• エッセイ・ノンフィクション

いつまで神様は試練を与えるのだ~50代女のぼやき〜

 日に日に体力が落ち、疲れが取れず、毎日ダルくて眠い。
更年期もあるのだろう。

そんな更年期女に、神様は容赦なく試練を与えてくる。
まだ乗り越えなければいけない壁がある。
あといくつあるのだろう。

よし!頑張って前に進むぞ!
という時に、なぜか試練がやってくる。

私は前世でどんなにダメな人間だったのか?
今世でたくさん試練を受け、人間を磨かなければいけないくらいの劣悪な事をしたのか?とも思うくらいだ。




〜 50代 〜

それは50代にやってきた。
父親の介護だ。

10年前に病気で母が他界し、それ以降、身の回りの事は全部母にまかせっきりで、自由奔放に生きてきた、父親の面倒を兄弟で見てきた。

といっても、この数年はほぼ金銭的な部分と家の中の衛生的な管理が主だった。


今や歯が3本しかなく、頭の毛も寂しいもんで、どこから見ても80代後半のおじぃちゃんにしか見えない父は、病気で介護になるまで数年、彼女なる70代のおばさんと勝手に生活をしていた。



勝手に彼女作り、勝手に同棲し、勝手に病気になって帰ってきたのだ。



本当に、昔から自分勝手で自己中心的で、回りに迷惑をかけ、回りを振り回し、食べたいものを食べ、やりたい事をし生きてきたくせに、常に不平不満を言い、他人の文句を言う。政治家や警察、はたまた総理大臣にまでテレビの前でもの申す。そんな父親だ。

自分を、どのくらいえらいと思っているのか。
どの立場で、もの申しているのか。

謎だ。

若い頃から全く変わらず、お金にもお酒にも女にもだらしなくて、40代で小さな会社を倒産させ、10年姿をくらまし、いつの間にか母と寄りを戻してた。

若い頃からの不摂生で、高血圧、糖尿、心臓の病気を患った父親は、母と寄りを戻してもちゃんとした仕事には就かず、母は働きづめで毎日旦那と旦那の母親の介護をし、病気になって60代半ばでこの世を去った。


その後も、父親は全く反省もなく、自分勝手を続けている。
亡くなった人は、私のそばにいて身の回りの事はできない。
だから、この歳になっても70代の彼女を作るというのだ。


私には、到底理解できない。


自分勝手な旦那の為に、自分の命を削り、すべてを犠牲にし、つくしてきた母に対して、侮辱としか思えない。


   「ふざけるな。地獄に堕ちろ!」


 という、フレーズが頭の中をよぎった。





私には、兄弟がいる。
兄弟とともに、この父親には子供のころから、嫌な思いをさせられ迷惑をかけられてきた。

問題をおこすたび、何度も父親と縁を切りたいと思った。
その父親の介護を、今、兄弟で協力してやっている。

腹部の痛みを我慢し、我慢ができなくなり、病院で検査をした結果、血液の癌という事がわかった。
父親に、罰がくだされたと思った。


かわいそうだから介護をしている訳ではない。回りに迷惑をかけれないからだ。


父が入院中に、癌の人の命はあずかれない。家族でとうにかしてと、感情むき出しで連絡してきた同棲相手の70代女性は、父と同じくらいかなりの自分勝手でずうずうしい人だった。


父の荷物を同棲相手の部屋へ、兄弟で引き取りにいった。

その女性の部屋は足の踏み場もないくらい、1つしかない部屋を荷物が埋め尽くされ、2人で生活するスペースがどこにあるのかと思うほどの、ゴミ屋敷であった。

こんなとこで生活してたら、病気にもなるよと自然と言葉が漏れる。


そのくせ、奥さん面して病院に頻繁にお見舞いにくる。
全くずうずうしい限りだ。

この彼女と常に長電話をしていて、父の携帯通話がかさみ、ついに13000円を超えた。



ゴミ屋敷で生活しながら、健康ヲタクな父親はお金もないくせに、借金してまで高いサプリを注文して飲んでいた。

ゴミ屋敷でサプリ?

