「むきゅう?」
ムー太は疑問に体を傾けた。同じ形状のまんまるの陰が六つ、全く同じ仕草で傾き疑問形で鳴いた。つぶらな黒目を瞬いて、互いの顔を見合わせる。
どうしてムー太が六匹いるのか。それはムー太にもわからない。温かいお布団で眠っていたはずなのに、目が覚めたらここにいた。
「ムー太が六匹……これは大事件ね」
背後から声がした。振り返り見上げると、七海が難しい顔をして立っていた。六匹のムー太たちが申し合わせたかのように同時に鳴く。
「むきゅう?」
七海はわなわなと肩を震わせている。どういうことかとムー太が更なる疑問を抱いた時、
「ムー太が六匹もいたら私の身が持たないわ」
彼女はそう言って、なんとヘッドスライディングをぶちかましてきた。六匹のムー太たちは、ボーリングのピンが如く、互いにぶつかり額をコチンとぶつけ合った。柔らかなまんまるの体同士だ。ぶつかっても痛くはない。だけれど、
「むきゅううう!」
ムー太はボーリングのピンではない!
ボンボンをピンと立てて遺憾の意を表明。同時に六匹から発せられる抗議の鳴き声に、七海が舌をペロッと出して謝罪する。
「ごめんごめん。つい発作がでちゃって」
彼女は自称モフモフ狂人で、悩ましく揺れるモフモフを見ると理性が吹き飛んでしまうらしい。そのことをよく知るムー太たちは、不満そうに頬をプクッ膨らませる。
「それよりも、これを見て」
彼女が指差したのは、一つの魔方陣だった。
「魔法式を解読してみたんだけど、どうやらこの魔方陣が悪さをしているみたい。ムー太が元に戻るためには、六匹の魔力を均等に魔方陣へこめる必要があるわ」
「むきゅう?」
難しいことはムー太にはわからない。もっとわかりやすく教えてほしいのだ。
「要するに魔力を放出しながら、魔方陣をグルグル回るようにダンスするのよ。そうすればきっと元に戻れるわ」
「むきゅう!」
六匹のムー太は了解して、元気良く鳴いた。
ポンポンと飛び跳ねるのは得意分野だ。円の外側を飛び跳ねるのなんて簡単だ。
「でも、その前に。今日はクリスマスだからね。はい、これ」
彼女が差し出したのは、サンタ帽子なのであった。
その出所は不明である。
……
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タンティパパ様より、ファンアートを頂きました。
物語の続きはファンアートをご覧ください。
夜遅くまで作業して頂き、素敵なファンアートに仕上げて頂けて本当に嬉しいです。タンティパパ様、本当にありがとうございました。
召喚なしバージョン(タンティパパ様の近況ノート)
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