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連載再開をお待ち頂いている読者の皆様へ

私は、章単位で書き上げてから投稿するスタイルを取っています。

読み専の皆様におかれましては、「書けている部分だけでも投稿して欲しい」とご希望される方が、もしかするといらっしゃるかもしれません。なので、作者の事情をここで少しお話させて頂きますね。(作者の皆様におかれましては、ご承知のことと思うので読み飛ばして頂ければと思います)

WEB小説では、書けたら投稿するというスタイルが主流かと思います。だから私の取っているスタイルは奇異に映り、じれったく感じるかもしれません。だから我慢できずに離脱されてしまうのも、致し方なしと理解はしております。

ではなぜ離脱というデメリットを抱えているにもかかわらず、このような方法を取っているのかと言えば、過去作において展開に行き詰って苦労した経験があるからです。
これでは伝わらないと思うので、もう少し詳しく説明します。

小説というのはストーリーが進めば進むほど、様々な情報が複雑に絡み合っていくものです。そうすると、後に予定していた展開(又は、新しく閃いた展開)が、以前に書いた展開との間で競合(矛盾)してしまうことがあるのです。その時にうまく辻褄を合わせられればいいのですが、どうしようもない時もあります。詰んでしまうんですね。

これがもしゲームだったら、詰んだ時点でセーブポイントに戻ってやり直せます。けれど、セーブポイント次第ではこの詰みの状況から抜け出せない場合もありますよね。特にラストバトル直前とか。

小説もこれと同じ状況が起こり得ます。

書き上げたものを即座にアップロードする場合、最新話を投稿した時点でストーリーや設定情報は、読者様の中で記憶され、確定情報となっていきます。投稿後に改稿しても、一度読まれた読者様には届きません。つまり、すでに投稿してしまった部分については、やり直し(展開の変更)はできないのです。

とすると、矛盾を修正する場合には、新しく書く話で辻褄が合うように軌道修正していくしかありません。しかしこれはかなり精神的に苦しいし、難しい作業なのです。

一方で、章単位で投稿していく場合は、軌道修正が比較的容易です。なぜなら未投稿であるがゆえに、(章の範囲で)過去に遡って修正することもできるからです。とても大変ですが、やろうと思えば都合の悪い展開そのものを根こそぎ変えることも可能です。(実際、一章と二章は何度も大幅改稿しました)

まとめると、詰みを回避するために小まめにセーブ(都度投稿)はせず、章単位でセーブ(投稿)をするようにしているわけです。要はバッファを持たせているわけですね。

加えて、私は病的なまでに推敲を繰り返す人間なので、このスタイルとの相性が極めて良いのです。
何度も繰り返し読むことで作品の粗を探しだし、必要に応じてセーブポイントへ戻ってやり直すことができる。このやり直せるというゆとりが大事で、心が楽になるのです。これがこのスタイルを採用する最大のメリットとなりましょうか。

余談ですが。
おそらく病的なまでに推敲してしまうのは、自分の求める文章レベルに対して、実際の文章レベルが追いついていないからだと思われます。自分の中にある理想に現実が追いついていないから不安になるのでしょう。だから異常なまでに推敲してしまう。もっとも、推敲自体は嫌々やっているのではなく、好きでやっています。少しずつ理想の文章やストーリーに近づけていくことで満足感を得られますから。



長くなってしまいましたが、作者の執筆の都合上、このような変則的な投稿スタイルになっているとご理解頂ければ幸いですm(_ _)m

8件のコメント

  • 執筆お疲れ様です。

    寧ろ、そのスタイルが普通でWEBが異常だと思うんです。

    私は今回、大幅変更で失敗して毎日書いて投稿をした訳ですが、本当にキツかったです。お話としてもブレるし、何を書いているのか分からなくなりますから……(特に後半の統合性をとるのがキツかったです)

    ですので、10万文字程度(文庫本1冊)の執筆と推敲を3か月を目安に仕上げていくのが無理がないかなぁと思うんですよね。

    お話を練ることが出来るし、推敲も十分できるので。

    数時間で3000文字書いて推敲とか、良い作品が出来る訳ないんですよね……

    出来上がっている話を削除するとか、二度としないです(T_T)

    で、何が言いたかったと言うと、火乃玉様のペースで推敲すればいいと思います。周りは気にせず、焦らず、納得のいくまで何度も推敲して仕上げていきましょう。
  • 自分も直近の作品は(今までと違って)章ごとの公開にすることにしました。イベントの修正や矛盾が出ないように整えること。勢い任せでやってきましたが、章ごとにした方が良いと判断したためです。人によってスタイルがいろいろとあると思うので、各々に合うスタイルで良いかと思います。
  • 剣一本の場合はとくに、火乃玉様みたいなスタイルが必要になってくるタイプの作品ですね。

    キャラクターの行動理由を決める設定がとにかく多い作品ですから。

    それら複数の設定が相互に紐付けられてるので、その設定のうち一本でも矛盾あると、途端にキャラの行動に整合性がとれなくなっちゃって、矛盾がでるタイプのストーリーだから、書くのほんと大変だと思います。

