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批評企画や意見交流の場(仮)

この場では
私の作品に対する批評や返信用ノートでございます。

批評企画の参加者じゃなくても書き込みOKです!
作品ネタバレもOK!
コメントの長文、ラリーもOK!


「物語の展開が遅い」
「ヒロインが出すのが遅い。初登場の影が薄い」
「ざまあ系がフックなのに全然、ざまぁしていない」
「おじさん、自虐ネタが見ていられない」
「ステータスの表記やギミックが面白くない」

 等々。
 忌憚ない意見を気軽に頂けると嬉しいです。

NG
 他の方のコメントに対するあからさまな誹謗中傷コメ。
 私の作品に対しては良いですが、他の方に対するものは控えてください。
 なお、引用や重複はOKです!節度のあるコメントを心掛けて頂けると幸いです。

 出来れば、ただ「つまらない」ではなく、「どこがつまらない」を明示頂けると幸いです。
 シンプルなものでも構いません。

私への批評の場合
 皆様の貴重な意見、また意見交換が欲しいと思っておりますで、出来るだけ反論は避けたいと思っています。
 貰えるだけですごくありがたいです。ありがとうございます!


また、それとは別で
一つ、トークデッキを用意させて頂きました。

 「貴方が一番好きな作品、一番のシュチュエーションは何ですか?」

 こちらを私から質問させて頂きます。
例としましては

 「私はホラー小説。特に霊障か人為的かわからない、不気味で後味の残る作品が大好物です」等。

 こちらは読者、作者の交流としてコメント頂けると嬉しいです。


 ↓下の図は物語の盛り上がりをグラフ化した参考資料です

76件のコメント

  • こんばんは。

    異世界ゴミアイテムの第二章についてです。
    切りの良いところで批評を行おうと思っていたのですが。

    連載中の作者さんだとおそらく、「今のこの流れで大丈夫だろうか?」という部分も気になるとお察ししますので、今のところの感想を述べたいと思います。

    結論から一言で言うと、どんどん面白くなっていってると感じます。
    昇り調子ですね。
    この流れでガンガン突き進んで欲しいというのが読んだ感想です。

    具体的に言うと、マリーの登場が代表的ですが、
    一芸に秀でたキャラがどんどん集まってきて、みんなで力を合わせて、自分達の居場所を作っていく感が醍醐味に感じます。

    例えるなら、『七人の侍』の仲間集めパートのワクワク感ですね。
    一癖も二癖もあるけど、それぞれがプロフェッショナルの浪人どもが集まってくる。
    あそこのパートってすごくワクワクするじゃないですか。
    それと似た感覚です。

    とくにマリーのキャラは立っているので、あれの登場で一気に面白さが上がったと感じました。


    じゃあ難点はないのかと言えば、致命的なものは感じませんでした。

    あえてあげるとするなら、1章から2章って作品のジャンル自体が変わっちゃう雰囲気なんですが、そこがちょっと懸念点ではありました。

    1章はスタンダードな前世の知識を活かした転生もの、
    2章は、1章の最後のほうで領地経営がメインであることが示唆されます。

    私は領地経営系は好みから外れてたので、1章の最後で2章は領地経営になることが示唆されたときに、期待感がかなり下がっちゃったんですよね。

    なので、以下はあくまで『ジャンルが好みから外れた読者の感想』としてお聞き下さい。


    2章の最初の数話に関しては、地味目のお話が続いたので、ここは個人的に退屈さをやや感じちゃった部分です。

    色々と仲間は集まってきてワクワクもあったのですが、マリーほど強い印象のあるキャラがいなかったせいもあるかも知れません。

    あともう一つあげられる退屈を感じた原因としては、
    状況の設定的には、領地をもり立てる動機はめちゃくちゃあるし、共感するべき理由もいっぱいなんだけど、私の読み手としての気持ちが、ちゃんとついて行かなかった、っていうのがあります。

    これなんでなんだろうと思ったのですが、
    2章突入時点だと、新しい村を作ってそこで守ってあげたいと強く願える対象がまだいない、というのが大きいかなと感じました。

    主人公が守るべき対象は、世話になった宿屋の面々、フィデス、ペスト患者の無数のモブといった感じですが。

    宿屋の面々が主人公にとっても読者にとっても、この時点だと一番、守ってあげたい対象となるかと思います。

    ただ彼らにそこまで強く感以上移入しているかと言われると、悪代官にヘイトを向けるための舞台装置的な域はでてない感想なんですよね。

    1章ラストで悪代官にヘイトを向けるのには役にたったけど、2章の起爆剤になれるほどの存在かというと、違うかなと。

    じゃあフィデスはというと、まだ感情移入がガッツリ生まれるほどのエピソードはこの時点ではないですよね。

    そんなわけで、設定的には村を作る理由はめっちゃ分かるんだけど、気持ちがついていかなかった、という感想になっちゃうのかなと自分の気持ちを分析しております。

    しかし、これはあくまで、『領地経営系が好みから外れてる読者』の感想であることに留意してください。

    そこのジャンルを好きな方が読めば、ぜんぜん違った感想になるかと思います。

    あくまでそういう本来のターゲット層に合わせていくのが筋ですので、私の話しはターゲット層から外れた読者の意見程度に考えてください。
  • この流れが明確に変わったのは、やはりマリーの登場ですね。
    ここで上記の『七人の侍』的な醍醐味がマシマシになって、
    さらにフィデスの掘り下げも行われたことで、感情移入度もアップ。

    ジャンルが好みから外れた私でも最初に述べたように、『面白さがどんどんあがってる』と感じます。
  • 私のコメントに対してはいつも通り、反論などもいただけると勉強になるので幸いです。
    もちろんノートの方針的に、ここではナシでもぜんぜん構いません。
  • こんばんは! 
    早速の批評ありがとうございます。

    鋭い指摘ありがとうございます。
    まさにこれからやろうとしている事を示唆されているような内容で少し怖い考察です笑

    おー『七人の侍』笑
    黒澤明映画は通ってないですね笑
    一度、勉強しなきゃ。

    マリーさんはメインキャラの一人なのでそう言って貰えて安心しました。
    ラブコメ展開の起爆剤になれば本望です。

    ・1章から2章へ作品のジャンル自体が変わる件

    そうですね。この作品上、宗教を作るお話なので仕方ない部分が多いと思います。
    ラブコメ展開を強めに強調していますがフックが弱いかな……という感じです。
    たぶん、2章の初めから主人公の活躍が減るからだと思います。
    後半は主人公も活躍しますので。

    ・2章の最初の数話、地味目のお話が続き、退屈さを感じる部分

    これは一章からそうですね。ほぼ、私の欠点と言っていい気がします。
    もうちょっと、早めに見せ場を作る工夫が必要性がありそうですね。

    ・新しい村を作ってそこで守ってあげたいと強く願える対象がまだいない

    ここも後半から出てくる要素の一つです。
    キャラ同士の人間関係などは厚みが必要なのでこれから話数を重ねて出していきたいです。
    村の皆と食事をとるシーンなんかは、その伏線で、最後の晩餐を少しイメージしています。
    悪代官ヘイトは、村の発展と新宗教の設立を機に加速していく感じです。
    なので感情移入ポイントもこれから積み上げていくという流れです。
    皆で一生懸命作ったものを全部台無しにされる……
    これほど頭にくることはないと思いますので。

    作者的には
    領地経営系が好みから外れてる読者には
    ラブコメの方向に期待値をもっていきたいと思っています。
    その為、ラブコメ絡めて進行しています。
    ちょうど、キリスト教は『愛の宗教』なので笑

    ・私のコメントに対してはいつも通り、反論もOK
    そう言ってもらえると助かります。
    ありがとうございます。



  • こんにちは。

    う───ん、まだ、物語の途中なので、批評……。批評する事自体が私には難しいです。
    まだ物語の真価がわかるのはこの先、と思っていますので。
    フィデスさんの人間ドラマが描かれましたので、フィデスさんの過去を踏まえ、今のフィデスさんがカミヒトさんにどう接していくのか、どのような想いで見ているのか、ゆっくり見守らせていただきたいです。(恋愛脳)

    さて、好きな物語……、これね、多分言ってもご存じないと思うんですが、古いコバルト文庫で、氷室冴子の、「銀の海 金の大地」日本の古代が舞台。
    逆境でも力強いヒロイン、血なまぐさく、痛々しいバトルシーン、(マジで。片想いの姫にそそのかされて、ヒロインを誘拐したお坊ちゃんが片腕を落とされ拷問されるシーンではトラウマになるかと思った)
    とにかく生々しく書いてあるのが衝撃で、ああ、現代じゃなくても、こんなに生き生きと、「生きてる」は描けるんだ。
    まるで古代の息長の国に自分もいるみたい……。と、没頭して読書したのを思い出します。
  • いつもコメント頂きありがとうございます!୧(˃◡˂)୨

    そうですよね、物語の途中だと批評に困ってしまう部分がおありかと存じます。

    作者の性質上、ストーリー筋ばかりになってしまうので
    この二章の中盤はヒューマンドラマな内容をコミカルに入れられればと思ってます。

    フィデスさんの過去の話は
    『君こそがこの世界に舞い降りた”女神”だ!』発言に繋がっていて
    彼女がチョロく感じたのは、その境遇から恋愛経験が無かったことが原因でした。
    なお、この主人公は水族館デートの後「寿司食べに行こう」と言ってしまうような
    ノンデリおじさんなので、どうなることやら……蛙化しないか心配です(;-ω-)

    あと、おじさんのボディタッチは本当にセクハラなので止めた方がいいと思うのですが
    フィデスさんが訴えないので、まあ……、んー笑

    残念なのは、この物語は基本、主人公視点なので
    フィデスさんの思考は彼の眼を通して映るものしか、視えてこないですね。
    ラブコメ展開は不慣れですが、今できる最大でお送りしたいと思います笑


    好きな作品紹介を頂きありがとうございます!

    この質問の意図しまして
    皆さんのフック(読者興味)はどこにあるのか、が聞きたかったので、大変興味深かったです。ありがとうございます!(*ノˊᗜˋ*)ノ

    聞いているだけでも凄い内容のお話ですね。
    舞台が日本の古代という現代からみるとファンタジー世界のようなところで
    その時代ならではの無秩序感、過酷な環境を表現しているのですね。

    ニーズが少女小説なのに、血生臭いバトルシーンや拷問が出てくるのですかΣ( ºωº )

    恋愛の中に生々しい表現やダークなエピソードがある所など
    加須 千花 様の作品に通じるところがありそうですね。
    きっと、枕に顔をうずめ、暴れたくなるような恋愛模様なんでしょうね笑

    なかなか、コメントできなくて、すいません
    私がコメントが苦手で
    というのも、作品を換骨奪胎する癖があり
    物語を俯瞰して見てしまう傾向、弱点がありまして……。゚・ (>﹏<) ・゚。

    今回の作品はその弱点克服の為
    出来るだけキャラに動く様を描く、という方法を試みています。
    なので、その世界で「生きてる」人を書くというのは
    私にとっても興味深かったです。

    加須 千花 様の作品。奈良時代という、なかなか想像しにくい世界にもかかわらず
    冒頭から安心してその世界観に入っていけるのは
    そういったところを大事され
    脳裏に描いてから文章にしている、からなんでしょうね。

    ああ、いけない……また、考察しています……失礼しました(๑•̀д•́๑; )


  • お返事ありがとうございます。

    最大限のラブコメ、期待してます。
    なんとも思ってないおじさんからのボディタッチは、(⁠눈⁠‸⁠눈⁠)コノヤロウ
    というかんじですが、意中のオジサマからならば、女性はにっこりお迎えするものです。
    いーじゃないですかそれで!
    いけいけフィデスさん!

    「銀の海 金の大地」は、まさに、「枕に顔をうずめ、暴れたくなるような恋愛模様」ですよ。良くおわかりになりましたね。(笑)

    さて、拙作、「奈良時代という、なかなか想像しにくい世界にもかかわらず
    冒頭から安心してその世界観に入っていける」と言ってくださり、ありがとうございます。そう言ってもらえると、安心します。
  • すごい個人的な嗜好として「問題解決は物語の華」「試行錯誤こそ至高」という考えを持ってる自分としては、主人公が問題と目標に気づき色々と動き始めた9話辺りから大体が好みの展開を続けてます。

    特に、問題解決に主人公の能力、信念、知識などを活かすのが転生モノの華と考えてるので、あまりWeb小説では見ないタイプのバックボーンと理を持っていそうな主人公には期待してます。
    (無理に珍しい主人公を作ろうとして道理に反する思考をしない限りは)

    ただ、本作を読み始めた段階では一話の内容から「主人公の口八丁により信徒が爆増、信徒のコントロールに失敗して宗教戦争するハメになり、上手い着地点を探そうと奮闘する」という感じの話を期待してました。なので村の内政のような業務を始めたあたりは実は少し首を傾げてもいました。(2章では主人公の影が薄いのも合わせて)

    また完全に個人的な感想ですが、後書きに長文を書くのは個人的に良い印象はないです。地雷作品の筆頭要素と言っていいです。
    「なお、この作品の更新は不定期させて頂いております。推敲の進行速度とストック状況によって途中、休載するかもしれません」みたいなネガティブな内容は特に。ネガティブな作者に主張が入ったあらすじ、前書き、後書きは、見るだけで読む気を無くします。

    好きな作品は最近だと「迷い込んでしまったのはポストアポカリプスな世界でした」や「とある黒猫になった男の後悔日誌」「輝かせたくて」のような目標に向けて試行錯誤して、それが成る瞬間がある作品が楽しめました。逆に過去話が長い作品や、ずっと自問自答してグダグダしてる作品(恋愛含む)は簡単にフォローを外します。
  • 少し補足しておくと、「主人公の口八丁により信徒が爆増、信徒のコントロールに失敗して宗教戦争するハメになり、上手い着地点を探そうと奮闘する」というのは最終的な物語構成では無く、もっと細かい単位です。
    一章で宿屋を口八丁で味方にして姉を説得(娘ちゃんが暴走して姉と衝突とか)、二章では宿屋と周辺(聖女)を味方に街の信徒を(姉が暴走とか)…という感じを予想してました。

  • ツバキサン 様
    貴重な御意見ありがとうございます。

    「問題解決は物語の華」「試行錯誤こそ至高」
    という考えは面白いですね。
    「あ」っと言わせるような解決策や
    そこに至る仮定に着目されているのですね。

    少し解説すると
    この主人公は、チート要素を持っていますが、様々な制約から
    上手く使えない様になっています。
    だから、彼自身の悪徳宗教に対する知識が際立つように作らせていただきました。

    ・「主人公の口八丁により信徒が爆増、信徒のコントロールに失敗して宗教戦争するハメになり、上手い着地点を探そうと奮闘する」という感じの話を期待

    ありがとうございます。
    プロローグは一番の盛り上がり持ってきて
    この作品の期待値を上げる役割で書かせていただきました。

    なるほど、外道系の方面を注目されているのですね。
    本来、このプロローグで最初に見せたかったのは
    主人公は教祖様になることを望んでいないという無自覚系の要素で
    これはタイトルのカルト宗教化にかかっているので強調したい部分でした。

    なので、今後、外道な事や暴走するのは周りの仲間達がという形になっています。

    この辺の期待値は、直接コメントを頂かないと気づかないので大変、参考になりました、ありがとうございます。


    ・村の内政のような業務を始めたあたり実は少し首を傾げてもいました。また、2章では主人公の影が薄い。

    この最大の原因は展開が遅いという所があるかもしれませんね。

    この作品の着地点は、タイトルの宗教で国を滅ぼすという部分で
    2章はその戦争の準備段階、長期的な伏線であり
    そこが今の段階では、なかなかに繋がりにくいからだと思います。

    また、現在は宗教ビジネスと宗教の設立の過程を書いているのですが
    そこの期待値を膨らませるような書き方ができていないということがあるかもしれませんね。

    もしくは、嗜好性もあるかもしれません。恋愛要素も好き嫌いが割れるので。

    単に表現が下手ということでしたら、そこは……すいません笑

    主人公が薄いのは、2章の前半では周りのキャラ立ちさせたいからです。
    イメージはただ、座って会社の方針を決めている社長という感じです。

    本来、Web小説は分かりやすく、かつ手軽に読める(スナック感覚で読めるもの)な方が良いというのは、重々承知しているのですが
    ついつい伏線を多く詰め込んでしまうのは私の悪い癖ですね。

    料理で例えるなら、ゆっくりと時間をかけて出す懐石料理よりも
    メインを単品で出していくアラカルトの方がいいかもしれません。
    私の拙作は、そこまで上品なものでも深みのある作品でもありませんが笑

    ・後書きに長文を書くのは個人的に良い印象はないです

    ありがとうございます。そこは懸念点の一つでした。
    意図せず、ネガティブキャンペーンになっていたんですね。
    個人的にあとがきは、結構な執筆の労力を使っていたので、今後はなるべく削減したいと思います。

    ・好きな作品
    私の作品と間反対ではないですか!?という個人的な感想は置いといて
    こういう考察は個人的に面白いです。
    三つの共通点は物語の展開とその塩梅が上手い作品達ではないでしょうか?
    それは余りにも主人公が試行錯誤し過ぎていたら、ブラザバックの原因ということと同義でしょうか?

    ・「主人公の口八丁により信徒が爆増、信徒のコントロールに失敗して宗教戦争するハメになり、上手い着地点を探そうと奮闘する」というのは最終的な物語構成では無く、もっと細かい単位です。

    物語の展開のスピードが遅いという意味や要所要所にざまぁが欲しかった感じでしょうか?
    確かに、その辺も懸念点です。
    最終的には、その流れになるのですが
    出すのが遅いというか、フリが大振りというか。

    宿屋の姉はリアルでも宗教に嵌った人は、なかなか抜け出せないという事もあり今は泳がせている段階です。
    信徒が暴走。これはネタバレですが2章のクライマックスに派手にやります。

    ネタバレしてても大丈夫なくらい、予想不可能のどんでん返しになる予定なので安心してください。


  •  異国情緒企画から参りました。

     第1話 異世界にて神になる 拝読しました。

     神人を取り巻く側近たちがカラフルで魅力的でした。優しげな聖女、戦闘狂の騎士、妖艶な魔女……とそれぞれ個性豊かで、彼らとの掛け合いが物語に彩りを添えていました。

     一方で神人は、そんな周囲の期待や思惑とは裏腹に、救世主として崇められる立場でありながら、その状況を楽しめていないようですね。

     さて気になった点ですが、
    「地獄の蓋を開いたような大歓声」
    これは「地獄の蓋を開いたような」がイメージできないので、比喩として破綻しています。頑張ってイメージしてみると、悲鳴や苦しみの声といったネガティブなイメージが浮かぶのですが、やはり不適切です。
    「天にも届くような大歓声」「鳴り止まない雷鳴のような喝采」などが代替案として考えられます。

    「神聖な布地」
    一人称のお話なので、主人公が「神聖」だと思っているということですね。しかし、読者にその主観が押し付けられているように感じました。「布地」も、生地のお話ということになって違和感がありました。単に「衣装」とするのはいかがでしょうか。

    「真白なローブ服の下に、煌びやかな甲冑を纏う」
    「真白」はあまり一般的な表現ではなく、「真っ白」が一般的な表現です。こだわりの表現なのでしょうか。
    「ローブ服」といういい方は一般的ではありません。一方、「ローブ」は一般的な表現です。
    そもそも、甲冑の上にローブを着るのは一般的ではありません。こだわりの服装なのでしょうか。
    一方、マントと甲冑の組み合わせは、自然で現実的です。

    「豊満 な」
    スペースがなぜか入っています。

    一方、聴衆の様子は鮮やかに描かれていて引き込まれました。聴衆を立体的に描く努力がうかがえました。
  • 私の拙作にご指摘頂き誠にありがとうございます!

    このプロローグ、第一話は、物語の入り口として力を入れて書きたい箇所。
    また、私自身、描写については頭を抱えていた問題だったので
    今回、御意見頂き大変、嬉しかったです。ありがとうございます。

    気になった点
    ・「地獄の蓋を開いたような大歓声」

    確かにこれはイメージしづらいですね。
    そもそも誰も見た事が無いのでイメージはしづらいかと思います。

    本来、ここで伝えたかったのは、歓声の勢いと恐ろしさで
    主人公を讃える声とは裏腹に
    主人公の目線では、これは恐ろしい事であるという描写が欲しくて入れさせていただきました。

    これは後に宗教の恐ろしさと戦争に繋がる意図があり、あえてネガティブな表現を入れております。

    たぶんですが、ここの問題点は、比喩として悪いという意味ではなく、表現の仕方が悪いと思います。
    前後間の文脈と言葉の言い回しを替えてを模索してみたいと思います。

    あと、そもそも日本語もおかしかったですね。失礼いたしました。
    正解は「地獄の蓋が開いたような大歓声」でした。

    ・「神聖な布地」
    確かにおかしい点ですね。ありがとうございます。
    神聖な衣装、含め検討したいかと思います。

    ・「真白なローブ服の下に、煌びやかな甲冑を纏う」
    これは脱字です。失礼いたしました。特に意味はないです。
    「真っ白」は少し安直なのでここも改善させて頂きます。

    ローブの表記、また、ここでの衣装はローブではなく、正解はマントと甲冑の方が正しいです。
    失礼いたしました。
    ここでは史実のモデルの衣装「サーコート」表記に直したいと思います。

    ・「豊満 な」に間に謎のスペース
    こちらも誤字です。すぐに修正させて頂きます。

    キャラデザや聴衆の描写について、お褒め頂きありがとうございます。

    私自身、文章や描写など拙いところが多く
    まだまだ勉強不足な点が多いので
    こういう指摘は大変ありがたかったです。
    ありがとうございました。

  • 拙いコメントでしたがご参考になったようで何よりです。

    特に比喩表現は印象に残りやすい反面、読者によって受け取り方が変わってくるので、意図が正しく伝わるよう推敲を重ねることが肝要かと思います。「地獄の蓋を開いたような大歓声」の件、文脈を踏まえた上で表現を工夫されるとのこと、素晴らしいアイデアだと思います。

    さっそく、第2話 神の子として生まれ、神の子として育ち、人以下となり下がる についてです。

    俺に話かけてきた。
    「話かける」は誤った表現で、一般的には使われません。「俺に話しかけてきた。」が正しいです。

    1億五千万
    漢数字とアラビア数字が混在した表記になっています。
    小説の文章としては、全て漢数字で表記した「一億五千万」がより適切でしょう。漢数字は日本語の文学作品においてより伝統的で格調高い印象を与えるためです。

    コミ障
    「コミュ障」です。


    微力ながら、今後もお力添えできれば幸いです。引き続きよろしくお願いします。
  • いえ、大変貴重な意見でした。

    ・特に比喩表現は印象に残りやすい反面、読者によって受け取り方が変わってくるので、意図が正しく伝わるよう推敲を重ねることが肝要

    まさしく、おしゃるとおりだと思います。

    ただ、私の目標で
    『描写の破綻』を上手く使える物書きになりたいというのが
    ありまして、未だその勉強をしている最中です。

    ホラー小説なんかにある手法、テクニックで
    最終的には、それを私の文体の武器にしたいと思っております。

    もちろん、まずは基本の情景描写、心情描写も出来た上で
    というのは承知の上で
    同時並行で書きながら勉強したいと考えております。

    今回の件は、自分でも上手く表現できなかったので
    そこを改善できるよう、挑戦してみたいと思います。

    もしかしたら、プロローグと序盤。
    全部書き直しをするかも…(;´д`)ゞ


    ・俺に話かけてきた、1億五千万、コミ障
    これは誤字でした。失礼いたしました。ご指摘ありがとうございます。
    特に漢数字は失念しやすいところなので
    気をつけたいと思います。

    他にも……あるかも(ˉ▽ˉ;)...

    推敲を重ねていても誤字脱字のケアレスミスを取りこぼししますね。
    物書きあるある?
    意識的に直したいと思います。

    わざわざ、校正と校閲まで
    指摘して頂いてありがとうございます。

    いえ、何かこちらからも
    お力添えできることがあれば遠慮なく、おっしゃって下さい。
    こちらこそ、よろしくお願いします。
  • 二章+三章を公開されているところまで拝読させていただいたので、批評企画の続きをいたします。

    前提として以前も申し上げましたが、領地経営ものが好みの範疇に入ってない私の感想ということをご留意くださいませ。


    まず二章の面白い点は、マリーに尽きますね。

    かなり贅沢な役割を背負わされたキャラで、領地経営という二章の主題のキーパーソンを担っていて。
    一見は中二病に見えるけど、その実、何を考えてるか底が見えないミステリアスさというポジションが魅力的。
    さらに人格も癖ツヨで面白いっていう。

    実質的に二章はマリーを中心に回ってるっていってもいいくらいなんですが、惜しむらくは登場が2章始まってから6話目という、遅めの登場であることですね。

    これは主人公がピンチになってるところのお助け役として登場させることで、インパクトを強くするために、マリーの登場の前に、主人公がピンチになるパートを挟んであるためですね。

    とっておきの新キャラ出すんだから、登場はインパクト強くするというのはそれはそれで正しくはあるのですが。

    以前にも申し上げて重複しちゃう部分なんですが、問題はマリーが登場するまでの二章って、地味な展開が5話以上続いてる点なんですよね。

    二章に入ってから5話分は派手な見所がないまま進行してしまう、ということです。

    この5話の間に特段に派手なイベントがなかったとしても、領地をもり立てていくことにめちゃくちゃ感情移入しちゃうような要素があれば、また別なんですが。

    1章のラストでカミヒト自身があんまり領地経営に乗り気じゃなかったりするので、読んでる間に『絶対に領地経営を成功させてもらいてええ!』みたいな共感ができないんですよね。

    領地経営を絶対に成功させたいとカミヒトと一緒に燃え上がれちゃうようなイベントが、一章のラストか二章の出だしで欲しかったなという感想です。

    そういうのがあると、一章のラストで盛り上がった熱がそのまま二章の主題にバトンタッチで持ち越されるので、マリーが登場するまでの5話の感想もだいぶ違っていたかもなーと。

    例えばですが、免罪符の設定がせっかくでてましたよね。
    あの設定があかされる下りって、台詞とモノローグだけで説明されてるので、免罪符がどんだけやばいものかってのが、読者の実感としては感じられないんですが。

    なので免罪符がらみの大事件なんかを、主人公や主人公の大切な人が直で巻き込まれる形で二章冒頭あたりに持って来てくれて、それを切っ掛けに『絶対に領地経営成功させてええ!』と思わせてくれたりしたら、だいぶ感情移入できたかなって思いました。

    そこで感情移入してピンチになったところで、お助けキャラのマリーの登場ってなれば、さらにマリーの株あがっちゃうかなって。

    (まあ、こういう、ああすればいいこうすればいい、ってのは言うは易し、書くは難しで、外野から好き勝手いうのは簡単なんですよねw
    実際にやるとなると設定面で難しいところがありそうです。
    菅野がなんか外野から好き勝手ゆーとるわ程度に聞き流してください。)



    もう一つ、上記の問題とリンクする部分でもあるんですが。
    2章と3章の繋ぎが雑かなと感じちゃいました。

    2章でせっかくラスト盛り上げたのに、3章でいきなり知らないおっさんが出てきますよね。

    読者からすると、まったく知識0の状態から、なんか初登場の地味なカビオンのお話が始まるわけです。

    また一から作品世界に没入しなおしになります。
    じゃあ始まりは没入しやすいシーンから始まるかというと、そうとはいえないですよね。

    設定説明・状況説明が続くばかりで、小説としての面白みが薄い3章冒頭になっちゃってます。

    このせいで、ここまで積み上げてきた感情移入とか熱が、一時的とはいえ吹っ飛んじゃうわけですね。

    2章ラストでのせっかくの盛り上がりが3章へバトンタッチされずに、ポイッと捨てられちゃってると感じました。

    この問題の対策としては、カビオン自体のキャラをマリーみたいに魅力的にするか。

    あるいは、2章のうちにカビオンに読者が興味をもてるような導線を用意しておくかですね。
    要するに、カビオンというキャラがどんな奴なのか知りたいと事前に思わせておくことで、実際にカビオン視点になったときにその欲求が満たされることで、読みたくなるということですね。
  • 菅野 事案 様

