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どうしようもない悲しみと心いっぱいの優しさに

同級生が自殺をした。親友はそれを救えなかった。そんな物語を、4月なのに暖房が必要なぐらい寒い部屋の中で無気力に眺めていた。心にぽっかりと穴が空くような、胸の奥底から涙が溢れてくるような、何かを抱きしめたくなるような。そんな芯の通った不安定さに心が支配される。死を扱う中でも特に『自殺』が絡む物語にはそうした気分が伴う事が多いように思う。特にそれを間近で観察する人がいて、その心の内が見えないようであれば尚更。なんで、どうして。時に怒りにも似たような感情すら抱いてしまう。後悔の種はそこらじゅうにばら撒かれて、一歩進む毎に足取りは段々と重くなる。そして、彼女を追いかける。自殺をする人間はそれを悟られまいとする傾向があるという。優しく笑って、足取り軽くスカートを翻す。知って欲しいけど知られたくない。少しずつヒントを見え隠れさせて、けどやっぱいいや。そう言って少し悲しそうに笑う。ごめんね、今まで私の親友でいてくれてありがとう。そんな心いっぱいの優しさを渡して、ふわふわと薄れて消えていく。

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