ネトフリに貞子DXが入ってたので見た。
結論から言うと、面白い映画でした。
貞子の出典は、映画「リング」のヒロイン。
今や和製ホラーのトップアイドルと言っても過言ではなく、プロ野球の始球式にまで招待されて華麗なピッチングフォームを見せた運動神経抜群の幽霊なのは周知の事実である。
「貞子のビデオを見ると7日後に|ω・`)ノ ヤァ」と呪い殺しにくるのがデフォの色白で漆黒の綺麗な長い髪が特徴的な白いワンピースの悪霊やが、この「ビデオを見ると死ぬ」という定番を逆手にとって「ビデオを見ないと死ぬ」に改変されている。
しかも時代が反映されて、主人公達はスマホとLINEっぽいメッセンジャーでやり取り。
つまりビデオテープもビデオデッキもマニアぐらいしか持っていない現代が舞台となっている。そうなると、貞子が呪える相手は限られてしまう。
なんせビデオが過去の遺物的な扱いをされているのだから。
そこで貞子は考えた(のか?)
生き残るために(もう死んでます)環境適応してウイルス化しよう、と。
呪い殺すのも忙しい現代に合わせて7日ではなく24時間にしよう、と。
結果、時短営業のウイルス化した貞子が爆誕。
さらにビデオテープの録画をネットにアップしてネットで見るのもありという時代のニーズに合わせて出張営業するように仕事のやり方も変更していた。
だがここで問題がまた一つ。
ネット配信もありにすると人材が足りない。貞子といえ霊体は一つしかない。
そこで呪い殺す対象には、その対象が大切に思ってる気持ちを悪霊化するようにシステムを改変。貞子がわざわざ足を運ばなくても呪いが達成できるように効率的な仕事っぷりを発揮していた。
なんて仕事ができる悪霊だろう。
なお呪いに足掻いている人(主人公たち)の元には自ら足を運んで貞子自身が手を下そうとするのだが、残業はしない主義らしく時間内に呪い殺せないと仕事を切り上げて井戸に帰る。
どうやら仕事とプライベートは分けるタイプらしい。
この効率化とホワイトな仕事っぷりが羨ましく思えるのが、何よりもも恐ろしいホラーじゃなかろうか。
そんな自身のウイルス化と効率化に成功した仕事ができる悪霊こと貞子やが、ウイルスってなると、気になるのがワクチンの有無。
残念ながらワクチンはない。
その代わりに24時間以内にもう1回呪いのビデオ(ネット配信でも可)を見ることにより抗体が生成されて殺されなくなるのだ。
視覚接種により抗体を生成させて逃げ道を用意する貞子はきっと優しさあふれる理系だろう。
こうして呪いのビデオや配信を見た人に一日1回呪いのビデオを見るルーチンワークを組ませることに貞子は成功した。
しかも呪い殺しに行く出張回数を減らす効率化と配信の再生数も稼ぐシステムまで構築する現代の成功者の映画だった。
映画全般の演出はTRICKっぽいなーと思ったら、TRICKでも監督をしており、堤幸彦を師事していてずっと助監督もされていた木村ひさし監督だったのでこちらも納得(見終わってから知った)
ホラー枠だけど怖くないしグロくもないので、ホラーが苦手な人でもわりかし見れるホラーでした。