    引き続き批評、指摘ありがとうございます。
    いつも参考にさせて頂いております。

    今回も大変興味深く拝見させていただきました。
    ありがとうございます。

    後日、まとめたものを返信させて頂きたいと思います。

  • ご自身の執筆時間を優先してくださって結構ですよ。
    返信の有無は気にしませんので。
    以前に私の作へ多くの批評をしていただけたので、それだけで十分です。
  • いえ、自分の作品の振り返り、構想の参考になるので
    大丈夫ですよ。逆にありがたいので。

    こういう、対談的な意見交流も
    執筆活動の刺激になるかもしれませんね。

    お返しといったら、なんですが
    今度、菅野 事案様の作品を読み返して
    自分だったらこうするなぁという部分がありましたら
    アイディアの参考として、提案してみますね。

  • いつも批評・ご指摘頂きありがとうございます。

    マリーのキャラデザは狙い通りで安心しました。
    そうです。ミステリアスで、物語のかき乱す存在です。


    ・マリー・スクエットの登場が遅い、あるいは登場シーンのインパクトが薄い

    確かにメインキャラとしては遅いですが
    実はこの物語は長期連載想定で構想しておりまして

    現時点では8章 約500話ぐらいまで先のストーリーの構想がある、という点が
    メインキャラの登場、物語の進行を遅くしている原因かもしれません。
    考えものです。

    また、作者的に彼女は、
    確かにお助けキャラという一面がありますが、それだけではなく

    正確には
    頼りがいのある仲間である反面、実は猛毒を持ったキャラです。


    それは設定上、彼女がある思惑を以て、裏で動いている一癖も二癖もあるキャラだからです。
    決して、株を上げるような目立つ行動はとらず、知らず知らずのうちに掌握してしまうようなキャラ
    なので、主人公を簡単には助けることはないです。
    さらにそれが暗示されている伏線が本文に既にあり、今後3章のクライマックスで
    その片鱗が表に出てきます。

    ・登場のインパクトが無い

    作者としては
    厨二病的ギャグ要素と地頭の良さを見せる形で登場させたのですが
    うーんという感じです(笑)
    考えものですね。

    もしかしたら、ミステリアスな点を強調したから、そう感じるかもしれません。
    あまりインパクトあるようなものにすると、そこが薄れてしまう気がしまうので。

    ・物語の進行が遅い。序盤5話が面白くない、事件性がない。

    これは前にもありましたね。

    章のクライマックスで盛り上げて、次章で冷ます。
    これは意図的にやっていることで
    物語の盛り上がりの波、ポイントを線グラフにして管理しています。
    私的には、これが章を重なる事に
    膨らんでいくような曲線を描ければいいと思っています。

    この物語の章の序盤は
    これまでの回収と新しい伏線、新規要素(新キャラと新転地等)
    新たな視点とフックを広げたいという意図がありました。

    そう意味で今回2章はラブコメ要素を多く取り入れ
    キリスト教の『愛の宗教』とリンクさせるテーマで進行させました。

    なので序盤は事件性が無いので退屈に感じるかもしれません。
    作者としては
    2章はスローライフ系
    3章からトラブルが次々起こり、物語が動き始めるという予定です。

    また、序盤の展開の遅さ、スロースターターな点は
    なろう作者としては致命的な欠点だと思っています。

    新たなフックを見せることで読者を引き込みたかったですが…。
    確かに好みはあるかと思いますが、菅野 事案様がそう思われたのなら
    事実、そうだと思います。

    何かしらの序盤、引きつける工夫が必要かもしれませんね…。

    他の懸念点としましては
    説明臭い文になっている箇所があるかもしれない点です。
    そのような点がありました教えて頂けると幸いです。

    ・『領地経営を絶対に成功させたいとカミヒトと一緒に燃え上がれちゃうようなイベント』

    『絶対に領地経営成功させてええ!』というフックが理解できなく、
    大変興味深いのですので是非、掘り下げて聞きたいです。

    私が思う、領地開拓系・スローライフ系のフックは、

    『仲間達と一緒に問題解決して少しずつ理想的な村、都市、国を形にする過程を楽しむ点』だと思っています。

    たぶん、『絶対に領地経営成功させてええ!』という点はその動機の部分ですよね。

    ざまあ、ヘイトによる主人公の『見返してやる!』という感じでしょうか?

    作者が思うレサエムル村を作る動機は
    敵教団が支配する都市の生活とは相対する理想郷(オアシス)を作るという所です。

    これは現実のコロナの問題点への対策を参考に作っていて
    疫病の影響を受けた弱者達の居場所を作るというものを暗示しています。

    少しでも
    『現実世界にもコロナの時にフィデスさんやカミヒトのような存在がいたら良かったな』と思ってもらえるような意図で執筆しました。
    まあ、ファンタジーなので現実ではありえないのですが(笑)

    また、まだ話は領地の経営までには至っていなくて
    2章の主題が村づくりと宗教の設立なので、経営と対立は3章からになります。

    あと、ここで登場した『免罪符』は宗教的な免罪符で
    敵教団の組織腐敗や差別意識の象徴のつもりで出しました。
    それが神官長の行動や思考、はたまた権力に繋がっているという構図です。

    なので

    『免罪符がらみの大事件なんかを、主人公や主人公の大切な人が直で巻き込まれる形で二章冒頭あたりに持って来てくれて、それを切っ掛けに『絶対に領地経営成功させてええ!』と思わせる』

    これに近い事は3章のクライマックスで起こります。

    これをやる場合、敵教団との接触や大切な人との関係値、さらに経営の動機と組織の体勢を作った上でざまあ、するという条件が無いと成立しないと思っています。
    その為の準備を2章で行ったという意図です。

    今回は敵教団が巨大勢力と権力を持っているので
    都市から離れた場所に新たな村を作り、主人公はスローライフを希望
    という理由で戦略的撤退して暗躍している状態です。

    3章の後半は主人公のスイッチが切り替わる瞬間を用意していて
    そこから怒涛の盛り上がりを見せる予定ですね。

    もしかしたら、事件を起こすフリが壮大になり過ぎている点が
    序盤の退屈さに繋がっている、そんな風に考察しています。

    ・『言うは易し、書くは難し』まさしくそうですね。

    ただ、個人的には
    一度でも長編小説を完結まで書きあげたことがある人は
    その大変さも知っているのでその苦労もお分かりかと存じます。
    さらにその問題点の指摘となれば、かなりの時間を使い
    読み解いてから指摘しないといけないので
    個人的にはどんなものでも大変ありがたいです。忌憚なくおしゃってください。

    ・3章の新キャラ カビオンが地味

    それは意外でした。教えて下さり、ありがとうございます。

    このキャラは敵教団の参謀役であり、これからの経済戦争のキーパーソンです。
    都市内の内政にも精通し、現状都市内の心臓を握る商人組合の長で
    度々、三役の存在は匂わせていました。
    さらにもう一つの伏線”大商人”にも絡んでおります。

    彼の視点で書いたのは、
    現代社会の管理職を想起させるような立場や上からのパワハラ。
    それでも上手く立ち回ろうとする有能さを読者に見せ、
    敵教団の内情にも共感を誘いたい狙いがありました。
    なので、地味と感じたのかもしれません。

    一応、この話では僅かな綻び、伏線も忍ばし、これから起こる戦争を盛り上げる
    引き立てる話、キャラのつもりで登場させました。

    そこを上手く表現出来なかったのは私にとって誤算です。


    総括
    ありがとうございます。
    菅野 事案 様が指摘された点は
    確かに当初から懸念していた点であり、私からしたらどれも悩みどころばかりでした。

    難しいのは
    物語の進行、切り取り方(ログライン)
    描写し、印象づける場面(シーン描写)
    などのバランスだと思っています。

    実は現在、3章の連載を止めているのも、そこが最大のボトルネックで
    どのスピード感でクライマックス、盛り上げポイントに持っていくのか?
    を悩んでいる点があります。

    もう少し、
    序盤に読者のフックと作品の期待値を明示し
    各話惹きつけられ続ける構成を組めるかを、考えてみたいと思います。
  • こんにちは。

    まず誤解されてしまったところを訂正いたします。

    「マリーの登場にインパクトがない」と感想を述べた意図はないです。

    登場するまでの舞台を整える展開(5話まで)を地味と言ってしまったのが誤解されてしまったのかな?と思いました。

    前回の投稿のときにも書きましたが、マリーはめちゃくちゃ良いキャラだと思いますよ。
    現状でインパクトは十分です。



    ・『絶対に領地経営成功させてええ!』

    これは要するに、感情移入、の一言で要約できちゃうことなんですが。
    物語でこれから起こるであろう物事に対して、読者がどれくらい感情的な思い入れをできるかどうか、ということです。

    感情的な思い入れ、というのがポイントで、『物語の設定上、これから主人公のやることが重要である』とかではなく、

    読者の感情的に『主人公にこれを絶対やってほしい』と思っちゃうような要素ですね。

    本作の場合は、『物語の設定上、これから主人公のやることが重要である』という部分は良く表現できてると思います。

    これはつまり、『ヴァセリオン教団が免罪符を使ってこの地を実質的に支配していて、このままではフィデスの身に危険が及ぶであろうこと、だから隠れ家的な拠点が必要』という部分ですね。

    つまり、『フィデスを守ること』が動機の原動力、として設定されてるわけです。

    なぜこのように設定されてるかといえば、主人公が自分の命を守るだけでいいなら、逃げちゃえばいいだけなので、領地を開拓する展開にもっていくために、フィデスがペストを治療しなければならないという設定が付与されてるからですね。

    ここで一端立ち止まって考えてみていただきたいのですが。
    実際に今までフィデスが教団に狙われたことってありましたっけ?

    私が一章を読んだのはだいぶ前なので、もし見落としあったら、めっちゃ申し訳ないのですが、なかったと記憶してるんですよね。

    なので、こう、フィデスが狙われる、っていう設定が、理屈では理解できるけど実感としてフワッとしてしまってるんですよね。

    この部分がフワッとしちゃうと、フィデスを守る、っていう動機の部分もフワッとしちゃうんですよ。

    で、フィデスを守るっていう原動力がフワッとしちゃうと、どうなるかというと、フィデスを守るために領地を作る、っていう2章の主題自体がフワッとしちゃうんです。


    例えるなら、そうですね。
    『天空の城ラピュタ』でもし、冒頭でシータが空族に狙われるシーンがなかったらと想像してください。

    あの映画がもし、空からシータが降ってきて、パズーが受け止めるカットから始まったとして。
    シータがそのあと台詞だけで、飛行船で襲われて飛び降りたことを説明したと想像してください。

    そして比べてみてください。
    実際に襲われたシーンを観客に見せた場合と、台詞だけで説明した場合

    どっちがより、『パズーがシータを助けてあげてほしいい!!』と思えるかどうか。

    当たり前ですけど、実際にシータが空族に追い詰められて、空から堕ちちゃう場面を見せたほうが、絶対に『パズーがシータを助けてあげてほしいい!!』ってなるわけですよね。

    感情移入、っていうのはそういうことです。


    感乗移入がなぜ重要なのかは、海水さんほどの方であれば説明するまでもないと思われますが。

    フィクションと現実の読者を繋ぐ唯一の架け橋だからですね。

    例えば『物語の設定上は重要なこと』っていうのは、どこまで行っても所詮は作り話であって、本来的には読者にはどうでもいいことなんです。

    物語の中で、どんな悲劇や喜劇が何が起こっていても「作り話でしょ」で終わっちゃう。

    ところが、読んだ人が『主人公にXXしてほしいい!!!』って強く思ってしまったらもう、物語の中で起こってる出来事に無関心でいられない。
    作り話なのに、どうでもいいことじゃなくなっちゃうんです。

    つまり本来は『物語の設定上は重要なこと』が『読者にとって重要なこと』に変化してしまうんです。

    大げさにいえば、感情移入というのは作り話を実話に変換する機能がある、ということですね。


    ここで話しを戻しますが、『領地経営を成功させてもらいてええ!』というのは、言い換えれば、『フィデスを守りてええええ!』ということであります。

    ところが、ラピュタで例えるなら、冒頭でシータが襲われてるシーンがない状態のまま2章に突入して、2章の冒頭でもそういうのがない、ってことですね。

    なので領地経営に対する感情移入が十分でないまま進行してしまってます。

    そのため、領地を経営するのが重要だということは理解できていても、読者(私)の感情がそれについていけなかったという感想になっちゃったわけです。


    とりあえずパッと思いつく部分だけ、返信いたします。
    追加でまた何か投稿するかもしれません。
    引き続き、話し合いたい部分などありましたら、どしどしどうぞ!
  • 続きです。

    ・『領地経営を絶対に成功させたいとカミヒトと一緒に燃え上がれちゃうようなイベント』


    これは要するに、ラピュタの冒頭でシータが空族に襲われる場面、に相当するイベントですね。

    守りたい対象、フィデス、が実際に教団に襲われるなどの形でピンチになる場面なんかがあると、それを避けるための手段としての領地開拓に、ぐっと読者の感情が入ります。

    ただ設定的にこれが難しいのは、2章序盤では教団の力が強すぎて、この時点でフィデスの存在がばれてしまうと、それこそ逃げるしかなく、領地開拓の展開にもっていきずらいということです。

    フィデスの存在が一度は教団に知られても、何かしら領地開拓をすればそれから逃れられる理由付けが必要になってきちゃいます。



    次ぎに、このイベントに免罪符を絡めるのが良い、と言った点についてですが。

    免罪符というものが、ヴァセリオン教団のやばさを表現する一番のツールであるためです。
    つまりこれから先で相対することになる、敵、を端的に判りやすく表現できるということですね。

    ヒロインのピンチと敵の自己紹介をまとめてやってしまうことで、「こんなやべえ敵に狙われるヒロインってマジピンチ」というシナジーが埋まれるので、それぞれの要素を分けて演出するよりお得です。



    >これをやる場合、敵教団との接触や大切な人との関係値、さらに経営の動機と組織の体勢を作った上でざまあ、するという条件が無いと成立しないと思っています。


    1章の時点でフィデスに関しては、大切な人との関係値、は必要十分に感じます。

    2章開始時点でないのは、敵とフィデスとの接触、ですね。
    なのでこのイベントで初接触、ということになります。

    経営の動機、に関しては、この事件を通して作る想定ですね。


    お話の流れとしては、

    ①教団の一部が免罪符をたてに蛮行を働こうとするところに、フィデスが遭遇。

    ②彼らの蛮行を止めようとした結果、フィデスは能力を知られてしまい、廃除すべき対象と認識される。

    ③フィデスが捕らわれ、免罪符をたてにした教団によるおぞましい拷問にかけられそうになる。

    ④カミヒトがギリギリで救出。

    ⑤フィデスの安全を守りながら、ペストを駆逐するためには領地開拓しかないという結論にいたる。


    みたいな感じですね。
    この場合の問題は、フィデスが教団に一度はバレても、領地開拓をすれば、なぜ安全が確保できるのかの理由付けですね。

    フィデスの正体を知った相手が、何かしらの理由で教団の上層部には報告できない、などの仕掛けを作ったりしなければなりません。
  • さらに続きです。

    ここまでで、お気づきになられたと思いますが。
    上記の①~⑤までの流れって、1章におけるマルタのポジションなんですよ。

    なので1章後半のマルタを救う流れは感情移入できるんです。

    1章のあの流れをメインヒロインのフィデスが担当できれば、2章で同じことする手間は省けるんですが、マルタがそこをもってっちゃってるんですよね。

    で、そのマルタは2章では物語を動かす原動力ポジションには据えられてない。

    物語を動かすための原動力としてマルタ・エンジンの代わりに、フィデス・エンジンに置き換えられてるんですが、そのエンジンが十分動いてないわけです。
  • 返信ありがとうございます。

    拝読させていただきました。

    なるほど、問題は
    マリーの登場にインパクトがないではなく
    登場するまでの舞台を整える展開(5話まで)を地味
    が一番の問題点で
    読者の感情移入が薄いと感じた点が
    菅野 事案 様の感じたポイントだったという事ですね。

    ありがとうございます。

    それは確かに想定される懸念点の一つでした。


    読者の感情移入。とても難しいポイントですね。

    菅野 事案様にとってその定義が

    『物語でこれから起こるであろう物事に対して、読者がどれくらい感情的な思い入れをできるかどうか』

    という点にも共感できます。

    『感情移入』を辞書の引用すると

    他人の言葉や表情をもとに,その感情や態度を追体験すること。共感。

    と書いてあり、その上で物語のリアルティが重要になってくるのだと思います。

    ただ、この部分の前提は
    読者の趣味嗜好も反映されるので
    例えばラブコメが嫌いな方は、そもそもラブコメ作品を観ないというような好き嫌いや
    個人的な希望的観測も考慮されるので
    その辺を尊重し、加味した上でこれから作者としての考えを述べたいと思います。


    ・『絶対に領地経営成功させてええ!』

    という部分は菅野 事案様が主人公に対して思った感情、期待値かと思っています。

    ここで言う
    『物語の設定上は重要なこと』は作者の都合だという解釈でしょうか?
    これも難しい問題だと思います。

    食い違いがあるのは

    『ヴァセリオン教団が免罪符を使ってこの地を実質的に支配していて、このままではフィデスの身に危険が及ぶであろうこと、だから隠れ家的な拠点が必要』

    この部分は確かにそういう所も含まれてますが、

    実はこの段階では主人公にとって
    『フィデスを守ること』が最重要ではないからです。

    それは彼がまだ、彼女にそこまでの思入れや、関係値が深くなく
    一、女性としてしか見れていないからです。
    そこを深堀りさせ、ヒロインとする2章であり
    そのテーマが『愛の宗教』でした。

    つまり、2章はラブコメ要素が強かったのはそのためです。

    ラピュタで例えは、
    冒頭の事件性、イベントの起こりと役割のことをおっしゃっているかと思いますが

    この作品において2章は日常、スローライフ系やラブコメ要素が強い回なので
    そもそも前提が違うかと思っています。

    ですので一章の終わりでは
    そこまで『パズーがシータを助けてあげてほしいい!!』には
    いたっておらず、むしろそれは今から始まるという感じです。

    2章の中でフィデスの過去について触れたのは
    その一面があり
    読者にはフィデス推し派と相対するマリー派に分けたい意向もありました。

    事件性やイベントが多くなるのは
    3章からで2章はその準備段階というイメージです。

    ヒロインに対しての直接的なヘイトや事件性が無い部分の穴埋めは
    そこを想起するようなイベントを入れ、保管としています。
    (一章の神官長がマルタに酷い事をしている場面)


    作者が考える問題点としましては

    ・2章の序盤、日常的な村の様子や疫病対策が読者の興味をそそらなかった点

    ・事件性、イベントのスピード感が遅い点

    二つが大きいかと思っています

    前者は読者に新しい視点やフックを持たせつつ
    主人公の目線と同じように村に愛着を持たせたかった狙いがあります。

    後者は事件の大きさ、重要性を増す為、伏線を大小、多数持たせて
    この後起きる騒動の期待を想起させる狙いでした。

    それらの狙いが外れて、『つまらない、退屈』だという評価をされる方もおられるかと思います。

    別の理由だったら…んー。そこを知りたいなぁといところですね(笑)


    一番は飽きさせないイベントの発生とテンポ感が足りない部分でしょうか。
    なろう系読者の傾向は『スナック感覚』。まさにその言葉通りかと思います。
    あっ、良い悪い、揶揄ではなく、客観的な傾向という意味です。誤解のなきようお願いします。

    やはり
    読者の感情移入は
    読者自身の趣味嗜好が入ってくるので難しい一面があると個人的に思っています。

    読者に合わせてやるのも重要だと思う反面、
    作者の都合の書きたいものを書くのも重要。

    どちらも良し悪しがあってバランスが難しいです。

    もし、仮にこれを改善するとなると
    たぶん、物語の骨組み、進行具合(ログライン)から大規模な必要となる気がします。

    どこかを部分を強調するということもありますが、


    作者的にはこの作品は、ゆっくりなペースで好き勝手な物語として
    という気持ちで書いています。

    そもそも、ニッチなニーズであり、王道っぽくない内容なので。


    今回の指摘は
    菅野 事案 様の一読者としての意見が色濃く反映されたもので
    大変興味深かったです。

    ありがとうございます。
    こういう、私としてはこう思う、という意見は嬉しいですね。

    菅野 事案 様の作品にもまだ言っていない、控えた点あるので
    近日、コメントしたいと思いますね。


  • 少し前後しますが
    続きに対する回答です

    すいません、ラピュタに関してあまり詳しくないというをご理解上で返答しております。
    また重複する内容もあると思いますのでそこもご了承ください。

    前提として
    ヒロインを守るための領地開拓ではないですね。

    ただ、この先、ヒロインがピンチになるかもしれない
    といことは匂わせていて、今後そのようなことにはなります。

    ラピュタの場合も主人公とヒロインの関係値を深めるパートがあるかと思います。
    その部分が今作品の2章にあたり、大きく尺をとっていたから
    間延びした印象を持たれたのかもしれません。

    教団の力が強すぎる設定は、3章のクライマックス、事件を大きくするためです。
    本来は、いざこざ程度のヘイトを行うのですが、それは3章から始まる、動きだすという感じですね。

    早めに物語を動かすと軽いお話になってしまうので
    あえて避けています。
    その傾向があり、物語のテンポが悪いのはそのためだと自己分析しております。

    あとは、上記の通りです。

    ・このイベントに免罪符を絡めるのが良い

    「こんなやべえ敵に狙われるヒロインってマジピンチ」
    の部分は読者が勝手に補完してもらっているという計算の元書いていました。

    村を作る、治療施設を作るためにはまだ時間が必要なので
    そこで闘いが始まると疫病対策が出来ないという所があります。

    ここでのヘイトは
    『皆で一生懸命作ったものを壊される』というものを想定したので。

    ・1章の時点でフィデスに関しては、大切な人との関係値、は必要十分に感じます。

    この指摘は意外でした。
    作者としては主人公はその域にいっていないというか、
    薄い関係値ではクライマックスが弱くなるという考えでした。

    ・お話の流れの件

    概ね、3章のクライマックスっぽくて笑ってしまいました。

    この点での問題は

    ・カミヒトはどうやってフィデスを助けるのか?
    ・ペストと敵教団の対立問題が混在してしまう。
    ・作りたての領地、仲間が集まりきっていない状態では大きな組織に抗えない

    後付けになりますが、
    この様な点でこの方向は出来ないと判断し、ログラインを今の形にしました。

    ・上記の①~⑤までの流れって、1章におけるマルタのポジション

    そうです。それは意図的です。
    そこを補完するキャラがマルタちゃんです。
    後々は、それだけのキャラではないのですが(笑)

    その物語を動かすための原動力が、
    二章のクライマックスでフィデスとなっているなら
    二章を書く意味が生まれています。






  • こんばんは。


    >『物語の設定上は重要なこと』は作者の都合だという解釈でしょうか?

    例えば、1章ラストでカミヒトと領主が、領地を開拓する必要性を話してますよね。

    ここで説明されてる物事が、物語の設定上は重要なことの一つですね。
    主人公がやらなきゃいけないことが提示されました。

    ただし、物語の設定上やらなきゃいけない事、と、読者が主人公にやってほしい事って = じゃないんですよね。

    これを=の関係にするため、物語の設定上やらなきゃいけないことを、読者が主人公にやってほしい物事に変換するために必要なのが、「絶対に主人公にXXしてほしい!」と思わせるような感情移入ということですね。


    おっしゃる通り、これめちゃくちゃ好みがでる部分です。
    領地経営ものなら何でも無条件で好きな人なら、「絶対に主人公に領地開拓してほしい!」と1章ラストだけでもワクワクできるんじゃないかなとも思います。

    そういう人にとっては、領地経営という展開を提示した時点で
    設定上やらなきゃいけないこと=読者が主人公にやってほしい事 が成立するので。

    そうじゃない読者の立場だと、この=関係を成立させてから物語りを進めてもらいたかったな、ということですね。

    そのために使える手段として例えば、フィデスを守る要素を前面に押し出すような例を、先ほど書かせていただきました。

    それが2024年7月7日 22:59の投稿の『この5話の間に特段に派手なイベントがなかったとしても、領地をもり立てていくことにめちゃくちゃ感情移入しちゃうような要素があれば、また別なんですが。』ということの意味です。



    ・日常的な村の様子や疫病対策が読者の興味をそそらなかった点

    1章の醍醐味である前世の宗教知識で活躍するみたいな物語に惹かれてここまで読んできた読者の立場だと、あれ、2章はなんかちょっと違うなってなっちゃう部分ではありました。

    この近況ノートの他の方のコメントも見るに、似たような感想を抱いた方が一定数おられるのかなという印象があります。




    >この様な点でこの方向は出来ないと判断し、ログラインを今の形にしました。


    良くわかりますね。
    自分でも、これやるなら設定的にかなり面倒だなと思いながら書いてました。
    まさに言うは易し、書くは難しというやつですね。
  • ありがとございます。

    つまり、まとめると一から二章の序盤までに
    「主人公に領地開拓を成功させて欲しい」という期待値が欲しかったという事ですね。

    確かに主人公は
    領地開拓をするぞ!という感じではなく、
    むしろ自然とそうなった感じですね。

    もしかしたら、読者が抱く期待値と
    作者の予測する考えに乖離が起きている可能性があります。

    作者としては
    領地開拓が主題、ではなく
    あくまでも本筋は宗教ビジネス、ルネサンス・宗教改革なので難しいところです。
    また、主人公の彼もビジネスはしたいが、村の責任者や面倒事は拒んでいるのでそこから違うのだと思います。

    現実問題。もし、治すなら
    一章~二章、物語の骨組みからバラして
    根本を見直し、作り直す羽目になりそうですね。

    やはり、改めて思ったのは
    難しいのは
    起承転結の”起”と”承”の部分ですね。

    ”起”で冒頭の入りと掴み
    世界観への導入。物語のフックや期待値を明示した上で
    ”承”でさらに物語へと引き込む。

    これをテンポよく展開するから没入感が生まれると思いました。


    ・言うは易し、書くは難し。

    そうなんですが……これはその作者がどこまで
    この作品を仕上げるかにも拠ると思っています。

    今回のご指摘を頂いた内容は
    このまま三章まで書き上げ、改めて客観的に見直した上で
    同じような感想を持つようなら手直したいと思っています。

    もし、これがコンテストに応募する作品のテコ入れなら
    キリの良い所で打ち切って
    カットする、もしくは加筆部分のバランスを見て手直しする感じでしょうか。

    まあ、この作品は扱っているものがヤバすぎるので
    絶対に表には出させませんが(笑)

    もちろん、今回の意見は、
    貴重な意見として有難かったですし、たぶん今後の新作にも
    その考えを取り入れることがあるかと思います。


  • ・読者が抱く期待値と作者の予測する考えに乖離

    これは読者と作者のもってる情報量の差によって必ず起きる現象ですね。

    読者は物語で現在あかされてる場面までの情報までしかもっていないので、物語の中でおきる直近のイベントにどうしても注目してしまいます。

    逆に作者は物語の結末までを知ってるので、もっと長期スパンでこのあたりのさじ加減を見てしまいがちなんですよね。

    各話の後書きなどで、今後の展開などを長期的な視点で説明されてますが、ここにそれが現れてるかなと感じています。

    読者としてのワガママな立場から見るとやはり、何十話も後でどうなるこうなるよりも、これから起きる直近の展開を楽しませてください、ってなっちゃうんですよね。

    まずは目の前で起こることに、がっつり期待値をあげてほしいってなるわけですね。
  • ・起きる直近の展開を楽しませてください

    確かにそこが次の新作の課題でした。
    伏線などを多く踏まえると
    やはり物語の展開、進行スピードが遅くなりがちで。

    個人的によく考えてしまうのは
    例えば恋愛もので
    ただ二人のラブストーリーだけを描くだけでは
    単調になりがちになってしまう傾向があると思います。