お前、やってる事矛盾してるだろ!
と、口から出そうになる。


言ったところでわかる相手でもなく、自分の持論を怒りにまかせ、ぶちまけるだけの人間なので、見えないように阻止するしかない。
いまだにサプリを飲ませろと言い続けている。


抗がん剤治療をする為に、退院して通院が条件になり、自宅での介護が始まった。


彼女の部屋には戻らず自分の自宅に戻り、訪問看護に来ていただいて健康管理と衛生面は見ていただき、食事の世話などを中心に身の回りの世話は家族で協力している。


介護認定も手続きも何もない中で、退院はまだまだだと思ってたが、いきなり5日後に退院して下さいと言われ、慌てて父親の部屋を片付け、長年留守にしていたホコリやカビ、大量の荷物を出して、何とか療養するスペースを作り退院させた。


いまだに介護認定が下りず、施設にいついけるかも分からず、自宅での介護が続いていて、兄弟と協力しているといっても、女は私1人。しかも1番歳上の姉だ。

中心になってやるのは、必然的に私になる。

役所や包括センター、病院や訪問看護での手続き、施設探しに、食事や部屋の掃除、洗濯や洗い物、足りないものの買い物。
毎日、目が回るほどの忙しさだ。

それに加えて、私はシングルマザー。
1人で息子を育てている。
そう。世帯主である。

しかも、世帯主でありながら現在無職なのだ。


父親の病気がわかった時に、私は転職したばかりで、試用期間中だった。
1カ月2カ月と過ぎていく中で、あれ?と思う事が増えていき、ブラック企業という謎が解けてきたのだ。

休みも休めず、威圧的な上司から常に監視され、唯一の休みでも会社の電話を自分の電話に転送する設定しなければいけないという、ガチガチに拘束されるスタイルの会社だった。

父親の介護含め子供の事も考えて、また就活の日々に戻る選択をしたのだ。


父親の介護しながらできる仕事を探すのは、容易ではない。

とりあえず、単発でできる仕事と思っても、引っ越しの仕事か工場での食品加工がほとんどで、鼻炎持ちで鼻水、咳をする私には難しい仕事しかなく、生活の不安の中で毎日訪れる現実。

仕事探しの時間もなかなか取れない中、食事を出すたびに、嫌がらせなのか、文句や嫌みを言い、時には怒鳴りちらす父親。

まともに相手にはしないと思いながらも、食事出したり、片付けたり、しびんの尿を片付けて、ゴミもまとめ捨て、といろいろやっているそばから心ない言葉を浴びせれ、ストレスで頭が狂いそうになる。


「寿司が食べたい」「チキンライス食べたい」「りんごのすったもの出してほしい」「コロッケが食べたい」「チキンが食べたい」「天ぷらが食べたい」「ラーメンが食べたい」と、自分の欲望だけは相変わらずだ。


抗がん剤治療と、血圧、糖尿、心臓の薬も飲んでいるので、栄養バランスを見ながら、少しずつ食べたいものの希望を叶えてあげているが、朝から天ぷら出せ!もっと出せ!
お前はたいした食事も出さない。掃除してるふりしてる。お前は医者か!どうせ早く死ねばいいと思っているんだろ!と介護している相手から罵倒され、心おれ、謎の微熱が続き激しい頭痛にみまわれた。

あ〜、頭が痛い。


縁を切りたいと思っていたくらいの父親の介護をして、ごめんもなければありがとうもない。やってもやっても、怒りの言葉しかないこの現状に、自分の生活を犠牲にしてるのにと憤りをおぼえ、体調にも影響がきたしてると、兄弟達に助けを求めた。



私は、甘えるのが苦手だ。
長女だから?
親に甘えられる環境じゃなかったから?

ついつい、自分で何もかもやってしまう。

母が亡くなってこの十年。
実家の事は、私が中心になってやってきた。


でも、さすがに私に限界が近づいてきてると感じた。


神様は、50代の私にいまだ試練を与えてくれてるが、人に甘えるという事を学べという事なのか?


とりあえず、兄弟達に今は甘えよう。
私が倒れたら、息子が1人になってしまう。
それたけは避けたい。

息子が自立して、家族を持ち、孫の顔見て、母の分まで長く生きる事を心にしっかりと思い、今は毎日を過ごそう。


もう少しで、梅雨が始まる季節だ。


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