「むむ……」
チェルネツォフの降伏勧告を耳にした山本が、ため息を漏らす。
しかしそれは諦念からくるものではなかった。
「あっ、全く役に立ってなかった長官じゃないっすか」
退路を絶たれすぎて指令室に辿り着いた葵とゆう子。
「私はこの時のため、隠し球を用意していたのだ。乾坤一擲の勝負球を」
しばし目を瞑り、やがて、カッと目を見開く。
「4096センチ要塞砲用意!弾頭は」
山本の目が輝く。
「弾頭は八千八百八十八羅漢!羅漢らの認識を侵略し、目的をチェルネツォフの呪殺に特化したのだ!」
4096センチ要塞砲は、反物質を大量に利用するが、直接ジグリ要塞に到達する射程距離をもつ。
「そしてこれは奴らへの鎮魂歌」
我が道ゆくは 苦難の道ぞ
されど漢は
「歌はやめてください!」
「やむをえん、発射!」
要塞砲が生み出した衝撃波により、いい感じでゾンビ兵は全滅。
羅漢らを満載した弾頭は、はるかジグリ要塞に届き、なお余りある運動エネルギーにより地中奥深くまで到達。
そして八千八百八十八羅漢らは、ジグリ要塞をくまなく満たした!
『ぐわわーっ』
その叫びを最後に、チェルネツォフは二度と人類に語りかけることはなかった。
黒い十月は指導者を失い、そのまま解散。
「勝ったな!」
山本長官は雄叫びを上げる。
「万歳!万歳!我が知床要塞は永久に不滅です!」
男たちがまた歌う雰囲気をかもし出したので、葵、ゆう子、意識を取り戻した巫女トリオは司令室を退去。
その夜、知床要塞は、男たちの放つ熱でやたら暑苦しかったが、生命に危険を及ぼすほどではなかった。
葵たちは、そのせいで寝苦しかった。
戦いはいま、終わった。
お目汚しを失礼します。
ここからが本題です。
次回作はもうすぐ出せそうです。
ポストアポカリプスSFです。
よろしくお願いします。