    本筋はしっかりとラブストーリーを描く上で
    副菜的に周りの友達の人間模様など
    読者が楽しめるような要素を入れられるといいのですが

    その副菜が楽しめないとブラバになるというのがまた、考えものです。

    もしかしたら、この作品の本筋が
    ざまあ系になってしまっているのが問題という可能性もありますね。

    もっと、わかりやすいジャンルの選定をしてから
    作品を作るべきだった可能性があります。

    ・まずは目の前で起こることに、がっつり期待値をあげてほしい

    個人的に
    これもなかなかの難題なことだと思っています。

    この問題を
    もしも、料理のフルコースで例えるなら
    フレンチ料理と日本料理に似ている感じでしょうか。

    フレンチ料理は一皿一皿、単発で味付けのしっかりとしたものを提供する一方、
    懐石料理とかはコース全体のバランスを見て、味の緩急や変化を一皿ずつ出す特徴があります。

    これはどちらが良いという事ではないですが

    比較的、フレンチの方がインパクトは強い分、飽きられやすく。

    日本食は一皿で見るとそこまで美味しいとは言えないが
    コースを食べ終わった後の満足度は高い傾向があります。

    この様なメリットとデメリットがあり
    これが作品創りにも当てはまる気がします。

    『目の前で起こることに、がっつり期待値をあげてほしい』という
    のは

    作り手の視点で言えば
    まず、大勢多数の大半が思う、作品のフックを見定める
    予想した上で
    早めに盛り上がりポイントを用意する。

    さらに期待値も高い物を小出しぎみに回収していくと
    物語全体の期待値、曲線グラフの幅が小さくなり、ラスト自体も期待値が引き下がってしまうので
    さじ加減とバランスを取る作業が必要になるかと思います。

    このバランスが一番、難しいです。
    物語を起承転結
    意外に盛り上がりポイントを各話事、小・中・大で
    割り出し管理した方がいいかもしれません。

    この辺、何かアイディアがありましたら教えて頂けると幸いです。
  • こんばんは。

    物語のフックっていろんな性質のものがあると思うんですが、
    この場合は二つの点に注目するといいかなと思います。

    一つは、長々とした前提やら設定の把握が必要なく、直感的に面白いと思えるような要素。

    カクヨムでいえばキャッチやタイトル、あらすじ、冒頭だけで、「あ、これ面白そう」と思える要素ですね。


    もう一つは人間ドラマに代表されるような、前提条件の積み重ねで初めて面白さがでる要素です。
    人間ドラマって、キャラ紹介から始まって、キャラ同士の関係性を見せた上じゃないと、面白さが成立しないじゃないですか。

    なので、後者を見せたい場合は、その面白さが発揮されるまでの補助エンジンとして、前者の要素を必ず用意しておくことが必要になりますね。


    この作品で言うと、前者の直感的に面白そうと思える要素は『前世の宗教知識でスキルを工夫してつかって大活躍』という要素ですよね。

    これはこの作品の場合、タイトルやキャッチからだけで、転生系の王道な醍醐味が期待できます。
    しかも他で見たことないような変化球のですよね。
    かなり美味しいと思います。

    で、これは占い商売のくだりなどで期待がちゃんと序盤で回収されて転生ものの醍醐味の達成感がでてます。

    タイトルで期待させて→早期に醍醐味をちゃんと見せてくれる
    この作品を読み続ければ、こういう面白さが味わえるんだ、と理解してもらう。
    っていうのがバッチリできてるんですよね。


    そして後者の前提条件の積み重ねで面白くなるスロースターターな面白さ要素は、この作品の場合、マルタやフィデスとの関係性が絡む事件ですね。

    これも前述の占い商売などで醍醐味を味合わせてくれながら、キャラ紹介や関係性の構築を上手いこと練り込んであります。

    スロースターターな要素が面白くなるまでの補助が、ちゃんとできてるってことですね。

    そして一章終盤は、『前世の宗教知識でスキルを工夫してつかって大活躍』という要素と、人間ドラマ的なスロスターターな面白みの要素がシンクロしてシナジー発揮してとっても盛り上がってます。


    何が言いたいかというと、

    ・この辺、何かアイディア

    これ一章だと普通に出来てるんです。
    一章の批評をしたときにも、似たようなことを言った気がしますが、転生物として変わり種の題材あつかってるのに、完成度すごく高いんですよ。
    だからこの作品は凄いと思った。


    ただし、ここで留意していただきたいのは、
    釣った魚は釣ったときの餌を食べさせ続けないといけない、ということです。

    一章を読み切った読者は、『前世の宗教知識でスキルを工夫して大活躍』するっていう要素を期待して読み始めて、実際にそれが満たされて満足して一章を読み切ったわけですよね。
    (少なくとも私はそうでした)

    では、その要素が薄い二章の出だしを読んだらどう感じるかってことですね。
    あれ、なんか二章は違うぞ?ってなっちゃいますよね。

    料理の例えを出して頂いたのでそれに便乗するなら。

    「あれ、俺、ラーメン屋にラーメン食いに来て、さっきまで旨いラーメン食わせてもらったのに、おかわりで二杯目注文したらカレーが出てきたんだけど? しかもなんか、店主がさらにカレー作ろうとしてるのが席から見えるんだけど? いや、普通にラーメンくわせてくれない?」

    って感じになっちゃいます。

    要するに、一章と二章では物語のジャンル自体が変わっちゃってるんですよ。
    少なくとも読者の立場からだとそう感じちゃいました。
    これは以前の批評だったか作中のコメントでもふれた部分だと思います。


    こういう風に作品の途中でジャンルを変えるってことは、物語を一からまたリスタートするも同然なんです。

    新しい作品を読ませるつもりでやらなきゃいけない。

    そうするとまず提示しなきゃいけないのは、一章と同じく、前提の積み重ねなしで直感的に面白そう、面白くなりそうと思える要素です。

    具体的には『領地開拓することによって、どんな醍醐味が味わえるのかを読者が直感的に想像できるかどうか』ってことです。

    これがね。
    二章でやるべきことが説明される一章のラストでパッとしなかったんですよ。
    (何度も繰り返しますが、領地開拓系が好みの範疇にない私の感想です)
    ほんとはここでやらなきゃいけないのに、領地開拓することによって、どんな面白さが味わえそうなのか、パッと想像がつかなかった。

    で、二章が始まっても、やっぱり何かしらの醍醐味といえそうなものを期待できそうな要素が見当たらなかった。
    いやまあ、それぞれ特技をもった仲間が集まってきて協力していくってのは、良いんですけど、決定的なものではなかった。

    そしてマリーの登場で、この流れが変わって、あ、面白くなりそうってはなるんですが。

    なので、>何かアイディア
    の回答としては、物語がリスタートしてるんだから、もう一度、最初から新しい作品を見せるつもりでやらなきゃですよ。ってことですね。
    そしてそれは一章ラストから始めなきゃなやつです、ってことです。
  • ちょっとだけ補足です。

    リスタート、といっても、それでも一章を書き始めるのと、二章を書き始めるので明確に違う部分は、
    二章は一章で積み重ねてきた要素を利用できることです。

    具体的にはマルタやフィデスといったキャラとの関係性。
    それとスキルの使い方などの説明がおわってるってことですね。

    なのでこれらのキャラを利用してしょっぱならから事件を起こしたり、その事件をスキルで解決したりができます。

    1章でマルタがピンチになって助けるようなくだりを、2章はいきなり出だしから出来るということです。
  • ・さじ加減とバランス

    一般論としてのこれに関してはそんな難しく考えることではないと思ってます。

    何故かというと、目の前のイベントが面白くなきゃ、もっとあとのイベントに期待なんてしてもらえないからです。

    今をまずちゃんと楽しんで読んで貰えなきゃ、後なんて存在しないのと同じってことです。

    選択肢なんて最初からないと思ってます。
    目の前に全力投球一択しかありません。

    なのでアイディアというか、作者がやることって三つしかないと思ってます。

    ①期待を作る。

    ②それを膨らませる。

    ③それ以上は膨らませられなくなったり、新しい期待を作り出せないなら、ここが期待の限界値ということなので、既存の期待にオチをつけて回収する。

    これだけですね。
    逆に絶対にやってはいけないことは、

    それ以上は期待を膨らませられなくなったり、新しい期待を作り出せてない状態なのに、期待を回収しないor回収できる状態にできていない。

    これですね。

    期待が膨らんでいない状態で、新しい期待も作り出せてないのに回収せずにひっぱると、ここが飽きるポイントになります。

    期待を膨らませてる状態と、ただひっぱってる状態は違うので注意ですね。
    たまにこれを取り違えてる作品を見かけます。
    膨らませてるつもりで、ただ回収を先延ばししてると飽きられます。


    もし本当に期待を膨らませられてる間に飽きられるようであれば、そもそも作者が想定してる期待が、読者にとって的外れだったということになります。

    なので、その場合はそもそも作り出してる期待が読者のニーズじゃないという問題になりますね。
  • さらに続き。

    上記を一章に当てはめるとこうなります。

    ①タイトルやキャッチで期待を作る
    期待=『前世の宗教知識で活躍する』

    ②主人公の生い立ち説明パート=前世知識に関する期待を膨らませてる
     世界設定の説明パート=どんな世界で活躍するのかの期待を膨らませてる

    ③占い商売で回収=なんだこれおもしれえ!

    こうなってます。

    2章の場合は①の『期待を作る』にあたる部分がそもそも存在してないので、膨らませようがない状態になってるってことですね。
  • ・どれくらい膨らませるのか? 回収のタイミングは?


    どれくらい膨らませるかは字数制限(公募の規定など)による尺の割り振りに依存します。
    逆に字数制限がないなら、膨らませられるかぎりは無限にしてもOKです。

    期待を膨らませられてる状態=どんどんワクワクを供給できてる状態なので、作品を楽しんで読めてる状態ということだからです。




    具体的にこの作品に当てはめて考えてみます。

    一章で主人公の過去の説明がされているときに、主人公はどんな知識を持った人なのか、というワクワクが追加供給されてますよね。

    だけど十分に読者が主人公のことを知れたら、もうワクワクはそれ以上増えないので、そこの塩梅を見て、次のワクワク供給源に切り替えなきゃいけません。

    これが転生するパートに当たります。

    そして異世界がどんなところなのか、スキルはどんなものなのか、
    この二つのワクワク供給源からまた供給されて膨らむわけですね。

    『前世の宗教知識でスキルを工夫して活躍する』っていう期待の、
    どんな知識なのか? どんなスキルなのか? どんな世界でそれを使うのか?

    ってのがこれで大方出そろいました=回収する準備が整いました。
    もういつでも回収できますね。

    でも、もし仮にもっともっとワクワクさせられて、膨らませられる自信のあるすごいワクワク供給源のネタがあれば、それぶっこんでもいい。
    急いで回収する必要はないんです。

    ウェブ小説に字数制限ないですからね。
    でも現実的にはここらが膨らませる限界なので、ここで回収=占い商売ということになります。

  • ・回収したらそれによって新たに膨らむ期待をちゃんと利用する。

    これどういうことかというと、
    この作品に当てはめた場合、占い商売によって主人公がこの世界で何ができるかが提示されますよね。

    つまり、ここで新たな期待が作り出されたわけです。
    次は主人公はこの知識やスキル使ってどんな活躍をしてくれるんだろう、とですね。

    そこですかさず、この新たに生まれた期待を次の展開に活かしましょう。
    主人公がスキルを使って次ぎに何をするかを提示するってことですね。

    そうするとどうなるかというと、回収したはずの期待がそのまま次の展開に持ち越されてバトンタッチされます。

    要するに、回収したように見えて『もし仮にもっともっとワクワクさせられて、膨らませられる自信のあるすごいワクワク供給源のネタがあれば、それぶっこんでもいい。』これやってるのと同じ効果を作り出せてるってことです。

    回収と同時に、新たな期待が創造されて、その作られた期待の初期値が高い状態から始まるということです。
    このコンボは強力なので、これを途切れさせないように続けていきたいですね。

    で、一章はこれ出来てるんですよ。
    何度も言いますが、宗教ネタという扱いにくい題材でこれちゃんと出来てるからこの作品は凄いんです。
  • ・コンボが繋がる条件 繋がらない条件

    回収イベントや、そこで新たに作り出された期待と直接的に関連するような、次なる展開を提示しないとコンボが繋がりません。

    別の言い方すると、次の展開で主人公がどんな活躍をしてくれるのか、なんとなくは想像できて、それが面白そうな展開、ですね。

    完全に想像できてしまう展開だと予定調和にしかなりませんが、完全に想像できない展開をもってきてしまうと、期待感が切れます。コンボが切れます。

    ラーメンを食べにきてそれに満足してる客がおかわり注文してるのに、カレーを出しちゃダメってことですね。

    これが一章から二章の繋ぎで起きてる現象です。
  • こんばんは。
    返信遅くなり申し訳ありません。

    改めてご指摘頂きありがとうございます。


    ・物語のフックについて性質
    なるほどそのように捉えているのですね。
    大変興味深く参考になります。

    個人的には大前提として
    フックは趣味嗜好があるので読者の数だけ見方や捉え方はそれぞれだと思っています。

    キャッチやタイトル、あらすじ、冒頭で
    どれだけニーズを取れるかでPVが決まる感じでしょうか。

    ・この作品で言うと、前者の直感的に面白そうと思える要素は『前世の宗教知識でスキルを工夫してつかって大活躍』という要素ですよね。

    これは作者側からしたら
    作品の要素の一部分にしかすぎません。

    たぶん、ここに注目された読者さんは
    二章ではあれ?と思うかと思います。
    もっと云うならば、1章のクライマックスはあんな風にはしないです。

    もし、『前世の宗教知識でスキルを工夫してつかって大活躍』が作品のテーマだったら
    一章で神官長をざまぁして次の敵を出してます(笑)

    さらに料理で例えるなら
    「あれ、俺、ラーメン屋にラーメン食いに来て、さっきまで旨いラーメン食わせてもらったのに、おかわりで二杯目注文したら棒棒鶏が出てきた。
    なぜ?→うちは中華屋さんで、この食事はコース料理だからです! →Oh! バンバンジー!?」
    的な感じでしょうか(笑)

    余談
    この世にある全ての物を料理で例えられる説。

    この作品のテーマは
    『弱者の為の理想郷(新興宗教)を異世界に作る』なので
    そこが大きな乖離かと思います。
    あっ、ここで言う乖離は正しい、間違っている、のものではないです。

    なので2章では、主人公以外のキャラが勝手に村を作ってくれる状況を中心に物語が進行しています。

    これは無自覚系の要素も含まれているので
    『前世の宗教知識でスキルを工夫してつかって大活躍』を期待された方は肩透かし感を感じてしまうと思います。

    ・この辺、何かアイディアがあれば?の質問の意図

    言葉足らずでした。

    前述も説明した通り、フックは読者ニーズ、趣味嗜好なので作者側からは予測するしかありません。

    『私はこんな作者が好きだけど皆さんはどうですか?』みたい感じです。

    ここの問題点は、作者が見せるテーマの大きさです。
    これは、予想する読者のフックも含まれたものであり、作者が書きたい部分でもあります。

    この作品のテーマが小説創りの根幹。
    物語の深みを作り出すもので
    『読者の時間(命)を奪ってまで伝えたいこと』だと個人的に思っています。

    問題はそのテーマの大きさ、ストライクゾーンの広さ
    膨らみです。

    例えば
    『前世の宗教知識でスキルを工夫して使って大活躍』方に向けて、大雑把にログラインを敷くと

    問題が発生→主人公が現世の知識でアイディアを出す
    →異世界には無い画期的な情報→主人公の評価が上がる→問題が発生

    の繰り返しになると思います。
    こうなると、物語の盛り上がりポイントが決まってしまい、物語の内容がナーロッパ(中世ヨーロッパ)になかった現代のアイディアを手を変え、品を変えて出すというものになってしまいます。

    これは、既存の作品にはよくあるものですが、
    個人的には単調になりやすい欠点があると思っています。

    注:もちろん『コナン』のように
    毎回、殺人事件が起きるけど上手く読者を楽しませて
    くれるものも知っております。

    ざまあ系ならざまあを繰り返すだけになりやすいという意味です。

    逆に、テーマを広く『世界を救う』すると抽象化し過ぎて作品の作りが、ぼやけてしまう気がします。

    ここが難しいという意味の質問でした。

    ・具体的に『領地開拓することによって、どんな醍醐味が味わえるのかを読者が直感的に想像できるかどうか』

    これはプロローグにかかっており、領地開拓することどんな醍醐味が味わえるのかという答えそのものになります。

    ・さじ加減とバランス

    ①期待を作る。
    ②それを膨らませる。
    ③それ以上は膨らませられなくなったり、新しい期待を作り出せないなら、ここが期待の限界値ということなので、既存の期待にオチをつけて回収する。

    これは私の経験だと短編小説なら良いと思いますが
    長編だと、どこかで失速すると思います。

    なぜなら、一番面白いシーンはクライマックスでないといけないからです。

    急に面白く無くなる漫画が、いい例かと思います。

    この考えはミクロ的で、マクロでみると
    破綻しやすい作品創りと考えてます。

    故に起承転結、三幕構成があるのだと思います。

    ・とはいえ、今をまずちゃんと楽しんで読んで貰えなきゃ、後なんて存在しないのと同じ

    これはまさしく正論です。
    なろう系読者の傾向は『スナック感覚』。
    これが出来たら
    ヒット作品を簡単に作れると思います。
    まさしく、『言うは易し、書くは難し』ですね。

    続きは後日返信させていただきます。
  • ・どれくらい膨らませるのか? 回収のタイミングは?

    個人的に早めに回収するという点は、メリットとデメリットがあるように思います。

    読者に常に期待を持たせた状態で読んでもらえる反面、物語が単調になりやすいと思っています。

    期待=『前世の宗教知識で活躍する』だけに照準を絞ると、①~③を繰り返す事になってしまいます。

    出来ればここは、ここぞ、というタイミングで使いたいです。

    また、早い段階で主人公が活躍し過ぎると他のキャラが死んでしまう気がします。

    特にこの作品は個性的な仲間が彼を神に祀り上げていく作品なので
    正直、『前世の宗教知識で活躍する』というフックを大前提にされると
    作品自体、作り直しになります。

    もしかしたら2章は主人公がメインではない点が
    『前世の宗教知識で活躍する』というフックをお持ちの方には響かない点かもしれませんね。←あれ?これは2度目かな?

    ・コンボが繋がる条件 繋がらない条件

    回収イベントや、そこで新たに作り出された期待と直接的に関連するような、次なる展開を提示しないとコンボが繋がりません。別の言い方すると、次の展開で主人公がどんな活躍をしてくれるのか、なんとなくは想像できて、それが面白そうな展開。

    →これは意図的に隠しているところがあります。
    逆にそこが透けすぎていると、読者を驚きに繋がらない点があるからです。

    基本、私のクライマックスは
    様々な伏線が重なって盛り上がっていく作品を目標にしています。

    ただ、最近はもう少し、その敷居を下げた方がいいかもしれない気がします。

    新作は、分かりやすいジャンルで
    話数事に期待値を小分けに管理するものにしようかと思っていますので
    パイロット版が出来ましたらまた、指摘、批評いただけると幸いです。

    改めて、
    貴重な意見を頂きありがとうございます。
    大いに参考にさせて頂きます。

    ここで一つご相談なんですが
    菅野 事案様の作品でまだ、言っていない指摘ポイントがございます。
    なぜ、それを言わなかったのかというと
    そこは一読者の個人的な嗜好が反映され過ぎている箇所だからです。

    一言で言うなら『私だったら、こう描く』というポイントです。

    宜しければ、近日
    改めてそちらの近況報告のコメント欄にまとめておきたいと思っているのですが
    いかがでしょうか。

  • こんにちは。
    返信タイミングについてはお気になさらないで下さい。
    別に何か急いでるわけでもないですし、気楽にいきましょう。



    ・故に起承転結、三幕構成があるのだと思います


    起承転結や三幕構成、これは同じ現象を違う言葉で表したものですが、これらをもっと単純な形まで素因数分解すると、実は上記の①~③の要素にまで還元できるんです。

    ①~③を最大化するように展開を構成すると、意識しなくても起承転結と三幕構成、あるいはBS2テンプレートや神話12の法則のような三幕構成の各種分類テンプレに勝手になります。

    自然にそうなっちゃうんですよね。


    なぜそうなるのか説明します。


    そもそも起承転結(現代で創作界隈で使われてる意味においての)や三幕構成という概念がどうして生まれたのかですが。

    これらは既存の名作と呼ばれるような創作物に共通する展開を抜き出して概念化したものです。

    つまり、起承転結や三幕構成が概念化されるずっと以前から、同じような構成の物語が存在していた、ということですね。

    三幕構成と互換性のある神話12の法則にいたっては、概念化は現代においてされたものですが、神話がつくられたのは、それこそ有史以前ですからね。

    ではそういう物語ってどういう手法で作られたのか?

    起承転結や三幕構成なんて概念なかったんだから、意識されてるわけないですよね。

    つまり起承転結や三幕構成よりも、もっと根源的な原理によって生み出されたということが示されています。

    それは何かというと人間が物事に興味を持つプロセス=生物学的な脳の機能による現象だと私は考えてます。

    具体的に言うと、ドーパミンとエンドルフィンという脳内麻薬物質の作用ですね。

    ドーパミンというのは期待感を司る物質です。
    これは、期待でワクワクするという状態を人間に作り出します。

    エンドルフィンというのは何かを成し遂げたと感じたときなどに分泌されます。
    達成感や爽快感、感動などの幸福感を感じさせる効果があります。


    なので①~③って人間の脳の原理的に、ワクワク、面白い、快感、なんですよ。
    理屈とかでなしに、脳がそうなってるんですよね。
    火に触ったら熱いし、氷に触ったら冷たい。そういうレベルの原理です。


    ①期待を生み出して、ドーパミンを分泌させる。

    ②期待感をさらに膨らませて、もっとドーパミンを分泌させる。

    ③期待感を回収してエンドルフィンを分泌させる。

     このエンドルフィンによる快感によって、①で味わったのと同じ期待感を見せられると、条件反射で③を期待してのめり込んでしまう。
     この、のめり込み状態が、前回お話ししたコンボの原理になります。


    これに類似した生理現象はギャンブルで勝った状態の脳なんかがまさにそれですね。
    どんどん次ぎの①~③を求めちゃいます。

    そして名作と呼ばれるような面白い創作物は、①~③が各パートごとに最大化されるように作られてます。

    おっしゃる通りミクロの構成でそうなってます。
    でもこれ、マクロの構成でもまったく同じなんですよ。


    例えば、起承転結に当てはめると。

    起で世界設定や人物紹介のセットアップが終わったとして。
    次の展開にどんなことを持って来たら、最大限にドーパミンだせる?っていったら。

    紹介した世界で人物がどんなことをしてくれるのかを提示しなきゃ何も期待が膨らまないですよね。
    じゃあ、ハッキリと主人公の目的を提示しましょう。
    これようするに、承、ですよね。

    じゃあ、主人公のやることが決まりました。
    でも、これでいきなりすんなり思い通りになっちゃったら、ドーパミンもエンドルフィンもでませんよね。

    なら、主人公が乗り越えるべき伸るか反るかの挑戦的な課題を提示して、ギャンブルみたいな状態を作り出しましょうってなるわけですが。
    これが転ですよね。

    では最後の結末はエンドルフィンをドバドバださせましょう。
    そのためには主人公の活躍が報われるようなオチが必要ですってなりますよね。
    これ、結、ですよね。

    以上ですが、三幕構成でもまったく同じです。
    本質的に両者は同じものなので。


    結局のところ、①~③を最大化することだけミクロで考えていけば=次の展開でどうしたら最高に面白くなるかを考えていけば、勝手に理想的なマクロ構成になるんですよね。

    どうしてそうなるかと言えば、①~③が最大化された物語の共通点を概念化させたものが、起承転結や三幕構成と呼ばれるものだからです。


    なので相互に互換性がありますし、起承転結や三幕構成がなぜ面白いのかを説明できる原理が①~③になります。
    脳汁ドバドバ出させやすい構成ですよってことですね。

    つまり、前回お話ししたコンボで、最大攻撃力を発揮させるコンボルートに、後付けで名前を付けたものが起承転結や三幕構成ということです。

    コンボだけ考えて、目の前に全力投球していけばOKというのはそういう意味です。

    行き当たりばったりでOKというネガティブな意味ではなく、起承転結や三幕構成の物語が、どういうメカニズムで作られたのかっていう、基本中の基本を手堅くなぞっていけばいいよってことです。



    ・『私だったら、こう描く』

    とても嬉しいですね。
    ですが、あくまで海水さんには、執筆最優先でご自身の時間を使っていただければと思ってはおります。
    もし一段落ついてお時間ができてからで結構です。
  • ・この辺、何かアイディアがあれば?の質問の意図

    つまり、フワッとした大きなテーマを読者に興味もって楽しんでもらうためにはどうすればいいか、ということですかね?

