もしかして、誰かの漫画と似ていると思った方もいるでしょうか。実は、あるセクシー漫画家さんの作風に寄せているのです。自分ではふだん使わない言葉を使ったり。
たまたま読んだその作者さんの作品が義妹モノでした。大人向けの女性漫画でもいいくらい絵は緻密だし、何より義妹へのこだわりがおもしろかったのです。
実はこの義妹モノはたまたまではなく、コミックが何冊も出るぐらい義妹モノを何十も書いていることを後から知りました。
ほぼ決まった設定でよくこれだけと感心させられます。義妹になるパターンは必ず親の再婚で、妻の妹や弟の妻などはありません。
またほぼ全部で、義兄妹は1対1の関係しか出てきません。人間関係は2人から3人になると急に複雑で解きにくくなるからしょうがないのかもしれません。基本、単発の作品だし、ジャンルの性格上、必ず入れなければならないシーンがあるので、あまり込み入ったストーリーは描き込めないのかなあと。
しかし、この作者さんで義妹が2人のパターンを読んでみたいと思うようになりました。それも、2人の妹が急にできてという最近の少年誌にありがちなパターンではつまりません。幼いころから一緒に育ったほとんど実のきょうだいに近い義妹①と、最近同居が始まったほぼ他人に近い義妹②という両極端の間で揺れ動く話を。
この場合、2つのパターンが考えられます。
パターン1 義妹①と義妹②があかの他人
パターン2 義妹①と義妹②が実の姉妹
で、両方のパターンで描いてほしいなと。しかし、ほしいたって、知り合いでもないから頼みようがないし、なんかのつてで頼んだって描いてくれるわけじゃありません。
しょうがない、自分で書こうと。万に一つもたまたま目に止まって、絵にしてくれるかもしれませんし。
で、プロットを考え始めました。
まず、パターン1
主人公の男性は幼いころに実母を亡くし、父が再婚して、義母の連れ子の義妹①と義兄妹になる。
その義母も亡くなり、主人公が高校生ぐらいになったとき、父は再々婚、2人目の義母の連れ子の義妹②とも義兄妹になる。
あれ、この話どこかで見たような気が。
父が再々婚せず、義妹②がただの気になる女の子だったら、あのあだち充の名作「みゆき」じゃないですか。
そうか、みゆきこそ、「義妹萌え」の原点にして、金字塔。みゆきが偉大すぎたせいで、ほとんどの漫画家がこのジャンルに手を出さなかったのではないかと。
昔、あれほど熱心に読んだみゆきが「義妹萌えモノ」だということに今日の今日まで気づかなかったことに驚いちゃいました。
話がそれましたが、このパターン1。父親が2人の最愛の妻を亡くして、また結婚って「物語の登場人物としてどうよ」と抵抗感がありました。実際にはあることなんでしょうけど。死別ではなく、離婚ということもありますが、だったら、義妹①が実の母について行かないのはおかしな話です。
また、このパターンでは主人公と父、義母と義妹②は実の親子ですが、義妹①だけ家族の中に血のつながった人がいないかわいそうなことになります。
そこで、パターン2
主人公の男性は幼いころに実母を亡くし、父が再婚して、義母の連れ子の義妹①と義兄妹になる。ここまでは同じです。
さて、義妹①には実の姉がいて、姉妹の両親が別れたとき、義妹①は母に、姉は父について行きました。
そして、主人公が高校生になるころ、親の都合で、義妹①の姉も同居することになり、義妹②となるのです。法律的には父の再婚時に義妹関係が生じているから、別居義妹から同居義妹になったと言った方が正確です。
とりあえず、話がややこしくて、おもしろそうなパターン2にしましょう。
さて、次に義妹たちの名前決めです。この種の三角関係マンガでは「名前呼び間違い騒動」が必須です。いかにも呼び間違いやすい紛らわしい名前を考えようとしました。
その作者さんの影響か、なぜか「み」のつく名前ばかり思いつくのですが、あまりうまいのがありません。いっそ同じにしちゃおうか。
そこで、はたと思い出したのが、原点たる「みゆき」は義妹と気になる同級生のどっちもみゆき。義妹萌えに気づいたショックで、この同名という極めて重要な設定もすっかり忘れていました。
よし、同名にしよう。そういえば、あの作者さんの作品にみなみってあったな。いや、みなみはだめだろう。「みゆき」のつぎは「タッチ」になってしまう。
実の姉妹で同名ってどうかなとも思いましたが、とりあえず、読みさえ同じならいいので。瑞希(みずき)と充希(みづき)にしました。
設定が決まったら、あとは書き始めるだけ。その作者さんが決めているルールは基本守るようにしました。ただし、ジュブナイルの棚に乗せられないような表現は一切しないところが大きな違いです。もし、そういうシーンになったら、明治の小説のように比喩表現を使う予定です。
仮タイトルは、「新しい妹と古い妹」「みずきとみづき」「新義妹は古い義妹の実姉」などしょうもないものしか思いつかなかったのですが、構想しているうちに自然に出てきた作中のモブキャラのセリフから取りました。