以下は、三章のあとがきです。三章の致命的なネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
あ、本当に致命的なネタバレ含みますので引き返すなら今ですよ?
本当にいいんですね? では……
三章を最後まで読んで頂き、ありがとうございましたm(_ _)m
最後のオチを見抜けた方、いらっしゃいましたでしょうか。実は、章タイトルを「第三章 公主様に愛を叫ぶまで」とする事で、最後の着地点を明示し、「第35話 公主様のハーレム計画」で公主様の犯行予告をしておきました。そして更に、忘れている頃だろうと思って「第59話 公主様の陰謀」でもう一度、公主様の犯行予告を改めて強調したのです。
もし「見抜けたよ」という方、いらっしゃいましたら、コメントの方で教えて頂けると作者は喜びます。
三章を書く上で一番苦労したのは、読者様と麒翔と公主様でそれぞれ知り得ている情報が違うという点でした。読者様が知らない情報を隠したまま物語を進行する必要があり、真の行動理由を隠したまま、かと言って物語が破綻しないように建前の行動理由を読者様には伝えるように書いていたわけです。建前の理由を読者様が納得できる形で書かなければならず、かつ、建前と真の理由の間に矛盾が発生してはならない。この整合性を取るのがすごく難しかった。
例えば、
Q.麒翔はなぜ公主様に頼らずに一人で事件を解決しようとするのか?
建前:一緒に犯人を追わないのは彼女が狙われているから。公主様を守るために単独で行動している。
真の理由:実は公主様は自分の体を囮にして、エレシアを封じるつもりでいた。その事を麒翔は薄々察していて、公主様よりも先にエレシアを見つけだし、自分の手で決着をつけるつもりでいた。
Q.紅蘭が囚われた時、公主様が交換条件に応じたのはなぜ?
建前:公主様は仲間に対して寛大である。しかも紅蘭は共に生まれ育った妹なので見捨てることはできない。
真の理由:実は公主様は、エレシアに体を乗っ取らせるつもりでいた。交換条件にあっさり応じたのは、それが彼女の描く筋書きだったから。
あと、作中で表現しきれなかった事もたくさんあります。
例えば、
Q.なぜ公主様は、紅蘭にエレシアの存在を教えなかったのか?(注意喚起をしなかったのか)
A.以下の四つの理由により、説明は不要だと考えていた。
①下院の教師は上院には滅多に足を踏み入れない。だから上院生の紅蘭は基本的に安全である。
②紅蘭は火属性なので、エレシアは素体とする事ができない。だから狙われない。
③エレシアを刺激しなければ、紅蘭(他の生徒も含む)を殺害するような暴挙はしないと読んでいた。
④万が一人質に取られたとしても、乗っ取らせることが公主様の真の目的だったので渡りに船である。
Q.なぜ、公主様は「魂を元に戻す方法」を麒翔に話さなかったのか?
A.以下の二つの理由により、話さなかったものと思われる。
①元に戻す方法があるというのはあくまで予想であり、(獣王の森の時点では)確証にまでは至っていなかった。
②麒翔は、無実のアリスを斬った事を気に病んでいた。もし元に戻す方法があると知れば、きっと更に落ち込むだろうと考えた。
実を言えば、初期プロットでは素直に魅恩教諭がエレシアの予定でした。
でも、「第25話 悪役を演じる公主様」を書いている辺りで、どうやって待ち伏せをしたんだろうと疑問が浮かんでしまったんです。だったら犯行が可能なのは風曄の方なのではないか? となり、プロット(脳内)を変更して大工事を実行しました。でもまさか、風曄がこんなに愛されるとは思っていなくて、一部の読者様には精神的ダメージを与えてしまったのかもしれません……w
実は、プロットはあってないようなもので、整合性を取りながらガンガン後付けで設定と伏線・布石を加えていきました。風曄を元に戻すプランも三章を書き始めた頃はなかったんですけど、なんとか丸く収まるように着地できてほっとしております。(ちなみに後付けすると、建前と真の行動理由にも影響を及ぼすのが本当に厄介でした)
というわけで三章は、謎解き要素を入れた上で、バックグラウンドで公主様の陰謀が進行していたため、かなりトリッキーな構成となってしまいました。そりゃ、私の技量では整合性を取るのに難儀するわけです。おそらく変な箇所はまだあるでしょう。
もうこんな苦労は懲り懲りですw
だから四章はもっと素直に、麒翔の活躍を書きたいと思っています。
また変なことを閃いてしまいませんように(-人-)