    この問題の参考例になる有名どころの作品はいくつもありますが。
    たぶん、一番分かりやすいのが映画の『アルマゲドン』とか『永遠の0』のメインプロットとサブプロットのシナジーのさせ方ですね。

    作品自体はどちらもかなり有名で、テレビでもくり返し放送されてるので、おそらく見たことがおありかと思いますが、ここではシンプルなアルマゲドンを例に簡単にあらすじを説明しますと。

    地球に隕石が落ちてくることが判明して、地球滅亡の危機になります。
    そこで地球を救うために、石油採掘業者の主人公がロケットに乗って命がけで隕石を爆破しにいくお話しですね。


    ご覧の通り、メインプロットは『世界を救う』っていうめっちゃでかくてフワッとしたテーマです。

    これだけだと主人公が救う対象が一般多数の群衆という顔の見えない相手でしかなくて、世界を救うっていうメインプロットに感情移入できないんですよ。

    なのでメインプロットに感情移入させるためのサブプロットが組まれてます。
    それが何かというと、主人公(中年のおっさん)と年頃の娘の親子愛ですね。

    主人公は長年、仕事ばかりで娘にかまってやれなかったのが、負い目だったんです。
    だから、せめて自分が世界を救って、娘の未来を作ってやろうと決心するんですね。
    それが父親として我が子にしてやれる最大の愛情の示し方だと。

    つまり、メインプロットだけだと救う対象が漠然としたフワッとした世界全体というものだけでしかないんですが。

    サブプロットの親子愛という要素が絡むことで、救う対象が明確化されることによって、一気に感情移入が進むんです。
    この娘を救いたいっていう主人公に共感しちゃうわけです。

    そうすると「主人公に絶対隕石爆破して生きて帰ってきてもらいてええええ!」ってなるわけですね。

    ところがですね。
    主人公がロケットで隕石にたどり着いたはいいけど、もっていった爆弾が故障しちゃうんです。
    爆破するには、誰かが隕石に残ったまま自爆するしかなくなります。

    まあ要するにキリスト教圏あるあるな自己犠牲で世界救うオチなんですが。
    ここでは、親として子どもにできる最大の愛情の示し方=世界を救う=子どもの未来を作る、として自爆が演出されるんですね。

    こうなるともう、宗教観とか関係なく、親子愛って人類普遍のものなのでやっぱ感動しちゃうわけですよ。

    こういうベタな映画って、逆張り大好きな映画オタクからは、叩かれたりすること多いんですが普通に名作なので、もしまだ見たことなければ是非、ご覧下さい。

    ちなみに、永遠の0もアルマゲドンとまったく同一のメインプロットとサブプロットのシナジーのさせかたしてるんですが。
    永遠の0はこのシナジーがえぐい精度と強度でやってくるのでやばいですね。
    こちらも見たことなければ必見です。

    本当は永遠の0を例に語りたかったんですが。
    作品の構成的に例にするには複雑な部分があって不適なので、シンプルなアルマゲドンにいたしました。



    まとめると。

    フワッとした大きなメインテーマを見せたいときには、必ずフワッとしてる部分を、サブプロットなどを使って具体化すること、ですね。

    フワッとしたままだと感情移入できないので、必ず具体化はしなきゃダメですね。

    この作品で言えば、『弱者のためのユートピアを作る』であれば、『弱者』を具体的なキャラクターとして具体化して、そのキャラに感情移入させることですね。

    これは実は既にマルタがその役割になってるんですが、肝心の2章でほとんど出てこないんですよ。

    代わりにフィデスが前に出てきてる。
    なのでいっそ1章のマルタのポジションをフィデスが担えるようにしちゃうと、サブプロットをメインヒロインとの関係性に絞れてストーリーをシンプルに出来る上に、感情移入させる対象を集中させられるんですよね。
  • ・パイロット版の指摘、批評

    もちろんOKですよ。
    楽しみにお待ちいたします。
  • ・メインプロットとサブプロットのシナジーのさせ方


    これ実は、世に出回ってる商業作品でも、失敗してる例がいくらでもあります。
    なので取り扱いには注意が必要です。



    ・必ずメインとサブの目的を一致させる。

    アルマゲドンに当てはめると。
    メインの目的が『世界を救う』
    サブの目的は『娘を救う』

    と、地球を救うことによって、娘を救うことが達成されるわけなので、これは目的が一致していることになります。

    こうすると、娘に対して感情移入をしてもらえば、地球を救うという目的にも連鎖して感情移入してもらえます。

    そうすることによって、「絶対、隕石爆破して生還してもらいてえええ!」ってなるわけですね。


    逆にメインとサブの目的が一致してないとどうなるかというと。
    違う二つの物語が同時進行する感じになります。

    そうするとメインの進行とサブの進行が同時に起こる都合上、物語のテンポがめちゃくちゃ悪く感じられるようになります。
    いやもうそれ、別の作品として二つに分ければいいやんってなっちゃいます。


    ちなみに、サブは一本だけじゃなくてもいいんです。
    二本以上、同時に走らせてもいい。
    だけど目的だけは一致させなきゃいけません。

    ただしサブが増えれば増えるほど、構成の難度や、読み手側の消費カロリーも増えますので、理想は一本にまとめることです。




    ・メインが感情移入しにくいテーマの場合、サブはガッツリ感情移入しやすいテーマにしなければならない。

    メインとサブ、どっちも感情移入しにくいテーマだと、物語に読者の感情がついていきません。

    アルマゲンドンの場合は地球を救うというデカすぎるテーマなので、サブはその逆に親子愛というベッタベタにベタなテーマを当てています。

    でもメインのテーマがデカすぎるので、これくらいベッタベタで分かりやすい物のほうがバランスが丁度いいんです。


    また、この場合、サブに作品全体の感情移入が依存してる構成になります。

    なので、サブを進行させてる途中で主人公の言動が悪い意味でブレたりして、主人公のキャラらしくない台詞や行動をしたりすると、一気に物語全体に醒めてしまったりします。

    このケースでの失敗って商業作品でもわりと多いです。

    物語の展開の都合的に、主人公が強引に作者に動かされちゃうような感じと言えばいいんでしょうか。

    その物語の主人公であれば、この場でそういう事はしないやろ、とか、なんでこの行動してるのか意味わからん、って思われちゃうと、もうダメなんですよね。
    一気に醒められちゃいます。

    こういうパターンがなぜ起きるかというと、作者と読者の情報量の差異によって起きます。

    作者はマクロで物語を見がちですが、読者はミクロでしか物語を見ることができません。

    なので作者から見ると、主人公の不自然な行動は面白い次ぎの展開へ繋げるから許容されると思っちゃうものなんですが。
    読者からみると、わけわからんみたいな違和感が強く残っちゃうんですよね。

    これを防ぐのに簡単な方法が、目の前のイベントだけに全力投球、ってやつですね。
    目の前のイベントを全力で楽しめるようにしていけば、基本的にこういうことは起こりませんし、自然に理想的なマクロ構成にもなります。
  • ・単調になりやすい欠点

    ちょっと話しが横にそれちゃいますが、ここについても参考例をご紹介します。

    確かに同じようなシチュエーションでスキルを使って無双を続けちゃうと単調になりますが。

    主人公がやること自体は同じでも、各展開のパートごとにシチュエーションを変えることで、それをまったく感じさせずに映画一本作ることもできちゃいます。

    主人公がやることは最初から最後までまったく同じだけど、ぜんぜんそう見えない映画を選んで来ました。

    『Yesterday』 2019年の作品です。

    これを選んだのは、ハリウッド版なろう、なんて当時呼ばれてたからです。
    主人公がチート能力を与えられて、それ使って無双を2時間ずっと繰り返します。

    どれくらい、なろう、なのかというと。
    普通にバスに轢かれて異世界転生してチート能力をゲットするので、わりとまんま、なろうです。

    トレーラー https://www.youtube.com/watch?v=dG0Y507ScL4


    主人公はイギリス人で、プロミュージシャンを目指す、子ども部屋おじさんです。
    オアシスに憧れ、ビートルズを神と崇めて育った彼ですが、音楽家としては泣かず飛ばず。

    いよいよ、才能ないことを自覚して夢を諦めようとしたときに、それは起きました。

    バスに轢かれて異世界転生!
    でも、転生した先は現代とそっくりの世界なんですね。

    だけど、その世界の歴史ではビートルズというバンドが存在してなかったんですよ。

    彼だけがビートルズの曲を知っている世界線、というわけです。
    人類最強のバンドの曲を彼だけが歌える。

    こうなるともう、無敵なわけですよ。
    諦めていた音楽家になる夢を叶えられるチャンスがやってきちゃった。

    スキルを使って無双ターンの1ターン目の始まりです。

    曲を発表しだしてから、だんだんと有名になって、なんとエド・シーランに目を付けられます。

    この映画の目玉の一つなんですが、エド・シーラン本人が本人役で出てるんですよね。

    公式ch https://www.youtube.com/watch?v=81ffGRMLlY4

    で、エドのライブの前座として主人公は抜擢されるんです。
    その場で、エドとの即興作曲対決やることになってしまいます。

    対決シーン https://www.youtube.com/watch?v=psel9fpienw

    この時に主人公が披露した曲が『The Long And Winding Road』なんですが。
    これに対してエドが自ら敗北を認めてしまうんですね。
    エド自身も天才だからこそ、その曲の偉大さを誰よりも一瞬で理解してしまったんです。

    だけど、主人公はここで思ってしまうんです。
    エドを倒してしまったけど、これは自分の才能なんかじゃない。
    これはあくまで借り物の曲でしかない。
    しかも、何よりも尊敬するビートルズの曲を、そんな風に使ってしまっている自分に我に返って見てしまうんですね。


    だけど……この対決に勝利したことが切っ掛けで、大ブレイクが始まっちゃいます。

    スキルを使って無双の2ターン目ですね。
    名声がうなぎ登りになっていきますが、それに反比例して彼の幸福度は下がっていきます。

    どうしてかといえば、そう、結局、無双できてるのは借り物のチート能力のおかげでしかないからです。
    彼自身が偉大な音楽家になれたわけじゃないんです。

    しかも、神のごとく尊敬するビートルズの曲を悪用してそうしてる。
    罪悪感がどんどん募っていきます。

    やってること自体は1ターン目と同じ、スキルを使って無双してるだけなんですが。
    物語のベクトルが真逆になってるおかげで、単調になってないんですね。

    主人公がやってることが全く同じであっても、それをやる意味付けや、とりまく状況によって、いくらでも味付けがかわるということです。

    いよいよ
    主人公の人気が絶頂というところまで来ましたが、精神的に追い詰められていきます。

    そんなシーンで歌われるのが『Help!』
    この歌詞が追い詰められた彼の心情そのままで、名シーンになってるんですね。
    https://www.youtube.com/watch?v=41EZz2NTxqQ

    このシーンでもやってること自体は、スキル使って無双、なんですけど、もはやその無双行為は悲痛な叫びに変わってます。

    やってることは同じなのに、主人公の置かれた立場を変えただけで、見え方がぜんぜん違うんです。

    単調どころか、同じ事やってるおかげで1ターン目との対比の構図がガッツリきまってる。
    同じ事やってることを逆に上手く利用してます。


    しかし、ここで衝撃的な事実が判明。
    実は異世界転生してきたのは自分だけじゃなかったんですよ。
    ビートルズが存在する世界線から来た他の人もいたんです。

    その人が押しかけてきます。
    まあ、バレたわけですね。盗作で無双してるがバレたわけです。

    でも、その人たちは主人公を糾弾するようなことはしなかったんです。
    なぜなら、その人もビートルズのファンだったんですが、ビートルズの曲が存在しないこの世界に、それをもたらしてくれた主人公に、むしろ感謝を伝えにきたんです。

    さらに、とびきりの情報もおしえてくれました。

    この世界線における、ジョン・レノンの居場所です。

    そうです。ビートルズが存在しなかったので、ジョンも射殺されることなく無名の一般人として生きのこってるわけですね。
    ジョンに会いに行くことにします。

    主人公にとっては、自分が生まれる前に殺されてしまった敬愛する相手との奇跡の面会でした。

    そこで彼はこの世界で自分にしかできないことを、悟ります。
    全人類の宝ともいうべき、ビートルズの曲を、自分のために利用するのではなく、この世界の全ての人々の物にするべきだ。

    それを出来るのは自分だけだ!! と。


    こうして、彼のファーストアルバムの発売を直前にひかえたライブが始まります。
    ここでの彼は、もはやエド・シーランすら前座として使ってる超ハイパースーパースターになってます。

    無双3ターン目ですね。

    これもやってることは同じですが、1ターン目とも2ターン目とも、それをやってる意味がぜんぜん違うんですよね。

    この場合、主人公の目的が変わってるんです。
    自分のためではなく、全人類のために無双する。
    やってることが同じでも目的を変えるだけで、見てる側の感じ方がぜんぜん違ってきます。

    ライブの終わり際に彼は告白します。
    自分のこれまで発表してきた曲は、すべてビートルズというバンドの曲であると。
    まあ、言われた観客たちからすれば、「ビートルズってなに?」って感じではあるんですが。

    最後に彼はこう宣言します。
    自分のアルバムの曲はすべて無料で公開する、と。
    こうしてビートルズが存在しなかった世界へ、それがあまねくもたらされるようになりました。
  • こんばんは。

    いつもありがとうございます。

    批評企画の続きで返信です。

    ・メインプロットとサブプロットのさせ方

    一つ、確認したいのですが
    「テーマ」とストーリーラインは全く別物だと思っています。

    テーマは、「主題」や小説の「核」で
    「この作品で一番言いたいこと、読者に伝えたいこと」

    という概念になります。
    この物語をどのような話にするのか、という方向の話になるので
    メインプロットとサブプロットとは全く違う話になります。

    メインプロットは主人公が辿るべき話の流れ
    サブプロットはそれ以外の話の流れを指すもので
    物語の進行、分岐を意味すると記憶しています。

    なので、アルマゲドンの例は目的で
    テーマと目的は違うというのを前提でお話します。

    メインの目的『世界を救う』 サブの目的『娘を救う』
    これに若干の矛盾を感じています。
    もしかしたら、主人公は世界を救うためではなく、家族を守りたい
    家族愛の話なのでは…。
    アルマゲドンをよく見たことないので何とも言えませんが、話を聞いていてそんな気がしました。

    この物語で言えば
    メインプロットの最終目的は『主人公が神(教祖)になる、なってしまう』なので合っていると思います。

    2章のフィデスさんの話がサブプロットあたりで
    そういう意味では2章全体がサブプロット主体のお話です。

    ここの問題点はたぶん、そのよくある弊害
    サブプロットが物語の進行を遅らせるになっている点かと思います。

    しかし、この場合最終的には全てのサブプロットがクライマックスに統合され、メインプロットと合流する形になっているのでストーリーライン上は問題ないと考えております。

    ・読者の感情移入について

    また、アルマゲドンの例
    「絶対、隕石爆破して生還してもらいてえええ!」の部分は
    身近な家族愛にリアルティを感じ、観る人が共感した感情だと思います。

    私の考え取りては
    読者の感情移入は、フックの先にあるものだと感じています。
    端的に言えば、『物語の世界観に入れるか、否か』だと思います。

    なので、大事なポイントは、どこで読者の共感を生むかだと思います。

    1章の終わりに主人公がスローライフを送りたいと言ったところは
    まさにそういう狙いがありました。

    暴力的な苦難を乗り越え、更に強い権力とぶつかる。
    ヒーローならば力を蓄え、敵をやっつける。
    しかし、この主人公はヒーローではなく、ただのおじさんなので
    辛いことや争いはしたくない。
    そういうところ共感、読者の自分自身と重ねて欲しくてこの部分を書きました。

    まあ、物語ですから、そうはならないですが。
    なので、この物語は単純なざまあ系にはならないです。

    そこが、ざまあ系が好きな人にはきついかと思います。

    この作品のざまあ系は少し複雑で、最終的にはキリスト教の最重要の教えと結びつける形になり、さらにそれすらもどんでん返しというクライマックスを用意しています。

    また、そこが絡んでいるので
    なかなかざまあしない、引っ張っている部分がありますね。

    そこも読者の退屈の理由だと思いますが、ここを早めにしてしまうと
    ただのざまぁになってしまうので、私としては避けたところです。

    ・作者はマクロで物語を見がちですが、読者はミクロでしか物語を見ることができません。

    その通りです。
    ちょっと視点を変えると漫画やアニメでもそうですよね。

    序盤はそんなにだけど、視ている内だんだん面白くなる作品とかもそうですね。

    ただ、私が言っているマクロとミクロは作者が作品を創る視点に限定したお話なので
    読者側からは視えないのは当たり前です。

    問題は、読者側の視点から、こうして欲しいというフックが
    作者側からは大多数の読者意見か、どうかです。

    こうした方が良いと思うのは誰にでもあり、どの作品においてもあると思います。

    また、この作品に関しては
    ありふれた、ざまあ系作品にしたくないという確固たる信念で書いています。

    なのでブラバも覚悟の上です。
    なぜなら、作品創りは『読者の時間(命)を奪ってまで伝えたいこと』だからです。

    この作品はそこが作者のエゴ、こだわりなので

    単純明快な
    悪者をやっつけて爽快、ハッピーエンドには絶対になりません。

    あっ、ありふれたざまあ系、テンプレが悪いという事ではなく、それも一つのエンタメだと思っています。

    ・主人公の言動がぶれている

    ここはちょっと詳しく、具体的に聞きたいです。
    主人公像には細心の注意を払って書いているつもりですが、それが伝わっていない可能性があるなら
    そこは確実に反省すべきだと思いました。

    主人公 天草神人のどういう人物で、どの辺の言動、行動がブレていましたか?
  • ・単調になりやすい欠点

    ここの単調になりやすいという言葉ですが
    スキルを使って無双ばかりに着目すると単調になりやすいという意味です。

    また、シチュエーションで魅せる作品があるのは重々承知しています。
    ですが、私が作品創りにおいて重視しているのは命題です。
    物語を奥深いものにしたいというのが、大前提があるのでフック以前にそこは欠かせないです。

    また、映画の例は映画の仕様上、二時間の尺におさまるよう原作を大幅カットしていると思います。
    主要な部分や盛り上がるポイントをピックアップしている傾向があり、時には原作者の意図とは全く違うストーリーになってしまうものがあります。

    だからこそ、改めて原作を見ると新たな発見や解釈が生まれるのだと考えています。

    もし、この作品をアニメ、映画化するのなら2章の序盤は全カットですが
    全読者が楽しめているかは置いておいて、私はこの部分は必要だと判断して書いております

    わかりやすい例としては
    よく、この映画は派手で目を惹くけど
    一体何を伝えたいだろう?という中身の無い映画になってしまうという事です。

    これは、もちろん、観る人の解釈もありますが
    私は構成やアクションは良く出来ているが中身が無いから、こう感じるのだと思っています。

    まあ、ほとんどプロの作る映像作品は、そのような事がありませんが。

    さらにわかりやすいのは
    アニメ エヴァンゲリオンの最終話でしょうか?

    最後のシーンは賛否両論はありますが、
    私はあのようなクライマックスだったからこそ名作になった気がしています。

    『Yesterday』面白そうな映画ですね。
    エド・シーラン本人が引き立て役で登場するのですね。

    お話を聞くにこの作品も明確なテーマがあるのだと思います。

    もし、それが無かったら
    この主人公は正直に自分の作品がビートルズの盗作だと打ち明けるという
    流れにはならないはずです。


  • こんにちは。



    ・テーマの定義

    なるほど。海水さんはそのようにテーマという言葉を定義してらっしゃるんですね。
    以降はその定義に合わせてお話しすることにいたします。

    この手の解釈の幅が広い言葉は、話す人によって定義がバラバラだったりしちゃいますね。
    私も定義を明確にせず喋っちゃってて、ごめんなさいですね。






    ・アルマゲドンのメインとサブ

    これもどう定義し、どう分類するかの話しですね。
    物語全体の目的としては、隕石を爆破して地球を救うこと、になるので、私はこれをメインと定義しました。

    当時のハリウッドは隕石落下映画を売りだしたい時期で、企画自体もまず隕石が落ちてくるありきですからね。
    隕石が真の主役とも言えちゃいますね。

    なので
    >メインプロットは主人公が辿るべき話の流れ
    これがまさにメインは隕石が辿る運命の物語とも言えます。

    ちなみに同時期にスピルバーグも全く同じネタで『ディープ・インパクト』という作品を作ってたりします。
    公開時期がなんと2ヶ月しか離れてないっていう。
    この手の災害パニック映画は、実社会の関心事をリサーチして企画を作るので、同時期に違う会社が似たような企画を進める現象が発生して、ネタ被りがおこります。

    各社もそれを分かってて、メインプロットはどうやっても同じような物になりがちなので、サブプロットで差別化を図ろうとするわけですね。
    世界を救うという漠然とした目的を、どう具体化させるか、その具体化させたものに、どう感情移入させるかが勝負所というわけです。

    主人公の娘を救うという目的は、このように上記のメインで足りてない感情移入要素の補強として使われているので、こちらをサブと定義してます。







    ・最終的には全てのサブプロットがクライマックスに統合

    これはウェブ小説に限らずどんな創作物でも基本的には、出来るだけ早く合流させないと、な事ではありますね。
    読者にとっては、最終的、ってのは見えないので。
    今読んでる部分までしか面白さがわからないですから。






    ・身近な家族愛にリアルティ

    まさにその通りですね。
    隕石落下というのは、リアリティを感じにくいし、地球滅亡というのも実感が湧きにくい。
    でも家族を救うというのは、誰しも共感しやすいものです。

    ほとんどの人に家族という存在はいますからね。
    なので、メインで足りてない感情移入要素の補完に、このサブが選ばれたのだと考えます。
    この手の、メインで感情移入要素が足りない場合、共感しやすいサブと目的を一致させることで補う、という手法はありとあらゆる創作物で使われていますね。






    ・キャラらしい行動と感情移入は必ずしもイコールとは限らない。


    神人が1章ラストで領地開拓に、消極的な態度をとるのは理解できるんです。
    彼の設定であれば、そういう言動にもなるだろうなと。
    キャラクターを演出するという、その点では成功してると思います。

    問題はこれで、読む側が領地開拓してもらいてええ!みたいな気持ちになれるか、つまり次なる領地開拓というイベントに感情移入できるかどうか、なんですよね。

    これは神人の性格の設定がダメとかではないです。
    本来は消極的な彼すらも、積極的に領地開拓したくなるような、読む側も一緒に感情がそこへ入っていってしまうような仕掛けが欲しかった、という感想になります。





    ・主人公の言動がぶれている

    誤解させてしまって申し訳ありません。
    これは当作品への言及ではなく、一般的に様々な作品で見られる失敗例の一つとしてお話しいたしました。
    たびたび誤解させてしまって、本当にすみません。





    ・私が作品創りにおいて重視しているのは命題です。

    私が海水さんを敬服している部分ですね。
    それでいて、宗教という扱いにくい題材で、エンタメとして楽しめるようにしてるのが本当にすごい。




    ・エヴァンゲリオンの最終話

    私も肯定派ですね。しかも熱狂的な。
    当時、何十回とくり返し見返して、いろいろ解釈を膨らませた思い出があります。

    あそこで良い感じにスッキリ終わらせず、謎や解釈の幅を残したおかげで、最終回のあとも話題が尽きなかったですもんね。
    ビジネスとしても、エヴァ解説本みたいな関連書籍のビジネスが成功した原因だったんじゃないかなとも思いますね。




    ・『Yesterday』

    オススメですよ。
    ハリウッドが本気でなろう系を作ったらこうなる、みたいな楽しさが詰まってます。
    テーマの解釈も様々できると思うので、その点でも楽しめるかも知れませんね。

    夢破れた主人公が異世界で足掻いた先で見つけた自分にしかできないこと、という点に注目するなら、
    等身大の幸せを探す物語として、本当の幸福とは何か、を海水さんが定義するところのテーマとして見いだすことができるかも知れません。
    まさにそこについて表現されるシーンがジョン・レノンとの面会の場面だったりしますね。

    あるいは、主人公が音楽という文化へ捧げる愛という点について注目するなら、
    本物の愛とは? というテーマを見いだせるかも知れません。
  • ・テーマの定義

    ここで書いたテーマの定義は、wikiの引用なので
    私の個人的な主観ではなく、一般的なものだと思っています。

    ただ。
    テーマとは
    『作者が読者に一番伝えたいこと』
    この辺は私、個人がテーマをそう解釈しています。

    よって、目的とテーマは
    関連性はあっても同一のものではなく、
    先にテーマがあって
    目的が設定されるものと考えております。

    ・最終的には全てのサブプロットがクライマックスに統合

    伏線の大きさと言いましょうか、

    早めに回収するというのにも
    メリットとデメリットがある気がしていて。

    ミステリ小説だったら
    長いスパン、事件と犯人逮捕が一冊で完結するのか
    それとも短いスパンの少ない話数で解決に向かうのか
    という具合でしょうか?

    やはり、コナンが良い例かと思います。

    前者は大きな事件性を表現し、後者はよりテンポよく事件が続く為、軽い印象になると考えています。

    その為、後者の場合
    コナンの例では、メインプロットとサブプロットに分ける手法を取っており
    また、週刊少年誌マンガという大前提があるので
    犯罪を比較的に重く描かず、読者を飽きさせない為やっている部分もあると思います。
    出来るだけ早く合流させないとの部分はここに当たるかと思います。


    ・キャラらしい行動と感情移入は必ずしもイコールとは限らない。

    ここの問題点は
    読む側が領地開拓してもらいてええ!みたいな気持ちを誘発するシナリオにすると
    ざまあ系が強くなり、ざまあ主体の物語になってしまう点かと思います。

    ここでお聞きしたいのですが
    領地開拓してもらいてええ!というフックの起因は

    前にも例で出して頂いた例を構造化、単純に言うのならば

    敵へのヘイトが溜まり、主人公が見返す為に領地開拓

    という解釈であってますでしょうか?

    現状、この作品では
    主人公はそもそも、そこに消極的で
    積極的に領地開拓となると、キャラの行動に矛盾が出てしまい
    それこそ、主人公のキャラデザからやり直す必要があります。

    もし、おっしゃる通り
    『領地開拓してもらいてええ!』方向に舵をきるとしたら

    この作品のストーリーラインが積み木のように組まれていて、
    ゴールまで決められていますので

    変えるとなると相当なテコ入れを入れるかと思います。

    そこへの『読む側も一緒に感情が入っていってしまうような仕掛け』も
    上記の理由なら難しいと思っています。

    他に何か良い方法があれば、検討出来るのですが
    残念ながら私には思い尽きませんでした。

    まあ、似たようなことは3章の後半でやるのですが、序盤に入れるとなると
    物語自体のテーマを変える必要性も産まれそうです。

    ・主人公の言動がぶれている

    いえ、ここは
    もし私が気付かずやっていたら、教えて欲しいところでした。
    なぜなら、私の脳内でキャラがきちんとイメージできていないという
    作者にとってここは致命的なところ部分なので。

    ・私が作品創りにおいて重視しているのは命題です。

    ありがとうございます。

    やはり、色んな作品を読んでいて思うのですが
    思い出、心に残る作品というのは
    この命題があるか、ないかだと個人的に思っています。
    なので、私の作品においては大事だと思っています。

    ・エヴァンゲリオンの最終話

    そうなんですね。
    個人的にはあの最終回は
    良いか悪いかは別として
    理解できるような出来ないような、そんな不思議な思想が入ったラストに思えました。

    たぶん、当時の庵野監督の思想が強く反映された回のように思います。

    ・『Yesterday』
    教えて頂き、ありがとうございます。
    私のような読解力の無い人間でも読み取れるかわかりませんが
    時間があったら換骨奪胎してみたいと思います。

    本物の愛とは?
    とても大きなテーマですね(笑)

    観る人によっても意見が分かれる
    そういう意味で物語に厚みが必要なのかもしれませんね(笑)

  • ・伏線回収のインパクトの大きさを保ちながら、メインプロットとサブプロットを出来るだけ早く合流させる対策


    これ、マリー、ですよ。
    マリーのやり方で海水さん自ら答えだしてます。

    伏線になる要素は終盤のとっておき回収ポイントまで温存しておく一方で。

    それ以外の要素でメインとサブの目的を一致させて、メインとサブの一体感を出す、というやつです。

    こういうのって普段、私は頭で考えて書く部分じゃないので、どう言語化して説明すればいいか、上手く伝わるかわからないですが。

    例えばこの作品でいえば、主人公が異世界転生してきたときの最初の目的は、生きのこるために生活手段を探すこと、ですよね。

    そして次ぎの目的は、パンデミックをどうにかしなきゃ、というもの。

    つまりミクロな構成でみると目的がどんどん変わっていくわけですが、こういうミクロ目的にメインとサブを一致させるのが一体感においては重要になってきます。

    読者が見れるのはそこだけなので。

    逆に言えばそこさえ押さえておけば、長期的なスパンで働く伏線になるような要素も仕込み放題ということですね。

    表面上は目の前で起こってるイベントに沿わせてサブを走らせて、水面下ではそこに伏線埋めておく、というような感覚でしょうか。


    マリーはこれめちゃくちゃ上手くいってる例なんですよ。
    登場したときは、主人公たちの問題を解決してくれる助っ人として現れて。
    その後もミクロ目的にあわせて彼女も行動していきますよね。

    その水面下ではいろいろと画策してるのが、良いあんばいで匂わされていて、この伏線の期待もガンガンに膨れていくっていう。

    何が言いたいかっていうと、マリーはすごいぞ、ってことです。
    何度も言いますが、マリーのキャラ配置というかポジションというか役割というか、それがほんとにすごい。






    ・領地開拓してもらいてええ!というフックの起因

    おっしゃるとおり、これ本当にやるなら一章から組み直しになりますね。
    なので以前にも、申し上げた気がしますが、「菅野がなんか外野から簡単そうにゆーとるわ、やれやれ」程度の与太話しとしてお聞き下さい。

    その概観としては、3章ラストで予定されている村が危機に陥るイベントと、1章でマルタを助けるために、悪代官を殴ってからの一連のクライマックスを合体させる感覚です。

    次ぎにこのためには、マルタのキャラをフィデスに統合する必要性、というかそうするのが一番、読みやすくなる構造になってきちゃいます。

    順を追って説明します。




    まず、『弱者のためのユートピアを作る』というテーマを描くなら、弱者の象徴になるキャラにフォーカスした構成にするのが理想的になります。

    それも感情移入を分散させず、なおかつ読みやすいように、できるだけ一人に絞りたい。
    デカいテーマであればあるほど、ストーリーは出来るだけシンプルにしないと分かりにくくなってしまいますからね。

    主人公が弱者の象徴のキャラのためにがんばってユートピアを作る物語、くらいまでお話の構造はわかりやすく落としこみたいところです。

    では、その弱者の象徴としての役割に相応しいのは誰か? っていったら、やっぱりメインヒロインのフィデスなんですよね。

    あえてずけずけ言っちゃいますが、本当はマルタにこのポジションを与えて分散させちゃいけない。
    少なくとも大事な1章でやることではないです。
    1章はメインになるキャラにフォーカスしたい。

    なので、1章におけるマルタの役回りをフィデスに与えて統合することが、まずはスタートラインだと考えています。

    1章はマルタに感情移入するように描かれてますので、これをフィデスに置き換えることで、メインヒロインへの感情移入も、一章の時点である程度までいけちゃうようになるわけですね。

    具体的なストーリーの例をだしてみます。




    ①神人、異世界にきて途方にくれる。

     異世界で生きのこる方法を探そうとするが、行き倒れる。
     そこをフィデスに助けられる。
     フィデスは宿屋で働いており、神人はそこで下宿することにする。



