灯火野

"ずっと、心の温度を下げることばかり考えてきた。いつかこの気持ちが、小ぢんまりと固まってくれたらそれで良かった" 黒板を消すときは、少しだけ背伸びが必要な主人公：佳代は、クラス…

《車で 母と予防接種に出かけた──》 思春期の少女とその母親。 少女は初めて、自分と母の母子手帳をまじまじと読んだ。

「全部嘘だったらな、なんてこと、あるよね」 楽しみでもなければ憂鬱でもない、至極平坦な気持ちで迎えた入学式で、僕は彼女に出会った。薄くて綺麗なその唇は、誰に向かうでもなくそう言っ…

時代は変わり、スイッチ一つで花火が上がる時代。計算し尽くされた美しさだけが、花火の美しさじゃない。 事故で父親を失った若い花火師、奮闘の短編集です。

心に傷を持った二人の高校生が「万有引力」によって互いに惹かれ合う。 世界を満たす様々な自然の摂理。 ぎこちなく、もどかしく、確かに暖かく育まれる『それ』の名前は── 「数学ガー…

君の隣にいるけれど、僕は君の『特別』じゃない── 大学生の主人公『僕』は、ひょんなきっかけで仲良くなった『彼女』に恋をした。 だけど彼女には他に恋人がいた。 「じゃあ、頑張れば…

父を花火で失った、若き花火師の物語。 地元：新潟県長岡市の大花火大会をモチーフに書きました。 「あなたの街の物語」コンテスト応募作品です。

私と弟は、似ているようでやっぱり違う。飴が好きなところは似ているけど、飴の好みが全然違うように。弟の出場する試合を観戦する事になった。その前日、弟は気になる事を言い出した。

地元の大学で楽器のリペアを専門に学ぶ学生：森野内は、楽器の修理のアルバイトをしている。中学校の吹奏楽部への出張で出会った2年生部長：佐倉鈴鹿を見かけてから、自分の中の「ある思い」…

塾講師のアルバイトで稼ぐ大学生の俺に、生徒達は様々な疑問を持ちかける。