    今思うと3章とかマジで奇跡的ですね。
    あれは過労死しちゃいそうw
  • 王白アヤセ様

    WEB小説は特殊な環境ですよね。
    早く読みたいという読者様のご希望を叶えるためには、毎日投稿が望ましいのだと思います。

    なろうでこのスタイルの人はほとんど見かけたことがないのですが、カクヨムの場合はプロを目指している方も多いからか、完成してから投稿するというスタイルの方もたくさんいらっしゃいますよね。私の場合はその中間でしょうか。

    >本当にキツかったです
    私もそうだったんですよ。一作目、二作目共に都度投稿をしていたので、苦しいのなんのってそりゃもう……特に一作目はストックなしの都度投稿だったので苦労しました。で、二作目も同じく苦労したんですけど、本編を完結してから流れが変わりました。番外編を書く時に、完成してから投稿するというスタイルにしたところ、すごく心が楽だということに気付いたんですよね。なので三作目の本作では、このスタイルを採用してあります。

    王白様も苦労されたとのこと。多分、都度投稿の場合はみなさん苦労されるのでしょうね。作者あるあるなんだと思います。

    >10万文字程度(文庫本1冊)の執筆と推敲を3か月を目安に仕上げていく
    実は、私もこの感覚で書いているんですよね。もっとも私の場合は、半年かかるんですけど(笑)

    都度投稿でしっかり書けている方もいらっしゃるので、やっぱり自分に合うスタイルというものがあるのかなって思います。おそらく、王白様も私と同じタイプなのかもしれませんね。

    ありがとうございます。
    焦って良いことはありませんからね。とはいえ、ゆっくりできないのも事実でありまして。
    まずは四章を最後まで書いて全体の流れを見ながら推敲していきたいと思います。
  • フィステリアタナカ様

    お久しぶりです。
    おおー。章ごとの公開に変えたのですか。
    私も昔は都度投稿だったので、わかりみが深いです。

    章ごとに公開するメリットはまさにそこですよね。修正が容易で矛盾点が潰せるというのは大きいと思います。時間がかかるのが難点ですが、その分クオリティは上がると思いますし。

    そうですね。執筆スタイルは人それぞれ。自分に合ったやり方をすればいいと思います。
    とはいえ、読者様をお待たせしてしまっているのは、申し訳ないところなのですが。
  • 菅野 事案様

    そうなんです。本当によくわかっていらっしゃる。

    キャラクターの行動原理が設定によって左右されるので、設定に反する行動を取ってしまうと即矛盾しちゃうんですよね。これは作者本人でさえも気付いていない場合が多く、推敲の過程で少しずつ発見して潰しています。(おそらく、それでも完璧ではありません)

    四章は一本道のストーリーなので大丈夫だと油断していたんですけど、先日、今後の展開と矛盾することに気付いて、冷や汗をかきました。え? そんな矛盾の仕方する? って感じです。この矛盾が発見されたから、焦り出したというのもありますね。

    実は最終章から逆算して設定を考えているんですけど、どんどん肥大化して複雑になっているのが悩みです。というか私も忘れてる設定がありそうで……

    はい。三章は発狂しそうになりましたw
    修正して修正して修正して、頭がバグって、それでも修正して、修正して、修正して、最後には妥協しましたから(笑)
  • 火乃玉様のペースで書かれるのが一番良いと思いますし、そういう風に丁寧に推敲を重ねられるからこそ素晴らしい作品に仕上がっているのだと思います。
    真の火乃玉様ファンであれば、どれだけ待っても文句などあろうはずもありません。むしろその分、新章更新が楽しみになるというものです。
    どうかご無理なさらず納得のいく作品に仕上げてくださいませ。
    楽しみにお待ちしております。
  • 那智 風太郎様

    温かい応援のお言葉、本当にありがとうございますm(_ _)m
    合わせて「どれだけでも待てる」とのこと。本当にありがたいお言葉であります。推敲の重要性を理解して頂けるのは、同じ作者だからこそですよね。

    ただ読者様目線、そんなに待てないなって気持ちもわかるんです。私はカクヨムコンの時に、同時に30作品とか追いかけていたんですけど、読み専様は平時にこの状態にあると思うんですよね。あるいはもっとかもしれません。
    30作品も並列で読んでいると、どうしても話がミックスされて、以前の展開がどうだったのか忘れちゃうことがよくありました。毎日更新でこの状態になるぐらいですから、数ヶ月も空いたら完全に忘れちゃうと思うんです。

    なので、離脱されてしまうのは仕方がないことなのだと、理解はしております。

    実際、ランキング上位に入ったような人気作品でも、休載期間が半年あれば5~8割減ぐらいするみたいです。WEB小説では、連載ペースも評価の項目なのかもしれませんね。

    理想と現実のバランスを見ながら、うまく折り合いをつけて書いていきたいと思います。応援、ありがとうございました。
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