    ②神人は宿屋に世話になることになったが、フィデスはそこでひどい扱いを受けていた。

    神人はどうにか命の恩人であるフィデスを、今のひどい境遇から助けてあげたいとも思うが、自分ではどうにもできない。

    せめてフィデスをもっと丁寧に扱ってあげてくれと宿屋の主人に言うが、
    「なんならお前が見受けでもしてくれるかい?」と下品な顔で主人に言われる。

    だが、そんな金などあるわけがなかった。



    ③フィデスを助けるためにも金が必要だ。

     そこで占い商売を発明する。
     が、ペストが流行しだしているのを知る。
     それを防ぐ鍵になるのは、なんと、そのフィデスだった。

     だが彼女を覚醒させるためには好感度を稼がねば。



    ④ラブコメパートのデートシーン。

     生まれてこの方、他者から優しく接しられた時間がほとんどなかったフィデス
    は、デートというだけでわりと感激してしまう。

     普通の人ならなんてことない神人の気遣い一つでも、彼女にとっては当たり前のことではなく、いちいち感動してしまう。

     ここで。いわゆるチョロインに見えないようにするためには、彼女の生い立ちの不幸さを察せられるような描写に撤すること。

     普通の人ならどうってことないことでも、彼女にとっては感動してしまうことだと読者に理解してもらうこと。

     そんなフィデスを神人も可愛いと感じてしまう。
     好意を抱いてくのを自覚する。

     だが、デート先でフィデスは一人でいるときに悪代官(神官長)と出合ってしまい、暴虐無人な感じで狙われる。
     なお悪代官は美女の火傷に欲情するという屈折しまくったハイパーどS変態として広く知られている。

     実は彼の屋敷では痛めつけて楽しむ用の奴隷が大量に飼われているが、免罪符によりセーフ理論でやりたい放題である。
     免罪符って超やべえ! とここで演出。

     そして神人は浚われそうになるフィデスを発見。
     彼の中で自分の親父の顔が、悪代官とオーバーラップ。
     彼が全力で否定しなければならない存在がそこにいた。
     フィデスを助けるために、ぶん殴る。

     ただし身バレしないように、手元にあった袋を咄嗟にかぶって即席の目出し帽にした上で。




    ⑤追われる身になった二人。

     フィデスは自分の立場を危うくしてまで助けてくれた神人にガチ惚れしてしまう。
     そんなことをしてくれる人は今まで彼女の人生においていなかった。

     二人はデート現場を逃げ出せたはよかった……が。
     悪代官は「自分を殴った犯人は出頭するように。素直に女を連れてくれば罪を赦す」などとヌケヌケとしたおふれを出す。

     罪を赦すなど神にしか許されてないことなのに、罪を犯しまくってる本人がどうどうと言ってる罰当たりっぷりを極める。

     このおふれを見た神人は、どうにか二人で生きのこる道をさがしますが、わりと詰んでることに気づく。
     


    ⑥おふれを見たフィデスは自ら出頭する。

    神人の罪を許してもらうために、フィデスは神人には秘密で出頭してしまう。
    手ぐすね引いてまっていた悪代官はさっそく、どんな新しい火傷跡をフィデスの体に刻もうかとワクワクしながら涎を垂らす。
     
    それを知った神人は愕然とするも、これで自分だけは助かったことを知る。
    このまま逃げてしまってもいい。
    だが、彼にはそれはできない。
     
    自分の保身のために、自分の信者をトカゲの尻尾切りにする。
    それは彼の親父が散々やってきた所業だったから。

    そして何より、自分を愛してくれた女を救うことに理屈なんて必要か?
    いや、そんなのいらないね。
    というわけで救出作戦を思いつく。



    ⑦救出作戦に必要なアイテムを探す。

    救出作戦はこうだ。
    ヴァセリオン教団の偉い人に変装して、悪代官の屋敷へ訪問。
    前世の知識をフル動員した口八丁でどうにか悪代官を丸め込み、フィデスを連れ出す。というもの。

    問題はどうやって完璧な変装をするか、と神人は悩む。

    神人はファンタジー世界なら強力な変身アイテムの一つくらいあるだろう、と探していると、怪しげな魔女(マリー)と遭遇。

    ここではまだマリーの名前は明かさず、ヴァセリオン教団に敵対的な意思を持つ何者かという立ち位置で登場させる。

    彼女から変身アイテムを譲り受ける。
    凄まじい性能のアイテムで、ほんとにこんなのただで貰ってもいいのか、何か裏があるんじゃ、といぶかしがる神人。

    まあ、実際にマリーの手のひらで転がされているのだが。
    今は神人はそんなことを考えている場合ではない。

    作戦を決行する。




    ⑧フィデス救出。

    前世知識を活用してヴァセリオン教団の偉い人になりきって、悪代官を懲らしめる神人。
    ここで、ざまぁ要素をいったん回収。
    ただし、悪代官の地位はそのままなので、今後もメインの悪役ポジションのまま。

    そしてフィデスを連れ出せたかと思ったが、途中で変装がとけてしまい、身バレ。
    (実は変装を解いたタイミングはマリーがコントロールして、わざとそうさせた)

    どうにか逃げることには成功したが、再び追われる身である。



    ⑨再び追われる身の二人へ、魔女が打開策をさずける。

    二人に謎の魔女(マリー)が接触してきて、この窮地を打開する策を教える。
    それは領主の王女を治療するというものだった。

    確かに魔女の言うとおりにすれば、どうにかなりそうだが……。
    やはり魔女の都合のいいように転がされてる気はする神人。

    だが、やはり今はそんなことを考えて場合じゃない。




    ⑩王女を治療する。

    王女を治療した結果、領地開拓をまかされる。
    神人は役者不足だと敬遠するが……ここで謎の魔女が耳打ちする。

    「あなたの敵はヴァセリオン教団。こんな強大な相手からあなたが生きのこるには、そして、愛するその人を守るには。それこそ一国家並の武力が必要になるのでは?」と悪魔の囁き。

    確かに魔女の言うとおりにすれば、どうにかなりそうだが。
    って、あれ? この展開、なんかずっと続いてね? なんか魔女に良いように使われてね?

    と神人はいぶかしがるが、やはり今はそんなことを考えてる場合じゃない。

    自分と、そしてフィデスを守るためには、領地開拓を何がなんでも進めて、教団に対抗できるだけの力を身につけるしかない。

    そう彼は決意して1章完。

    魔女は満足そうに笑みながら、去る。




    ⑪1章から2章への繋ぎ。

    領地開拓が形になりはじめたころに、人手不足が深刻化。
    そこで打開策をさがしているところで、謎の魔女の噂を聞く。

    神人は思う。
    魔女? あれ? なんとなく心当たりがあるような……と。

    そしていざ、魔女の住処へ訪れる。

    すると、そこには。
    ここまで全て計画どおり、といった顔で満足そうに笑んでいるマリーがいたのだった。


    ――――


    このストーリーの課題になるのは、マルタをオミットしたことで、フィデス以外の弱者の顔が見えにくくなったことです。
    なのでそこを他のサブキャラで補完する必要があります。
  • 1章から2章への繋ぎ案オプション。


    ⑪2章が始まってすぐ、フィデスを虐待してた宿屋の主人が、領地に治療してもらいにやってくる。


    ざまぁ回収その2にあたるパートを繋ぎ&2章のスタートダッシュとして利用する案です。

    これは海水さんのテーマに沿って、単純なざまぁではなく、『自分がしてもらいたいことを、他者にしてあげよう』といういわゆる黄金律も絡めたものにします。

    フィデスを虐待していた宿屋の主人がペストにかかる。
    ヴァセリオン教団の聖水で全財産を使い果たした彼は、どうしようもなくなり、聖女がペストを治してくれるという噂を聞いて、神人の領地へ治療してもらいにやってきます。

    で、そこでいざ聖女と呼ばれていたその人と顔を合わせるわけですね。
    フィデスです。これまでさんざん虐待してきた。
    なんなら復讐で50000回くらい殺されても文句言えません。

    だけど宿屋の主人は見苦しく命乞いします。

    神人もそんな宿屋の主人を心から嫌悪してしまい、フィデスに、治療してあげるように、言う気にはなれません。
    だけど、フィデスは宿屋の主人を治してあげちゃうんですね。

    なぜそうしたのか、あとから神人は訊ねます。
    するとフィデスはこう答えました。

    フィデス「あなたが私にそうしてくれたからです」

    神人「え……?」

    フィデス「人から救いの手を差し伸べられるのが、どれほど嬉しいことなのか。あなたが私に教えてくれました」


    こうして宿屋の主人は改心してもいいですし。
    あるいは、ペストが治ったらなおったで手のひら返しで、恩を仇でかえすような、また救いようのない悪役として再利用してもいいですね。
    フィデスを裏切るようなことを、あとからさせたりする役回りを与えても良いかもしれません。


    2章始まってすぐ回収パートを持ってくることで、2章への期待値を高めることができます。
    また、困った人々を助ける領地を作る、という2章の方向性を出だしでインパクト強く提示することもできます。
  • こんばんは。
    いつもご指摘誠にありがとうございます。

    ・伏線回収のインパクトの大きさを保ちながら、メインプロットとサブプロットを出来るだけ早く合流させる対策

    ありがとうございます。
    彼女の真の目的は現時点では、まだまだ
    表には出てきませんが、そんな風に読んで頂けると作者の冥利に尽きます。

    どのキャラも目的は、主人公と一貫していている点はあると思います。

    ・領地開拓してもらいてええ!というフックの起因

    ここは、どの程度フォーカスをするかという問題だと私は思っています。

    また、
    『弱者のためのユートピアを作る』というテーマを描くなら、弱者の象徴になるキャラにフォーカスした構成にするのが理想。

    という部分ですが

    なぜ一章で神官長のヘイト、その対象をヒロインではなく、マルタにしたのかというと、
    弱者が村にいる人全員であるということを表現したかったからです。

    確かにヒロインはその象徴ではありますが
    彼女自身も救う立場になります。

    だから、一筋縄ではない、一章となりました。

    主人公が弱者の象徴のキャラのために
    がんばってユートピアを作る物語
    となると正直、私には読み応えの無いように思えてしまう節があります。

    まあ、ここはたぶん趣味嗜好だと思います。

    例題ありがとうございます。
    私の作品を元に改めてプロット書いていただいたみたいで楽しく拝見させて頂きました。

    やはり、菅野様が書くとラブコメテイストになるのですね(笑)

    確かにシンプルで、フックが分かりやすいです。
    内容も、これはこれで面白そうだと思いました。

    現世では、全く運か無かった主人公が
    ヒロインと出会い、運命を切り開きながら成長していく。

    序盤は不遇系のヒロインなのもグッとくるポイントです。
    今後の期待値は後に彼女が聖女様ポジションになるという点ですね。

    コメディとのバランス感がとても合いそう展開で
    まさしく王道のラブコメになっていると思います。

    最後はヘイト役の宿屋の主人も自分の行いをあらため
    反省するというところがまた良いですね。

    特に
    ②のヒロインへのヘイトが、読者の感情移入を誘いやすくしていて
    なおかつ、このテンポ感は凄く参考になります。

    この例に欲を言うなら
    このままだと、二人のラブストーリーになってしまうので
    もう何人かのキャラクターと
    読者を良い意味での裏切る仕掛けがもう一段階欲しいと思いました。

    あと
    題材の『宗教』が付属的な感じになってしまうという点と
    二人だけのユートピアになってしまうように感じました。
    まさしく、全面がラブコメに寄ってしまう。

    〇最後に
    いつもご指摘いただき、ありがとうございます。
    現段階では改稿する余裕はないですが、参考にさせて頂きますね。

    今、新作での構成でやろうと思っているのは

    読者を飽きさせない創りにするため
    テンポ感を早めようと思ってまして
    創作法の具体的な改善ポイントは以下の通りです。

    ・一章の中に起承転結で大きな四分割
    それを起承転結でさらに四分割し、4×4の十六話想定。
    それぞれ各章、ブロック、話数に
    大中小のフックを管理する方法を試したいと思っています。

    ・フックはジャンルをわかりやすいものにして
    出来るだけ読者を絞り、展開していこうかなと思っています。

    なにか、創作方法でアイディアございましたら
    教えて頂けると助かります。

    新作のプロローグ出来ましたら、観て頂けると嬉しいです。






  • 〇改稿

    いえいえ、改稿を勧めるものではなく、あくまでこういう切り口もあるよという例、というだけですので、適当に聞き流していただければ幸いです。

    私自身も人様の作品をいじくろうとは思いません。




    〇二人だけのユートピア

    一章の例だけ出すと、やはりその点が懸念されちゃうかなと思ってました。

    一章でフィデスとの関係性という土台になる部分を固めた上で、二章以降で、枝を付けて世界を横に広げていく感じですね。

    フィデスは弱者であると同時に、彼女を頼って救いを求めてくる弱者たちの救い主でもあるので。

    なので、二章以降でフィデスを頼ってくる弱者を描くことで、
    神人がフィデスを救う=その他の弱者をも救う、という構図を作ることができるんですね。

    こうすると、ストーリーの本筋はフィデスを救う、というシンプルなものに出来つつ、その他の弱者を救うというテーマを描くことができちゃいます。

    そして、この構図が強いのは、フィデスに感情移入を集中させるだけで、弱者を救うというテーマに感情移入させられるという、構成のシンプルさ、わかりやすさ。
    なおかつ物語の展開ごとに感情的なフックを強くできることです。

    好きな人を助けたいって、これ以上に分かりやすくて共感しやすいシチュエーションないですからね。

    そのために必要なのが、まず一章でフィデスとの関係性という土台を堅めるということなんですね。

    それ以外のサブキャラは、その土台の上にのっけていく必要があるので二章以降でトッピングしていく感じになりますね。

    一章はとにかく土台を固めることだけに集中して、枝になる部分など他のことに尺は一切使いたくないやつですね。




    〇新作

    プロットを把握できてない段階では抽象的なことしか言えないので。
    今の時点では、ここまで読ませていただいた海水さんの癖を踏まえた上での留意点になりそうな点だけ、言及させていただきます。



    〇テンポ感

    以前の一章への批評でも触れましたが。
    「それ一章でやらなきゃいけないこと?」というポイントがまま見られました。

    例えば、神人が行き倒れてたところを、冒険者に助けられて、そこからの冒険者たちの自己紹介、とかですね。

    この情報を、この時点で出すことで、この時点で面白さが生まれるのかどうか。
    というところをまず、吟味したほうがいいかと思います。

    もし情報を出した時点で面白さが生まれないのだとしたら、どうしても、それをここで出さなきゃいけない情報なのか。後回しではダメなのかを吟味する必要があります。

    一番やっちゃダメなのは、後から面白くするために、今の時点で出しても面白くない情報を出すことです。

    小説では前優先、後は優先順位低いです。

    理由は単純に、前が面白くなきゃ、そもそも読んで貰えないから、読んで貰えなきゃ後半が存在してないのと同じだからですね。

    なので、とくに一章は最優先です。
    固めなきゃいけない土台以外は出来るだけオミット。
    枝葉を広げるのは二章からでいい。

    伏線しこむならマリー方式。
    その時点でマリーがやってることも面白いけど、裏もあるというように、その時点で出す情報もちゃんと面白くすることですね。




    〇フック

    まずネタ選びのセンスは自信もっていただければと思います。
    宗教ネタもそうですけど、食いつく人はパクっと食いつくネタを提示できるセンスは羨ましい。

    そういう意味で、起、に関しては明確に強みを持ってる方だと思ってます。

    そして、上記のテンポでも触れましたが、起のあとの主人公が物語中で主に何をするかが提示されるパート、要するに、承、の部分ですね。

    『異世界ゴミアイテム』だと、ここの承は占い商売にあたりますが、
    これを始める切っ掛けが、わりとふんわり曖昧な感じになってるのがもったいないんですよね。

    ストーリー例の②みたいに、商売を始める切っ掛けをヒロインやらの要素を使って、もう少し感情移入度を+することもできます。

    ネタの面白さだけをフックにするのではなく、感情的な部分もガンガンに煽ってフックにしてもらうと、さらに強くなるという感じですね。


    この点をめちゃくちゃ上手くやりくりしてるアニメがありましてですね。
    参考例としてご紹介したいのです。

    『月とライカと吸血姫』
    トレーラーURL
    https://www.youtube.com/watch?v=2j-l9SzQdCU

    ラノベ原作となっております。
    冷戦期の宇宙開発競争を、わりとガチめに異世界に置き換えた物語です。
    人物名や国名などは現実とは違いますが、一部のファンタジー要素以外はほぼ史実、っていうくらいの物語。

    舞台はソ連をモチーフにした架空国家なんですが。
    主人公は世界初の宇宙飛行士の候補生の青年です。

    そして彼らが飛び立つに先んじて、〝動物実験〟として、吸血鬼と呼ばれる人種が、打ち上げられることがきまりました。

    吸血鬼とは動物の血を食料とする人種で、とくに人間を襲うバケモノとかではないんですが、差別の対象になってるんですね。
    人と扱われず動物扱いです。

    そして実験対象として選ばれたのが、人間による虐殺を生き延びた吸血鬼一族のお姫様でした。
    その訓練を主人公の青年は任されることになります。

    あくまでお姫様は実験動物ですから、役に立たないと見なされると殺処分されてしまうことを、主人公は知ってしまいます。

    そこで同情しちゃうわけですね。
    何が何でも実験を成功させるために、全力で訓練をしようと奮い立ちます。



    とまあ、宇宙開発競争、という物語のメインの目的に感情移入させるために、
    吸血鬼のお姫様を助けるという要素をシナジーさせて、フックの強度を高めてるわけですね。

    展開ごとに、これを強烈にやってくるので、宇宙開発競争にあまり興味なくてもついつい見ちゃうやつです。
  • 〇フックは出来るだけ、ネタの面白さ+感情要素の両輪で進行

    「ネタの面白さだけをフックにするのではなく、感情的な部分もガンガンに煽ってフックにしてもらう」の補足となります。


    ここで言うネタの面白さ、の定義とはストーリーのメインになる要素ですね。
    異世界ゴミアイテムで言えば、現代知識で占い商売をしたり、好感度稼ぐためにフィデスとデートしたり、王女の病気を治したり、とかです。

    感情要素の定義は、ストーリーのメイン要素にどれだけ、「占い商売が成功してもらいてえええ!」とか、「フィデスとのデート上手くいってもらいてええ!」とか、「王女の病気治してもらいてええ!」みたいに感情的に思えるかどうかです。

    これって両者一緒のようで必ずしもそうじゃなくて、感情要素は感情要素で別口で補強できるわけなんですね。

    ストーリー例②のように、前世知識を活かして占い商売をするというネタの面白さに+してヒロインを助けるため、みたいな感情が入りやすい動機を足してシナジーさせることによって、フックが何倍にも強くなります。

    世に言う名作と呼ばれる作品は、このネタの面白さ+感情要素のシナジーがめちゃくちゃ上手いんです。


    ただし、作品のどんな段階でも、これが可能かというと、必ずしもそうではないんですね。

    ジャンルやストーリーによっては、出だしから感情移入できるような要素を用意するのは難しいです。

    とくに感情要素をヒロインとの関係性みたいな人間関係で補強する場合は、どうやってもその関係性を作るために最低限の助走が必要になっちゃいます。

    では、そういう場合、世に名高い名作はどういう手法で対処してるのか、ということですが。

    それを説明するために今回、教科書にさせていただくのはソードアートオンラインの第一作にします。

    これはもう説明不要かと思うので、あらすじなどは一切省いていきますね。


    まず、起にあたる部分ですが、主人公がプレイするVRMMOというものがどういう物なのかを説明するパートになります。

    ここまでは実はほとんど感情を煽るような要素は入ってないんですね。
    なぜそれで行けてるのか、ということですが。

    この作品が発表された当時はVRMMOものというジャンル自体がまだ確立されてなくて、このVRMMOというネタ自体が、多くの読者にとって新規性が抜群で、もうそれだけで面白かったからなんですね。

    以前にお話ししたと思いますが、『直感的にパッとわかりやすい面白さのフック』という奴です。

    もうネタを出した時点で面白いってやつです。

    まずこのパッと分かりやすい面白さで、起、を読ませちゃったんですね。



    次ぎに、承、ですね。
    これはゲーム内で異変が起きて、ログアウトできないことが判明してからのパートです。

    これもやっぱりこの時点でネタとしても面白すぎるんですが。
    こっから理不尽な状況への憤り、という感情が煽られ始めます。

    この憤りというのは、起、でVRMMOがどういう物なのかを説明しないと成立しないものですね。

    ネタの面白さ+感情要素の両輪走行のスタートです。

    ここで、主人公がやるべきことが決まりました。
    何が何でもゲームクリアしてやるぞ、とですね。



    次ぎに、転。

    ゲームクリアするためには、強大なボスに挑まねばなりません。
    仲間が必要になります。
    そこでパートナーとして、メインヒロインがやっと登場します。

    極めて過酷なデスゲームという環境で、心を許せるかもしれない仲間との出会い。
    否応なく期待感が膨らんじゃいます。
    これがネタとしての面白さ。

    もう方輪の感情要素はというと。
    最初はゲームクリアを目指す同志として、仲間としての関係ですが、やがて恋人になります。

    好きな人を守りたい。
    好きな人と一緒に生きのこりたい。
    ゲームをクリアして現実で合いたい。

    とまあ、ここまでくると、感情要素がミルフィーユのようにいくつも折り重なるようになってくる。

    ぶっちゃけ主人公たちがやってるのってただゲームをプレイしてるだけなんです。
    でも、ゲーム内で死んだらほんとに死ぬっていう設定が効いてるせいで、感情要素がめちゃくちゃ煽られるわけです。




    最後に、結

    主人公たちの努力が報われて、二人は現実で会うことができました。
    これまで感情要素が煽られまくったせいで、ここで感動しちゃうわけですね。

    この感動というのが大事で、物語で描かれたものが読者にとって価値のあるものだと認識させられるかどうかは、ここで決まります。

    どんな崇高なテーマを理屈で描いたところで、物語によって感情を動かせないとそれが価値のあるものだと感じてもらえません。

    感動させられるかどうかは、テーマそのものの内容ではなく、物語の中でどんだけ感情を動かせたかどうかできまるということですね。





    〇まとめ

    出だしから感情要素を入れられない場合は、直感的に面白そうと思えるネタで攻める。

    そのフックが効いてるうちに、感情要素を出せる準備を整える。

    感情要素は途中で追加してもいい。むしろ追加しろ。

    感情要素は感動に直結する。

    描きたいテーマを価値あるものだと感じさせることができるかどうかは、物語の中でどんだけ感情を煽れるかどうか次第。
    テーマの内容はこの点においてはぶっちゃけあまり関係ない。
  • 〇助走距離が短くて済む感情要素は、ピンチ・不遇


    感情要素っていうのは上記で述べたとおり、助走距離がある程度、必要になってくる場合が多いです。
    ところが、助走距離がほぼ必要ないものもありまして。

    それが、ピンチ・不遇、といったものです。
    これはもう、作品によっては冒頭からぶっ放してくる場合もあるくらい助走距離が必要ないやつです。

    具体的な例は、メディア問わずいくらでもあるのですが、例えば。

    映画だと以前にもお話しした、天空の城のラピュタなんかは典型ですね。
    ヒロインが悪党から追い詰められてるシーンから始まります。
    これもう、無条件でヒロインに感情入っちゃうんですよね。

    演劇だとレ・ミゼラブルでは主人公が過酷な刑務作業をしてるところから始まります。
    その理由がパン一つを盗んだことだけっていう理不尽さなので、やっぱりこれも主人公に肩入れしたくなっちゃいます。

    ゲームのシナリオなんかでも、メタルギアVの場合は。
    主人公がいきなり全身包帯まみれで入院しており、身動きできない状態から始まります。
    そしていきなり医者から「お気の毒ですが、あなたは……」的な絶望的な告知から始まります。

    アニメだと、エヴァなんかもまさにそれで、シンジが1話の出だしからいきなり使徒の戦闘に巻き込まれますよね。

    ウェブ小説だと、いきなり追放シーンから始まる追放系とか、無能と烙印を押される無能系とか、断罪シーンから始まる悪役令嬢系がそれですね。

    無職転生のような、人生追い詰められたところから始まるパターンもこれです。

    番外編ですが、私の出したストーリー例の②もその応用です。
    冒頭から、ではないんですが、最序盤からヒロインを出して手っ取り早く感情移入してもらうためには、主人公のを助ける恩人ポジションと不遇ポジションを同時に与えるのが効果的になります。



    もちろん、これらのシチュエーションはちゃんと状況やキャラを深掘りしてから演出したほうが、同じシーンでもより感情移入度は高まるんですが。

    冒頭や最序盤からある程度、感情要素を盛れるというのは何にも代えがたいアドバンテージになります。

    上記で挙げた中でも、とくに優れてるのは『無職転生』ですね。
    不遇スタートでの掴みと、掘り下げを同時にやっちまってて、これがめちゃくちゃ上手い。

    主人公がダメダメ中のダメ人間なんですが、思わず応援したくなっちゃうんですね。
    そっから、転生、という展開に繋げるので、どうやっても期待感が膨らんでしまう。

    レ・ミゼラブルなどの歴史的な名作と比べてもいいくらい、優れた冒頭の作品なので、もしまだ読んだことがなければ、この作品の第一話だけは絶対に読んだほうがいいです。
    なろうで今も掲載されております。
  • こんばんは

    いつもご指摘頂き、ありがとうございます。
    今回も参考にさせて頂きます。

    毎回、
    反論みたいコメントになってしまい誠に申し訳ありませんが
    忌憚のない意見を作者側視点で答えさせて頂きます。

    〇改稿

    いえ、ありがたいですし、楽しく読ませて頂きました。
    ありがとうございます。

    〇二人だけのユートピア

    この物語では、一章では今後の指針を示すものだと位置づけています。
    ここで二人だけのユートピアが土台になると、次の章もここが
    肝になってきます。

    ・フィデスは弱者であると同時に、彼女を頼って救いを求めてくる弱者たちの救い主でもある。

    まさしく、その通りです。

    たぶん、ここの意図は
    ヒロインを早めに出して、メインヒロインとしてのムーブをやって欲しいと思われたかと思います。

    その辺は当初より、その懸念はありました。

    しかし、私はそれをやりませんでした。
    なぜなら、ラブコメ要素が強くなってしまうからです。

    あくまでも宗教がメインで
    ラブコメはサブ要素に過ぎないと考えております。

    ・好きな人を助けたいって、
    これ以上に分かりやすくて共感しやすいシチュエーション

    確かにそうだと思います。
    共感ポイントです。

    しかし、一章では主人公は、
    ヒロインのこと恋愛感情でみていません。

    そんな片思い、すれ違い模様も意図して書いてます。

    〇テンポ感

    ここでは「それ一章でやらなきゃいけないこと?」というポイント
    についてですが

    神人が行き倒れてたところを
    冒険者に助けられて、そこからの冒険者たちの自己紹介

    この辺は、世界観と主人公の置かれている現状。
    チートのアイテムがゴミになるなど
    盛り下げるポイントとコメディ重視に重きを置いています。

    これは昨今のなろう系のアンチテーゼも含まれています。

    ここでのアンチテーゼは
    なろう系の主人公は異世界ではチート的存在になり過ぎる点です。
    ほとんどの場合が中世ヨーロッパ(ナーロッパ)の文明が発達していない世界観を描くように、主人公が優位になる設定を組んでいます。
    しかし、この物語の主人公は弱い存在として描きたいので
    より、その世界観を見せる為にここの情報を厚くしました。

