い切りモッコモコに着込んだコーデをするのもおすすめで、着物ってめっちゃ温かいんですよ。
帯でお腹周りが特に温かくて、洋服を着こむより温かい…冷え性な私には感動でした。

正絹の袷の着物も温かいけど、最強は真綿のウールの袷の着物ですね。

帯留めも、実は100均の箸置きに帯留め金具を接着剤で貼り付けたら、手軽に帯留めが作れるとか
靴やリュックとも意外と相性が良いとか、知れば知る程に奥が深く、目から鱗が止まりません!

自分の好みの色柄や、推しコーデに使えそうな物、手持ちに無いデザイン。と
あれこれと集め出して、いつの間にか着物と浴衣合わせて100枚を超えて、更に半幅帯や名古屋帯。
帯締め、帯揚げ、帯留め等々の小物も合わせると、気付けばすごい数…。

私の母方の祖母が和裁士に近い仕事をしていた人らしくて、着物好きはもしかしたら遺伝かも知れません。
母は全く着物を着ない人で、もしもっと早く私が着物を着るようになっていたら
祖母の着物を譲ってもらったり、祖母と着物の話も出来たかも知れないと思うと、タイミングが悪かったなぁ…と。

祖母は今は認知症で施設暮らし、祖母の着物も伯父が処分してしまったので
よく『自分のおばあちゃんの着物を譲ってもらった』という話を聞いて、羨ましく思います。

なので私が出来なかった『おばあちゃんの着物を引き継ぐ』事と、『もし着物にも人格や心があったら面白いかも…』という
自分のアイデアを組み合わせて書いたのが『おばあちゃんのアンティーク着物』です。

昔はたくさん着てもらえたけど、もう誰も着てくれない。着てくれる人がいない。このまま捨てられるのかな…?と
今となっては圧倒的に『洋服』が主流な中、『着物』達は寂しい思いを抱いて仕舞い込まれている子が多いと思います。
『もう一度、誰かに着てもらいたい』と思っている着物達に、もう一度光を当ててあげたかった。

私の手元に着てくれた着物達も、新しい子もいますが、友人知人から譲ってもらった子やリサイクルでお迎えした子もいます。
中には古いアンティークな子もいるでしょう。戦前や戦後から人の手を渡って来た子達は、今時の世の中をどう思っているんだろう?
悲しい記憶を持っている子もいるでしょう。色んな持ち主を渡り歩いた子もいるでしょう。

『着物は時代遅れ』だと、そういう人も実際いますし、着物自身もそう思って自信を失っているかも知れない。
洋服が圧倒的に多い令和で、私は着物を着る。今時の着方も昔ながらも着方もする。洋服も着る。

『アナタ達はまだまだ現役だよ』
『アナタは充分魅力的だよ』
『可愛いよ』
『素敵だよ』

そう思いながら、私は今日も着物を着る。
着物を着て外を歩くと、珍しいものを見る視線を一斉に浴びる。

『なんで着物?』

って視線が訴えて来る。着物は日本人の民族衣装なのに、
日本で日本人が着物を着ていたら今時は『珍しい』を言われる。
『変わってる』と言われる。

でも私は着物を着る。
『着物を着ている私』を見て欲しいんじゃない。

『こういう着方もあるんだ』
『着物って可愛い!素敵!』

って思ってもらいたい。
私は動くマネキン。着物を宣伝するマネキン。
一人でも、誰かの心にこの『好き』を届けたい。共有したい。

『おばあちゃんのアンティーク着物』は、今構想を練っている物語で、
『着物の声が聞こえる女性』と個性豊かな『着物達』の話の元です。

もし『可愛いピンクの花柄の着物』の性格が『ツンデレ』だったら?
もし『シンプルな黒羽織』の性格が『オネェ』だったら?
もし『鮮やかな模様の着物』の性格が『チャイナ娘』だったら?

着物、羽織り、道行コート、帯、それぞれに性格があったら…
その子達でコーデを組んだらそれはもう『チーム』ですよね!

『今日のお出掛けのチームを選抜しま~す!』って言ったら『自分を使え~!!』と
ワイワイやいやいと着物達と会議する主人公の日常…。

着物愛に溢れた長編化にしたい~!!ので頑張って考えます!
長々とお付き合いいただきありがとうございました!

ではまた!

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