    ここは、この物語を安易なプロセスにしないものであり
    この辺は読者にブラバされる危険性のある所だと自覚しています。

    しかし、ここは作者として別にブラバされても良い
    むしろ、作品の仕様上それが必要だと思い、残しています。
    一種のこだわりポイントです。

    その他の「それ一章でやらなきゃいけないこと?」というポイントですが

    明示されていない以上、憶測とはなってしまいますが

    そこには全てに隠された読者に伝えたい意図があって
    一見、それはある意味、必要ないものと思われますが
    作者的には必要だと思って書いています。

    なのでここは
    優先順位をつけるものではないと考えています。

    〇フック

    ネタ選びのセンスを褒めて頂きありがとうございます。
    長所は素直に伸ばしていこうと思います。

    ・占い商売に始めるきっかけが曖昧

    ここは正直、何でも良いと思いました。
    ここでは主人公は宗教勧誘で占いをやっていたという前世の経験を活かして預言者ムーブをするという内容を書いています。

    なので、読者の感情移入を誘う必要はないと考えております。

    ・商売を始める切っ掛けをヒロインやらの要素を使って、もう少し感情移入度を+aする

    ここもラブコメとしての方向性の指摘になっていると思います

    ここではヒロインとの占いシーンは、すれ違い模様を描いていて。
    主人公はあくまでも自己利益の為の発言をしており
    それがヒロインには救いの言葉になってしまうという形を取っています。

    〇『月とライカと吸血姫』
    聞いたことはありますが、観ていない作品です。

    なかなか、深そうな物語ですね。
    吸血鬼、社会主義、宇宙飛行士。
    ワードからもかなり入り組んだ奥深い思想の作品に思えます。

    まさしく、可愛そうなヒロイン。
    フックは守りたい、庇護対象という感じでしょうか。

    時間のある時にチェックしてみますね。

    〇フックは出来るだけ、ネタの面白さ+感情要素の両輪で進行

    ・世に言う名作と呼ばれる作品は、このネタの面白さ+感情要素のシナジーがめちゃくちゃ上手い

    確かにその通りだと思いますが、一点、気になる場所があります。
    それはここでは何の感情か、が抜けていて答えづらい点です。

    ここでは読者の感情かな?という定でお話しさせて頂きます。

    私は感情要素の部分が
    正確的には読者の感情移入、その度合いだと思います。

    読者の感情移入があって
    初めてキャラクターの感情が投影され、伝わる、盛り上がると思っています。

    また、作者側からはこの読者の感情移入は視えないところだと思っています。

    そういう意味で 菅野 事案 様の指摘を一読者の意見として
    参考にさせて頂いております。

    ・ネタの面白さの定義とはストーリーのメインになる要素

    私はこれはそうだと思いません。
    ネタの面白さは、読者の趣味嗜好も加味されるものであり、十人十色
    そもそも定義できるものではないと考えております。

    また、ストーリーのメインになる要素もネタの一つです。

    ・感情要素の定義は、ストーリーのメイン要素にどれだけ、「占い商売が成功してもらいてえええ!」とか、「フィデスとのデート上手くいってもらいてええ!」とか、「王女の病気治してもらいてええ!」みたいに感情的に思えるかどうかです

    ここは読者のフックの部分のように思えます。

    一般的な意味の定義とは異なる気がしました。

    ここからは
    作者側の意見になります。

    「占い商売が成功してもらいてえええ!」
    占いはあくまで手段なので、ここは要らないと考えます。
    もし、ここを目的にすると、占い師の物語になってしまうからです。

    「フィデスとのデート上手くいってもらいてええ!」
    ここは上手くいくかどうかは、必要ないと思っています。
    どんな結果になっても物語が進むので。
    また、ヒロインと結ばれることはメインの目的ではないです。

    「王女の病気治してもらいてええ!」
    ここは、そもそも隠し要素です。


  • 〇ソードアートオンラインの例

    ここでは感情を煽るという意味ではなく、感情を揺さぶるという方が適切に思えたので
    そういう解釈でお話させて頂きます。

    ・ここまでは実はほとんど感情を煽るような要素は入っていない

    いえ、きちんと入っていると思います。

    冒頭、ゲームマスターの『これは、ゲームであっても遊びではない』は
    現実のゲームがデスゲームになったらという読者に貫通する、痛烈なメッセージだと思います。

    VRMMOは、ファンタジーですが
    現実でもパッとイメージがつくようにリアルティを持った仮想ネタです。

    ”起”では斬新な設定と
    フックと期待値が分かりやすく、明示されているというところでしょうか。

    ・次ぎに、承、ですね

    すいません、反論っぽくなりますが
    ここは”承”ではなく、まだ”起”だと思います。

    ゲームではここはチュートリアルなので物語の起こり、”起”だと思いました。

    ・ここで、主人公がやるべきことが決まりました。目的は何が何でもゲームクリアしてやる。

    ここでは
    何が何でもゲームクリアしてやるというよりも
    主人公は生き抜く、方向に行っていると思います。

    そして、ここがこの物語のミソであると私は思います。

    これはデスゲームであり、クリアしないと助からない。
    でも強力な敵と戦うと自分が死ぬリスクが高まる。
    そういう場面が作中、何度も多く見られ
    冒険とは何か?というものを読者に想起させているように感じました。

    ・感動させられるかどうかは、テーマそのものの内容ではなく、物語の中でどんだけ感情を動かせたかどうかできまるということですね。

    私は読者の感情を揺さぶることはあくまで結果であり、そのためにテーマが必要であると思います。

    どういうことか、というと
    単にメイン目的だけでは、読者の感情を揺さぶることは出来ないからです。

    私は
    感動させるためには三つのプロセスがあると思っています。

    ①読者のフック、期待値
    ②読者の感情移入
    ③緊張と緩和

    SAOの例では
    ”起”の斬新な設定で読者のフック、期待値を膨らませ
    ”承”、”転”、の各エピソードで②読者の感情移入の下地を作り
    作品全体のデスゲーム要素で③緊張と緩和を内包させていたから感情を揺さぶられたのではないでしょか?

    ”結”を経て、物語を読み終えた余韻が作品全体の印象を残すのですが

    問題は
    読者に何を感じて欲しかったのか?であると思います。

    個人的にSAOという作品に対しては
    ある日突然、ゲームが、リアルティを持ったデスゲームになったら
    極限の中で人間の本性や生きる意味がみえてくるのではないか
    そして、それを開発者 カヤバアキヒトは視たかったのではないかと
    そんな様に感じています。

    私はまるで登山家のような思考だと感じました。
    冒険には夢と希望がある反面、常に死というリスクがあり
    それでもなぜ、登るのかと言うと『そこに山があるから』という哲学に行き着くのような。
    そんなメメントモリ(死生観)だと私は思いました。

    故に私はテーマ(命題)は読者に見せたい部分であり、感動を生み出すには必要不可欠な要素一部だと思っています。

    〇まとめ

    私は、そもそも読者の感情移入させることは容易な事ではないと捉えています。
    なぜなら、様々な要素が織り重なって初めて起きる事象だからです。

    また、単純に感情要素を出そうとすれば、読者との距離は開き
    安いものになるという落とし穴もあると思っています。

    例えば、作者側がどんなに熱く語っても読者側には一向に伝わらないというような、感じです。
    この原因も伝え方が悪いのか、説明が上手くないのか、そもそもその人には興味のない内容なのか
    様々な意見があると思います。

    個人的にはこの問題はまだまだ検討すべき事案で、簡単には言えない問題かと思いました。

    〇大前提として

    この物語は
    主人公が神を目指す物語ではなく
    人々が勝手に彼を神にする物語です。

    まさしく、偶像崇拝を体現しています。

    よって、主人公はかき乱される側、巻き込まれ主人公であり
    周りが神輿のように担ぎあげていきます。

    なのでスポットは、あくまで周りのキャラ
    癖のつよい面々に当たっており、主人公はごくごく平凡なオッサンです。

    とはいえ
    一章では、読者を泣かせるような感動は極力、入れませんでした。
    入れると物語は終わってしまうので。

    例では
    SAOシリーズについて偉そうに一つ、苦言を呈すとすると
    あまりにも素晴らしい内容のアインクラッド編だったので
    その後の話が二番煎じ、そう感じてしまっている気がします。

    そこは名作の弊害といいますでしょうか。
    勿論、『言うは易く行うは難し』です(笑)


    〇助走距離が短くて済む感情要素は、ピンチ・不遇

    物語のフリを助走距離という例えにしたというのなら
    それはちょっと、フリに対する捉え方が違う気がします。

    陸上競技では当たり前ですが、助走距離が無いと高く飛べません。

    フリは物語の期待を膨らませるものであると私は思います。
    故に、ある程度の適切な距離が必要で、それは長すぎても短くし過ぎても駄目かと思います。

    また、ピンチは物語を変える”転”だったり、”破”、”急”であると思います。
    不遇は、その前の一つの要素で、まったくの別物。
    一緒に混同して考えるものではないと思っています。

    ・ウェブ小説だと、いきなり追放シーンから始まる追放系とか、無能と烙印を押される無能系とか、断罪シーンから始まる悪役令嬢系

    いわゆるテンプレというやつですね。既存の作品傾向から読者に期待値を見せる。

    不遇をよく使う最大の利点は
    物語のハードルを盛り下げ、ヘイトという共感性を誘っている点だと考察します。

    また、上記の資料のグラフのように
    主人公の幸福度は最初からMAXではつまらなく
    またクライマックスも地味なものになります。
    勿論、そうでもない作品もありますが、必ずどこかで物語の盛り下げを行っています。

    この物語では主人公の生前がそこの部分です。

    ヒロインも強調する案も確かにありますが、それをやると
    ヒロインの主張が大きくなってしまう懸念からここは控えました。

    ここでの問題は、期待値を見せれているか、だと思います。

    無職転生とかは
    たぶん、剣術や魔法などの要素が冒頭の大部分を占めていると思っています。

    なので、ダメダメだった主人公がファンタジー世界で劇的に変わる。
    そこが期待になっているように思えます。

    余談ですが
    この原作を読んだことはないですが
    作者の孫の手の自伝みたいな作品は読んだことがありまして
    この作者さんは自分の繊細な心情を言語化するのが上手い方だと記憶しています。

    たぶん、読者の感情が読み進めるごとに
    主人公に寄っていく、共感していくタイプの作品ではないでしょうか。

    個人的には
    冒頭で読者の心を掴むのはとても大事で、漫才でいうところの「つかみ」に似ていると思っています。
    定義としては冒頭にフックと今後の期待を踏まえたものを明示することだと考えています。

    この作品では、それはプロローグに当たります。
    ここでは今後みられる期待を見せ、読者にそこを持ってもらうために書きました。

    ・ヒロインは最序盤に出すべき

    まったくその通りです。本来はヒロインは絶対、三、四話で登場させないといけません。
    それは当初からあり、だからプロローグで登場させました。

    なので、前にも言いましたが
    この作品ではプロローグが、この作品にとって命とも言える場所です。

    これは良ければですが。
    プロローグで変な点などありましたら教えて頂けると嬉しいです。


  • 〇レ・ミゼラブル等

    色んな作品をご紹介頂きありがとうございます。

    菅野 事案様は色んな作品を観られているのですね。

    レ・ミゼラブルも観た事のない作品です。
    そんなに素晴らしい冒頭なんですね。

    これは演劇?小説?
    何で観た方がおすすめですか?

    どの作品も
    やはり、物語の冒頭は
    『死体を転がせ』なんですね(笑)

    問題はどんな風に死体を転がすか、ですね。

    〇新作
    ここでプロットを出してしまうと
    ネタバレになってしまうので
    なかなか内容に触れづらいです。

    全ての内容を内包した早くパイロット版を書き上げたいと思います。

    〇まとめについて

    描きたいテーマを価値あるものだと感じさせることができるかどうかは、物語の中でどんだけ感情を煽れるかどうか次第。

    私はこれは違うと思っています。

    感情の乗った文を書くためのテーマ(命題)です。

    もし、映画アルマゲドンが
    ただ『世界を救う』だけの映画なら感動できないと思います。

    『父親として最愛の家族を守るために世界を救う』
    そんな自己犠牲愛が物語の真ん中にあるからこそ
    ラストで感動させる作品になるのだと考えております。

    故に感情を揺さぶる物語にはその核となるテーマがないと描けないと考えております。





  • 〇反論

    いえいえ、ガンガンしていただいたほうが、こちらも遠慮せずにすみますので、むしろ歓迎です。

    私の言ったことを、考えなしにただ承諾しちゃう方だと、逆にこっちが言葉選ばなきゃいけなくて気を遣ってしまいますので。

    海水さんくらい色々言っていただけるほうが、私はむしろ楽しいですね。
    創作に関する話し自体が好きなオタクなので。




    〇農教ヘイト


    最初に結論から言えば、

    あるあるネタとしてはその方面の知識ある人にとってはちょっと面白い。

    感情移入する要素としては、その設定だけ、を出しても弱い。
    なぜなら現実の農協問題すら、ほとんどの読者にとっては、身近な問題ではない。

    なのでそれ自体をだしても、感情を動かされるものではないってことです。
    アルマゲドンにおける隕石落下くらい、読者にとって縁遠い問題ってことです。

    そうなるともう、農教、はほぼ完全なフィクションでしかなくなっちゃうんですよね。
    小説の設定でしかなくなっちゃいます。つまるところ、虚構、でしかない。

    虚構である以上、新聞記事のように悪事の概要だけ読ませられても効かない。

    これをつかって本格的にヘイトをかき立てるなら、主人公など読者が感情移入してるキャラやイベントと絡めないとダメってことです。



    なぜそうなるか、ですが。

    まず原理原則として、小説で書いてあることはどんな物事でも絵空事、架空、嘘、フィクションでしかありません。
    当たり前ですよね。

    どんな悪辣な犯罪者による犯罪でもそうですし。
    どんな高潔な人々による美談でもそうですし。

    どんな矮小なテーマでもそうですし。
    どんな高尚なテーマもでそうです。

    ぜんぶ、虚構、でしかないんですね。


    ところが、これら虚構が現実になれる条件一つだけあります。
    読者の感情が入り込んだ瞬間です。
    感情移入というやつです。

    感情って、現実、の出来事なんですよね。
    読者は現実に生きていて、その人が抱く感情は現実ですから。

    なので感情が入り込んだ瞬間だけ、小説に書いてあるものごとは初めて、虚構から現実になれる、ということです。

    逆に言えば、小説内のどんなイベントも、感情移入という前提なくしては、すべて読者にとってどうでもいい虚構でしかないということですね。


    なので、農協エピソードはやらなきゃいけない構成が逆です。

    最初に悪役の動機を説明するんじゃなくて、悪役に悪事を実際にはたらかせてから、動機を説明しなきゃダメなやつです。

    本来は、まずヴァセリオンが、神人の開拓地の農地なり、領民なり、+αで読者が感情移入してるキャラへ加害するイベントを先にもってこないとですね。

    そこで理不尽な行動を先に見せつけて、あとから農教の身勝手極まる理由を説明することで、ヘイトをごっちゃり煽れます。

    SAOでも、これからデスゲームが始まるっていうログアウトできなくなるくだりが、いきなり理不尽に突きつけられて、あとから犯人の身勝手な動機がかたられますよね。
    やらなきゃいけない構成はアレです。

    一言でまとめれば、小説は感情移入ありき、それがなきゃただの虚構、ってことになるでしょうか。



    前回のコメントで、テーマに価値を感じさせられるかどうかは、読者の感情次第、というのもそういう意味ですね。

    どんなに高尚なテーマを描いたとしても、それを描きさえすれば無条件で面白がったり、感動してくれるかっていえば違うわけで。

    面白がってくれなかったり、感動してくれなきゃ、ただの虚構、で終わりです。
    なんの価値も感じてくれません。

    逆に、どんなに矮小なテーマを描いたとしても、読者が面白がったり感動してくれたなら、それは読者にとって、その人の心を動かした価値のあるものになっちゃいます。


    この辺りは、再三、ご指摘申し上げてきたところですが。
    海水さんのもったいないところなんですよね。

    ネタは抜群に面白いのに、感情を煽る構成があんまり意識されてない。
    ちゃんとそのへんも意識していけば、もっとガッツリ読者をひっぱれるだろうにな、といつも思っております。

    他の人相手だとこんなずけずけした物言いできませんが、海水さんは自己がしっかりしてる方なので、安心して言えちゃいますぜ。
  • 〇プロローグ

    これも以前にご指摘させていただきましたね。
    なのでくり返しになってしまう部分も被るのですが。




    ・ネタはやっぱり抜群に面白い。

    主人公が不本意ながらカリスマになってしまい民衆蜂起が起こってしまう。
    というネタは抜群に面白いです。

    これだけでもフックは強烈。
    読者層は少々選ぶと思いますが。

    ここは絶対の自信を持って頂きたい。




    ・聖句の引用がノイズ

    これはみんなやりたがるんですけど、そもそもキリスト教徒が1%未満の日本だと、よっぽど分かりやすい聖句じゃないと、ほぼ意味がないやつなんですよね。

    前回のコメントでも申し上げましたが。
    この情報を出すことによって、この時点で面白さが生まれますか?
    という問題点の典型例ですね。

    ほとんどの読者が意味がわからず、ただの意味の無い情報、ノイズになっちゃってます。

    引用するなら、その回の内容と明確にリンクし、なおかつリンクしていることが、読者に理解できるくらい分かりやすいものだけに絞ったほうが良さそうに思えます。





    ・名前ありキャラがいきなり3人登場だが、この短い尺で印象付けに無理がある。


    主人公と三人はすでに顔見知りな状態から始まるわけですが、それ前提の会話がされるので、初めて読んだときは、置いてきぼり感がすごかったですね。

    え、なんの話してるのこの人たち?そんなこっちが把握してること前提に会話されてもこまっちゃうぜ、みたいな。

    そんな感想が、会話が気になって先を読みたくなる気持ちより先に来ちゃったのを強く覚えてます。

    で、それが3回続くわけですよ。
    そうするともう、キャラに魅力を感じるとか感じないとか、そういう前の段階ですね。

    さらには、この尺で三人だすと、一人ひとりの印象が薄くしかならないのでかえってフックとして機能しません。
    むしろ相互に邪魔しちゃいます。逆シナジーです。



    対策としては、プロローグでキャラだすなら、最初に登場するメインキャラであるフィデスだけに絞ったほうがいいです。

    その上で初見の人でも会話内容を理解できつつ、なんでこんな状況になってるんだと気になる台詞にする感じでしょうか。





    ・それでも続きが読みたくなるくらいに、ネタの面白さが抜群

    プロローグは減点方式でいえば-100点。

    加点方式でいえば、+100点

    そんな感じです。
    ネタがとにかく面白いから、ノイズがりがりでも読んじゃうやつです。
  • 〇レ・ミゼラブル

    さすがは歴史的名作というべきか。
    実は映画化だけでも20本近くあるんですよこれw
    ドラマとかアニメも含めたら、マジでどんだけあるのかわからないくらいです。


    どれか一つ勧めるなら、圧倒的に2012年のユニバーサルピクチャー版の映画ですね。

    公式トレーラー
    https://www.youtube.com/watch?v=VoCGLi82O7I

    これは完成度の高いミュージカル版をそのまま映画にしたものなので、鉄板と言っていいかと。

    ストーリーも最高ですが、音楽もミュージカル版そのままなので、絶対的にオススメですね。
    たぶん見たことなくても、音楽は一度くらいきいたことあるはずです。

    ただし英語ネイティブの方だと、主人公の歌唱力がきになるそうですが。
    アメリカ人の友人は主人公が歌うところで音痴すぎて笑っちゃってましたw


    他には原作を別の角度から切り取ったものもありまして。

    例えば、アニメの世界名作劇場でもやってました。
    『レ・ミゼラブル 少女コゼット』というタイトルですね。

    公式サイト
    https://www.nippon-animation.co.jp/lesmise/lesmise/index.html

    子ども向け番組なので、主人公をおっさんのジャン・バルジャンから、本来はメインヒロインである少女コゼットに置き換えたものですね。

    キャラデザが萌えアニメやってた人が担当してるので、歴史的名作が萌えアニメ化してるのが特徴でございます。

    それでもストーリー自体はしっかりと原作をなぞってます。
    さすがに子どもに見せらんない要素(母親が売春してでも娘のコゼットを食わせていこうとしたり)はカットされてますが、連続テレビシリーズで尺たっぷりなので、上記の映画版でカットされるような原作エピソードも入ってたりしますね。



    ちなみに本国フランスでもアニメ化はされています。
    そちらもやはりコゼット主人公ですね。


    チームキッズ公式本編

    TV版全24話
    https://www.youtube.com/watch?v=WLk5hMandsc

    映画版
    https://www.youtube.com/watch?v=1zDaYTBRTkk


    見ての通り、不遇スタートです。
    レ・ミゼラブルには何人かヒロイン枠あるんですが、全員もれなく不遇枠っていう潔さとなっております。
    コゼットがその筆頭ですね。

    フランスのTV版はとにかく不遇演出がすさまじいのが特徴となっております。
    ストーリーはだいぶ改変されており、ラストも原作から180度違ったものになってたと記憶してます。
  • 〇海水さん向けのレ・ミゼラブルの見所


    一言でいえば、廃れそうなキリスト教的な黄金律の価値観を人々が取り戻そうとするお話し、ですね。

    この原作が生まれた当時のバックボーンなんですが、フランス革命によってずっと人々の価値観を支配していたカトリック教会の権威が失われ、人々が宗教的な価値観から脱却しだしたあとの時代というのがポイントになってます。

    でも、その結果として、革命後はさまざまな凄惨な歴史を辿ってきたのはご存知のとおり。

    結局は人間の理性なんてものは浅はかなものでしかなく、古くから連綿と受け継がれてきた宗教的な価値観のほうが、より人間性というものの本質を表せていたんじゃなだろうか?

    それはきっと宗教という枠をもこえた、もっと人間にとって根源的な、大切な何かなのではないだろうか?

    という、理性万能に対するアンチテーゼとして、黄金律的な価値観を前面に打ち出した作品となっております。

    主人公のジャン・バルジャンはまさにそんなテーマが具体化されたキャラでして。

    彼は一切れのパンを盗んで19年の刑期を与えられます。
    その動機は、今にも餓死しそうな姉の子どもたちを食わせるためです。
    怠けていたわけではありません。彼も必死で働いても、そうなってしまったんです。

    これは確かに窃盗ではあるし、法で定められているのだから、刑期も当然。

    でも、本当にこれが社会の正しいあり方なのだろうか?
    何かが間違っているんじゃないか?

    しかし、そんな思いは虚しく、ただ機械的に人を裁く理性の結実たる法が、彼を罪人としてしまいます。

    そして刑期を終えても前科者として、社会のつまはじき者としてしか扱われませんでした。
    世を憎み、やさぐれるようになったジャンですが。

    ある日、どこの宿も泊めて貰えないことがありました。
    でも、一人だけ、彼へ優しい言葉をかけてくれる人がいました。
    教会の神父です。教会に泊めてくれるんですね。

    でも、ジャンは夜中にそこで盗みを働くことを思いついてしまいます。
    で、実際に盗んじゃうんですね。銀の燭台を。

    そして警察に捕まるんですが、そこで神父がやってきて、こう言います。

    「その燭台は私が彼にあげたものです」と。

    燭台を盗まれたのに、ジャンをかばってくれたんです。
    黄金律ってやつですね。
    自分がしてほしいことを、隣人にもしてあげなさい、というやつです。

    神父はそれを実践する人でした。

    ジャンだってもともと、そうだったんです。
    姉の子どもたちのために、それをしようとした。
    その結果、馬鹿をみるだけだった。

    だけど、今度は自分にそれをしてくれる人がいた。
    だから、その恩に報いようとするんです。
    神父とは、彼にとって過去の善意を信じていた自分そのものだったわけですね。

    彼を訴えたパン屋と、彼を裁いた法。
    そして、黄金律を実践する神父が対比されます。

    どちらが、人間として正しいあり方なのか?

    彼の中で答えがでました。

    もう一度、自分の善意に従って生きよう、ジャンはそう誓います。
  • 〇助走距離が短くて済む感情要素は、ピンチ・不遇

    これもピンチや不遇という言葉の定義次第ではあるんですが。

    ここで言ったピンチの定義というのは、天空の城ラピュタの冒頭のような、ヒロインが悪漢たちに襲撃されて逃げた結果、飛行船から落下してしまう、的なシチュエーションを指しています。

    まあ文字通りのピンチですよね。
    命の危険にさらされてるわけですから。
    広義ではこれは不遇とも言い換えることができますね。

    そしてここで言う不遇の定義というのは、アニメ版レ・ミゼラブルのコゼットのように、文字通り周囲の人々から不遇な扱いをうけ虐待されている、的なシチュエーションを指しています。

    コゼットの人生において非常に辛い状況ですので、広義でピンチと言い換えることもできますね。

    なので、ここでは物語冒頭における助走距離が少なくて済む感情要素を、ピンチ・不遇と表現しています。

    海水さんがおっしゃってる、物語の中頃の谷、いわゆるセントラルクライシスは、まったく別の概念ですね。
    そこを言及してるわけではありません。

    ここではあくまで、物語冒頭など助走距離がとれない状況や、てっとり早く感情移入させたい場合につかえる感情要素に言及しています。



    〇無職転生のプロローグ

    プロローグには異世界要素は一切でてこないやつですね。

    主人公の人生が最悪の形で詰んだ状況と、そこへいたってしまった彼自身の人生の不遇さ、そして、その状況に甘んじて努力というものを放棄してしまった彼自身の自責の念が、つらつらと語られます。

    そこでお約束のトラックとの遭遇になるわけですが。
    少年が轢かれそうになってるところへ遭遇ですね。

    主人公はもう人生詰んでて野垂れ死ぬことを覚悟しているので、せめて何か一つくらいは善行をしようと、少年を助けますが自身は犠牲になってしまいます。

    まさにピンチと不遇のダブルパンチ欲張りセット+ダメ人間による最後の自己犠牲善行ムーブというトリプルパンチで、主人公に感情移入を迫ってきます。

    なのでプロローグからもうガッツリ感情が掴まれちゃうんですね。

    プロローグの教材として国語の教科書に載せてもいいくらいの作品ですので、プロローグだけでも読むことをオススメします。



    〇SAOの承

    これもやはり定義次第な話しになってしまうんですが。
    私は、承を主人公が物語のなかで何をするかが提示されるパート、と定義しています。

    なので、これが為されたのがログアウトが出来なくなって、犯人がその旨を説明したあと、キリトが生き抜くための行動を決意したパートと定義しています。

    そして転の定義は、承で提示された主人公の目的を達成するために、成し遂げなければならない物事や、乗り越えるべき障害が描かれるパート、と定義しています。

    なので、ボスに挑むために他者と協力することが求められるパートを転と定義しました。



    〇アインクラッド編

    あれがなければ続編もなかったわけですよね。
    アインクラッドに全力投球したがゆえの、業界を代表する作品になりました。
    小説は前優先で、後は優先度低い、というのはまさにそれです。
  • 〇読者の感情移入させることは容易な事ではない

    これはちょっと難しく考えすぎですね。
    海水さんも物語を楽しんでるときに、感情移入することもいっぱいあると思いますが、ならば、その作品と同じメカニズムを組み込めばいいだけです。

    そのための教科書になる名作はいくらでも溢れているので、そこから自分が書きたい作品にあうメカニズムを探して組み込めばそれでOK。

    例えば、上記のコメントで説明した農協にヘイトを向けさせるプロセスを書きましたが。
    あれの場合は、次のようなメカニズムになってます。


    ①読者が感情移入するキャラを用意する。

    ②ヴァセリオンによって、そのキャラが被害を受ける。
     これによって、ヴァセリオンに対するヘイトが生まれる。

    ③ヴァセリオンの動機である農協システムの設定を開示。
     農協システムにヘイトが向く。
     そしてそれを司ってるヴァセリオンにさらにヘイトが向く。


    これ②と③が逆だと、農協システムの設定を開示したときに、ただの虚構の設定でしかなくなっちゃいます。

    ところが、上記の並びだと、農協システムの設定を開示したときに、その身勝手な動機ゆえに②で生まれたヘイトが上乗せされます。

    便宜上、これを感情移入コンボとでも呼ぶことにしますが。

    ポイントは①をちゃんと用意しておくこと、①へ読者が強く感情移入してればしてるほど、②のヘイトが強くなります。

    そして①を強くするためには、感情移入する対象キャラをぶらさずフォーカスするのが重要になります。

    そのための案が前々回に提示したストーリー案になりますが、それはまた別のお話なのでここでは置いておきます。

    そうして①からコンボを繋げることで、本来は虚構の設定でしかなく、それ自体だけではたいしたヘイトが湧かない農協システムに、ヘイトという感情移入を強くさせることが可能となります。



    まとめると。

    感情が湧かないイベントに感情移入させるためには、既に感情移入している対象を起点としたコンボを繋げろ、ってだけです。

    別に難しく考える必要ないです。
  • 〇感情移入コンボの応用



    実際に『異世界ゴミアイテム』の一部パートに感情移入コンボを実装してみるとどうなるかを提示します。
    今回は前回のストーリー例とは違って、一部のエピソードを改稿するだけで可能な例にしてみます。

    具体的には、前回のコメントでもご指摘した占い商売を始めるパートです。
    ここは、神人がふわっとした動機で、なんとなく占いを始めることになってるので、かなりもったいないんですね。

    ネタだけで面白さを出そうとしちゃってる方輪走行になってて、動機面での感情を煽れる要素がごっそり抜けてるので、
    ここでちゃんと感情移入できる要素も入れておくだけで、面白さが倍になります。

    主人公の行動に読者が感情移入するように描というのは、小説の基礎中の基礎になります。
    なぜそれが基礎というほど重要なのかを説明します。


    まず、主人公の行動に強く共感できる動機を与えることによって、行動を決意したときに、期待、を強く作りだすことができます。

    次ぎに、その期待が果たされるかどうか、という結果が分からないギャンブル的な状況に置かれると期待が煽られて膨らみます。

    最後に、期待が果たされると達成感が発生します。

    つまり、期待を作る→期待を膨らませる→期待を回収する、という三段プロセスを作りだすことができます。
    あるいは、ミクロな起承転結をクッキリした形で作れると言い換えることもできます。

    もっと別の言い方をすると、期待を作ることでドーパミンを追加で分泌させ、次ぎにギャンブル状態でそれ増幅させ、回収でエンドルフィンを追加で分泌させることができます。
    ドーパミンとエンドルフィンのような脳内麻薬が、創作物を面白いと感じる根源の一つなわけですが。

    その分泌量を増やすことができる=物語の面白さを高めることができる=作品の価値を高めることができる、ということになります。

    そして、なぜこの三段プロセスが強いかというと、エンドルフィンによる満足感を得られると、同種の快感を求めるようになるからです。
    平たく言えば、もっと作品を読みたくなる、ということです。

    麻薬中毒者のそれです。
    読者をシャブ漬けにしましょう。
    次ぎの期待感を、次ぎの快感を欲しくなってしまう。
    そのサイクルのループを繰り返すことで、作品全体への期待感がどんどん高まります。





    〇コンボ実装のストーリー例 



    8話からの例となります。



    ①マルタは家族が変な宗教にはまっているせいで、幼いながらも働き続けな苦労人の不遇ちゃん

     この時点で原作ではマルタの年齢について言及ないので、健気さを強調するため、小学生くらい、としておきます。
     
     マルタとは、神人にとって容赦なくいじってくる生意気なクソガキであると同時に、この世界での生き方を教えてくれた頼れる先輩でもある。

     今日はマルタの誕生日。
     しかし、お祝いのご馳走……は質素そのもの。

     なぜかというと――




    ②誕生日のお祝いに姉乱入

     教団に洗脳されきった姉が乱入してきて怒鳴る。
     「こんなお祝いをする余裕があるなら、教団にお布施しないと!」

     そう、教団に貢ぎまくってるせいで、マルタのような子どもまで働き続けても、誕生日のお祝いさえまともにできないのだ。

     姉に祝って貰いたかったマルタは酷く落ち込む。
     神人はそんな彼女にせめて何か、誕生日プレゼントを買ってあげたいとは思うが……彼も金の余裕がない。

     仕方なく、やっすいお菓子を買ってきて渡すと、マルタ先輩は年相応の笑顔で喜んでくれる。
     そして、お菓子を少しわけてくれて、二人は一緒に食べるのだった。
     
     いつも厳しい先輩との距離が縮まった瞬間である。




    ③翌日、神人はマルタ先輩の命令で、仕事の買い出しの荷物持ちで同行をさせられる。

     街にでる二人は市場へ。
     マルタはテキパキと必要な品物を買いそろえ、いつもこの仕事をやってるのを察せられる仕草。

     が、荷物は半端ない量。子どもにやらせていい仕事じゃない。

     神人は思わず訊く、「いつもこんな大変な仕事してるのか?」と。

     マルタはいつものように生意気に憎まれ口で返答する、が。
     「当然、私がこれくらいはやらないと店が潰れちゃうもの」というような。

     神人は察する。自分がここに来る前から、この子がどれほど苦労していたのか。
     それもこれも全て、ヴァセリオンの聖水ビジネスのせいなのだろうと。




    ④市場からの帰り道、裕福な子どもたちが遊んでいるところに出くわす。

     裕福な子どもたちが、高級な玩具で遊んでいる。
     (玩具はなんでもいい。ママゴトなら人形など。いかにも女の子がほしがりそうなもの)

     マルタはふと足をとめて、それをじっと見つめてしまう。羨ましそうに。

     それを見て神人は気づく。
     そういえばマルタがあの子たちのように、年相応に遊んでいるのを見たことがない。

     もしかしたら、いや、もしかしなくても、と彼は思う。
     (自分が現世の教団で働いていた時には、このような子どもを無数に生みだしたことに加担してたんじゃないか)

     今さら生き返って罪滅ぼしはできない。
     だけど、今、目の前にいるこの子、マルタを、ほんの少しだけでも笑顔にできるなら……。 

     せめて、あの子どもたちのように、ごく普通に玩具で遊ばせてあげたり、できればいいのに。

     神人がそんな事を考えているときに、裕福な子どもたちが、おまじない遊びを始める。
     運勢占いようなおまじないだ。

     それで神人は思いつく。
     そうだ、アレ、で金を稼ごう。自分なら、できるはずだ。

     そうすれば、マルタにやっすいお菓子なんていう誕生日プレゼントではなく、玩具を買ってあげられるかも知れない。
     散々悪用してきた知識を今度は、人を幸せにするために使おう。





    ⑤占い商売。上手くいく。

    占い商売が軌道に乗り、金を貯めた神人。

    マルタがほしがっていた玩具を買って、何日か遅れの誕生日プレゼントを渡す。
    家族が宗教にはまって以降、そんなことをされたことがなかったマルタは感激。

    彼女はまたいつもの憎まれ口を叩こうとするも、この時ばかりは素直に感謝を述べる。
    しかし、マルタはこの玩具で二人で遊ぼうと提案してくる。

    大人がするにはいささか恥ずかしい遊び(ママゴトで買い与えた人形を子どもに見立てて、マルタと夫婦設定など)
    に付き合わされる神人だが、内心は満たされていた。

    ああ、今度は自分の知識で誰かを幸せにすることができたんだ。
    自分がこの世界でやるべきことは、きっとこういうことなのだろう、と。





    以上です。

    この買い与えた玩具は、後のマルタが誘拐されるときなどに、神官長によって壊されてしまう、などで再利用できます。
    感情移入の焦点になってた大切なアイテムをぶっ壊されるので、ヘイトマシマシになります。


    くり返しになりますが、改稿を勧めるものではありません。
    感情移入コンボを実装するとどうなるかの例というだけです。
  • 〇なぜ、不遇・ピンチは強いのか?


    これは創作のテクニックというより、比較発達心理学のお話しでございます。

    共感や同情といった能力は、人間のどの発達段階から身につくものなのか?

    という研究は古くから為されていたのですが、近年の京都大学の実験によってこれが生後三ヶ月くらいからすでに発現してることが示唆される結果が得られました。

    生まれすぐの赤ん坊を対象にした心理実験ですね。

    赤ん坊に、アニメで二つの図形を見せ、片方が片方を攻撃して押しつぶしてしまう、というごく短い物語を見せたところ、
    赤ん坊の多くが、攻撃を受ける側の図形(ランダムな形)をより好む行動が示されました。

    ほとんど人生経験がない赤ん坊ですら、
    立場的に優位なキャラ=攻撃者よりも、不遇・ピンチに陥っているキャラ=被攻撃者を好む傾向があることが判明したのです。

    ちなみに同種の実験はチンパンジーなどの類人猿に対しても行われており、似たような結果がえられました。

    つまりは、不遇・ピンチなキャラに共感・同情してしまうのは、人間の本能、というよりもっと前の段階の社会的動物の本能のようなもの、と言えちゃうわけですね。

    これはもう、エロシーンを見たり読んだりしたら本能的に興奮しちゃうのと同じようなもんということです。

    むしろ性的欲求が発現するよりも早い段階で身につくので、エロより強い、とすらいえます。

    理屈じゃなくて、本能に訴えるから強いんですね。


    そして、ビクトル・ユゴーはこのことを良く理解しておりましてですね。
    登場するメインキャラとでも言える立場のキャラは、全員が不遇属性持ちとなっております。

    例外的にマリウスはそこまででもないんですが、彼の場合はバルジャンが担えない役割で、コゼットを幸せにする=不遇から救う存在として、シナジーさせられています。
  • 返信遅れまして、すいません。
    順を追って解答させて頂きますね。

    〇プロローグ

    大変、失礼しました。
    正しくは、ここまで作品を見て頂いた上での
    プロローグは、どう感じましたか?です。

    このプロローグは
    一章と二章、3章と呼んでいく中で
    見方が変わるような設計をしたので
    ここまで読んできた上でのプロローグの印象が聞きたかったです。

    ・聖句の引用がノイズ

    この情報を出すことによって、この時点で面白さが生まれますか?

    はい。そう思って書きました。
    確かに聖書の解釈は難しく、また人によっても解釈が異なります。

    故に
    一概に伝わるものではない、それが聖書だと思います。
    なのでここはノイズで良いと思います。

    しかし、
    この物語は聖書と同調するような隠された真実があり
    それに気づいて頂けるかは
    私にとってどちらでもいいと考えております。
    勿論、なるほどと思って頂けたら嬉しいですが。

    『人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっている。 キリストも、多くの人の罪を負うためにただ一度身を献げられた後、二度目には罪を負うためではなく、御自分を待望している人達に救いをもたらすために現れてくださるのです』

    これは人間の原罪についてと
    彼が救世主でなくてはいけない意味が含まれていると解釈しています。

    この物語の主人公の立ち位置を示し
    この先の展望を預言する一文にふさわしいと思って
    この文を引用しました。

    ・名前ありキャラがいきなり3人登場だが、この短い尺で印象付けに無理がある。

    前提に
    ここはプロローグであり
    この先の展開、ワンシーンを切り取ったものです。

    全部説明する必要はなく、
    何でこうなっているかは本編を見なければ
    わからない話です。

    しかし、台詞の端々から三人の個性や主人公との関係
    は、おおよそ掴めるように書いたつもりです。

    もし、ここが伝わらなかったのなら、考えものですが。

    ちなみに、どの辺が違和感を感じましたか?

    ・この尺で三人だすと、一人ひとりの印象が薄くしかならないのでかえってフックとして機能しません。むしろ相互に邪魔しちゃいます。逆シナジーです。

    これは意外な指摘でした。

    ここの意図としましては
    英雄達、凄い仲間がいる
    というところを読者に植え付けたいと思って書いています。

    キャラに魅力についてはこの時点では
    そこまで書けないので
    聖騎士や魔女など、称号的な言葉で、
    読者側に色々と連想させるようにしました。

    また、この物語は
    プロローグで描かれているように
    主人公は自分が教主になっている事を良しとしてはおらず
    周りのキャラや観衆が彼を持ち上げています。

    故に活躍するのは周りのキャラ達です。

    また、メインキャラはフィデスさんを含め三人です。
    多くのキャラが出てきて、主人公をかき回すのが
    この作品の醍醐味だという風に設計しました。

    ・その上で初見の人でも会話内容を理解できつつ、なんでこんな状況になってるんだと気になる台詞にする感じでしょうか。

    むしろ謎の部分は
    フックになると計算して書いております。

    もし、ここを明かしてしまうと
    なぜそうなったのか、という感情が
    そがれてしまう気がするのですが、いかがでしょうか?
  • 〇海水さん向けのレ・ミゼラブルの見所

    キリスト教的な黄金律
    『人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい』ですね。
    また孔子の論語
    『己の欲せざるところ、他に施すことなかれ』
    でも語れるように様々な偉人や宗教でも見られる人類の普遍的な真理でしょうね。

    現代から見れば、当たり前の教えですが
    この荒れた時代背景では当たり前ではないところがあるのですね。
    なるほど、とても深そうです。
    これは法と社会構造を相まって、この問題をさらに難しくしていますね。

    これも時間あればチェックしておきます。

    〇助走距離が短くて済む感情要素は、ピンチ・不遇

    ここでは
    不遇とピンチは、まったくの別物の気がするので分けて発言させて頂きますね
    ちなみに不遇を広い意味でヘイトと捉えております。

    ヘイトつまり、キャラが不遇な扱いを受けていることについて
    読者は『可哀想』、『助けてあげたい』
    同情し、物語に入っていきやすくなるのだと考えられます。

    それに対して
    天空の城ラピュタの冒頭は
    まだ、ヒロインの素性も明確になっていないので

    ここではピンチ?という表現でしょうか

    サスペンスの『事件を転がせ』的なシーンで
    読者は『何が起きているのだろう?』
    と気になってしまうシーンだった、と記憶しています。

    なので、ちょっと意味合いが変わってくるかもしれません。

    助走距離が短くて済むの話は
    伏線と回収までの距離のお話だったような気がします。

    色々とごちゃ混ぜなってしまっている気がしたいので整理したいです。

    また、ここでの
    感情移入させたいは
    物語に入って欲しい感情移入なのか、それともキャラに自己投影させたい感情移入なのかもあると思います。

    〇無職転生のプロローグ

    プロローグは一番、時間かかる場所なので
    これも時間あれば見て換骨奪胎したいです。

    〇SAO
    ・小説は前優先で、後は優先度低い。
    最初に一番良い話を持ってきてしまうのは
    やはり、商業作品では仕方ないことですね。

    それとは別で尻上がりの作品もありますし
    なので、ここには優劣も良し悪しもない気がします
  • 〇読者の感情移入させることは容易な事ではない

    それは意外です。
    いわゆるテンプレというやつでしょうか?

    つまり
    身近なキャラにヘイトを向かせる
    そんなわかりやすさが欲しいという事でしょうか?

    前述もありましたが
    虚構という言葉の表現がわかりかねます。

    この作品は少し特殊でフィクションですが
    現実のノンフィクションがアイディアとして混じっています。

    よって、大事なのは
    フィクションの中でそこの部分がリアルティ(現実味)を感じるどうかです。

    また
    ここの話では、農教の話が全てではなく
    あくまでもヴァセリオン教の腐敗と内情にスポットを当てているので
    農教は、免罪符と同様、手段の一つです。

    ここではヘイトはありますが
    読者の感情移入は、合ってもなくても良いと思っています。

    それは単に
    ヘイト=読者の感情移入ではないからだと思っているからです。

    もし、ここの回で
    読者に感情移入して欲しかったというのであれば
    商人のカビオンに対してでした。
    ずっと、罵倒され無茶ぶりばかり言われていますし。

    〇感情が湧かないイベントに感情移入させるためには、既に感情移入している対象を起点としたコンボを繋げろ、ってだけです。

    いえ、読者の感情を操れるのは、最早マインドコントロール
    それこそ催眠術です。

    それが簡単に出来るなら
    世界観の描写やヘイト管理などは必要ないと私は思います。

    また、既に感情移入している対象は
    こちらからは視えない点であり、この作品はその方向が多方向に伸びているので作者側は予測するのは難しいです。

    故に前にもお伝えした通り、ジャンルを絞った方が受けやすい作品になると考えた次第です。
    そして、この作品はそういう作品ではないです。

    〇感情移入コンボの応用

    大前提ですが
    この物語は主人公が頑張る物語ではなく
    周りが彼を過大評価していく勘違い系です。

    主人公は主人公なりに頑張りは、しますが基本は消極的です。

    ですので、占い商売は「頑張って大金稼ぐぞ」的なものではないです。

    ここは大前提で
    主人公のキャラクターであり、物語の柱でもあります。
    つまり、物語が変わってしまうので大前提です。

    また、私は動機面で感情を煽れる要素は
    重視しなくても良いと思っています。

    それは現実でも
    動機より過程と結果の方が重要だからです。

    あと、あまりにもミクロな起承転結は必要ないと思います。
    一つの章というミクロでしたら必要ですが。

    そういう意味では

    期待を作る→起承
    期待を膨らませる→承転
    期待を回収する→結

    であり、あまり小さな話数では区切らない方が良い気がしました。

  • 〇コンボ実装のストーリー例 

    別作品のプロットを見ているようで楽しく拝読させていただきました。

    マルタさんの設定は十四歳、中学二年です。

    ①、②で彼女の明るいキャラとは対照的に
    家庭を崩壊させるような新興宗教の厳しさを出し
    人情噺を展開していくのは良いですね。

    宗教にのめり込んだ姉が引き起こす家庭崩壊。
    そこからワイドに、この都市の情勢と宗教の闇が視えて良いですね。

    ただ、これをやると今度は
    マルタがメインヒロインになってしまいます。

    また、占いにここまでの動機と重きをのせてしまうと
    主人公は占い師になる作品になってしまう気がします。

    コンボ……と言うよりも
    私はこの辺はヘイトによる”緊張と緩和”が聞いているのだと思います。

    幸せな日々に暗雲が立ち込める様に
    また逆に暗雲の切れ間から光が差すように

    物語を揺さぶるフリ幅が読者の感情を刺激しているのだと考えられます。

    無職転生で例を挙げるなら
    迷宮で父親が死ぬシーンでしょうか。
    あのような積み重ねて持ってくる作り方は、とても巧みだと思いました。

    とはいえ、わかりやすい点はとても良いですね。
    もしかしたら、話を難しくするのは
    私自身、作者の趣味嗜好が反映しているのかもしれません(笑)


  • 〇なぜ、不遇・ピンチは強いのか?

    大変興味深い研究ですね。
    弱い立場や物に、人間は本能レベルで共感・同情するのですね。

    ふと、思ったのですが
    それではなぜ、人は人を貶めたり虐めたりするのでしょうか?

    本能は生まれつき持っている性質と仮定するなら
    その行動原理に矛盾が生じる気がします。

    また、視点を広げてみると動物界は弱肉強食。
    弱った動物を真っ先に殺したり、同種の共食いなどを普通にします。

    なぜ、人間という生き物だけがそうなるのでしょうか。

    また
    そもそも論、本能という言葉自体、定義が曖昧だと思いました。

    被験者がいくつかは分かりませんが
    生後0日から満1歳未満までを「乳児」とすると

    生後間もなくの赤ちゃんは、まだ自我を持っていませんので
    生物上、善悪を判断する知能はないと考えられます。

    自我の形成段階、眼に入る親や周囲の大人の動きを真似ている段階だと思います。

    また、「乳児」には
    よく動く物に反応したり、触れたりする習性があるので
    実験自体、本当に信頼性と妥当性があるか
    認知バイアスが働いてないか
    慎重に検証すべき研究内容、論文かと思いました。
    当たり前ですが
    心理学はあるかどうかもわからない”心”を探求する学問なので。

    また、学会で発表される論文自体も
    医学生物学論文の70%以上が再現できない
    というように
    論文はエビデンス(証拠)でなく、判断材料の一つにすべきだと
    私は思います。

    少し、話が逸れてしまいましたが

    その上で
    私は『不遇』が期待を生む大きな要因は、
    既視感からくるものだと思います。
    それと同じ意味で『悪役令嬢』もその類の気がします。

    とはいえ、『不遇』の持つ意味は
    多くの作品で観られるように多岐にわたる気がします。

    もしかしたら
    他人の不幸は蜜の味かもしれませんし
    復讐劇がストレス解消になる、スカッとするなど。

    そこが、この物語の物足りなさを感じるポイントで
    読者の期待値が、ざまあ系になってしまう理由だと感じています。


  • 2024年9月14日 18:00

    〇どの辺が違和感を感じましたか?


    既に主人公と、名前有りキャラ三人が長い付き合いがあるわけですが。
    それ前提の会話が為されることで、読者からは意味がわからずに置いてきぼりになっちゃうところですね。

    これがもし、置いてきぼり感よりも、三人への興味のほうが大きくなれば成功といえるんですが。
    その逆なんですね。

    なぜそうなってるかと言いますと。
    キャラと主人公との関係性が漠然としてしか掴めないまま、思わせぶりな台詞を吐くだけ吐いて、次のキャラが出ててきちゃうので、
    結局何が何だかわからんまま進んじゃうんですね。

    結果としてキャラへの興味よりも置いてきぼり感が強くでちゃってるので、これは思わせぶり要素、謎要素の悪い使い方になっちゃいますね。
    なので逆フックになっちゃってると感じました。

    そして、冒頭の自己満的な聖句も相まって最初読んだときに覚えた違和感は。
    あれ、この作者さんはネタは面白いもの持って来てくれるけど、読者に寄り添う意識が薄い人なのかな、と感じちゃったんですね。
    そこが違和感その二です。

    この違和感が確信に変わったのは、以前にご指摘申し上げた部分ですが、ユーグルとの旧タイマンシーンと旧ポエムシーンでしたね。
    あそこもやはり最初読んだ時は置いてきぼり感すごかったです。



    プロローグの対策としてはやはり、こういうやり方するなら物語に没入するとっかかりになるキャラがないと厳しいです。

    三人キャラいっぺんに出して、どのキャラも主人公との関係性が判然としてないと、つかみ所がなくてツルツルしちゃうんですね。
    物語にとっつけなくて、置いてきぼり感がでちゃうんです。

    なのでキャラ出すなら、一人に絞るなりして、主人公との関係性をもっとわかるようにして、物語りに入り込みやすくしてほしかって感じですね。
    最低限は物語に入れるようにしてくれたうえで、謎要素、思わせぶり要素で撒き餌をぶっこんでくれないと食いつけないです。







    次ぎに、三章まで読んだ時点でプロローグを見返すときに感じること、ですが。

    確かに読み進めるごとに印象はかなり変わりますね。

    1章終わり時点だと、お姫様を治したあとの勢いで、まだまだポジティブな期待感が大きいんですが。

    2章の終わりだと、教祖化させられてしてしまって、創始者の当初の思惑を離れて信仰心が一人歩きしてしまう、宗教あるあるな面白さがでてますね。
    これは1章終わり際とのギャップが面白くなるなってくるところです。

    イエス・キリストだって現役時代は自分が教祖だとは名乗ってなかったし、思ってなかったでしょうしね。
    あくまでただのユダヤ教の分派程度にしか本人は思ってなかったろうけど、っていう。


    3章だとヴァセリオンとの対立も見えてしてくるんですが、
    ヴァセリオンがやりすぎてるせいで、神人が何か企むとか関係なしに、正論ムーブしてるだけで救世主に見えてしまうんですよね。

    こうなるともう、神人の意思でどうこう出来る段階でなくなっちゃってるルートに入ってる感が面白いですね。

    神人自身も領地をもり立てていくしかないけど、もり立ててばもり立てるだけヴァセリオンとの摩擦が加速していくっていう。




    次ぎにネガティブな方向で感じたことですが。




    強く思ったのは、「やっぱりここで三人出す必要ないやろ」でした。
    初見で読んだときに思ったことが、三章まで読んで正しいと確信できた、みたいな感覚です。

    というのもですね。
    プロローグでのキャラの印象付けが薄いせいで、ぜんぜん記憶に残らなくてですね。
    本編中で当該キャラが初登場して名前が明かされたときに、「あ、プロローグで出てきたキャラだ」と最初読んでる間、気づかなかったんです。

    プロローグで出てきた名前を覚えてませんでした。
    他の読者の方は覚えてて気づけたんでしょうか?
    私は無理でした。

    マリーの登場は二章なので、プロローグを読んだあとかなり時間が空いてしまってるのもありますが。
    フィデスとユーグルは一章で登場なので、ほぼリアルタイムで読んでるはずだけど気づかなかった。

    だってあのプロローグの短尺で三人も名前だされて覚えられますか?っていったら、多くの人は厳しいんじゃないですかね。
    ましてや、どういう性質のキャラだったか覚えるなんてのは不可能な気がします。

    もし本編登場時に、「あ、こいつプロローグで出てきたキャラだ!」みたいに気づければ。
    プロローグで三人だすことで、多少は面白さに貢献するんですが。
    それすらなかったわけでして、シンプルに大事なプロローグの尺を無駄に潰してる逆フックでしかなくなっちゃってるんですね。

    くり返しになりますが、プロローグで提示されたメインのネタ自体はほんと面白い。
    それだけに、そこを汚してしまってるのが、無茶苦茶おしいって感じなんです。
    そこが減点方式だと-100点の意味でございます。

    で、対策としてはやはり、どうしてもプロローグで名前付きキャラだしたいなら、せめて一人に絞ってしっかり印象付けしようってことですね。






    〇虚構


    小説っていうのは当たり前ですけど、ただの作り話なんですね。
    どんなにリアリティを作り込んでも、所詮は作り話、つまり虚構なんです。

    作品内で何が起こったところで、基本的には現実世界に影響を与えることはありません。
    作品内で何がおこっても、人間にとってはどうでもいいことでしかありません。

    作り話ですから。

    ただし、一つだけ例外があって、それを読むことで感情を動かされる場合です。
    それを読むことで、面白かったり、悲しかったり、感動したりしたら、人間は作品に心を向けてしまいます。
    ときに大笑いしたり、ときに涙を流すことすらある。

    感情が動かされたときに、作り話は初めて現実に影響できるようになる、ということです。
    逆に言えば、感情が動かされなければ、作品内で何が書いてあろうが、どうでもいいこと、ということです。


    そこで作品内の農協について考えてみてください。
    『架空のファンタジー世界で悪いことしてる農協というシステムがあります』

    この内容を説明されたときに、なにか感情を動かす要素ってありますか?ってことなんです。

    もし現実の農協に何かしら強い思いを抱いてる読者がいたとしたら、また別ですが、
    多くの人とって農協に対して何か強い感情をもってるかって言ったら、そんなことないわけですよね。

    だから、ほとんどの人にとっては農協の内容を説明されても、ふーん、でしかないです。

    これは本作の設定をディスってるわけじゃなくて、あらゆる小説の設定とは所詮そういうもの、ということです。
    現実世界の事件などを流用しても、それに対して現実で強い思いを抱いてる人しか、感じ入るものはありません。

    なのでリアリティがある設定だとしても、それだけを用意しても共感を煽るような機能は極めて低いんです。
    どんなにリアリティあったとして、大多数の読者にとっては、ただの作り話の設定、でしかないからです。

    なのでちゃんと、設定に読者が心を向けるようにしましょう。
    設定に感情が向くようにしましょう。そうすることで初めて共感が生まれます。
    というのが前回のコメントの趣旨でございます。


    そのために必要なのが前回申し上げたような、
    農協による弊害が、読者が感情移入している対象に害を与えるなどして、農協設定にヘイトを向けさせること、などです。

    そうすることで初めて、虚構の設定でしかなかったものが、血の通った腐敗社会のリアリティとして読者の心に襲いかかります。
    当然そうなれば、ヴァセリオンの腐敗に対して負の共感を抱くことになります。

    そしてこういうことをする場合は、
    まず害を与える事件を起こす→次ぎに農協設定を開示する、という流れが理想的です。

    理不尽に害を与えられたことでまずヘイトが稼がれ、次ぎにその身勝手な理由が説明されることで、ヘイトが二倍増しになります。

    この順番が逆だと、最初に『架空のファンタジー世界で悪いことしてる農協』という設定を説明するだけのパートが挟まることになるので、そこが退屈になっちゃいます。

    なので、最初に事件、次ぎに事件が起こった理由の説明、が理想的になります。






    〇マインドコントロール

    まさにこれが小説というか、あらゆるエンタメの本質ですよ。
    小説とは文字によるマインドコントロール。あるいは合法的な文字情報ドラッグです。

    前述したように、小説なんて読者の感情を動かさないと、ただの作り話、でしかないので、感情を動かしてなんぼです。
    なので、そこはちゃんと計算してあらゆる物語は作られます。

    これ別に何か特別な難しいことを言ってるわけじゃないですよ。
    誰もが日常会話で毎日ごく当たり前にやってることです。

    誰かと話すときに、例えば相手の関心のなさそうな話題をしたい場合、その人が関心のある話題と関連づけて切り出したりしてるはずです、普通に、日常会話で。
    これがここで言ってるコンボですね。

    相手にとって関心の無い話題には、関心のある話題からコンボさせてるわけです。
    なのでべつに特別なことじゃなくて、みんな毎日、普通にやってることです。
    難しく考える必要ないです。

    自分の喋りたいことだけを好き勝手喋るのではなく、相手の興味に合わせた話し方をしよう。
    という小学生ですらやってるような、ただのコミュニケーションの基礎でしかありません。


    例えば農協の設定説明に読者の興味・感情を向けさせるコンボ例ですが。

    マルタなりフィデスが農園で朝から晩まで働いて、作物を作ってたりするとしますよね。
    マルタなら家族を、フィデスなら子どもたちを養うために一生懸命です。
    それでいざ、街に売りに行こうとしたら農協からの嫌がらせを受けるとします。
    作物を売ることができない状態にされてしまい、マルタなりフィデスが泣いちゃいましたとします。

    マルタやフィデスを泣かせた鬼畜農協とは、いったいどんな鬼畜なのか?
    と興味を曳いたところで、そっから、なんとこんな身勝手なシステムで動いてる組織だったのでした。
    と設定を開示することでヴァセリオンへの反共感を煽れます。





    〇動機面で感情を煽れる要素は重視しなくても良いと思っています。

    まじですか。
    これは物語の方向性どうこうではなく、読者がどれだけ主人公の行動に心を向けられるか、という
    作り話を人に聞かせるための基礎なので、ちゃんとやらないとさすがに損ですね。




    〇ミクロ構成

    これも出来るならやらないと読者が可愛そうですね。
    回収のたびに、次ぎを読みたくなる期待感をどんどん上乗せして中毒にさせてあげられるので。
    ミクロ構成を噛ませられるところでは、しっかり噛ませていったほうが、読者思いです。




    〇主人公は占い師になる作品になってしまう

    ここはむしろ、この物語本来の、普通のおっさんが弱者のためのユートピアを作ることになってしまうという方向性を、
    より分かりやすく示すパートになるかと思います。

    あくまで彼がやってることは、身近にいた可愛そうな女の子を、自分ができる範囲で、手を差し伸べただけなんですね。
    ちょっと変わったスキルと知識をもったおっさんが、ごく普通の日常生活してるだけです。
    なので主人公の普通のおっさんらしさ、を演出できます。

    父親を反面教師とした主人公の価値観を演出することで、主人公がどんな考えで行動する人なのかを明示できます。
    それによって、スキルと知識を使う方向性は、弱者を守るためなど共感できるものであることを明示もできます。

    さらにマルタが主人公の行動で小さな幸福を得られたという、ひとまずのオチを置くことで、主人公が成し遂げられる物事の可能性を示唆。
    プロローグで見せた期待感に繋げることができます。




    〇ヘイトによる”緊張と緩和”

    その緊張と緩和を効果的に作り出すのがコンボという概念ですね。
    コンボというのはエピソード同士をどう繋げて構成するのが効果的なのかってことなので。

    占い商売の感情移入のコンボ起点にマルタの家庭環境の不遇さを使うことで、緊張を生み出しヘイトを発生させる。

    その緊張を解消する手段として、占い商売をコンボさせることで、「占い商売が上手くいってほしいぃいい!」という期待感が煽られる状態を作る。

    占い商売が成功することでマルタが救われるで緩和=期待の回収。

    コンボの概念は緊張と緩和と二率相反するものではなく、それらを作り出す構成のお話しですね。






    〇話を難しくするのは私自身の趣味嗜好

    これはそう思いますねw
    海水さんの個性ですし、これがあるからこそ魅力を放つネタをもってこれるのだと私も確信してます。
    一方で、読者に寄り添うのが二の次になっちゃってる感触は、これまで述べさせていただいた通りですね。





    〇なぜ、不遇・ピンチは強いのか?


    面白い論文でしたよ。
    最後にリンク置いておくので、よければご覧くださいませ。
    論文自体にも記されていますが、この手の実験は過解釈に気を付けねばなりませんね。

    ちなみに実験は乳児の習性も考慮した、すべての図形が同じ運動量になるように行われたものですね。






    〇行動原理に矛盾が生じる気がします。


    別に残虐性と同情心が同じ生物に同居していても矛盾とは言えないですよね。
    あらゆる感情が同じ人物の中にあるのは、ごく当たり前のことですし。
    それが場面によって発揮される感情が異なるのも、ごく当たり前のことで、矛盾ではないですよね。


    論文中で少し触れられているのですが、生後三ヶ月の乳幼児と、成人に対する実験だとまったく別の結果がでるんです。
    成人の場合は攻撃する側を好む人も多く現れるようになった、というのがすごく面白いんですよね。

    今回ご紹介する論文は、発達のごく初期段階の研究がメインなので、
    成人の実験はあまり深くは掘られてませんが、簡単に触れられてます。



    〇テンプレの既視感

    テンプレ既視感だけで説明しようとすると今度は、
    人生経験のない乳児の実験結果が説明できなくなっちゃうんですよね。

    なので私は、本能的に同情心というものが存在していて、
    その本能の需要に沿った物語が人気となった結果として、テンプレが出来上がったと解釈しています。
    そしてテンプレが一般化した結果として、既視感が醸成されたと考えてます。



    〇論文のリンク

    https://jsbs.gr.jp/LEARNED/13/KANAKOGI_GAKKAISHI.pdf
  • 〇どの辺が違和感を感じましたか?

    ここで示したかったのは
    英雄クラスの仲間がなぜか、主人公を讃えている
    それに対し、主人公はその状況を良く思っていないというところで

    会話の内容から

    聖神女→愛情
    聖騎士→友情
    魔女→信仰?

    を想起させる内容にしています。
    その理由は本編で語られるといった感じです。

    ・冒頭の自己満的な聖句

    これはベースにキリストがある部分と
    宗教的なメッセージが物語の全般にあるという理由で採用しました。

    読者様に寄り添うというのが解釈が難しいですが
    物語は作者の頭にあるので作品を見るかどうか、また観るかは
    読者様次第だと思っています。

    確かにこの物語は、読者寄りには作っていない傾向があるかもしれません。
    そもそも宗教自体。良いか悪いかわからないものなので、そういう意味ではこういう形でいいと思っています。

    ・ユーグルとの旧タイマンは、難解にしました。
    目標としては何となくイメージ的に伝える物語の指針でしょうか。
    言葉では伝えられないものがある。時としてぶつかり合うことも必要
    という事を表現した部分です。

    ・旧ポエムシーンは、最初では意味が分からないですが
    演説内容であり、彼女や村の人からは、刺さるように意図して作りました。

    ・三章まで読んだ時点でプロローグを見返すときに感じること

    プロローグの内容はこの先の内容なので
    名前とかは別に覚える必要が無いです。
    一応、覚えられないと思ったのでネームドは出してはいますが。

    ここで
    主人公がなぜ、どのように救世主になってしまったか、です。

    どこにでもいるような平凡な人が異世界で神になってしまう
    それがプロローグの内容で章を重ねるごとにそういうムーブになっていっていると感じられるように作りたかったが本音です。

    また、この物語特性上、周りの天才達が暴走して主人公をかき回すので
    キャラを絞るのは得策ではないと思っています。

    〇虚構

    作品内で何が起こったところで、基本的には現実世界に影響を与えることはありません。

    →いえ、聖書は現実世界に影響を与えています。
    世界一読まれた本ではありませんが、そういうエッセンスも時に重要だと思っています。

    すいません。正しくは農協ではなく”農教”です。
    これはフィクションであり、実在の物とは一切関係ありません。
    よろしくお願いします。
    読者がどう思うかは作者からは、わかりませんので
    気づくどうかや興味を持つかどうかは読者の自由です。

    物語上、そのような搾取を権力者からされていて
    それは現代社会にもあるかもしれない。
    信じるか信じないかは貴方次第です。的なメッセージが忍ばせてある、それだけです。

    ・現実世界の事件などを流用しても、それに対して現実で強い思いを抱いてる人しか、感じ入るものはありません。

    これも繰り返しになりますが人それぞれです。

    例としては

    南京事件では三十万人以上の中国人が虐殺された。
    「ふーん」と思う人もいれば、それついていろいろ思うところがある方もいる。

    物語上、自分にヘイトが向いてないと
    感情移入できないというのも意見もあるので
    そこがまた難しいと感じました。

    農教は免罪符同様、一部分です。
    なので『架空のファンタジー世界で悪いことしてる農教』ではないです。
    一部分の仕組みです

    また、そもそも農教という設定は一般の人にはわからない搾取です。
    故に庶民からしたら「最近、物が高くなったな」くらいにしか思えないものとなっています。

    とはいえ
    間接的なヘイトのハードルを下げるのを検討してもいいかもしれませんね。
    参考になりました。ありがとうございます。

  • 〇マインドコントロール

    マインドコントロール。言葉がなんともですが
    私は洗脳ってそんな簡単ではないと思っています。

    私もこの物語を描く上で新興宗教の洗脳(厳密には違う)を軽く勉強しましたが色々な条件が必要だと思います。

    それと同じで感動も同じくらい難しいです。

    プロのシンガーソングライターだって、一人でも泣いてくれる曲が書けたら合格というくらいですから。

    個人的には
    誰もが日常会話で毎日ごく当たり前にやってることではないと思います。
    人を甘く見てはいけないと考えています。

    また、関心のある話題はその人の情報が必要となります。
    例えば、10人に演説するのなら10人に共通する話題になります。

    といったように
    作品のコミュニケーションは、相互の会話で行われるものではないです。
    故に
    「自分の喋りたいことだけを好き勝手喋るのではなく、相手の興味に合わせた話し方をしよう」は会話の際の注意事項です。

    ・例えば農協の設定説明に読者の興味・感情を向けさせるコンボ例ですが。

    そもそも農教の設定は直接実害のある組織ではないです。
    天下りのような間接的な実害です。

    〇動機面で感情を煽れる要素は重視しなくても良いと思っています。

    これは主人公の動機面に感情を煽れる要素が必要かという事ですよね。
    また、感情を煽れる要素というのは感心を持ってもらいたいポイントという認識でお話させて頂くと

    主人公の動機はあくまでも動機。よって感情移入させたいポイントは
    動機面でなくても良いし、そんな作品は沢山あると思います。(例:スラムダンク)
    また、動機で惹き付ける物語もあります。(例:僕アカ)

    感情移入させたいポイントは必ずしも主人公の動機面でなくて良い
    そういう意味で動機面で感情を煽れる要素は重視しなくても良いと思っています。

    〇ミクロ構成

    本音で言うと
    それが出来たら苦労はしないです(笑)
    それぐらい読者様と作者は乖離しやすいもので作者側は色々と考えて作品を書かないといけないと思っています。

    〇主人公は占い師になる作品になってしまう

    もし、そうなればタイトルに『占い師』をつけることになります。
    あと、『ユートピアを作ることになってしまう』がポイントで
    無自覚がフックです。

    ・あくまで彼がやってることは、身近にいた可愛そうな女の子を、自分ができる範囲で、手を差し伸べただけなんですね。

    いえ、主人公の動機は自分自身の為です。それが結果として救う形になっただけです。

  • 〇キャラを絞るのは得策ではない


    今の冒頭のだと肝心の『周りの天才達が暴走して主人公をかき回す』これが読み取れないんですよね。

    理由は状況も良くわからなければ、ネームドとの関係性はもっと分からないからですね。
    これ前回も述べた物語に没入するためのとっかかりがないということなんですが。

    こういう謎要素ってただ雑にぶっ込めばフックとして機能するかといえば違うんですよね。



    〇9:1の法則

    これは謎要素をフックにするための原則です。
    分かる部分9割に謎1割の割合が黄金比となっております。

    九割分からせることで、物語に没入しやすくさせて。
    そして、残り一割、わからなくすることで、何が謎なのかを分かりやすくフォーカスすることで、知りたくさせる。
    という概念でございます。

    謎の割合が多すぎると、分からなすぎてそもそも没入しにくくなっちゃうんですね。

    本作の冒頭の場合だと、ネームドが3人続けて出てきちゃうから、分からない、の割合が増えすぎちゃってるんですね。

    本当なら『主人公がいかにしてこの状況に追い込まれてしまったのか』という一番の売りになるフックをフォーカスしたいだけど、それを邪魔しちゃってるんです。

    なので、ネームドを一人に絞って没入しやすくしつつ、『主人公がいかにしてこの状況に追い込まれてしまったのか』にフォーカスするのが、私はやはり理想的に思えます。



    〇聖書

    前回に述べましたが。
    『一つだけ例外があって、それを読むことで感情を動かされる場合です。』

    この場合は虚構でも現実に影響を及ぼすと述べました。
    聖書はこの最たるものですね。
    人を行動にいたらしめているのですから、当たり前ですけど、心を動かしてますよね。
    聖書以上に人類の心を動かした虚構は無いかも知れませんね。





    〇興味を持つかどうかは読者の自由・興味を持つかどうかは人それぞれ

    興味を持つかどうかは読者の自由、人それぞれってのは冒頭から二、三話くらいなら言っても良いんですけどね。
    読んでみなきゃ中身わからないので、そこは確かに仕方ない部分はあります。

    でもこれ三章なんですよ。
    もう読者が何に興味もって、ここまで読んでるか把握しきってるわけですよね。

    ならちゃんと興味は誘導してあげないとダメですよね。
    じゃないと、作者がなんか自分の世界の設定を語ってるだけになっちゃいます。

    よく作品冒頭で設定語りしちゃダメなんて言われたりしますが。
    あれがなぜダメなのか、その原理は読者の興味を誘導することなく、いきなり虚構の設定が語られるからなんですね。

    なので、興味の誘導は冒頭だけではなく、設定を説明するパートではかならずやらなきゃいけないことです。

    じゃないと、虚構が虚構のままになっちゃいます。

    そして今回のやりとりで気づいたことがあります。
    それが次ぎです。




    〇日常会話で毎日ごく当たり前にやってる・関心のある話題はその人の情報

    小説って会話なんですよ。
    これ小説書く方で忘れてる方がたまに居るんですけど、一対一の会話なんです。
    言葉を使ったコミュニケーションですから。

    で、小説ってあらすじ以降はもう、相手が何に興味もってるかのスクリーニング終わってるんですよ。

    あらすじで、こういう物語をやりますよ、と興味の対象になるフックを提示してるわけですから、そこに関心があるに決まってるわけです。

    なので、そこの興味を起点にしてコンボ組みましょうというだけの話しなんですね。

    これって普通に日常会話でやってるはずですよ。
    相手に会話を楽しんで貰おうと思ってたら、必ず相手が自分の話題に興味をもってくれる角度で話そうとしてるはずです。
    じゃないと、自分勝手なことをひたすらペラペラ喋るだけの変な人になっちゃいます。




    〇感情移入させたいポイントは必ずしも主人公の動機面でなくて良い

    これ占い商売のきっかけに関してのことなんですよ。
    前回だかも述べたと思いますが、占い商売始める動機がめちゃくちゃふわっとしちゃってて、占い商売を始める段階って注目するべきところがないシーンなんですよ。

    これがもったいないんですよね。
    物語が大きく動き出すきっかけになるのに、そこに十分な演出効果が入れられてなくて、すんごい損しちゃってる。

    ここが最初の前世知識と異世界スキルの融合技の出番の見せ場なのに、そこをぜんぜん盛り上げてないっていう。

    ネタは最上なのに、料理が残念すぎるんです。
    上手く調理すれば、前回も述べたように物語の方向性を強く示して期待感をマシマシに盛れます。

    ただのお人好しのおっさんが前世の悪徳知識を、今生では良いことに使うっていう。
    マルタは彼が前世で生み出した被害者と同じ存在でもありますし、それを償いとしても救ってあげるのは幅広い読者に共感もしてもらえて、神人への感情移入度もあがります。

    でもそんな神人のささやかな思いにも関わらず、街にはペストによる災禍が忍び寄っていて、となればなおさらですよね。

    繰り返しますが、ネタはほんと最上なだけに、惜しくてたまらないんですね。



    〇ミクロ構成

    海水さんの場合は。
    読者が今の段階で何に興味を持ってるのかを意識して、海水さんの持ち味であるネタの面白さにちゃんとその興味を誘導していくことをしてけば、物凄く強い人になると感じてます。

    ネタの面白さがほんとすごい。
    でも、そこに興味を誘導しきれてなかったり、上手く興味を煽れてなかったりで、いかしきれてないのが惜しいと感じます。



    〇ユートピアを作ることになってしまう

    前世の自分が生み出してしまったであろう、マルタのような被害者を、助ける。
    という多くの人が共感できる切っ掛けから、だんだんと周りの状況が神人をほっておけなくなる、という展開なわけですから、別に本来の物語の方向性と変わらないと思いますね。



    〇無自覚系で大事なのは主人公が良かれと思ってする行動への共感

    主人公的には良かれと思ってした行動が、世界からは予想外の反応でかえってくる。
    というのが無自覚系の面白さの原理ですが。

    この無自覚を演出するために大事なのって、その行動への共感なんです。
    動機がフワッとしてて共感しにくいものだと、世間から帰ってくるリアクションのズレ・ギャップが際立たないんですね。

    読者が「神人にこうしてもらいてええ!」と強く思うことで、世間から予想外のリアクションが帰ってきたときに、神人と共感して一緒に驚いたりできるわけです。

    マルタを助けるためと思ってした行動が、なんとペストの蔓延という危機を知る切っ掛けになってしまう。
    という感じにすると、サプライズがより際立ちますし、興味をペスト対策により強く誘導することができます。
  • 新作の『正座』良かったですね。

    まずタイトルが秀逸だと感じます。
    正座って誰しもがする行動だけど、それが非日常なワードと組み合わさってるので、中身がすごく気になりますね。

    そして。
    作中コメントでも書きましたが、めちゃくちゃシンプルな状況設定から始まるので、前提知識などがほぼ必要なく全てが理解できるので、すごく没入しやすいです。

    没入しやすいとどうなるかっていうと、主人公の置かれた境遇に意識がすぐ集中できるんですよね。

    作者がフォーカスしたい要素に、読者も意識をフォーカスできるようになるんです。

    そんなタイミングで主人公がピンチであることが、徐々に明らかになっていく過程の、謎要素・読者わからなくて知りたいと思う要素の、配分が絶妙なんですね。

    舞台の状況設定がシンプルなので、9割理解できるけど、主人公の状態だけが分からない、だから知りたくなるし、そこに意識をフォーカスできる、っていう状態を作り出せてます。

    そして、主人公の置かれた状況が全て判明したタイミングで、次の謎要素である、謎の存在が目の前に表れる、でまた9:1の法則が発動してます。

    この配分とタイミングが見事なんですね。
    どんどん前を読みたくなる。

    これはほんとにお手本みたいな冒頭だと思いました。



    実はノートで公開されてた構想を読ませたいただいた時に、懸念してたことがあったんですが。

    共感できない系のキャラを主役にする場合にポイントになるのが、どうやってその主役がする行動に、読者の感情や興味を向けさせるか、ということなんですね。

    共感できない、感情移入できないキャラが一人で何かしてても、そのキャラがする行動に感情や興味を向けられない=面白くないんですね。

    だから、そういう主役の場合は必ず、その他の要素によって、読者の感情や興味を主人公のする行動に向ける仕掛けが必要になってくるんです。

    例えば、その手の主役で大ヒットした作品の代表例としては、『ヘルシング』なんかが挙げられます。

    主人公のアーカード(ドラキャラ伯爵)は徹底してバケモノとして描かれ、共感のしようがないキャラとして完成されてるんですが。

    その代わりに、第一話ではセラスという婦警のキャラクターが用意されていて、彼女が一般人的な視点や価値観を持つキャラクターで、共感も感情移入もしやすいキャラとして配置されています。

    そして、セラスはピンチになったところをアーカードに助けられる、というのが第一話なんですが。

    これはつまり、セラスのピンチを助ける、というムーブをさせることによって、共感できないバケモノ主人公の行動に、読者の感情や興味を向けさせるメカニズムになってるんですね。

    そして『正座』の場合は、セラスの役割を主人公が担ってる形になってるので、今のところ一番懸念してたポイントが軽くクリアされてるので、私としてもガッツポーズしてるところです。


    と、ほぼ完璧な冒頭なんですが。
    あえてケチつけるとしたら、次ぎの点です。

    一行目の

    『冒険をする奴は大馬鹿者だ。』

    と、二行目以降の、世界観説明の設定語りが、ぶつ切り感あって、没入をちょっと阻害してます。

    ぶつ切り感というのは、どういうことかというと。
    一行目で提示された格言めいた言葉と、二行目の設定語りが、文脈として繋がってない感じになってるんですね。

    全編3000文字を読み終われば、確かに繋がってるとは理解できるんですけど。

    『読者にとってはその時点で提示された情報が全て』の法則が発動してます。

    つまり、一行目までしか読んでおらず、そこまでの情報しか与えられてない読者の立場では、2行目以降の設定語りは、繋がってるように感じられないんです。

    なので、1行目と2行目の間に、もうちょいスムーズに設定語りへ繋げるような文章を挟んでくれると、もっと没入感マシマシになると感じます。

    ぶっちゃけ、普通の作品だったら、気にならない程度の小さな粗なんですけど、この冒頭はホント素晴らしいので、こういう細かい部分が気になってきますね。

  • ありがとうございます。

    『正座』は謎要素ですが、戦闘術や交渉術のギミックとして
    今後、少しずつ明らかになっていく内容です。

    今回、没入感は視点のベテラン冒険者から感情移入させるように
    ようにしました。
    これは本来、難しいことですがダークヒーロー的主人公を引き出させる最大に引き上げるには、この視点が、ベストだと思いました。

    〇共感できない系のキャラを主役にする

    ダークヒーローの主人公はそもそもである共感できないキャラ
    でないと、面白くないという前提があると私は思います。

    ヴィラン側の正義といいますか、
    この作品にも”必要悪”についてのテーマが含まれているので
    今後、彼なりの狂気が正義となる形をとる予定です。

    イメージ的にはジョーカーでしょうか。
    この作品の主人公は、若干違う狂気ではありますが。

    〇一行目のぶつ切り感

    鋭い指摘ですね。

    これも懸念材料の一つでした。
    小論文のように結論から入った言葉で、読者からは悪い意味で浮いている風に感じますよね。

    意味は、ダンジョンに挑む、希望の部分と
    現実、人が踏み込んではいけない領域を表す、忠告の言葉です。

    ネタバレですが
    この言葉は後編の最期に繋げる意味で、あえて不自然に入れました。

    ですので
    『冒険をする奴は大馬鹿者だ』という言葉は
    今後まだまだ変化していきます。

    出来れば読者にここの違和感、引っ掛かりを持て
    読んでもらいたいという狙いです。
    (忘れていても、後に意味が分かるようにはしています)


    色々と教えて頂き、ありがとうございます。
    いつも参考にさせて頂いております。

    まだ、これは前編であり、コース料理で例えるなら

    前菜とスープ
    これからメインディッシュとデザートとなっていきます。

    また、本編は前作の指摘して頂いた欠点
    序盤の中だるみ間を無くした構想、プロットを予定しています。

    ネットフリックスの作品のような
    ノンストップな進行を見せたいと思います。

    出来れば、また
    色々教えて頂けると嬉しいです。
  • 〇ジョーカー

    ジョーカーのキャラは純然たる悪役としての『ダークナイト』(2008年)とその後に続く主人公としての『ジョーカー』(2019年)

    での描かれ方の差異がすごく参考になると思いますよ。

    ダークナイトにおいては、ストーリーに感情や興味を向ける仕掛けとしては、ごく普通にバットマンやジョーカーに襲われる被害者へ感情移入させる形でなされているんですが。

    一方で、ジョーカーが主人公になった『ジョーカー』においては、ジョーカー本人に感情移入させる形で、彼の行動=ストーリーに感情や興味を向けさせる仕掛けになってるんですね。


    この感情移入できないキャラの行動に感情や興味を向かせるための、二つのパターン。

    一つは、そのキャラ以外の外部に感情移入する要素を作り、それにキャラを干渉させる。
    もう一つは、スタンダードに本人に感情移入できる要素を作る。

    この使い分けが出来ると、展開の幅を広げられますので、是非、良作をご覧になってみてください。
  • 〇正座一話が成功している重要なポイント


    これは、第一話において視点の主となっている冒険者が置かれた状況の、絶望感がとてもよく演出されている、という一点に尽きますね。

    それによって、彼の運命を変化させそうな要因として、最後の謎の存在に読者の興味を強く誘導することに成功しています。

    これは前振りとしての絶望感が強ければ強いほど、最後の謎の存在への期待感が高まる構造になっているからです。


    では、これが成立できた前提条件が何か、というと。
    前述のコメントと被ってしまう部分はありますが。


    一つは、物語が開始する状況をシンプルにしたことです。
    読者が把握しなければならない情報はせいぜい次ぎのとおり。

    『よくあるファンタジー世界のダンジョンで冒険者がピンチになってる』


    特別な独自設定などを把握する必要がなく、すんなり状況が理解しやすいので、物語に入り込みやすいです。
    余計なことを考えずに、冒険者の置かれた状況=絶望感に意識をフォーカスすることができます。

    これによってただ絶望的な状況を描くだけよりも、何倍も読者の気持ちにストレートに届くんですね。



    二つ目は、9:1の法則が常に発動し続けていおり、興味誘導に応用されている。

    ひらたく言えば、『理解しやすい状況の中で、気になることが1割だけ混ざっている状態』が維持されていることです。

    例えば、出だしで冒険者の視点が始まった時点では。
    『この冒険者はどういう状況に置かれているのか』という点が気になります。

    そして、そこってまさにこれから説明しなければならない情報なのですが。
    ちゃんと説明しなければならないことに、興味を誘導できているってことなんですね。

    9:1の法則の応用で、1の部分を『これから説明しなければならないこと』にシンクロさせるのは非常に強力な手法です。

    ただ説明しなければならない情報を垂れ流すのではなく、ちゃんと興味を誘導してから説明する。
    これめちゃくちゃ大事ですからね。


    9:1法則による興味誘導を上手く利用している代表例がTV版エヴァンゲリオンの第一話です。

    出だしは一見、どこにでもありそうな普通の街に、普通っぽい少年がいるところから始まるわけですが。
    一つだけ異常なことがあるんですね。

    街が無人であることと、何か警報がでてること。

    普通っぽい街に普通っぽい少年という、説明されなくても9割理解できる状況に、1割の異常事態が混ぜられており、その異常事態に否応なく興味を誘導されてしまいます。

    そして、続くシーンではその答えが示されるんですね。
    怪獣みたいな使徒の登場です。

    使徒というまさに、エヴァの目玉要素に興味を誘導した上で登場させてるんです。

    そして戦闘に巻き込まれたシンジがピンチに陥る。
    そこを危機一髪、救う謎の青いポルシェ。

    ここも、ポルシェを運転してる人が誰なのか、という部分がこの時点では気になる謎要素として提示され。
    同時に、主人公のピンチを救う期待感が向けられるという、二つの興味が発生し、誘導します。

    そこでミサトの登場ですね。
    がっつり興味を誘導してから、ヒロインの一人をだしてきます。

    このあとも、こんな仕掛けの連続がずっと途切れなく続いていくのが、エヴァの第一話となっております。



    正座もエヴァ一話と同じことに成功してるんですね。
    9:1状態を維持しつつ、1を次の展開への誘導に活用しつづけてるので、フックの強度が非常に強いです。

    次のような構造ですね。

    ①冒険者の状態が気になる

         ↓

    ②なぜこんな状況になったのか気になる

         ↓

    ③この状況から抜け出す方法がないのか気になる

         ↓

    ④その希望?がラストで提示されるが、その正体が気になる



    と、こんな感じで見事なコンボが形成されてます。
    9:1を活用するのがめちゃくちゃ上手いですね。

    この手の手法の名手としてあげられるのが漫画家の浦和直樹氏で、氏の代表作である『MONSTER』が教科書として参考になると思いますのでオススメです。
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